内科
Volume 100, Issue 5, 2007
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特集 【甲状腺疾患―診療スタンダードと新たなチャレンジ】
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<Editorial> 甲状腺臨床の標準化と新機軸
100巻5号(2007);View Description Hide Description日本甲状腺学会は臨床重要課題を取り上げ,診療ガイドラインの策定や手引書の作成に取り組んでいる.診断ガイドラインが,バセドウ病,甲状腺機能低下症,無痛性甲状腺炎,橋本病,亜急性甲状腺炎の 5 疾患について公表された.バセドウ病薬物療法のガイドラインが発刊され,エビデンスを根拠に標準的な治療方法が推奨された.放射性ヨード(131I)内用療法(バセドウ病,甲状腺癌)と subclinical hypothyroidism の治療の手引き,甲状腺クリーゼの診断基準の作成が進められている.甲状腺結節についての診療ガイドラインは,今後の重要な課題である.甲状腺臨床において,ガイドラインに載らない診断や治療上の新機軸も行われている. -
<Special Article> 甲状腺疾患の診断ガイドライン
100巻5号(2007);View Description Hide Description日本甲状腺学会ガイドライン作成委員会により,日常診療でよく遭遇するバセドウ病・甲状腺機能低下症・無痛性甲状腺炎・慢性甲状腺炎(橋本病)・亜急性甲状腺炎の 5疾患の診断ガイドライン(第 7次案)が,一般家庭向けに 2003年に作成された.本稿では作成の経緯と,その内容を記載した. -
<Special Article> バセドウ病薬物治療のガイドライン
100巻5号(2007);View Description Hide Descriptionエビデンスをもとにした治療法を提示することを目的として,『バセドウ病薬物治療のガイドライン 2006』(日本甲状腺学会編)が発表された.10章から構成され,それぞれ,Ⅰ.ポイント(ステートメントの内容が把握できるよう簡潔に箇条書きしたもの),Ⅱ.ステートメント(本ガイドラインの中心部分となるもので,推奨グレードとエビデンスレベルが付く),Ⅲ.ステートメントの根拠(どうしてこのようなステートメントになったのか,その「根拠」の提示),Ⅳ.主要な臨床研究論文の紹介(エビデンスとした論文のうち,とくに重要なものを紹介),Ⅴ.解説(ある程度具体的な方法がわかるよう解説したもの),Ⅵ.文献,からなる.定期的に,新しいデータをもとに改訂されていく予定である. -
≪診断に向けて≫ 甲状腺疾患発見の手がかり―何をもって疑うか
100巻5号(2007);View Description Hide Description一般外来を受診する患者の中にも,甲状腺機能亢進症,甲状腺機能低下症,甲状腺癌などの見逃してはいけない甲状腺疾患が,70~100人に 1人はいる.潜在性甲状腺機能低下症まで入れると,その頻度は 30~40人に 1人となる.見逃さないコツとして,初診時には必ず甲状腺の触診を行う,甲状腺機能異常の症状,徴候から疑う(ただし典型的な症状を訴えて受診することは少ない),説明のつきにくい一般検査値(TC,ALP,AST,ALT,CK,LDH,ZTT,TTT,赤沈)の異常から疑う,などがあげられる.甲状腺機能異常をスクリーニングしておきたいときは,TSH を測定する.患者は,何らかの症状を訴えて医療機関を受診しているにもかかわらず,甲状腺疾患が見逃されたり,見間違われたりして,非常に重症化している症例がある.実地医家にとって大切なことは,甲状腺疾患を見逃さないことである. -
≪診断に向けて≫ 甲状腺関連検査の選び方―いつ何を測るのか
100巻5号(2007);View Description Hide Description甲状腺機能状態の把握は,血中 TSH 測定が single best の方法である.FT4は,TSH が異常値を示すとき,重症度の指標となる.FT3測定は多くの場合,不要である.甲状腺機能亢進症で,バセドウ病と無痛性甲状腺炎を鑑別することが重要である.妊娠時の甲状腺機能は,TBG と HCG の変化がポイントとなる.結節性甲状腺腫の診断では,画像診断が検体検査より有用である.結節性甲状腺腫をみたとき,カルシトニンを測定して髄様癌をスクリーニングすることは有効かもしれないが,費用対効率を明らかにするエビデンスはない. -
