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2004年 66巻7号
外科
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0016-593X
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特集 炎症性腸疾患における最近の進歩 1.病理と病態生理
1.炎症性腸疾患の病理組織
(味岡洋一)
p.
745–753(9)
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潰瘍性大腸炎の病理組織像は,炎症時相(活動期,治癒進行期,寛解期)により異なる.長期経過例の陰窩では胃(幽門腺粘膜)化生とも呼ぶべき細胞形質転換が起きている.Crohn 病に特徴的な病理組織所見は,非乾酪壊死性類上皮細胞肉芽腫,全層性炎,裂溝・裂溝潰瘍であるが,こうした形態所見の背景には,マクロファージ集簇や肉芽腫形成によるリンパ管閉塞とリンパ管循環障害,リンパ管に沿った炎症の進展がある可能性を,免疫染色結果と文献的考察から述べる.
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2.炎症性腸疾患の自己免疫機構
(岡田英理子)
p.
754–758(5)
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潰瘍性大腸炎とCrohn 病では,その腸管局所の病態において免疫機構の破綻が重要な役割を果たしている.Crohn 病においては腸管内細菌抗原,および単球・マクロファージやTh1 型免疫反応の異常が,潰瘍性大腸炎では腸管の上皮細胞やT 細胞,B 細胞の機能異常などが近年明らかとされてきている.免疫異常に対して新しい治療も開発され,今後のさらなる検討が期待される.本稿ではこれらの免疫異常について概説する.
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3.炎症メディエータと炎症性腸疾患
(松本譽之)
p.
759–763(5)
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炎症性腸疾患は,潰瘍性大腸炎とCrohn 病の両疾患の総称として用いられる.両疾患ともに原因不明で再燃と寛解を繰り返す難治性炎症性腸疾患であるが,その病態には免疫異常を背景とした慢性炎症の持続が重要である.このような炎症の惹起と慢性化には炎症性メディエータが重要な役割を果たしている.その中でも,IL — 1,IL — 6,TNFαなどの炎症性サイトカイン,IL — 8 などのケモカイン,TXA2 やLTB4 などのアラキドン酸代謝産物,その調節にあたる脂肪酸の意義などを解説する.
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特集 炎症性腸疾患における最近の進歩 2.診断と内科療法
1.Crohn病の内科療法
(高添正和)
p.
764–772(9)
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Crohn 病(CD)の基礎研究は進展し,「腸内細菌叢・上皮・免疫細胞のあいだでの情報伝達に混乱が生じて慢性的な腸の炎症に発展し,CD の病態が形成される」という知見が得られ,治療介入の対象となる標的が数多く特定されるにいたった.とりわけ,TNFαはCD 病態において大きな役割を果たすことが明らかになり,それを狙った抗TNFα抗体が出現したが,患者の病悩を長期的に解放するところまでにはいたっていないのが現状である.
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2.潰瘍性大腸炎診断の進歩と内科療法
(福田真作)
p.
773–779(7)
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潰瘍性大腸炎の診断の手順と治療についてそれぞれ診断基準(案),治療指針(案)を中心に概説する.診断は下血・粘血便などの症状があり,特徴的な画像と組織学的所見が得られ,除外するべき疾患が除外できれば本症と診断できる.内科療法はおもにサリチル酸製剤とステロイドが用いられ,重症度,罹患範囲によって投与法が選択される.また,難治例あるいはステロイド抵抗性の症例に対する新しい治療法として期待されている免疫抑制薬や血球成分除去療法についても紹介する.
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3.腸管外病変の診断と治療
(山口明子)
p.
780–786(7)
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炎症性腸疾患(IBD)である潰瘍性大腸炎(UC)とCrohn 病(CD)の腸管外合併症は,平成4 年度厚生省特定疾患調査研究班の報告ではUC の20.9%,CD の31.3%に認めている.おもな合併症は血液疾患(UC 4.4%,CD 17.1%),皮膚病変(UC 5.5%,CD 12.2%),肝胆道系病変(UC 4.6%,CD 6.5%),関節病変(UC 3.9%,CD 5.1%)などである.腸管外合併症は,IBD の病態と関係し発症するもの,偶然合併したもの,治療薬剤による副作用として発現したものに大別される.長期経過中に多種多様な合併症を生じるため,腸管病変のみではなく,IBD は全身性疾患ととらえ全身管理が必要である.
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特集 炎症性腸疾患における最近の進歩 3.周術期管理と外科療法
1.炎症性腸疾患の周術期管理
(池内浩基)
p.
787–794(8)
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長期にわたるステロイド治療を受けている潰瘍性大腸炎(UC)患者の周術期管理では,とくにステロイドカバーが重要で,減量計画を誤ると急性副腎不全を生じてしまう.また,Crohn 病(CD)では,再手術率を低下させるために術前から病態を十分に検討し,切除範囲を決定するとともに,内科医と協力して術後の薬物療法,栄養療法の計画を立てる必要がある.本稿では炎症性腸疾患患者に必要な,術前検査,術後管理,および術後合併症対策について概説する.
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2.Crohn病の外科療法
(高尾良彦)
p.
