内科
Volume 101, Issue 4, 2008
Volumes & issues:
-
特集 【膠原病診療のブレークスルー—早期診断・早期治療のポイント】
-
-
<Editorial> 膠原病における早期診断・早期治療の現況と展望
101巻4号(2008);View Description Hide Description膠原病の中でもとくに早期診断・早期治療の重要性が叫ばれているのは関節リウマチ(RA)である.関節リウマチでは,抗 CCP 抗体やメタロプロテアーゼ 3(MMP-3)などの血清学的検査や MRI の導入によって,関節炎を早期から診断をすることが可能となってきた.しかも,methotrexate(MTX)や生物学的製剤を積極的に用いることで,臨床的寛解はおろか,画像的寛解,さらには薬剤中止寛解まで望むことができるようになりつつある.このような良好なアウトカムが得られる治療開始時期は,window of opportunity と呼ばれている.今後,その他の膠原病においても同様の進歩がみられることが期待されている. -
<Special Article> 膠原病の疾患感受性遺伝子はどこまでわかったのか
101巻4号(2008);View Description Hide Descriptionヒトゲノム配列が決定し,遺伝子多型に関する公共データベースが整備され,疾患感受性遺伝子解析の基盤が整うとともに,ゲノムワイド関連解析は大規模化し,数十万を超えるマーカーでゲノム全体を網羅し,サンプル数は数千以上となっている.ゲノム配列の多様性の理解が進み,一塩基多型(SNP)とコピーナンバー多型(CNP)とが,疾患関連遺伝子多型の解析標的として着目されている.疾患関連遺伝子多型として,関節リウマチには PADI4 の SNP,CCL3L1 の CNP が,全身性エリテマトーデスには C4,FCGR3 の CNP が,両疾患に共通の多型には,PTPN22,IRF5 の SNP が報告されている. -
<Special Article> Autoinflammatory syndromes とは
101巻4号(2008);View Description Hide Description遺伝的素因のために,感染症や自己免疫疾患がないのに炎症性病態を繰り返す一群の症候群を総称して,autoinflammatory syndromes と呼ぶ.近年それらの原因遺伝子変異が次々と明らかにされ,また,そのことが自然免疫の分子機構の解明にも寄与することから注目を集めている.乳幼児期から発症するものが多いが,比較的軽症である場合には成人になってから発症したり,小児期から発症していても診断が確定しないままになっている潜在的な症例がかなり存在すると思われる.重篤な病態を呈するまえに正しく診断して治療する必要があり,不明熱の鑑別に際して,内科医もこれらを念頭に置く必要がある. -
≪早期診断・早期治療のこつと治療のアルゴリズム≫ 全身性エリテマトーデス
101巻4号(2008);View Description Hide Description全身性エリテマトーデス(SLE)の短期予後は,難治性病態を認める一部の患者を除いて良好であるが,長期予後は今なお不良である.長期予後の改善には,一般医による早期発見と専門医への早期紹介,専門医による的確な病態診断と,damage なき寛解を目指した治療という機能的病診連携が不可欠である.一般医は特異性の高い症状や検査異常,または非特異症状の 3週以上の持続を認めてSLE が疑われれば,速やかに専門医へ紹介すべきである.専門医には免疫抑制薬などの積極的使用により,ステロイド投与量を従来量より大幅に削減する不断の努力が望まれる. -
≪早期診断・早期治療のこつと治療のアルゴリズム≫ 関節リウマチ