≪診断に向けて≫ 甲状腺疾患の超音波断層検査―必須の画像検査法
100巻5号(2007);View Description Hide Description日常診療の中で,触診でびまん性の甲状腺腫を認めたり結節性病変を認めた場合,甲状腺機能検査とともに,まず超音波検査を施行することで,ほとんどの疾患が診断可能となってきた.超音波検査は,B モード以外の各種モダリティ(カラードプラ,パルスドプラ,エラストグラフィー,3D 表示など)を用いることで,より詳細な情報が得られるようになった.ここでは,種々の甲状腺疾患における特徴的超音波所見と,その画像を一部呈示する. -
≪診断に向けて≫ 甲状腺穿刺吸引細胞診―FNAC の有用性と限界
100巻5号(2007);View Description Hide Description甲状腺結節性疾患への細胞診は,本来外来で迅速に簡単かつ安価に行えるうえに,組織診断に近い,という最大の利点がある.さらに,エコーガイド下に行うといっそう診断率が増し,現在最強の「世界のゴールデンスタンダード」診断法となっている.その結果,良性腫瘍の手術例数を,明らかに減少させることができた.手技は,施設によって微妙に異なるので,世界の 19英語論文を用いて比較検討し,その利点と欠点,将来性を述べたい.本稿ではさらに,2007年現在の細胞診における唯一の泣きどころ,濾胞性腫瘍についても,現在の問題点と対応を自験例を含めて述べたい. -
≪治療のエッセンス≫ バセドウ病の RI 治療―目指す機能は正常か,低下か
100巻5号(2007);View Description Hide Description甲状腺機能正常を目指して RI 治療を行っても,長期には甲状腺機能低下症になる例が多い.RI 治療の目標は,「甲状腺機能正常を目指す」と「早期に甲状腺機能低下症を目指す」の 2種類がある.どちらを選ぶかは,患者の希望を入れて決めるべきである.絶対的禁忌は妊婦,妊娠している可能性のある女性,近い将来(6ヵ月以内)妊娠する可能性がある女性,授乳婦である.相対的禁忌は原則として 18歳以下,活動期または重症バセドウ病眼症である.コントロールされていない糖尿病,心不全,感染症など,甲状腺機能亢進症によって悪化する合併症があれば,先に十分加療してから行う. -
≪治療のエッセンス≫ 甲状腺機能低下症の補償療法
100巻5号(2007);View Description Hide DescriptionL-サイロキシン(LT4)は半減期 7日で,T4から T3への変換で持続的な T3産生により血中T3濃度が一定しており,長期補償療法では LT4単独経口療法が一般的である.LT4は薬剤や食物繊維により吸収抑制を受けるため,1日 1回,起床時に単独で内服する.遊離 T T44 ((FT4)が基準値内に入ったのち,TSH 改善には 6~8週間かかるので,LT4の増量はゆっくり行う.可逆性甲状腺機能異常であったり,機能している甲状腺組織減少で補償量が変動することがあるので,定期的な再評価が必要である.潜在性甲状腺機能低下症の甲状腺ホルモン補償については,結論が出ていない. -
≪治療のエッセンス≫ 甲状腺結節の取り扱い―微小癌と濾胞性腫瘍の診療方針
100巻5号(2007);View Description Hide Description甲状腺結節の大部分は腫瘍性病変であり,「結節性甲状腺腫」と呼ばれる. 「結節性甲状腺腫」は触診所見であり,あくまでも暫定的診断名である.従来は腫瘤の自覚,あるいは触診によって発見されたが,最近は種々の画像検査で偶発的に発見されることが多くなった.甲状腺結節の大部分は,とくに治療を要しない.治療が必要な悪性腫瘍を,効率よく診断することが求められる.鑑別診断の武器は超音波検査と穿刺吸引細胞診であり,組織型診断も可能である.濾胞癌の診断はむずかしい.濾胞癌の可能性が高い濾胞性腫瘍を選んで,手術適応とする.多数発見される微小甲状腺癌の大部分は低リスク癌であり,経過観察も選択肢の一つである. -
≪治療のエッセンス≫ 甲状腺疾患の手術―低侵襲性手術
