Abstract
カフェインはコーヒー,紅茶,緑茶など多数の食品・飲料に含まれ,法的に禁止・制限されていない。しかし,カフェインの作用として興奮,強心作用,脳細動脈収縮作用,利尿作用などがあり,副作用として不眠,胃腸の障害などが挙げられる。精神科におけるカフェインの使用は,向精神薬との相互作用,睡眠障害の誘発などの問題がある。このため,今回精神科病棟で日常的に調製され患者に提供されている麦茶,ほうじ茶,緑茶,および市販の緑茶等に含まれるカフェインの濃度を測定した。試料は7施設の精神科病院で通常の方法で調製後の麦茶,ほうじ茶,緑茶を採取し,−30℃で保管した。カフェイン濃度の測定はHPLCにより行った。麦茶のカフェインは検出されなかった。ほうじ茶のカフェイン濃度は1.2〜9.0mg/100mLであり,同一施設内においても病棟により含有量が異なった。緑茶は4.7,6.0mg/100mLであった。市販の緑茶等および特定保健用食品の緑茶等にはカフェイン濃度が高い商品(23.9mg/100mL)があった。精神科病棟で患者へ提供されているほうじ茶のカフェイン濃度は1.2〜9.0mg/mLと幅があり,茶葉の量,抽出時間による影響が考えられた。各施設の緑茶,ほうじ茶のカフェイン濃度は,日本食品標準成分表2010より低濃度であった。しかし,カフェインに感受性が高い人の存在,およびカフェインとの相互作用がある医薬品の服用患者が存在するため,カフェインフリーの飲み物への変更が望まれる。また,市販の緑茶,ウーロン茶,および特定保健用食品の緑茶等にも高用量のカフェインが含まれる商品があるが,カフェイン量の表示がされていない商品も多く夕刻以降の摂取による睡眠への影響が懸念されるため,カフェイン含有量の表示が必要と考える。 Key words : caffeine, psychiatry ward, beverage, tea