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2004年 66巻13号
外科
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0016-593X
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特集 転移性肝癌——どこまでchallengeすべきか 1.大腸癌肝転移の生物学的特性
1.大腸癌肝転移に対するwait-and-see policy
(上野秀樹)
p.
1605–1609(5)
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大腸癌肝転移症例におけるinterval surgery(wait-and-see policy)は肝転移発見後3 〜 6 ヵ月の観察期間をおき,新規の肝外病変の出現や肝転移数の増加がないことを確認の後肝切除を行うものである.これにより,肝切除に疑義がもたれる肝切除後早期の再発症例が手術適応から除外され,手術の有効性が向上することが期待される.肝切除後早期再発症例に関する多施設症例データを用いた解析結果を紹介し,interval resection の意義および適応基準を概説する.
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2.大腸癌肝転移の腫瘍辺縁形態と予後
(安井健三)
p.
1610–1614(5)
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原発巣と同様に,大腸癌肝転移巣も個々に生物学的悪性度は異なる.その指標となる転移巣および周囲の臨床病理学的特徴として,2次的局所進展因子(門脈腫瘍塞栓,肝静脈内腫瘍塞栓,胆管内腫瘍進展,隣接臓器直接浸潤,神経周囲侵襲および肝所属リンパ節転移)があり,肝転移巣割面の肉眼型分類およびentrapped liver cell(ELC)という新しい概念がある.肝切除例の予後判定と術後補助化学療法の必要性判定に考慮すべき所見の一つと考えられる.
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3.大腸癌肝転移における切除断端の意義
(山本順司)
p.
1615–1622(8)
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外科切除は大腸癌肝転移に対する唯一の根治的治療であるため,できるだけ多くの症例に本治療法を適用できるようにすることが重要である.大腸癌肝転移症例に対しては「術前・術中の診断レベルで腫瘍塊を安全にかつ完全に切除できれば」切除適応とする.腫瘍を肝離断面に露出させることは可及的に避けるべきであるが,切除断端の距離については一定の結論は得られていない.断端距離10 mm 確保を適応のための必要条件とするべきでない.
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特集 転移性肝癌——どこまでchallengeすべきか 2.肝切除前の治療
1.多発肝転移に対する門脈塞栓術
(吉本次郎)
p.
1623–1627(5)
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転移性肝癌,とくに大腸癌肝転移に対して,画像診断の進歩に伴って転移巣を完全切除し根治の期待ができる症例が増えてきている.しかし大量肝切除では,常に肝不全の危険を伴う.門脈塞栓術は,手術後の肝不全の危険性を回避するために行われており,有用と思われる.しかし,術後の合併症の報告や,門脈塞栓を行うことが腫瘍の増大を促す可能性もあり,適応については,術前に慎重に検討する必要があると考えられた.
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2.大腸癌肝転移に対する経皮的肝灌流化学療法(PIHP)の現況
(福本 巧)
p.
1628–1633(6)
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切除不能大腸癌肝転移に対するPIHP の治験を紹介し,今後を展望した.自験例25 例(H3=23 例)のうち初期13 例ではdoxorubicin hydrochloride 単剤による単回治療を,中期9 例ではcisplatin による反復治療を,また後期の3 例では上記2 剤にmitomycin を加えた3 剤併用による反復治療を施行した.抗腫瘍効果はCR 1 例,PR 15 例,SD 8例,PD 1 例でPR 以上の奏効率は16 例(64%)に達した.ただし前期13 例ではCR がなくPR のみ7 例で,中期ではPIHP の反復治療によりPR 以上(CR=1)が増加した.1 年生存率は前期,中期,後期でおのおの38.5%,89.9%,50%で反復治療により1 年生存率が改善する傾向にある.以上をまとめると,3 剤を併用するPIHP の反復治療によりH3大腸癌肝転移例で有効率,生存率とも改善する傾向がみられており,現在,中長期生存を目指した新たなレジメンを進行中である.
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3.大腸癌肝転移に対するneoadjuvant chemotherapy
(田中邦哉)
p.
1634–1644(11)
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大腸癌肝転移364 例を対象にneoadjuvant 化学療法を併用した肝切除治療の効果を検討した.H3 転移163 例の初期治療は肝切除が24例,肝動注が88 例,全身化療が51 例で,肝動注88 例中26 例(30%)に動注後肝切除を施行した.動注奏効率は3 剤併用(CDDP,5 — FU,levofolinate calcium)のcircadian chronotherapy(72.7%)が,3 剤併用flat infusion(35%),weekly high dose 5 — FU(19.5%)に比較し高率であった.H3 転移切除例の予後は動注奏効例が非奏効例より良好であった.さらに組織学的な胆管を含む脈管内微小転移頻度は奏効例(20%)が非動注例(72.7%),非奏効例(36.4%)に比較し低率であった(p<0.01).両葉多発肝転移に対するneoadjuvant 肝動注は,奏効例で組織学的微小転移頻度を減少させることで切除後予後を改善すると考えられた.
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特集 転移性肝癌——どこまでchallengeすべきか 3.肝切除の工夫と成績
1.大腸癌肝転移に対する腹腔鏡下肝切除術
(太田正之)
p.
1645–1649(5)
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現在本邦において,大腸癌肝転移に対する腹腔鏡下肝切除術は保険適用外ということもあり,いまだ一般的には行われていない.しかし肝転移巣が肝外側区域に存在する場合には手術手技はほぼ確立しており,系統的な肝外側区域切除が行われることもある.腹腔鏡下肝切除術と開腹手術の比較・検討はまだ十分とはいえないが,他の腹腔鏡下手術と同様に術後の在院日数の短縮などの利点が報告されている.今後,さらなる手技の開発,安定化とともに,データの集積やRCT を行う必要がある.