100巻5号(2007);View Description Hide Description低侵襲性手術には適応と限界があり,一般的に内科医は適応を大きくとっている傾向にある.前頸部の切開創が小さいのは大きな利点であるが,それによる手術合併症や,癌では根治性の低下などがある.また,低侵襲性といっても手術であるので,不必要な手術は避けたい.普通の患者,とくに中高齢者では,切開創の瘢痕は 2年程度でみえにくくなる.癌では,一部の微小癌が適応となる. -
≪臨床トピックス≫ ヨード摂取と甲状腺疾患
100巻5号(2007);View Description Hide Descriptionヨードは甲状腺ホルモンの材料として必要である.私たちの身体は約 10~20 mg のヨードを含み,毎日 100~200μg が尿・便中に失われる.必要量が補えないヨード欠乏地域では甲状腺機能低下をきたし,胎児・小児に深刻な発育障害を生じる.日本ではむしろ昆布摂取などによるヨード過剰が問題で,Wolff-Chaikoff 効果による甲状腺内のヨード有機化障害で,可逆性機能低下をきたすことがある.甲状腺癌のアイソトープ治療前には十分なヨード制限が必要であるが,それ以外に不必要な厳しいヨード制限を指示することは避けたい. -
≪臨床トピックス≫ 破壊性甲状腺中毒症―バセドウ病と鑑別すべき種々の病態
100巻5号(2007);View Description Hide Description甲状腺中毒症は,甲状腺機能亢進を伴うものと伴わないものの二つに大別される.前者の代表がバセドウ病であり,後者の大部分を破壊性(炎症性)甲状腺中毒症が占める.破壊性(炎症性)甲状腺中毒症には,亜急性甲状腺炎,無痛性甲状腺炎,橋本病急性増悪型があり,これらは放射性ヨード甲状腺摂取率低値の一過性甲状腺中毒症を呈する.無痛性甲状腺炎は全甲状腺中毒症の約 10% を占め,バセドウ病との鑑別がきわめて重要である.無痛性甲状腺炎では,原則的に TSH 受容体抗体は陰性である.無痛性甲状腺炎の甲状腺中毒症期に,抗甲状腺薬は用いてはならない. -
≪臨床トピックス≫ 抗甲状腺薬の副作用―無顆粒球症への対処の重要性
100巻5号(2007);View Description Hide Description副作用は抗甲状腺薬(ATD)の欠点であり,服用開始 2~3ヵ月以内に出やすい.ATD の副作用のうちで,無顆粒球症(agra)はもっとも重篤なものである.頻度は低いにもかかわらず生命を脅かすことがあるので,一般臨床医にとっても注意を要する.ATD 開始時,副作用について説明しなければならない.ATD 開始 2ヵ月間は,2週間ごとの白血球数,好中球数のチェックが義務づけられた.agra と診断されたときの重症度判定に,G-CSF1 回投与試験が有用である.軽症 agra(好中球数 100~500/mm3)に対して,G-CSF は有用である.じんま疹,肝障害,MPO-ANCA 関連血管炎症候群など,他の副作用についても簡単にふれたい. -
≪臨床トピックス≫ 甲状腺機能異常と妊娠・出産―挙児希望を支援するために
100巻5号(2007);View Description Hide Description甲状腺疾患に伴う妊娠・出産の問題の大半は,甲状腺機能の是正で回避できる.バセドウ病では,母体への至適治療が胎児に適切といえない場合がある.奇形発生の観点から,ことに妊娠 8週までは thiamazole の使用を避けることが勧められるが,個々の患者の背景,他剤の利点と弱点も考慮して決定する.抗甲状腺薬は,妊娠中期以降 FT4 が非妊時の正常上限かやや上になるよう投与すると,胎児の甲状腺機能が低下しない.TRAb が強陽性の術後,131I 治療後寛解例では胎児に,また抗甲状腺薬治療の場合も出産まで強陽性の例で新生児に甲状腺機能亢進症が発症しうる.乳児の甲状腺機能に影響しない抗甲状腺薬の使用量がある.甲状腺機能低下症では,母体にとって最適な治療が児にも利益になる. -
≪臨床トピックス≫ 甲状腺クリーゼ―わが国の診断基準作成
100巻5号(2007);View Description Hide Description甲状腺クリーゼは「生命が危険となるような激しい症状を呈する甲状腺中毒症」であり,多臓器における非代償性状態を特徴とする.臨床症状に基づいて診断されるが,明確な診断基準は国際的にも確立されておらず,疫学データも乏しい.日本甲状腺学会と日本内分泌学会は共同して,「甲状腺クリーゼの診断基準の作成と全国疫学調査」を臨床重点課題と定めた.同課題を研究・調査する委員会が組織され,①全国疫学調査の実施に向けた甲状腺クリーゼ診断基準の作成を行い,②その診断基準に基づいて全国疫学調査を実施し,③その調査結果に基づいた予後判定基準や新たな診療ガイドラインの作成,に向けて現在活動している. -
