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JPY
Abstract
急性心不全の治療目標としては,従来,呼吸困難感の改善と血行動態の改善に主眼が置かれていた。しかし近年,長期予後に対する後ろ向きの検討を行ったところ,患者背景因子を統計的に補正しても点滴強心薬を使用した患者の長期予後は悪化していることが示された。急性心不全の大規模レジストリーADHERE(Abraham WT, et al. J Am Coll Cardiol. 2005; 46: 57-64.)からも同様の報告がなされている。また動物実験からも,点滴強心薬が心筋障害を生じる可能性が指摘され,急性心不全の治療において点滴強心薬が第一選択薬として使用されることはなくなってきた。その一方で,収縮期血圧と臓器環流が保てない症例では,救命のために点滴強心薬を使わざるを得ない。ESC 心不全のガイドラインでは収縮期血圧に応じて,収縮期血圧が保たれている状態では点滴血管拡張薬投与,収縮期血圧が保たれない場合は点滴強心薬との記載がなされた。しかし前向き試験のない状況であり,臨床現場ではその使用法について試行錯誤が今も続いている。臨床現場において急性心不全に対して点滴強心薬を使う目的と適応,方法などについて,専門家はどのように考えるのか。
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