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2004年 66巻8号
外科
ISSN
:
0016-593X
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特集 腹膜播種の診断と治療 1.診断
1.DNAチップを用いた腹膜播種診断のための新規マーカーの探索
(阪倉長平)
p.
869–876(8)
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腹膜転移(癌性腹膜炎)は消化器癌の死亡原因のうちで大きな割合を占め,重大な予後規定因子である.DNA チップを用いて腹膜転移由来胃癌細胞株の遺伝子発現変化を網羅的に解析し,腹水胃癌で特異的に発現上昇している遺伝子を複数個同定し,これらの新しい診断マーカーとしての有用性を検討した.DNA マイクロアレイを用いて腹水胃癌細胞株6 種類における発現解析およびクラスター解析を行った.コントロールに比較して発現亢進,発現減弱しているものを約40 個選択した.1. 細胞接着関連遺伝子,2.シグナル伝達系遺伝子,3. アポトーシス関連遺伝子,4. 免疫系,5. 細胞骨格,6. 薬物代謝など,いまだ胃癌への関与が知られていないものが多数含まれていた.これらの新しいマーカーを指標とする迅速定量RT — PCR 法により,腹腔内の微小癌細胞を従来の腹腔洗浄細胞診に比べてより高感度・特異的に検出することが可能であり,術中迅速遺伝子診断として腹腔内癌化学療法の適応決定や手術術式決定に応用しうると考えられる.
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2.テロメラーゼ活性測定による腹腔内遊離胃癌細胞の検出
(吉野茂文)
p.
877–881(5)
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胃癌における腹腔内遊離癌細胞を検出する目的で腹腔洗浄液のテロメラーゼ活性を測定した.テロメラーゼは成人体細胞には活性がないため,悪性腫瘍の鑑別に有用である.しかし,リンパ球の混入による偽陽性反応やPCR 阻害物質の混入による偽陰性反応が問題となる.したがって,従来のtelomeric repeat amplification protocol assay(TRAP assay)は信頼性が低い可能性がある.そこで,上皮細胞に特異的に結合するマグネットビーズを用いて腹腔洗浄液中の癌細胞を分離しTRAP assay を行った.この新たな方法を用いた腹腔洗浄液のテロメラーゼ活性は細胞診の結果とほぼ一致するものであった.ビーズ法の正診率は細胞診を超えるものではなかったが,客観的な評価が行える点で優れている.
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3.胃癌に対する腹腔内3部位洗浄細胞診
(神田達夫)
p.
882–886(5)
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腹腔内3 部位洗浄細胞診の成績を報告する.細胞診が陽性で肉眼的完全切除が行われた39 例の解析では,1 部位陽性例と多部位陽性例で無再発曲線全体として両者に統計的に有意な違いは認められなかった.しかし,1 部位陽性例の5 年無再発率は27%と,多部位陽性例の13%に比べ高値であった.1 部位陽性例では3 例の長期無再発患者が認められたが,多部位陽性例では全例が再発,死亡にいたった.3 部位の洗浄細胞診は再発に関する信頼性を高め,細胞診の非治癒因子としての扱いを可能にする.
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4.腹膜播種の腹腔鏡診断
(藤原義之)
p.
887–892(6)
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進行胃癌において,腹膜播種は頻度の高い転移再発形式であり,治療法の確立していない予後不良な病態である.さらに,腹膜播種の診断は,従来のCT,消化管造影などの画像診断では困難なことが多く,腹腔鏡検査によって診断することが必要となる.筆者らは,漿膜浸潤を認める進行胃癌に対し積極的に腹腔鏡検査を行い治療方針を決定してきたので報告する.さらに,2002 年からは,漿膜浸潤胃癌の術前検査として,腹腔内生理食塩水注入による洗浄液の細胞診および遺伝子解析を行ってきた.この結果と,診断的意義についても報告する.
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特集 腹膜播種の診断と治療 2.治療
1.Peritonectomyを用いた腹膜播種の集学的治療
(米村 豊)
p.
893–898(6)
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腹膜播種の外科的治療を用いた集学的治療の現状について述べる.術前化学療法(NIPS)による封じこめ療法,腹膜切除(peritonectomy)による徹底的減量手術,術中腹腔内温熱化学療法(CHPP),術後早期腹腔内化学療法(EPIC)による遺残癌細胞の治療を組み合せて行うことが肝要である.予後にもっとも大きな影響を及ぼす因子は播種の完全切除が行われたか否かであり,感受性のある薬剤の選択も重要である.
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2.癌性腹膜炎に対する化学療法
(藤原久貴)
p.
899–904(6)
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進行再発胃癌における癌性腹膜炎症例は,もっとも頻度が高く治療に難渋することが多い病態である.癌性腹膜炎に対する治療は全身化学療法が第一選択と考えられるが,いまだ標準的治療法は存在しない.これまでMTX/5 — FU 療法が癌性腹膜炎に対して有効であることが報告されており,現在,その有用性を検証する臨床試験が行われている.一方,新規抗癌薬であるS — 1,irinotecan hydrochloride,タキサン系抗癌薬を用いたレジメンによる良好な成績も報告されている.今後,有効性と安全性を兼ね備えた標準治療の確立を臨床試験により検証していくことが重要であると考えられる.