101巻4号(2008);View Description Hide Description早期関節炎の分類・進展予測に関して,「診断未確定関節炎(undifferentiated arthritis:UA)」の概念が普及してきた.UA は多様な疾患を包括するが,早期関節リウマチ(RA)の診断・分類とは,多様な UA から「RA に進展するタイプ」を早期に予測することである.最近の話題として,身体所見,炎症反応,血清自己抗体,MRI 画像を組み合わせることで,かなりの正確度で,UA の中から早期に「RA に進展するタイプ」を予測することが可能となってきた.これら症例の抗リウマチ治療は早期から積極的に導入し,臨床的疾患活動性や骨 X 線などで評価し,寛解を目指すことが推奨される. -
≪早期診断・早期治療のこつと治療のアルゴリズム≫ 多発性筋炎・皮膚筋炎
101巻4号(2008);View Description Hide Description多発性筋炎と皮膚筋炎は,主として四肢近位筋群の筋力低下を主症状とする横紋筋の自己免疫性炎症疾患である.特徴的な皮疹を呈するものは,皮膚筋炎という.早期診断には,筋力低下のほか,誤嚥,構音障害でも本疾患を疑うことが必要である.皮膚筋炎は,その典型的な皮膚所見から疑う必要がある.血清中の筋逸脱酵素測定のほか,MRI 検査が筋炎の部位診断に,筋生検が鑑別診断に役立つ.治療は高用量の副腎皮質ステロイド薬が主であるが,急速進行性間質性肺炎がある場合には,カルシニューリン阻害薬などの免疫抑制薬の早期併用が予後改善の決め手になる. -
≪早期診断・早期治療のこつと治療のアルゴリズム≫ ANCA 関連血管炎
101巻4号(2008);View Description Hide DescriptionANCA 関連血管炎は多臓器に血管炎を生じ,診断・治療が遅れると多臓器不全をきたす予後不良の疾患である.血管炎による各臓器障害の早期所見を見逃さないことが大切である.皮膚では軽度の紫斑や結節性紅斑の反復,末梢神経では下肢の知覚障害が早期所見である.眼では結膜の充血や眼部痛,上気道では前頭部痛や鼻部痛,肺では血痰や間質性肺炎所見,腎では蛋白尿,顕微鏡的血尿が早期所見である.全身を診察するとともに,病歴を詳細に聴取し,上記の所見が認められた場合には ANCA関連血管炎の可能性を念頭に置く.MPO-ANCA 関連血管炎は高齢者に多いため,とくに高齢者に上記症状が出現した場合には,ANCA 測定は必須である. -
≪早期診断・早期治療のこつと治療のアルゴリズム≫ 全身性強皮症
101巻4号(2008);View Description Hide Description本稿で論じる全身性強皮症は,英文での systemic sclerosis あるいは,systemic sclerodermaを意味する.英文でも 2種類の単語が今でも統一されずに用いられているように,日本語でも,全身性強皮症と全身性硬化症の 2種類が用いられている.近年は,全身性を省略して,「強皮症」という用語が汎用されている.ここで問題となるのは,localized scleroderma という疾患の存在である.内臓病変の合併がなく,部分的に皮膚硬化を起こす疾患であり,治療法や生命予後は異なる.日本語表記では,「限局性強皮症」となる.混乱のないように,また,英文の「systemic」の意味も含め,やはり,全身性強皮症と記載するほうがよいと考える.全身性強皮症の分類基準は,1980年の米国リウマチ協会の分類基準案が用いられている.治療法としては,病型により治療が必要かどうかをよく検討し,それぞれの病態にあわせて治療を選択している.今後,根本的な治療法の開発が待たれる. -
≪早期診断・早期治療のこつと治療のアルゴリズム≫ 混合性結合組織病
101巻4号(2008);View Description Hide Description混合性結合組織病(MCTD)の診断をする場合,血液検査で抗 U1RNP 抗体高力価陽性を確認すること,全身性エリテマトーデス様,強皮症様,筋炎様症状のうち二つ以上の症状を有することが必須となる.MCTD は当初,生命予後が比較的よい疾患として考えられていたが,肺高血圧症の合併が高頻度であり,その予後を規定する重要な因子となっている.治療は副腎皮質ステロイド薬が中心となる.非ステロイド抗炎症薬による無菌性髄膜炎には注意する.中等量以上の副腎皮質ステロイド薬が必要になる場合,また他の膠原病との鑑別が困難な場合には,専門医に紹介する. -
≪早期診断・早期治療のこつと治療のアルゴリズム≫ Sjögren 症候群
