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2006年 68巻8号
外科
ISSN
:
0016-593X
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特集【乳癌—診断・治療の最前線】
I.診断:1.乳癌画像診断の進歩
(石田孝宣; 鈴木昭彦; 大内憲明)
p.
869–875(7)
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乳癌の診療において検診,診断,治療のあらゆる場面に画像が関与し,その進歩が与える影響は計り知れない.マンモグラフィではさまざまな利点を有するデジタルが今後の中心になり,検診や診断で不可欠であるがハード面での整備が必要になってくる.また,ヘリカルCTやダイナミックMRI は術前の広がり診断に優れており,術式の決定にきわめて有用である.これらを有効に用いるためには得られた画像を病理結果と対比し,臨床に反映するトレーニングが必要である.
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I.診断
2.乳癌の3 次元超音波画像診断
(高尾信太郎; 水谷正弘; 岸田浩明; 廣利浩一; 赤尾憲二)
p.
876–881(6)
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3 次元画像はCT,MRI 検査ではすでに不可欠な診断技術として確立されているが,超音波においても近年の画像処理技術の向上により,かつてより格段に高速・短時間で,より高解像度な3 次元画像が得られるようになった.最近開発された東芝メディカルシステムズ社製高速フュージョン3 次元超音波診断法(fusion 3D 法)は短時間で,B モード3 次元表示と血流3 次元表示とを独立して再構成処理し,合成表示と独立した画像操作が可能である.これにより,乳腺腫瘍の立体的な特徴や,腫瘍と腫瘍血流の相互関係,治療後の変化が客観的に理解することができるようになった.今後さらなる臨床的有用性が期待される.
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3.センチネルリンパ節の転移診断と微小転移
(野口昌邦)
p.
882–886(5)
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乳癌手術においてセンチネルリンパ節生検により腋窩リンパ節郭清を省略するためには,センチネルリンパ節を正確に同定生検するとともにその転移の有無を正確に診断する必要がある.センチネルリンパ節は1 〜 2 個と個数が限られているため,多数の組織切片を作製でき,最大径2.0 mm 以下の微小転移の診断も可能である.今回,その微小転移の臨床的意義や診断方法について文献的考察を行うとともに,私見を述べた.
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4.乳癌の新たなるバイオマーカー
(北山丈二; 石川誠; 山下裕玄; 名川弘一)
p.
887–891(5)
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脂肪由来ホルモンレプチンおよびその受容体Ob-R は,ヒト乳癌細胞に発現が認められ,その発現増強は血行性転移の有無,患者予後と有意な相関を示す.レプチンが細胞増殖,浸潤などに促進的な作用を有することと合せて,レプチン,Ob-R の発現が乳癌の新たなバイオマーカーであることが判明した.
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5.マイクロアレイおよびlaser microdissectionを用いた乳癌の転移機構の解明
(三森功士; 森正樹)
p.
892–899(8)
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臨床サンプルをDNA マイクロアレイを用いて解析し,実際の臨床の場で役立てようとする試みは,とくに乳癌でよく行われている.本稿では,乳癌の転移に関する遺伝子や予後に関する遺伝子を検索したレポートについてまとめてみたが,その結果,報告間で共通に同定される因子がきわめて少ないことが明らかになった.この一つの原因として,サンプル解析時に癌細胞のみならず間質細胞(非目的細胞)が混入し,癌細胞と間質細胞間の割合が調べるサンプルごとに異なることが考えられる.このためlaser microdissection を用いて癌細胞のみを採取し,それより包括的発現遺伝子プロファイルを検索する試みを併せて紹介する.
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II.手術
1.乳癌手術の変遷
(安達洋祐)
p.
900–907(8)
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乳癌の歴史は古く,医師と患者の長い苦闘の道のりがある.最近の乳癌治療は目覚ましい進歩を遂げたようにみえるが,われわれはHalsted を正しく理解し,華岡青洲の偉業を知らなければならない.これからの乳癌診療を考えるとき,故大村敏郎先生の言葉が胸にひびく.「外科医は昔の外科医ではいけない.外科医は昔の外科医を知らなくてはいけない.そして,外科医は昔の外科医の心意気に負けてはいけない」.
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2.乳癌に対する鏡視下乳房温存手術
(中嶋啓雄; 沢井清司; 阪口晃一; 水田成彦; 藤原郁也; 鉢嶺泰司; 小林文; 中務克彦)
p.
908–916(9)
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乳癌における鏡視下乳房温存手術は,根治性と整容性の両方を同時に満足させるという点で優れており患者のニーズは高い.その術式は,大きく傍乳輪アプローチと中腋窩線アプローチの二つに集約され,それぞれの手術適応や手術器具,手術手順は標準化されてきている.一方,本手術の評価項目である安全性と長期成績については,その安全性は十分確立されており,また長期成績の指標である局所再発率,生存率においては,いずれも従来の温存手術と同等かそれ以上の成績が得られている.
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3.乳癌のセンチネルリンパ節生検
(飯野佑一; 堀口淳)
p.