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2.下大静脈・肝静脈浸潤をきたした転移性肝癌に対する治療成績
(吉留博之)
p.
1650–1655(6)
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大血管浸潤をきたした転移性肝癌例は,外科的切除が唯一の治療法となる.当科では大腸癌肝転移235 例の中で15 例に対し下大静脈合併切除再建を施行した.画像診断や術中診断にて正確に浸潤範囲を同定することで血行遮断法を決定し,再建法は下大静脈の切除範囲に応じて,単純縫合・自家静脈(左腎静脈)を用いたパッチ閉鎖・人工血管置換を施行した.また肝静脈再建を3 例に施行した.初回肝切除における下大静脈合併切除例の5 年生存率は30%であり,非合併切除36%と遜色なく,切除可能例においては積極的に外科的切除を施行すべきと考えられた.肝静脈再建は肝実質温存の必要な症例においては選択すべきオプションの一つと考えられた.
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3.大腸癌肝・肺転移に対する切除
(高橋進一郎)
p.
1656–1660(5)
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進行大腸癌では,肝転移単独,肺転移単独だけでなく,肝転移,肺転移を同時にもしくは引き続き認める肝・肺転移を比較的多く認める.現在,これらの症例には全身化学療法を中心とした治療が行われているが,今回,手術可能例に積極的に外科的切除を行った成績を検討したところ,5 年生存率11 〜 54%と比較的良好な成績であった.外科的切除は,大腸癌肝・肺転移例に対する有効なオプションと考えられる.
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特集 転移性肝癌——どこまでchallengeすべきか 4.肝切除後の治療
1.肝切除後の補助化学療法の方法と意義
(阿部祐治)
p.
1661–1665(5)
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大腸癌多発肝転移切除後の再発・予後に対する肝動注化学療法の意義について検討した.5 — FU 15 g 以上投与群(27 例)と15 g 未満投与群(44 例)を比較すると,生存率と残肝無再発率では前者が有意に良好であったが,肝外再発には差がなかった.また,残肝再発抑制に関する多変量解析では,5— FU 15 g 以上投与が唯一有意な因子であった.肝動注化学療法は残肝再発を減らすことにより生存率の向上に寄与していると考えられるが,肝外再発には効果が認められず,今後は全身化学療法との併用でさらなる治療成績の改善が期待される.
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2.肝切除後の残肝再発に対する治療
(鈴木昌八)
p.
1666–1670(5)
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肝切除術は大腸癌肝転移に対する最良の治療法であるが,治療成績を向上させるためには術後に高率にみられる残肝再発をいかに治療するかが重要なポイントである.肝切除術の安全性が確立された現在では,残肝機能を考慮したうえで残肝再発に対しても積極的に再肝切除術が行われるようになってきている.さらに,マイクロ波やラジオ波による熱凝固療法を応用する施設もある.本稿では,大腸癌肝転移切除術後の残肝再発に対する外科的治療法として再肝切除術や熱凝固療法をとりあげ,その治療成績と意義について概説する.
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特集 転移性肝癌——どこまでchallengeすべきか 5.まとめ
大腸癌肝転移の予後因子からみた外科切除の適応と限界
(皆川正己)
p.
1671–1677(7)
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大腸癌肝転移を根治させうる唯一の治療法は肝切除である.切除適応外とされる要因として肝所属リンパ節転移がある.Macroscopicなリンパ節転移の頻度は3 〜 6%,microscopic 転移は11 〜28%とされている.このような転移がある場合にリンパ節郭清を伴った切除を行っても5 年生存する患者はごく一部にすぎない(3.4%).肝外転移に関しては,異時性に出現した肝外転移は切除により比較的良好な予後が期待できるが,同時性肝外転移に関してはさまざまな成績が報告されており,一定の見解はまだない.4 個以上の多発転移の切除成績は5 年生存率16 〜 23%とされている.化学療法の成績を考えると当然手術適応とするべきである.
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書評
☆腎不全治療マニュアル
(吉村了勇)
p.
1678–1678(1)
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連載/外科医のための輸血医学講座(7)
Type and screenと輸血準備量
(津野寛和)
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1679–1684(6)
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臨床経験
●乳腺invasive micropapillary carcinomaの5例
(石井辰明)
p.
1685–1687(3)
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●小腸疾患に対する腹腔鏡補助下手術の意義
(池田英二)
p.
1688–1692(5)
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症例
◇皮下埋め込み式鎖骨下静脈留置カテーテル自然断裂の1例
(白子隆志)
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1693–1696(4)
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◇腹膜偽粘液腫を疑わせた胃壁外発育型の巨大gastrointestinal stromal tumorの1例
(辻 美隆)
p.
1697–1700(4)
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◇壊疽性虫垂炎手術後早期に腹壁膿瘍から敗血症性ショックになった1例
(岡崎 誠)
p.
1701–1703(3)
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◇Attenuated familial adenomatous polyposis(AFAP)を疑った異時性多発大腸癌の1例
(川浦幸光)
p.
1704–1708(5)
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◇脱分化型を呈した後腹膜脂肪肉腫の1例
(石川義典)
p.
1709–1713(5)
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◇肝鎌状靱帯に発生した平滑筋肉腫の1例
(安藤修久)
p.
1714–1717(4)
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◇膵嚢胞脾穿破の1例
(犬飼道雄)
p.
1718–1721(4)
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◇Tailgut cystの1例
(竹重元寛)
p.
1722–1726(5)
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