101巻4号(2008);View Description Hide DescriptionSjögren 症候群(SS)は,涙腺・唾液腺などの外分泌腺に乾燥症状をきたす原因不明の自己免疫疾患である.ドライアイ,ドライマウスが本疾患の主要徴候であり,生命予後はおおむね良好な疾患である.他の自己免疫疾患を併発する病型(二次性 Sjögren 症候群)や,肺,腎,皮膚,造血器などの多臓器に重篤な障害を合併する病型(腺外型)が存在し,とくに細心の注意が必要である.診断・治療は,乾燥症状の場合は主に対症療法となるが,臓器障害を合併する場合は病態に応じた総合的な対応が必要である. -
≪早期診断・早期治療のこつと治療のアルゴリズム≫ 抗リン脂質抗体症候群
101巻4号(2008);View Description Hide Description抗リン脂質抗体症候群(APS)は自己免疫性の血栓症であり,再発予防をいかにするかが問題である.血栓の二次予防には抗凝固療法および血小板凝集抑制薬が使用されているが,一次予防についてはエビデンスがなく,今後の課題である. -
≪特殊な状況への配慮≫ 高齢者の薬物療法では何を留意すべきか
101巻4号(2008);View Description Hide Description高齢者膠原病でもっとも多くを占める関節リウマチの薬物療法は,ここ数年で大きな転換期を迎え,高齢者関節リウマチに対しても methotrexate(MTX),tacrolimus や生物学的製剤を使用することが求められる時代になった.ただし,高齢者関節リウマチの予後に影響するのは感染症であり,合併しうる感染症の管理を十分に行うことが必須である.近年の関節リウマチ治療のパラダイムシフトを念頭に置き,生物学的製剤などの薬物療法を行ううえでの留意点に触れる.また,リウマチ性多発筋痛症や血管炎症候群も高齢者膠原病で多く認められ,中等量以上のステロイド療法が必要となる.高齢者膠原病にステロイド療法を行ううえでの留意点についても触れる. -
≪特殊な状況への配慮≫ SLE および RA における妊娠—妊婦と胎児に及ぼす影響は
101巻4号(2008);View Description Hide Description基礎疾患を有する妊娠の母体管理を考えるとき,基礎疾患を管理する医師が妊娠のリスクを把握し,十分な管理を行うことが重要である.全身性エリテマトーデス(SLE)は妊娠中増悪することが多く,関節リウマチ(RA)は軽快することが多い.SLE の妊娠予後を左右する要因として,臓器障害,疾患活動性,抗リン脂質抗体症候群がある.抗 SS-A 抗体陽性は,胎盤を通して児に移行し,新生児ループスを起こすことがある.妊娠・授乳中の薬物療法に関しては,十分なエビデンスのないことが多く,常にリスクとベネフィットを天秤にかけて,インフォームドコンセントを行う必要がある.RA の妊娠を計画するとき,出産後の増悪や育児のことを考えて計画を立てる必要がある. -
≪特殊な状況への配慮≫ 小児の薬物療法では何を留意すべきか
101巻4号(2008);View Description Hide Description小児に好発する膠原病の種類は,成人とは異なる.同じ疾患でも,治療に対する反応性,コンプライアンス,副反応など多くの点で,成人とは違いがみられる.とくに成長発達の途上にある小児では,副腎皮質ステロイド薬による成長障害が最大の問題となる.副腎皮質ステロイド薬の使用を必要最少限にとどめるためにも,若年性特発性関節炎(JIA)では NSAIDs および DMARDs を,全身性エリテマトーデス(SLE)では免疫抑制薬を適切に使用することが重要である. -
≪治療薬の使い方とリスクマネージメント≫ 非ステロイド系消炎鎮痛薬の選び方と使い方
