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2009年 71巻11号
外科
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0016-593X
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特集【乳癌治療の最前線】
巻頭言【特集に寄せて】
(亀岡信悟)
p.
1141–1141(1)
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1.乳癌ガイドライン
(園尾博司)
p.
1142–1147(6)
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早期の乳癌に対するガイドラインとしてSt.Gallen 推奨がわが国でもっとも多く用いられているが,本年大幅に改正された.今回のSt.Gallen 推奨 2009 では従来のリスクカテゴリーが廃止され,ホルモン療法,抗HER2 全身療法および化学療法などの全身療法の適応基準が新たに示された.本稿では,St.Gallen 推奨 2009 における改正の要点を述べるとともに,現時点での術前・術後薬物療法および手術療法のコンセンサスについて概説する.
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2.乳癌検診の現況と展望
(河合賢朗)
p.
1148–1153(6)
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マンモグラフィ検診は世界で唯一有効性が検証された方法である.乳癌死亡率減少の達成には対策型のみならず任意型も含めた精度の高いがん登録による事業評価や種々の方策による受診率向上が必要である.超音波の検診への導入は有効性を検証するため現在進行中の大規模臨床試験(J-START)の結果をまつ必要がある.超音波講習会への参加により標準的方法を習得しマンモグラフィを含めた総合的な検診精度の向上が望まれる.
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3.乳癌画像診断の進歩
(大地哲也)
p.
1154–1160(7)
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乳癌の治療方針の決定における乳癌画像診断の役割は非常に大きい.MRI は術前広がり診断や術前薬物治療後の腫瘍範囲診断に有用である.FDG-PETは腫瘍のviabilityを定量化可能で,術前薬物治療の早期効果判定への応用が期待される.腫瘤非形成の乳癌に遭遇する機会が増えてきたが,吸引式組織生検装置は生検精度の向上に有用である.複雑多様化した画像検査所見を有効に治療に反映させるためには放射線科医,病理医,外科医のコミュニケーションが重要である.
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4.外科療法の現況と展望:a)乳房温存療法
(中村清吾)
p.
1161–1167(7)
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わが国でも乳房温存療法は早期乳癌の標準治療となり,全手術の約60%に行われている.さらに,近年,乳房温存手術に,左右バランスのとれたきれいな乳房を残す技術が学問として整理され,従来から乳房切除術後に行われてきた乳房再建術に加えて,これらの手術手技を総称してoncoplastic surgeryといわれるようになった.今後,形成外科の専門医と協調しつつ,乳腺専門医をめざす医師への教育プログラムに組み入れていくことが望まれる.
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4.外科療法の現況と展望:b)センチネルリンパ節生検
(井本滋)
p.
1168–1172(5)
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センチネルリンパ節生検は優れたリンパ節転移診断法の一つである.その保険収載がまたれるところであるが,すでに早期乳癌を対象に実地臨床に導入されている.センチネルリンパ節生検によって腋窩リンパ節郭清の個別化がすすみ,郭清に伴う後遺症は半減した.ただし,リンパ節マッピングの工夫,センチネルリンパ節微小転移の意義,非センチネルリンパ節の転移予測,術前化学療法後のセンチネルリンパ節生検の妥当性など課題もある.センチネルリンパ節生検の現況と展望について報告する.
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4.外科療法の現況と展望:c)乳房再建── 人工物による乳房再建
(岩平佳子)
p.
1173–1178(6)
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乳癌手術の縮小化に伴い人工物による乳房再建の需要が増加している.本法はほかの部位に新たな瘢痕をつくらず,患者の肉体的負担も軽い.また術者側も特別な技術を要さず,乳癌手術と同時に行っても手術時間が極端に延長することもない.しかし整容的に対称的な再建乳房を得るためには,ティッシュ・エキスパンダーやソフトコヒーシブシリコンインプラント(ともにアラガン社)といった人工物を正しく選択する必要がある.それには健側乳房の幅,高さ,厚みを計測し,乳房切除術後の残存組織量を把握してそれらに合致したものを選択することが重要である.
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5.乳癌薬物療法における進歩と最近の話題:a)化学療法の基本的考え方と具体的進め方
(渡辺亨)
p.
1179–1187(9)
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乳癌初期治療における薬物療法は,外科手術,放射線治療といった局所治療との合力において乳癌という疾病を完全治癒せしめることを最大の目標として実践すべきものである.術前薬物療法は,先に述べた治癒という目標に加え,患者容姿の整容性ならびに日常生活機能の保全を目的とした臓器温存および見張り番リンパ節生検検査を用いた高水準外科手術を可能にする点において,優良な貢献をすること必定である.術後薬物療法も同様に乳癌という疾病の完全治癒をめざすものである.しかるに,治療対象である微小転移は不可視であるがゆえ,その効果の発現を確認することがきわめて困難である.確率論的推論技術を駆使した臨床判断の展開が重要であるが,同時に不確実性に関する想いを馳せ,標準治療を尊重し,根拠なき独断による治療の実践は厳に慎むべきである.