≪臨床トピックス≫ バセドウ病眼症―内科的診療・眼科との連携
100巻5号(2007);View Description Hide Description後眼窩組織における TSH 受容体に対する自己免疫反応により,眼症をきたすとの仮説が有力である.流涙,眼窩痛,羞明,異物感,腫脹感,眼瞼や結膜の充血・浮腫,眼球突出,複視,視力障害など眼症の自覚症状や他覚所見がみられたら,眼症専任の眼科医に診察を依頼する.診断には重症度と活動性の評価が重要である.CAS と眼窩 MRI にて活動性の評価を行う.活動性の高い急性期にはステロイドパルス療法,放射線療法などの免疫抑制療法が適応であり,非活動期には眼科手術療法が適応である.ソマトスタチン製剤,ボツリヌス毒素の局所注射や抗酸化薬,TNFαや CD20 に対するモノクローナル抗体などの新しい治療法が紹介されている. -
≪臨床トピックス≫ T3優位型バセドウ病
100巻5号(2007);View Description Hide DescriptionT3優位型バセドウ病は,バセドウ病患者の約 10% を占める.T3優位型バセドウ病は,T3トキシコーシスではない.本症では甲状腺が大きく,TSH レセプター抗体値が高い.T3優位分泌の原因は,甲状腺内における T4から T3への転換が高まっていることと,甲状腺内ヨードの代謝回転が促進していることにある.抗甲状腺薬治療で寛解が得られず,手術に転向する例が多い.131I 治療では晩発性甲状腺機能低下症が起こりにくい.本症は,バセドウ病の重症型であるとともに,自己抗体の純度が高い甲状腺機能亢進症であることが推察される. -
≪臨床トピックス≫ 甲状腺原発悪性リンパ腫
100巻5号(2007);View Description Hide Description甲状腺原発悪性リンパ腫はまれな悪性腫瘍であるが,適切な治療が行われれば一般に予後は良好であり,見逃してはならない疾患である.病理分類は B 細胞性非 Hodgkin リンパ腫がほとんどで,低悪性の MALT,中等悪性のDLBCL と,これらの混合型で中等悪性である mixed type(Mix)に大別される.限局期では CMT 導入後に予後が飛躍的に改善した.現状として,MALT では RT が,Mix,DLBCL では CMT が治療として推奨されており,全体として 5年 OS は 80% 以上が期待できるものと考えられる.しかし,依然として一部に再発,原病死を認め,進行期では予後不良であることより,さらなる原因解明や新たな治療の探求が望まれている. -
≪新たな診療アプローチ≫ 甲状腺疾患の FDG-PET 診断―新たな診断手法への期待
100巻5号(2007);View Description Hide Description健診などのスクリーニングで行われる FDG-PET の場合には,2~3% の割合で甲状腺への取り込みがみられる.その多くは良性疾患である.甲状腺乳頭癌においては,微小癌を除くと FDG の集積は良好であるものの,診断には従来の modality を追加する必要がある.FDG-PET は,131I シンチグラフィで取り込みがみられない甲状腺分化癌の再発巣の発見に有効である.131I シンチグラフィと FDG-PET は相補的な側面がある.また,もともとヨードを集積しない他の組織型の甲状腺癌においても,再発巣の検索に有用である.甲状腺分化癌において,FDG-PET の集積する病変は予後を反映している可能性がある. -
≪新たな診療アプローチ≫ バセドウ病薬物治療における block & replacement therapy
100巻5号(2007);View Description Hide Description抗甲状腺薬(ATD)にて甲状腺ホルモンの産生を抑制し,甲状腺ホルモンを併用投与して甲状腺機能を維持する方法を,block & replacement therapy(BRT)という.ATD 単独ではコントロールのむずかしいバセドウ病症例に,有効である.ホルモン値が安定するので,長期間の処方が可能になる.通常の titration method と再発率に変わりはなく,大量の ATD を用いる場合は副作用の頻度が高い.ATD 中止後の L-T4継続投与には,再発予防効果はない.RI 治療前後に BRT を行い,治療後の合併症を抑制する試みが行われている. -