101巻4号(2008);View Description Hide Description生体内で重要な生理的作用を有するプロスタグランジン産生酵素である cyclooxygenase(COX)-1 を抑制しないため,とくに消化管障害の副作用の少ない薬剤として注目された選択的 COX-2 阻害薬である celecoxib が,2007年6月に日本でも販売承認され,使用可能となった.従来の非選択的 NSAIDs にも存在するとされる副作用としての心血管イベントの問題は未解決ではあるが,celecoxib を上手に応用すれば,合併症の少ない抗炎症,鎮痛,解熱治療が行える.本稿では,NSAIDs の基本的な使用・選択法について,膠原病疾患への応用を含め,日常臨床に役立つポイントをまとめた. -
≪治療薬の使い方とリスクマネージメント≫ 抗リウマチ薬(DMARDs)の選び方と使い方
101巻4号(2008);View Description Hide Description関節リウマチ(RA)の診断確定後,3ヵ月以内に抗リウマチ薬(DMARDs)の単剤投与で治療を開始すること,また methotrexate(MTX)が RA 治療に不可欠な DMARDs であることは国際的なコンセンサスである.DMARDs は重篤な副作用を伴うことがあり,使用にあたっては,それぞれの特徴を踏まえた症例選択と,副作用のモニタリング,および適切な薬効判定が重要である第一選択薬としては salazosulfapyridine と bucillamine が適当であるが,DAS28 を参考に薬効判定を行い,十分なコントロールが達成できない場合は MTX への変更を選択する.疾患活動性が高く,すでに関節破壊を生じているような予後不良例では,初回から MTXの使用を考慮する.緊急性が高く迅速な対処を要する副作用としては,間質性肺炎,血球減少,皮膚病変,感染症がある. -
≪治療薬の使い方とリスクマネージメント≫ 免疫抑制薬はどのようなときに適応となるのか
101巻4号(2008);View Description Hide Description膠原病診療での免疫抑制薬投与は,①エビデンスもしくはコンセンサスがある場合,②ステロイド薬単独では期待した効果が得られない場合,③副作用により必要量のステロイド薬の投与継続が困難な場合,に行われる.cyclophosphamide,azathioprine は多くの病態に対して有効性が認められているが骨髄抑制などの重篤な副作用が起こりうるので適応を慎重に判断し,副作用発現を早期に察知できるような方策を講じるべきである.ciclosporin,tacrolimus,mycophenolate mofetil といったより新しい免疫抑制薬は,骨髄抑制をきたす可能性は低い.しかしながら,これらの薬剤もそれぞれ固有の副作用,注意点を有する. -
≪治療薬の使い方とリスクマネージメント≫ 生物学的製剤の適応とリスクマネージメント
101巻4号(2008);View Description Hide Description生物学的製剤は,卓越した臨床症状改善作用,関節破壊進行抑制作用および身体機能改善作用を有する関節リウマチ(RA)治療の切り札的薬剤である.基本的に,methotrexate(MTX)を中心とする疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)治療で効果不十分な場合に,生物学的製剤投与を考慮する.臨床試験では,発症早期からの TNF 阻害薬投与により,高い有効性および,TNF 阻害薬あるいは DMARDs をも中止できる可能性が報告されている.実際の臨床においても,可及的に早く MTX を十分量まで増量し,TNF 阻害薬を必要とする患者を同定することが重要である.生物学的製剤使用時には,生物学的製剤使用ガイドラインを参考にして,感染症を中心としたリスクマネージメントを確実に行える体制を取る. -
≪治療薬の使い方とリスクマネージメント≫ 抗凝固薬,抗血小板薬,エンドセリン受容体拮抗薬の選び方と使い方
101巻4号(2008);View Description Hide Description抗凝固療法は血栓症,とくに静脈系,心の血栓の治療,予防に中心的な役割をする.ヘパリン製剤の使用にあたっては,ヘパリン起因性血小板減少症に注意を要する.抗血小板薬は,動脈血栓の防止に使用される.エンドセリン受容体拮抗薬は,肺高血圧症に有効であるエンドセリン受容体拮抗薬は強皮症の循環障害,線維化にも有用である可能性がある. -