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3.腹膜播種に対する腹腔内化学療法
(伏田幸夫)
p.
905–909(5)
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腹膜播種に対する腹腔内化学療法の効果は投与時期,回数,濃度,薬剤の種類により大きく異なる.われわれは癌巣を十分に切除し,cisplatin 主体の術中腹腔内化学療法を行ったところ3 年生存率は66%に達したが,明らかに癌巣が残存した場合,50%生存期間は246 日ときわめて予後不良であった.そこで,タキサン系薬剤が長時間高濃度に腹腔内にとどまり,反復投与にても腸管の癒着などが生じないことを明らかにした後,高度腹膜播種16 例に対するタキサン系薬剤による術前腹腔内化学療法を行った.治療成績は奏効率88%,50%生存期間407日,1 年生存率58%であり,高度腹膜播種に対する新しい治療法になりうると考えられた.また,docetaxel の腹腔内化学療法は薬剤の血中移行による2 次的な抗腫瘍効果の可能性もあり,今後のさらなる検討が必要である.
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4.胃癌腹膜播種に対する持続温熱腹膜灌流法の治療効果
(國崎主税)
p.
910–916(7)
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胃癌腹膜播種に対して予防的,治療的持続温熱腹膜灌流法(CHPP)を施行し,その有用性を検討した.漿膜浸潤胃癌124 例を対象とした予防的CHPP,また腹膜播種胃癌79 例を対象とした治療的CHPP においても施行有無別で治療成績に差がなく,現行の方法では効果がないものと考えた.治療成績を改善するためには薬剤感受性試験,薬剤増量,施行回数などの工夫をし,その判定にはRCT を施行する必要があるものと考える.
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5.腹膜播種陽性胃癌の治療と予後
(孝冨士喜久生)
p.
917–920(4)
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腹膜播種陽性胃癌の治療成績向上には,化学・免疫療法などの集学的治療の進歩が不可欠であり,当教室で行っているS — 1 とpaclitaxelの併用療法とCTL を用いた特異的免疫療法について概説する.化学・免疫療法が奏効しない末期癌症例では,除痛や腹水コントロール,イレウス対策などがQOL 改善に重要である.
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6.大腸癌腹膜播種性転移の治療とその成績
(平井 孝)
p.
921–925(5)
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大腸癌腹膜転移の頻度,治療について報告する.同時性腹膜転移の頻度は99 例(5.6%)で,非治癒要因が単独,根治度B,結腸癌であることが有意な予後良好因子であった.治癒切除後の累積腹膜再発率は24 例(1.7%)であった.可及的切除を行った結果,再発後5 年生存率は17%で再発巣の切除ができたものの成績が良好であった.術後全身化学療法は必要であるが,今後は日本における腹腔内化学療法の評価を定めることが課題である.
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7.腹膜播種再発防止の将来展望
(山口俊晴)
p.
926–930(5)
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腹膜播種性転移による再発予防のために,現在までに行われてきた試みについて概説する.そして,これから試みられようとしているいくつかの新しい治療法を紹介し,腹膜播種性転移再発の予防がいつごろ可能になるか考察する.さらに,新しい治療法が開発実用化するためには,何より腹膜播種性転移のメカニズムについての知見を整理し,さらに研究をすすめる必要のあることを強調する.また,潜在的な腹膜播種については10 年前後で対策が確立する可能性があると予想する.
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連載/外科医のための輸血医学講座(3)
血液事業の現況と反省
(安村 敏)
p.
931–936(6)
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臨床と研究
●大腸癌穿孔例の検討
(中山隆盛)
p.
937–942(6)
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臨床経験
●遊離大腸穿孔20例の臨床的検討
(田中千弘)
p.
943–947(5)
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書評
☆リザーバー療法
(貞廣荘太郎)
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948–948(1)
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症例
◇肺癌を疑った肺犬糸状虫症の1例
(池田政宣)
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◇Diabetic mastopathyの2例
(小島靖彦)
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◇右側肝円索と左側胆嚢例に肝部分切除術を施行した1例
(大島郁也)
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◇食道癌術後に発生した胃管癌の2例
(三吉範克)
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◇巨大大動脈周囲リンパ節転移を認めた早期胃癌の1例
(杉原重哲)
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◇外傷性腹壁ヘルニア(Spigelヘルニア)の1例
(廣川文鋭)
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971–974(4)
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◇術前診断可能であった器質性病変を有しない胃切除後成人腸重積症の1例
(久我貴之)
p.
975–978(4)
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◇後腹膜線維肉腫の1例
(岡崎 誠)
p.
979–982(4)
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◇結腸癌と腹部大動脈瘤の同時手術の1例
(佐々木貴浩)
p.
983–986(4)
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◇血管内エコーが有用であった腸骨静脈血栓症に対するステント治療の1例
(白澤文吾)
p.
987–990(4)
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