Abstract
精神科臨床薬学研究会(PCP研究会)は,2006年以降毎年全国の会員病院を対象に,薬剤師による向精神薬の処方実態調査を実施し,患者および使用薬物等の基礎データの収集とその解析を行ってきた。今回,2011年度の調査では,新たにBMIと心電図異常の項目を追加し検討を行った。その結果,統合失調症入院患者のBMI(kg/m2)は「普通」を示す18.5以上25未満の患者が57.0%と過半数を占めていた。健常者の各年齢層におけるBMI値の変動と比較したところ,その傾向は大きく異なり,男女共に比較的若年層では高いBMI値を示したが,それ以降は加齢と共にBMIは減少の一途を辿った。また,抗精神病薬投与量との比較では,投与量の低い群は「痩せ」型で,高い群は「肥満」型を示した。心電図異常を示した抗精神病薬服用患者を年齢別で比較したところ,50歳代以降から加齢と共にその割合は増加した。また各年齢層における心電図異常の有無に関して抗精神病薬の投与量で比較したところ,20歳未満から50歳代のいずれの年齢層においても,抗精神病薬の投与量が多い群に心電図異常が認められた。本研究結果から,日本国内に入院中の統合失調症患者のBMI値の年齢変動,抗精神病薬処方量との関係が明らかとなった。また,心電図異常は高齢と抗精神病薬の投与量の問題以外にも様々な要因が関連していることが考えられた。 Key words : body mass index, electrocardiogram, schizophrenia, prescription survey,