内科
Volume 107, Issue 3, 2011
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特集【疾患診療の最前線―難治疾患のよりよいマネジメントのために】
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<Editorial> 胆膵疾患診療の最前線―注目されつつある難治疾患への intervention と follow-up
107巻3号(2011);View Description Hide Description胆膵疾患は,難治癌である胆膵癌をはじめとして難治疾患が多く,良性疾患といえども一気に急変してショックに陥りやすい疾患が多い.胆膵疾患の専門的診療は,使用する内視鏡やデバイスが特殊かつ多彩であり,疾患のバラエティに富み,また高度な専門的技術を要するものも多い.消化器症状を訴える患者の中には,消化管疾患・肝疾患のみでなく胆膵疾患が潜んでいることを決して忘れてはならず,その可能性を疑って積極的に腹部超音波を行い,専門医へと連携することが重要である.胆膵疾患は消化器疾患の中で消化管疾患・肝疾患に次ぐ第三の領域であったが,最近注目されるようになってきている.胆膵癌は高危険群の設定が困難であるが,胆膵疾患の適切な followupにより早期発見につながる可能性があり,そのため胆膵領域の疾患や検査をより広く知ってもらうことが重要である. -
<Special Article> 胆膵癌実地臨床の最前線―膵・胆道癌の診断と治療
107巻3号(2011);View Description Hide Description膵・胆道癌の早期診断のためには,ハイリスク群を設定し注意深く経過観察する必要がある.膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)は膵癌のリスクファクターであるとともに前癌病変でもある.軽微な症状や軽度の検査異常を契機に患者を拾い上げ,種々のモダリティを併用して適切な胆道ドレナージを行いながら速やかに診断を進める必要があるため,膵・胆道癌の診断には高い専門性が求められる.膵腫瘍に対する EUS-FNA の診断能は高く,膵癌診療において非常に有用である.また,胆道癌に対する EUS-FNA の診断能も良好である.膵・胆道癌の外科治療は,病変部位や進展度に応じてさまざまな切除術式がある.適切な術式を選択するためにも正確な術前診断が重要である. -
<Special Article> 「胆石」診療の最前線
107巻3号(2011);View Description Hide Description胆石には胆嚢結石,胆管結石,肝内結石があり,それぞれ治療方針が異なることから臨床上区別して取り扱う必要がある.胆嚢結石の無症状例では経過観察が可能である.急性胆嚢炎を含め有症状の胆嚢結石では胆嚢摘出術が推奨され,腹腔鏡下胆嚢摘出術が広く行われている.胆嚢結石例では,まれに胆嚢癌の合併がみられるため注意が必要である.胆管結石では,経乳頭的な内視鏡治療が多くの施設で実施されている.胆管結石治療後の有石胆嚢は,放置すると胆道系の合併症を発症する可能性が高いことから摘出が勧められている.胆嚢結石を合併した胆管結石では,腹腔鏡下または開腹下に一期的に外科治療を実施する施設もある.肝内結石では胆管狭窄を伴うことが多いが,手技の進歩に伴い経乳頭的な内視鏡治療が可能な症例も報告されている.肝内結石には肝内胆管癌の合併率が高いことから,十分な精査が求められる.悪性腫瘍の合併が否定できない例や肝葉の萎縮を伴う例では外科的治療を検討する. -
≪胆膵疾患の症候・検査値からのアプローチ≫ 黄疸の患者をみたときに