917–923(7)
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センチネルリンパ節(SLN)生検によりリンパ節転移を正確に評価でき,リンパ節郭清を省略できれば,出血,腋窩の浸出液貯留,上腕の知覚障害,上肢のリンパ浮腫,上肢の運動障害などの合併症が予防できる.SLN 生検で重要なことは,偽陰性率を低く保つ外科手技的と病理学的方法を確立することである.SLN 生検による転移の有無とその後の腋窩郭清の有無が予後にどのように影響するのかは不明な点がある.臨床試験で腋窩リンパ節郭清と比較し,有用性と安全性を確認することが必要である.
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4.乳癌に対する至適腋窩リンパ節郭清
(井本滋)
p.
924–929(6)
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乳癌は,手術療法,放射線療法,薬物療法に関する臨床試験から生まれるエビデンスとそのメタアナリシスに基づいた集学的治療が基本である.手術療法の一部である腋窩リンパ節郭清は局所コントロールを高める手段として優れている.しかし,センチネルリンパ節生検や術前薬物療法の導入によってリンパ節郭清自体の意義が揺らいでいる.現在の至適腋窩リンパ節郭清とは何か考察する.
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5.乳房温存術における1 期的再建
(喜島祐子; 愛甲孝; 吉中平次)
p.
930–937(8)
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乳房温存術に伴う乳腺の部分的欠損の補填修復方法としての外科的手法は多岐にわたる.当教室では,腫瘍占居部位別に使い分けることで良好な結果を得ている.A 領域では下腹部より採取した遊離真皮脂肪片移植,B 領域では乳腺下溝線部腹直筋鞘付脂肪片翻転,C 領域では,欠損部分の大きさに合せて,皮下脂肪やlateral tissue flap(LTF),広背筋弁移植を使い分け,D 領域では乳腺下溝線部腹直筋鞘付脂肪片授動により,1 期的再建を行っている.いずれも整容性に優れ,長期的に安全であり,かつ乳腺外科医が簡便に行いうる方法として有用であると思われるため,再建時の留意点を踏まえ解説を行う.
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III.化学療法・ホルモン療法
1.乳癌に対するプライマリシステミックセラピーの実際
(渡辺亨)
p.
938–947(10)
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乳癌患者の予後を支配するのは全身諸臓器への転移の存在である.全身転移は初発の時点ですでに存在すると考えられる微小転移が,その後の経過で増殖,増大し,臨床的に検知しうる転移病巣となる.したがって,初発時の全身転移の正確な評価と,乳癌の生物学的特性に合せた薬剤の選択が重要となる.全身転移の評価に資する情報は,予後因子と呼ばれる.乳癌の生物学的特性に合せた薬剤選択のためには,各種の予測因子情報が必要である.乳癌の生物学的特性に合せた治療として総合的な有用性をもっとも効果的に発揮できるのはプライマリシステミックセラピー(PST)である.
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2.ガイドラインからみた乳癌術後補助療法
(園尾博司)
p.
948–957(10)
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St. Gallen コンセンサス会議の推奨(2005 年版)による術後補助療法の適応,薬剤選択についてのポイントおよび改正点を説明した.また,この推奨のもとになったLHRH アゴニストやアロマターゼ阻害薬,taxane による補助療法の代表的なトライアルの成績を示した.アロマターゼ阻害薬や強力な抗癌薬による補助療法は予後の改善とともに骨折や重篤な有害事象をもたらす可能性がある.これらを念頭に置いた全人的補助療法が望まれる.
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3.進行・再発乳癌に対する治療
(山本豊; 岩瀬弘敬)
p.
958–965(8)
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進行・再発乳癌の予後は不良であるが,薬物療法により症状緩和およびquality of life(QOL)の改善と延命が得られる.使用する薬物はホルモン療法薬,化学療法薬,分子標的治療薬など多岐にわたる.その薬剤選択においては薬剤反応性(ホルモン受容体,HER-2)を考慮し,エビデンスを重視しつつも患者の状態を勘案し,適切な治療法を選択することが肝要である.
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臨床と研究
虫垂炎の重症度からみた腹腔鏡下虫垂切除術と開腹下虫垂切除術の手術成績の比較・検討
(当間宏樹; 藤原謙次; 錦建宏; 成富元; 廣田伊千夫; 江口徹)
p.
966–970(5)
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経皮経食道胃管挿入術の合併症とその対策—138 例の検討
(蜂須賀康己; 宮田真; 河田直海; 渡邊良平; 大森克介; 宮田信熈)
p.
971–977(7)
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臨床経験
新規硬化薬(OC-108)による内痔核硬化療法の注射手技
(岡崎誠)
p.
978–980(3)
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症例
著しい体重増加をきたした感染性巨大肝嚢胞の1 例
(坪内斉志; 島名昭彦; 徳田浩喜; 福島浩平)
p.
981–984(4)
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乳腺アポクリン癌の1 例
(北田正博; 梶浦由香; 佐藤一博; 徳差良彦; 三代川斎之; 笹嶋唯博)
p.
985–987(3)
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腹腔鏡下手術を施行した脾動脈瘤の1 例
(岩本崇; 水島恒和; 位藤俊一; 水野均; 保木昌徳; 岩瀬和裕)
p.
988–990(3)
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