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臨床精神薬理
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統合失調症における内在性D-セリンと新規治療戦略
JPY
Abstract
Phencyclidine(PCP)やketamineなどのNMDA(N―methyl―D―aspartate)受容体拮抗薬は,ヒトに統合失調症と酷似した症状(陽性症状,陰性症状,認知機能障害)を引き起こすことが知られていることから,統合失調症のグルタミン酸仮説(NMDA受容体機能低下仮説)が幅広く支持されている。NMDA受容体の内在性調節因子として脳に高濃度に存在するD―セリンは,NMDA受容体のグリシン調節部位に作用することにより,NMDA受容体を介するグルタミン酸神経伝達に重要な役割を果たしている。またD―セリンは,セリンラセマーゼという酵素によって合成され,D―アミノ酸酸化酵素(D―amino acid oxidase:DAAO)によって分解される。本稿において,統合失調症の病態におけるD―セリンの役割,および新規治療戦略としてのD―セリンの可能性について考察したい。 Key words :D―serine, schizophrenia, biomaker, serine racemase, D―amino acid oxidase