107巻3号(2011);View Description Hide Description黄疸は肝胆膵領域の代表的な症候であるが,消化器疾患ばかりでなく先天性疾患や血液疾患など,その発生機序は多岐にわたるため,治療に際しては黄疸の成因に関連するビリルビンの代謝を理解し,黄疸に付随する徴候や検査所見を理解することで,その成因を正確に診断する必要がある.とくに肝胆膵疾患で認められる閉塞性黄疸は,各種画像所見から閉塞部位や閉塞機転の診断を行うとともに,その病態生理を十分に理解することが重要である.また閉塞性黄疸は,急性閉塞性化膿性胆管炎などの重篤な合併症を引き起こす可能性があり,迅速な診断と減黄を主とした緊急処置およびその後の治療のため専門施設での加療が必要である. -
≪胆膵疾患の症候・検査値からのアプローチ≫ 腹痛の患者をみたときに
107巻3号(2011);View Description Hide Description腹痛は消化器疾患の一般的な症状であり,診断の契機となると同時に,重症度なども反映する重要な病態である.腹痛を呈する疾患としては胃腸などの管腔臓器が多いが,胆膵疾患においても頻度は高く,特徴のある腹痛をその機序から理解しておくことが必要である.診断にあたっては腹痛の部位,性状,誘因,増悪または軽快する要因,随伴所見などについての問診を行い,腹部の触診,聴診を注意深く行うことが重要である.腹痛からみた胆膵疾患診断のポイントは,①胆膵疾患が想定される問診,理学所見を理解する,②他の臨床所見を参考にする,③胆道癌,膵癌では腹痛がみられないこともあり,とくに早期での頻度は高くない,といったことを念頭に置いて診療を行うことが有用である. -
≪胆膵疾患の症候・検査値からのアプローチ≫ 胆膵疾患を疑う検査値異常
107巻3号(2011);View Description Hide Description胆道疾患を疑う検査値異常としては,第一に肝機能異常があげられる.肝機能異常は,胆汁の流出障害を背景とする病態で生じる.膵疾患を疑う検査値異常は,第一に膵酵素値上昇である.膵酵素は膵炎など炎症疾患のみならず,膵癌など悪性疾患でも上昇しうる.膵・胆道癌の腫瘍マーカーは共通している.個々の腫瘍マーカーの特徴を踏まえた,適切なコンビネーションアッセイで,正診率を高めることができる.疾患の正しい診断には,検査値異常のみならず,適切な画像診断の施行と解釈が重要となる. -
≪胆膵画像診断の進歩≫ 腹部超音波の有用性とその限界
107巻3号(2011);View Description Hide Description腹部超音波検査は使えば使うほど理解が増し診断に役立つ便利な道具である.腹部超音波の利点は,非侵襲性と簡便性である.腹部超音波検査には,機械の問題(アーチファクトの存在と分解能の限界),観察に死角があること,の 2 つの絶対的な問題がある.相対的には,術者依存性があげられる.機械の特徴と観察の死角をよく理解して,「聴診器代わり」として使いこなしたいものである.超音波用造影剤ソナゾイドの登場により,血流評価が可能になった.腹部超音波の血流評価は他の画像診断装置よりも時間分解能に優れており,得られる情報は多いが,保険適用は肝腫瘍精査であるため,用いる場合は倫理委員会の承認を得る必要がある. -
≪胆膵画像診断の進歩≫ CT・MRI・PET による診断の進歩
107巻3号(2011);View Description Hide Description従来の画像診断はマクロ解剖を目標とした「形態画像」であったが,現在の画像診断の潮流は「機能診断」を目指して進歩している.CT における最近の進歩は,検出器の多列化・高速化である.全身の撮像が数秒で可能となり,高分解能の三次元画像が広範囲で得られるようになった.現在は被曝線量の低減化と dual energy imaging が研究の最前線である.MRI における最近の進歩は,拡散強調画像の臨床応用と高磁場(3 テスラ)MRI の登場である.上腹部では新たな肝特異性造影剤である Gd-EOB-DTPA の発売もトピックといえる.PET における最近の進歩は,PET/CT の登場とほぼすべての悪性腫瘍における FDG の保険適用である.新しい薬剤の開発や MRI との一体型システムも研究されている. -
≪胆膵画像診断の進歩≫ 超音波内視鏡でどこまでわかるか
