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2007年 69巻11号
外科
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0016-593X
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特集【知っておくべき胆嚢癌の診療方針】
巻頭言【特集に寄せて】
(幕内雅敏)
p.
1241–1241(1)
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I.疫学
胆道癌登録成績からみた胆嚢癌の疫学
(萱原正都)
p.
1242–1247(6)
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1988 〜 1997 年の胆道癌登録成績をもとに胆嚢癌の疫学について解説した.胆嚢癌4,770 例のうち男性が1,744 例,女性が3,026 例と女性が多かった.膵胆管合流異常症のない4,520 例中の2,156 例(47.7%)に胆石症の合併がみられた.膵胆管合流異常症250 例(5.2%)の平均年齢は58 歳と全症例の66 歳に比べ有意に若く,男女比も1:5.8 と女性の優位性が明確に認められた.患者年齢も重要な予後因子であり,とくにStage I,II 症例においては高齢者の予後は有意に不良であった.また,Stage I,II では女性の予後が有意に良好であったが,Stage III 以上では性別による予後の差はみられなかった.膵胆管合流異常合併胆嚢癌は胆石合併胆嚢癌よりも有意に( p<0.01)予後良好であったが,胆石合併の有無による胆嚢癌の予後の差はみられなかった.
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II.診断
1.胆嚢癌の術前進展度診断法における最近の進歩
(吉田寛)
p.
1248–1254(7)
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胆嚢癌の外科治療成績は,おおむね壁深達度および胆嚢周囲進展度と相関する.したがって術前画像診断は適切な術式を決定するうえできわめて重要である.近年普及したmultidetector-row CT(MDCT)や高分解能MRI では,任意の断面を詳細に検討することができ,肝内直接浸潤,肝十二指腸間膜浸潤,膵浸潤,血管浸潤など進行癌の詳細な局所進展度診断が可能となった.一方,早期癌における壁深達度診断の中心は超音波内視鏡検査(EUS)であり,超音波検査と同様にtissue harmonic imaging(THI)法,造影超音波検査,超音波3 次元画像などがEUS でも使用できるようになり,その診断能向上が期待されている.
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2.早期胆嚢癌の超音波内視鏡(EUS)診断
(松崎晋平)
p.
1255–1262(8)
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早期胆嚢癌は隆起型と表面型に大別され,表面型の診断が課題である.超音波内視鏡検査(EUS)は高い局所分解能を有し,胆嚢を近い位置から観察することができ,胆嚢癌の存在診断,鑑別診断,進展度診断に加え,早期胆嚢癌,とくに表面型の指摘に有力な検査法と位置づけられる.しかしながら,EUS による胆嚢描出手技は必ずしも容易でなく,全体を確実に描出するには周囲臓器を指標とした丹念な走査が必要であり,術者の育成が課題である.また,胆嚢の内側低エコー層にはss 浅層が含まれるため,現状ではEUS をもってしても早期癌と進行癌を明確に判定することが困難であることを認識しておく必要がある.
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III.外科治療
1.胆嚢癌の合理的な手術方針
(有田淳一)
p.
1263–1269(7)
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胆嚢癌は深達度とリンパ節転移の程度により,適応となる治療方針・術式が異なる.なかでもT2 胆嚢癌を正確に診断して根治手術を行うことが予後改善のために重要である.しかしながら,自験例の検討からは,術前に確実なステージングを行うことは困難であることが明らかになった.筆者らの施設では,その誤認率を認識したうえでkey となるリンパ節の術中迅速診断を参考にして手術方針を決定するアルゴリズムを構築したので,これについても報告する.
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2.壁深達度別の至適術式のエビデンス
(浅羽雄太郎)
p.
1270–1274(5)
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胆嚢癌の標準術式は,T1 では胆嚢摘出術,T2 では肝床切除+リンパ節郭清である.胆管切除,膵頭十二指腸切除などの予防的隣接臓器切除の有用性は証明されていないので,われわれは施行していない.T3,T4 症例では進展範囲に応じた手術術式が選択される.門脈浸潤例や肝外胆管浸潤例に対する手術適応に関しては,いずれも当科では陽性例と陰性例の生存に差がないので,切除の適応としている.しかし,強いエビデンスがある訳ではない.
