Abstract
抗精神病薬をはじめとした「多剤大量処方」が話題になって10年以上経過している。また,日常診療で薬の中止を要望されることもよくある。抗精神病薬において,拙速な減量や中止は,増悪や再発のリスクを高めることがいくつか報告されており,長期間大量処方を受けてきた患者にとって,ドーパミン過感受性精神病のリスクもある。その中で,SCAP(Safety correction for antipsychotics poly-pharmacy and high-dose)法という「とてもゆっくり,1種類ずつ,戻しても可」とする減量法が開発され,臨床試験でもその安全性が確認されたところである。しかしながら,減量は患者・家族のみならず医療者にも不安を引き起こすものであり,間違えた判断をしないためにも,合意形成を得ながら着実に行う必要がある。着実な減量を行い,安定した状態が得られれば,精神疾患患者全体が高齢化する中,多剤服用による身体リスクを減らすことに繋がると考える。 Key words : antipsychotic polypharmacy, reduction, withdrawal, SCAP (Safety correction for antipsychotics poly-pharmacy and high-dose) method, dopamine supersensitivity psychosis (DSP)