Abstract
双極性障害の躁症状に対するolanzapineの特定使用成績調査の中間解析を行った。Olanzapine投与開始後1ヵ月のデータを解析した結果,安全性解析の対象患者425例中,olanzapineの投与中止に至った患者は82例(19.3%)で,その内訳は,医師の判断20例(4.7%),追跡不能19例(4.5%),有害事象18例(4.2%),患者の判断15例(3.5%)などであった。観察期間中に報告された有害事象で主なものは,傾眠(3.76%),体重増加(2.35 %),高プロラクチン血症(1.41%)であった。重篤な有害事象として,浮動性めまい,体重増加,腹痛,血中トリグリセリド増加,転倒が各1例(0.24%)に認められたが,腹痛,血中トリグリセリド増加,転倒についてはolanzapine投与との因果関係は否定された。有効性解析対象におけるYMRS-J総スコアのベースラインからの変化量は―15.2(95%CI:―16.77〜―13.65,p<0.001),CGI-BP(躁病)は―1.7(95%CI:―1.86〜―1.51,p<0.001),CGI-BP(うつ病)は―0.1(95%CI:―0.22〜―0.03,p=0.014),CGI-BP(総合)は―1.5(95%CI:―1.68〜―1.34,p<0.001)であり,いずれにおいても有意な変化が認められた。以上より,双極性障害の躁症状に対するolanzapine投与後1ヵ月の日常診療下における安全性および有効性が確認できた。 Key words : olanzapine, bipolar disorder, manic, post-marketing survey