≪膠原病の難治性病態の早期診断・早期治療のこつ≫ SLE の肺胞出血
101巻4号(2008);View Description Hide Description全身性エリテマトーデス(SLE)のびまん性肺胞出血は,SLE における致死的合併症の一つであり,その症例数の少なさと致命率の高さゆえ,エビデンスレベルの高い治療法は確立されていない.SLE の活動期に発症し,三大徴候は喀血・血痰,急速に進行する貧血,および胸部 X 線上びまん性陰影であり,状況が許せば確定診断および感染症除外のために,気管支鏡を施行すべきである.全3症例の救命に成功している当教室での治療方針,ならびに,文献レビューの結果からは,ステロイド大量療法に加えて免疫抑制薬(とくに cyclophosphamide 間歇静注療法)と血漿交換療法(とくに二重膜濾過血漿交換)の併用療法が,生命予後を改善する可能性が示唆された. -
≪膠原病の難治性病態の早期診断・早期治療のこつ≫ ループス腎炎
101巻4号(2008);View Description Hide Descriptionループス腎炎は,全身性エリテマトーデス(SLE)の予後を左右する重要な臓器合併症の一つで,SLE 患者の 50~80% に合併する.ループス腎炎のうち,とくに難治性なのはWHO Ⅲ,Ⅳ型で,いまだに早期発見・早期治療を逸すると予後不良である.早期診断のためには尿所見,血清学的所見を日常診療で常に意識し,早期の腎生検が重要であるが,腎生検ができない場合には尿所見・血清学所見などを総合的に判断することが肝要である.早期治療では組織型自体の治療抵抗性病態もさることながら,初発型,再発型・移行型といった臨床病態も加味しながら治療していくことが,難治性のループス腎炎の診療にあたっては重要である. -
≪膠原病の難治性病態の早期診断・早期治療のこつ≫ ループス膀胱炎
101巻4号(2008);View Description Hide Descriptionループス膀胱炎は,全身性エリテマトーデス(SLE)に間質性膀胱炎を伴った比較的まれな病態である.膀胱炎症状以外に消化器症状が先行することも多く,中枢神経症状や皮膚症状など,全身に多彩な症状を伴うこともある.SLE の疾患活動期に一致して,発症することが多い.SLE に由来する全身的な血管炎で,とくに膀胱や消化器の間質に強く現れた病態と考えられる.発症早期にステロイド治療を開始すると,治療反応性がよい.治療が遅れると不可逆的な病態になるため,早期診断・早期治療が重要である. -
≪膠原病の難治性病態の早期診断・早期治療のこつ≫ 吸収不全症候群
101巻4号(2008);View Description Hide Description強皮症では消化管への膠原線維の沈着,腸内細菌の過剰増殖などにより,著しい消化吸収不全を呈することがある.在宅中心静脈栄養にいたる症例も存在する.吸収不全症候群の診断として,SudanⅢ染色による便中の脂肪測定が行われる.蠕動障害の早期発見には,Sitzmarks が有用と考えられる.根本的な治療法はないが,対症療法に加え,十分な栄養管理を行う.早期に介入することにより,腸内細菌の過剰増殖や腸液貯留による二次的な粘膜障害を抑制することが期待できる.不可逆的に進行していく疾患であるため,患者のほか,家族や介護協力者との連携をとりながら診療に取り組む. -
≪膠原病の難治性病態の早期診断・早期治療のこつ≫ 神経 Behçet
101巻4号(2008);View Description Hide DescriptionBehçet 病の神経症状は,急性脳髄膜炎として発症する急性型と,精神症状,錐体路症状が徐々に進行する慢性進行型がある.MRI 所見は,急性型では脳幹,基底核に T2 増強像,慢性進行型では脳幹,大脳萎縮が典型的である.髄液所見は蛋白・細胞増多,IL-6 上昇が特徴的である.急性型にはステロイド治療が有効だが,一部は再燃を繰り返し,慢性進行型に移行する.慢性進行型はステロイドの効果は乏しく,methotrexate が有効なことがある.TNF 阻害薬治療が有望視されている.発症要因に男性,若年発症,HLA-B51,喫煙,ciclosporin 服用などがある. -
