Abstract
我々は2011年9月にblonanserin(BNS)で治療開始された急性期統合失調症入院患者70例に対して,8週(56日)目までの臨床全般改善度,副作用,随伴事象,治療継続率,治療中断例数とその理由などを後方視的に調査検討し報告した。解析可能な61例の「あらゆる理由」による投与中止を除く治療継続率(Kaplan-Meier法)は75.4%(46/61例)であった。今回,我々は同一対象例で投与1年(364日)目までの治療継続率,臨床効果,安全性,随伴事象,BNS用量,併用薬,退院後の日常生活・社会活動状況などを後方視的に調査した。BNS投与364日目の「あらゆる理由」による投与中止を除く治療継続率は,転院等の27例を除く解析可能な症例(n=43)のみで算出すると41.9%(18/43例)であった。治療継続18例の社会活動状況は,パート勤務・アルバイト,家事に至る例があった。これらのことからBNSの治療継続率は他の第二世代抗精神病薬とほぼ同等の印象であり,急性期から維持期にかけて一貫して使用できる薬剤と考えられた。 Key words : blonanserin, schizophrenia, effectiveness, 1-year follow-up, discontinuation