≪新たな診療アプローチ≫ 甲状腺疾患における PEIT―バセドウ病や非根治癌への適応
100巻5号(2007);View Description Hide Description甲状腺 PEIT の保険適用は,甲状腺* 胞と機能性甲状腺結節である.甲状腺 *胞への PEIT は,隔壁・実質部分が多いものを除けば,恒久的な効果が期待できる.また,4cm 以下の機能性甲状腺結節への PEIT は十分有効である.バセドウ病では,術後再発など甲状腺体積が小さい場合,PEIT が効く可能性がある.だがエビデンスは不足している.他の治療が施行できないときに,代替/補助治療として考慮すべきである.根治不能な甲状腺癌に対し PEIT で局所制御を行う場合があり,一部では QOL 向上や維持に有効である.だが表皮欠損等の副作用を惹起する可能性や,手技には高度な技術が要求されるため,熟練した術者が施行すべきである. -
≪新たな診療アプローチ≫ バセドウ病診療 Navigator の開発―専門医のさじ加減は再現できるか
100巻5号(2007);View Description Hide Descriptionバセドウ病診療 Navigator を MS-Excel および VBA を用いて作成した.臨床事項(症状・検査データ・それまでの薬用量等)を入力することで,推奨薬用量,次回外来日を計算し,寛解,長期治療法,妊娠/出産/授乳に関しての推奨や警告メッセージを表示する.バセドウ病診療 Navigator により,田中流さじ加減は確実に再現できる.現時点では専門家育成トレーナーとしての有用性がもっとも高いが,世の認知度とソフト熟成度が高まれば一般公開も考えている. -
≪新たな診療アプローチ≫ バーチャル臨床甲状腺カレッジ―e ラーニングサイトの開校
100巻5号(2007);View Description Hide Descriptionバーチャル臨床甲状腺カレッジは,臨床甲状腺学の啓蒙と啓発を目指してインターネット上に開設された仮想のカレッジである.各部門の日本甲状腺学会認定専門医の協力により構築されている.一般医家,臨床研修医ならびに医療関係者を対象とするが,専門医でも,知識の整理と臨床の向上が図れるよう工夫されている.基礎講座,臨床講座,特別講座の計 25講座からなる.確認テスト,総合テストが用意され,合格証書が発行され,将来,日本甲状腺学会認定専門医の取得や更新の単位として利用できるようになる.甲状腺疾患診療ガイドラインのトレーニングや図書・認定専門医施設の紹介コーナーもある. -
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Focus on
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高齢者の筋力トレーニングと介護予防
100巻5号(2007);View Description Hide Description平均寿命の延長と高齢社会の到来により,要介護・寝たきり予防のためのさまざまな施策など,具体的な介入方法や筋力トレーニング等のプログラムの構築が急務とされてきている.高齢者の身体特性に即した筋力トレーニングの主眼は,速筋線維の衰えの予防,および運動単位による神経系動員の促進にあり,無理なく楽しく行える,あるいは普段の生活からいつでも行える方法が有効である.つまり,高齢者の筋力トレーニングは,筋肉量や筋力の向上,介護度の改善を目指すのではなく,移動能力や基本的日常生活動作(activity of daily living:ADL)を見据えた,いわゆる介護の主たる原因である寝たきりや要介護状態を低減することが目的とされる.したがって高齢者の筋力トレーニングを考える場合,その過程の中で培われた身体能力と自信と希望により,行きたいところに自分の力で移動をして,やりたいこと,やるべきことができるようになるための,介護予防の手段や過程こそが重要とされる.
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診療 controversy― medical decision making のために