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3.腹腔鏡下胆摘後に発見された胆嚢癌に対する再切除—— その適応と成績
(白井良夫)
p.
1275–1281(7)
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腹腔鏡下胆摘後に発見された胆嚢癌(潜在癌)の長期予後は原発巣の進展範囲(T 因子)に規定される.詳細な病理検索によりT 因子を判定し,その後の治療方針を決定すべきである.pT1 症例では(胆嚢管断端陰性であれば)再切除を施行せず経過観察する.pT2 以上の症例(とくに「ss 浸潤の深さ>2 mm」の症例)は再切除の適応である.pT2 潜在癌の再切除では,肝床切除とリンパ節郭清(原則としてD2)が必須であるが,肝外胆管切除が併施されることも多い.pT3 以上の潜在癌では(病巣所見に応じて)拡大手術がしばしば必要とされる.さらに,pT2以上の潜在癌では,再切除時にport site 切除を併施することが望ましい.
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4.胆嚢癌に対するS4a+S5 切除のエビデンス
(甲斐真弘)
p.
1282–1290(9)
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進行胆嚢癌は外科的治癒切除の有無が有意な予後規定因子であり,癌遺残のない術式の選択が重要である.肝切除範囲を選択する場合,外科切除縁の癌陰性化と潜在性肝転移への対処が重要となる.pT2 胆嚢癌ではS4a+S5 肝切除を標準術式として施行し,良好な結果を得ている.pT3,pT4 の高度進行胆嚢癌では術式による予後の違いを認めなかったが,治癒切除は非治癒切除より有意に予後良好で,根治的治癒切除の有用性が示された.治癒切除を得るためにはS4a+S5 肝切除あるいは拡大肝右葉切除術を選択する.
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5.胆嚢癌手術における至適な肝切除範囲とは?
(須田浩介)
p.
1291–1295(5)
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胆嚢癌は進行癌で発見されることが依然として多く,その予後はきわめて不良である.現在唯一長期生存が望める治療は外科治癒切除であり,種々の術式が施行されている.肝切除範囲としては,T2 胆嚢癌では施設により施行術式が異なっており,適正な肝切除範囲のコンセンサスは得られていない.T3 以上の胆嚢癌では,肝への直接浸潤(Hinf)あるいは肝十二指腸間膜浸潤(Binf)に応じた肝切除が併施され,肝中央下区域切除から肝右3 区域切除が適応となる.
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6.リンパ節郭清範囲のエビデンス—— 拡大郭清の意義はあるか
(橋田秀明)
p.
1296–1300(5)
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進行胆嚢癌の大動脈周囲リンパ節の転移頻度は20 〜 40%,リンパ節転移陽性例においては実に30 〜 50%に大動脈周囲リンパ節にも転移がある.遠隔転移を伴わない大動脈周囲リンパ節転移陽性例の生存率は肝転移や腹膜播種陽性例と同等で,大動脈周囲リンパ節転移陽性例に対する大動脈リンパ節郭清は予後の改善に寄与しない.このため,大動脈リンパ節郭清の意義は,根治手術症例の選別と正確な病期の決定にある.一方,進行胆嚢癌の根治手術において,膵頭後面リンパ節の予防的郭清を目的とした膵頭十二指腸切除(PD)施行の是非については議論のあるところである.胆嚢のリンパ流の主経路はNo. 12b2,12p2,8p から直接No. 16a2,b1 にいたる経路であり,主経路を郭清でコントロールできない現状では,No. 13a,14 などの副経路を侵襲の大きいPD を併施してまで郭清する意義は小さい.以上のことからD2+No. 16郭清が進行胆嚢癌の至適リンパ節郭清範囲と考えられる.
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7.肝外胆管切除は必要か
(阪本良弘)
p.
