Abstract
本邦では抗精神病薬の多剤大量処方の適正化が求められている。しかし,抗精神病薬の減量によって悪化のリスクがあると考えて,主治医は減量を躊躇することがある。これを克服しやすいように鳥取医療センターでは,2010年から医師,看護師,薬剤師が処方適正化チームを組んだ。処方適正化チームは,主治医が安心して減量を行えるように全職員に適正な抗精神病薬の使い方に関して情報を提供した。各主治医には安全で効果的な抗精神病薬の適正化法(SCAP法)による減量を行うように勧めた。2010年にchlorpromazine換算投与量(CP換算量)で1,000mg以上の処方を受けていた患者の平均CP換算量は1,402mg/日(標準偏差415mg/日)であったが,2013年には1,025mg/日(341mg/日)となり,377mgの減量をすることができた。一過性に精神症状が悪化する患者はいたが,一時的な増量にて回復し最終的には精神症状が悪化することはなかった。CP換算投与量1,000mg以上の大量投与患者の78.6%に抗精神病薬の減量を行うことができた。しかし,一部減量できない患者がいたことは処方適正化チームおよびSCAP法の限界であるといえる。 Key words : appropriate use, antipsychotic drugs, high-dose combination therapy, dose reduction, sharing information