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前立腺癌治療 手術派の立場から
100巻5号(2007);View Description Hide Description前立腺癌は他の癌に比べ高齢者に多く,全世界での前立腺癌年齢調整罹患率は 25.3 であり,肺癌(35.5)に次いで 2番目に相当する1).日本国内の調査結果(1999年)に基づく,わが国の男性の年齢調整罹患率(基準人口は昭和 60年モデル人口)は,前立腺癌では 21.7 と,胃癌,肺癌,結腸癌,肝臓癌,直腸癌に次いで 6番目に高く,男性癌全部位の 5.7% を占める.現在,前立腺癌に対して施行されている治療法は,①手術療法,②放射線療法,③内分泌療法,④待機療法の 4つがあげられ,治療効果においてそれぞれ利点と欠点が存在する.患者の癌発見時の年齢や最初に発見・評価された医師の専門分野に治療法が影響を受けており,われわれ泌尿器科医をはじめとして,放射線治療医,臨床腫瘍医がバランスのとれた治療のオプションを患者に提示していくことが重要と考えられる. -
前立腺癌治療 放射線治療の立場から
100巻5号(2007);View Description Hide Description前立腺癌の放射線治療には,外照射と小線源治療とがある.前立腺癌は線量が多くなると治癒率が上昇するが,そのためには周囲組織とくに直腸線量を減らしつつ前立腺への線量集中を高める高精度放射線治療技術が必要とされる.線量集中が効果的に行われれば手術と同等の成績が保障されるとともに,合併症も少ない.しかしながらわが国では高精度の外照射治療および小線源治療が実施可能な施設数がまだ十分とはいえない現状があり,治療法の選択には施設環境を慎重に考慮することが大事である.
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目でみる症例
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診断力をみがく イメージトレーニング
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コンサルテーション・スキル
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ドイツ医学導入とわが国の医学教育
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臨床ノート:症例から学ぶピットフォール
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View Spot
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Research 最前線
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TOPICS
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Photo Report
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Subependymal giant cell astrocytoma を合併し,水頭症をきたした結節性硬化症
100巻5号(2007);View Description Hide Description -
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症例
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Rituximab 併用化学療法により完全寛解を得た C 型肝硬変合併肺血管内 B 細胞性リンパ腫の 1例
100巻5号(2007);View Description Hide Description -
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Book Review
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