795–799(5)
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Crohn 病の外科的治療は,狭窄,内瘻,外瘻,穿孔,膿瘍などに対して,症状や全身状態を改善するために行う.不適切な手術はさらなる合併症を惹起して,むしろ患者の状態を悪化させる.手術は適応,禁忌およびその特徴を考慮し,病態と病勢,経過に加えて,病変の部位やその分布を総合的に判断して適切な術式を選択しなければならない.本稿は,外科的治療戦略の構築に必要な基本概念と治療法選択の実際について記述する.
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3.潰瘍性大腸炎の外科療法
(板橋道朗)
p.
800–805(6)
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近年,内科的治療に抵抗する症例では,外科手術が治療のオプションと考えられるようになった.その背景には,外科療法が進歩し,手術成績も安定してきたことがあげられる.手術症例の多くは難治症例であり,その手術のタイミングは非常に重要な判断といえる.外科的治療の進歩の一つに腹腔鏡下大腸全摘術があげられる.低侵襲性,腸管蠕動運動などの大きな利点を有しており,この手術の恩恵は大きいと考えられる.しかし,手技上の問題のすべてが解決されたわけではなく,手術適応は慎重に決定すべきである.腸管外合併症や,術後長期の合併症やpouchitis の管理の問題が残されている.これらを解決してよりよいQOL を提供する努力を怠ってはならない.
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4.炎症性腸疾患の腹腔鏡下手術の適応と限界
(渡邊昌彦)
p.
806–811(6)
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腹腔鏡下手術は低侵襲で整容上優れ癒着も少なく再手術に有利なため,炎症性腸疾患はよい適応と考えられる.Crohn 病で寛解導入後の回腸終末部狭窄に対する初回の回盲部切除は比較的容易なので広く行われている.しかし,本法の難易度は病変の広がりと部位,手術既往の有無,瘻孔の種類,炎症の程度などによって異なる.潰瘍性大腸炎に対する本法は難易度が高いものの,待機手術として安全かつ有用な術式と考えられる.
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5.小児炎症性腸疾患の外科療法
(佐藤志以樹)
p.
812–817(6)
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近年,小児の炎症性腸疾患の罹患数は増加傾向にある.成人と比べて,小児は身体の発育や精神発達の途上にあり病悩期間が長いという特徴がある.小児の外科療法の役割は,成長障害を回避し合併症を最小限に抑え機能温存を図ることにある.このため,機を逸せずに手術を行うことが重要である.根治性の追及と良好な排便機能の両立(潰瘍性大腸炎)や合併症の除去(Crohn 病)が手術目的となるが,疾患の再燃や癌化などの長期予後にも配慮した術式選択が必要である.
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特集 炎症性腸疾患における最近の進歩 4.転帰と長期合併症
1.潰瘍性大腸炎の発癌とサーベイランス
(渡邉聡明)
p.
818–822(5)
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長期罹患潰瘍性大腸炎には癌合併のリスクが高いため,癌のサーベイランスの重要性が指摘されてきた.また,外科手術後も癌・dysplasia の発生が報告されておりサーベイランスの必要性が報告されている.最近はサーベイランスの効率が問題となり,効率的なサーベイランスのために色素内視鏡やpit pattern 診断の有用性が報告されている.サーベイランスの重要性,さらにサーベイランスの効率化に関する最近の知見について概説する.
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2.Pouchitisの診断と治療
(杉田 昭)
p.
823–828(6)
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潰瘍性大腸炎に合併した回腸 炎の発生頻度は20%前後で,臨床症状(下痢,発熱など),内視鏡所見(細顆粒状変化,潰瘍など),生検組織所見(炎症細胞浸潤)の3 者がそろって本症と診断する.通常は急性炎症(acute pouchitis)であるが,再発をくりかえすchronic pouchitisも存在する.本症にはmetronidazole が第一選択で80%の症例で有効であり,外科的治療の必要な症例は少ない.
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連載/外科医のための輸血医学講座(2)
改正薬事法および採血および供血あっせん業取締法の一部を改正する法律と輸血医学
(高松純樹)
p.
829–834(6)
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臨床と研究
●術前告知のインパクト——大腸癌症例において
(保田尚邦)
p.
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臨床経験
●胆管,膵管内病変における内視鏡下全周性生検カップ(マイティバイト)の検討
(篠塚 望)
p.
839–842(4)
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症例
◇骨量低下に起因する著明な術後低カルシウム血症をきたしたBasedow病の1例
(木原 実)
p.
843–845(3)
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◇腹壁結核の1例
(島田和典)
p.
847–850(4)
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◇閉鎖孔ヘルニアによる小腸嵌頓の1例
(篠原徹雄)
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851–854(4)
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◇放線菌虫垂炎の1例
(古賀 裕)
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◇右鼠径ヘルニアによる続発性大網捻転症の1例
(菊池慎二)
p.
859–862(4)
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◇悪性度が高く急速な進行を示したS状結腸平滑筋肉腫の1例
(徳山泰治)
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863–866(4)
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書評
☆膵癌早期診断テクニックマニュアル
(今村正之)
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846–846(1)
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