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5.乳癌薬物療法における進歩と最近の話題:b)内分泌療法
(岩瀬弘敬)
p.
1188–1194(7)
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乳癌に対する内分泌療法は組織内にエストロゲンレセプター(ER)がわずかでも発現している場合には適応となり,選択的ER 機能修飾薬(SERM),卵巣機能抑制薬(LHRH アゴニスト),アロマターゼ阻害薬(AI)が用いられている.閉経前にはLHRH アゴニストとSERMの併用が推奨される.閉経後ではSERMよりAIの優位性が臨床試験で証明されており,後者が主役となった.術後療法としては5 年間投与されることが多く,再発においても一次治療として用いられる.
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5.乳癌薬物療法における進歩と最近の話題:c)分子標的療法
(林裕倫)
p.
1195–1201(7)
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HER2 陽性乳癌治療は,trastuzumab の劇的な臨床的有用性によって分子標的治療薬の時代に突入した.さらに,HER2陽性乳癌治療にlapatinib も保険承認され今後の臨床的有用性が期待されるところである.そこでtrastuzumab,lapatinib をはじめとした分子標的治療薬から,現在臨床試験段階にあるpertuzumab,neratinib,trastuzumab-DM1 などの分子標的治療薬について最新の知見および臨床的問題点を含めて述べる.
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6.放射線療法の現況と展望:a)乳房温存術後の放射線治療
(唐澤久美子)
p.
1202–1207(6)
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乳房温存療法では,術後の乳房照射を行うことで,乳房切除術と同等の治療効果が得られることが知られている.標準治療は約5〜6週間の50 Gyの全乳房照射±腫瘍床に対するboost照射であるが,腋窩リンパ節転移多数例では,鎖骨上窩の予防照射も行われるようになってきた.また最近では,1 回の線量を増加させて3 週間で治療を終了する短期法,低リスク群に対して腫瘍局所のみに部分照射して5日間で治療を終了する加速乳房部分照射などが検討されている.
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6.放射線療法の現況と展望:b)乳房切除後放射線療法
(山内智香子)
p.
1208–1212(5)
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局所進行乳癌に対する乳房切除後例,特に腋窩リンパ節転移陽性例においては,乳房切除後放射線療法(postmastectomy radiation therapy:PMRT)が行われている.従来は鎖骨上窩および胸骨傍リンパ節領域が放射線照射されてきたが,近年では胸壁と鎖骨上窩リンパ節領域への治療が主流である.その適応と実際の治療方法,副作用について概説する.
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7.進行・再発乳癌に対する治療
(吉本賢隆)
p.
1213–1217(5)
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進行・再発乳癌は難治性とされるが,治療法の進歩により生存期間は延長している.特にアロマターゼ阻害薬,分子標的治療薬(trastuzumab,lapatinib,bevacizumab),新しいタキサン系薬剤,難治性のトリプルネガティブ乳癌に対するpoly-adenosine 5'-diphosphate-ribose-polymerase(PARP)阻害薬が注目される.また,低用量で継続的な投与法であるメトロノミック化学療法,限局した転移巣に対する局所治療の意義について言及した.
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8.乳癌診療において病理診断はなぜ必要か
(秋山太)
p.
1219–1222(4)
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乳癌病理診断の役割を明らかにするために,「乳癌診療において病理診断はなぜ必要か」と自問自答を試みてみた.日ごろ自分が行っている病理診断業務を整理すると大きく三つあり,第一に癌であることの確定診断(裏返すと癌でないことの確定診断)であり,第二にどのような癌であるかの評価(個別化治療を適正に行うために),第三に治療の評価である.これらはすべて患者のための情報であり,正しく行うことが大切である.
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連載
画像Q&A
(樋口亮太)
p.
1223–1226(4)
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臨床と研究
安全性を重視した埋め込み型中心静脈ポート挿入法(外頸静脈経路)
(上山聰)
p.
1227–1232(6)
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症例
メラニン欠乏性メラノサイトーシスを背景に発生した食道原発メラニン欠乏性悪性黒色腫の1 例
(佐々木省三)
p.
1233–1238(6)
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食道類基底細胞癌術後肝転移に対する1 例
(和田大樹)
p.
1239–1242(4)
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Cisplatin およびpaclitaxelに薬疹を呈し術後3 年生存した胃癌の癌性腹膜炎の1 例
(藤井雅和)
p.
1243–1247(5)
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前立腺全摘術後の鼡径ヘルニアに対し腹腔鏡下鼡径ヘルニア根治術(TAPP-Kugel法)を施行した1 例
(阿部紘一郎)
p.
1248–1252(5)
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書評
乳がんカウンセリング─ここまでは患者に伝えたい基礎知識(改訂第3版)
(小川利久)
p.
1218–1218(1)
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