-
-
Focus on
-
-
NERD 診療の現状と問題点
101巻4号(2008);View Description Hide Description非びらん性胃食道逆流症(NERD)は,胃酸の逆流により胸焼けなどの症状を有するも,上部消化管内視鏡検査で食道粘膜にびらんなどの粘膜障害を認めない病態であり,QOL を低下させる疾患である.最近,NERD や functional dyspepsia(機能性胃腸症)などの機能性疾患が注目されている. NERD はその病態により,胃酸以外の逆流や,逆流が関与しない機能性消化管障害(RomeⅢ)で定義される functional heartburn(機能性胸焼け)と鑑別されている.しかし,NERD の病態も単に胃酸の逆流というだけではなく,逆流する胃液の酸度や胃酸に対する防御機構,食道運動機能,食道知覚といった多彩な病態が症状出現に関与している. NERD は多彩な病態が複合的に関与していると考えられ,必ずしも胃酸分泌抑制薬により良好な治療効果を得られるわけではなく,functional heartburn などの機能性疾患と鑑別し,それぞれの病態に応じた薬物療法を選択する必要がある.
-
-
目でみる症例
-
-
-
内科医に役立つ皮膚科の知識
-
-
-
診断力をみがく イメージトレーニング
-
-
-
診療 controversy— medical decision making のために
-
-
内科から前立腺生検紹介へのタイミング:積極的な立場から
101巻4号(2008);View Description Hide Description日本では前立腺癌が急増し,しかも,新規診断症例の過半数が限局性癌である.これら限局性前立腺癌の治療には多数の選択肢があるので,個々の患者に対する正確なリスク評価に基づいた治療が求められる.リスクは腫瘍の Grade と Stage について評価され,そのいずれにおいても前立腺生検から得られる情報が必須である.したがって,前立腺生検は前立腺癌の診断において,前立腺癌の有無を確定するのみならず,治療前リスク評価に必要な癌情報を獲得するために不可欠である.前立腺生検は多部位生検の時代へと移行し,より正確な情報が得られるようになってきた.日本で今後ますます増加すると想定される前立腺癌の診断の第一歩は,前立腺特異抗原(prostate-specific antigen:PSA)の測定であるが,PSA の測定だけでは診断は完了しない.PSA はもっとも有用な腫瘍マーカーとして有名であるが,前立腺癌に対する特異性が低いため,診断に利用する際には,その限界を知っている必要がある.そこで,どのようなタイミングで PSA の測定を行うか,どのような場合に前立腺生検を考慮するかの判断が大切である. -
内科から前立腺生検紹介へのタイミング:慎重な立場から
101巻4号(2008);View Description Hide Descriptionわが国では高齢化が進み,前立腺癌が増加しつつある.前立腺針生検はその唯一の確定診断法であり,その治療に必須の組織情報を与える.他方,適応には患者と医者がそれぞれの立場から協議して決める shared decision の方向性が強まるであろう.一次検診の PSA 採血は一般医で行われることが多く,直接患者から質問される機会が増えると考えられる.本稿では,PSA 測定値をもとに泌尿器科への受診を勧めるか,針生検を待機して一般医での経過観察が可能かを決定するうえで参考となることを述べていく.
-
-
コンサルテーション・スキル
-
-
-
臨床ノート:症例から学ぶピットフォール
-
-
-
View Spot
-
-
-
TOPICS
-
-
治療成績良好な遺伝子型2型または3型の HCV に対するペグインターフェロンα2a+リバビリン併用療法の投与期間を短縮できるか?
101巻4号(2008);View Description Hide Description -
-
-
Research 最前線
-
-
-
Photo Report
-
-
-
臨床経験
-
-
-
症例
-
-
-
Book Review
-
-