1301–1306(6)
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pT2 以深の胆嚢癌の治療で,肝外胆管を切除すべきか否かは議論のあるところである.当科で1990 〜 2006 年に切除したpT 2-4 胆嚢癌 123 例中,肝外胆管に組織学的浸潤を認めなかった59 例を対象として検討した.神経周囲浸潤を認めた場合,肝外胆管切除群( n=15)の生存率が温存群( n=7)よりも有意に良好であった(5 年生存率50% vs 0%, p=0.01).一方,リンパ節転移を認めた場合は,肝外胆管切除( n=19)と温存群( n=6)の生存率は同等( p=0.87)であった.神経周囲浸潤の有無は胆管浸潤の有無や切除断端の陽性率と有意な相関関係があり,肝十二指腸間膜に近接する進行胆嚢癌症例は,予防的な肝外胆管切除の適応であると推論される.
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8.進行胆嚢癌に対して膵頭十二指腸切除(PD)は意味があるか
(新井田達雄)
p.
1307–1312(6)
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進行胆嚢癌に対する膵頭十二指腸切除(PD)の意味を,D2 以上の郭清を行う治癒切除術(肝切除術+D2 以上のリンパ節郭清)と遠隔成績,再発率および再発様式を比較することにより検討した.その結果,pBinf(−)pN(+)症例のようなリンパ節転移を主進展様式とするリンパ節郭清にPD が好個の適応であると思われた.一方,pBinf(−) pN(−),pBinf(+)症例では,PD によるリンパ節郭清の意義はないと思われた.
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9.進行胆嚢癌に対する肝膵同時切除術(HPD)の意義
(三輪史郎)
p.
1313–1317(5)
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肝膵同時切除術(HPD)は,胆管ドレナージ,門脈塞栓術,2 期的膵腸吻合術など周術期の工夫によって安全性が高まっている.進行胆嚢癌に対するHPD の適応は,肝臓への直接浸潤に対し浸潤範囲を切除し,なおかつ膵頭部への直接またはリンパ節を介した浸潤に対し膵頭十二指腸切除(PD)を付加する場合である.治癒切除ができることが大前提となる手術であるが,2 群以上のリンパ節転移陽性例や肝十二指腸間膜浸潤が明らかな症例は,HPD を行っても長期予後は期待できない.予防的な肝切除やリンパ節郭清を目的としたPD の付加によるHPD の意義は,現時点では明らかでなく今後の検討が必要である.
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IV.化学療法
進行胆嚢癌に対する化学療法のエビデンスと最近の知見
(佐々木隆)
p.
1318–1324(7)
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進行胆嚢癌の予後はきわめて不良であり,治療成績向上のために有効な治療法の開発が期待されている.当面はgemcitabine(GEM),経口フッ化ピリミジン製剤,プラチナ製剤をkey drug としてエビデンスの集積が行われるものと予想される.そして開発されてくる有効な治療法を最大限に活用するためにも,胆道癌で問題となる胆道合併症を十分にコントロールするだけのドレナージテクニックを持ち合せることは,進行胆道癌を治療するうえで欠かせないものと考えられる.
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連載/術中写真撮影入門—おもに肝胆膵外科(11)
黙り撮りの話と作例(1)
(神谷順一)
p.
1325–1334(10)
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臨床と研究
同時性多発胃癌の臨床病理学的検討
(若月俊郎)
p.
1335–1340(6)
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臨床経験
メッシュ素材を考慮した鼠径ヘルニア手術
(渡邉幸博)
p.
1341–1344(4)
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症例
穿刺吸引細胞診が診断に有用であった腋窩副乳に発生した線維腺腫の1 例
(玉置剛司)
p.
1345–1348(4)
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右3 区域切除術と肝動注治療を行った肝細胞癌の1 例
(増田亨)
p.
1349–1352(4)
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気道・食道のダブルステント留置により気管狭窄・食道気管瘻を治癒せしめた食道癌の1 例
(谷内毅)
p.
1353–1357(5)
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外傷性腹壁ヘルニアの1 例
(森谷敏幸)
p.
1358–1362(5)
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