107巻3号(2011);View Description Hide Description超音波内視鏡検査(EUS)は,胃・十二指腸壁を介して至近距離から膵および胆嚢・胆管を観察できる検査法であり,精度の高い画像が得られることから,膵胆道疾患の鑑別診断や癌の病期診断などに役立っている.細径超音波プローブを膵管・胆管に挿入して行う管腔内超音波検査(IDUS)も,胆管癌や乳頭部癌の深達度・進展度診断に利用されている.さらに最近では,三次元 IDUS,造影超音波検査,elastography といったこれらを発展させた検査法も登場し,その適応および有用性が検討されている. -
≪胆膵疾患のマネジメント―胆膵癌を見据えて≫ 胆嚢ポリープ・胆嚢腺筋腫症
107巻3号(2011);View Description Hide Description胆嚢ポリープの大部分はコレステロールポリープである.胆嚢ポリープの鑑別すべき病変として,コレステロールポリープ,炎症性ポリープ,過形成性ポリープ,胆嚢腺筋腫症などの非腫瘍性病変と,腺腫,癌などの腫瘍性病変がある.胆嚢ポリープのうち 10 mm を超えるもの,内部エコーが低エコーを呈するもの,広基性のもの,短期間のうちに増大傾向を有するものは腫瘍性(癌または腺腫)を考慮する.胆嚢腺筋腫症は病理学的に RAS および周囲の平滑筋細胞の壁内増生による胆嚢壁の肥厚を主体とする病変である.胆嚢腺筋腫症の診断には,壁肥厚と RAS を画像所見で捉えることが重要である.RAS を認めても胆嚢粘膜面の不整がある場合は,癌の合併も考慮する. -
≪胆膵疾患のマネジメント―胆膵癌を見据えて≫ 膵・胆管合流異常
107巻3号(2011);View Description Hide Description膵・胆管合流異常症(合流異常)は,膵管と胆管が十二指腸壁外で合流する先天性疾患である.一般的には膵液の胆管内逆流により胆道癌が高頻度に発生することがよく知られている.とくに,胆管非拡張型では胆嚢癌の発生頻度が高い.近年,合流異常ではないが,5 mm 以上の長い共通管を有する正常合流例においても膵液の胆管内逆流現象がしばしばみられることが明らかとなってきた.これらは,膵・胆管高位合流(高位合流)とも呼ばれ,高率に胆嚢癌が発生するとの報告がある.合流異常や高位合流に特異的症状はないが,腹部超音波検査により胆嚢壁のびまん性の内側低エコー層肥厚をみた場合,これらの疾患の存在を疑いさらなる精査を行うべきである. -
≪胆膵疾患のマネジメント―胆膵癌を見据えて≫ 硬化性胆管炎
107巻3号(2011);View Description Hide Description硬化性胆管炎は原発性硬化性胆管炎(PSC),二次性硬化性胆管炎に分類される.近年は IgG4 関連硬化性胆管炎が独立した疾患概念として提唱されている.PSC の診断には,ERCP・MRCP による胆管所見がもっとも重要である.PSC に合併した胆道癌の半数近くは PSC の診断と同時期,あるいは診断後 1~2 年に発見されている.PSC では無症状でも大腸内視鏡検査を行うべきである.PSC に合併する炎症性腸疾患は非典型例が多く,大腸癌の発症リスクが高い.IgG4 関連硬化性胆管炎には比較的高齢,血清 IgG4 高値,自己免疫性膵炎(AIP)や糖尿病・全身にわたる合併症の存在などの特徴があり,ステロイドが奏効する.IgG4 関連硬化性胆管炎の診断にも胆管所見が重要である. -
≪胆膵疾患のマネジメント―胆膵癌を見据えて≫ 急性膵炎
107巻3号(2011);View Description Hide Description急性膵炎は,良性疾患であるが,輸液,疼痛除去を中心とした保存的治療で軽快する軽症膵炎から,多臓器不全を併発し急激に死亡への転機をとる重症膵炎まで幅広くみられる.現在でも難治性疾患として,厚生労働省の難治性疾患克服事業として取り扱われている.このような疾患の診療は,『急性膵炎診療ガイドライン 2010』に沿って行われることが望ましい.このガイドラインが今回改訂された根拠は,2008 年厚生労働省科学研究班によって「重症度判定」が従来のものと異なり,新たなる基準に全面的に改訂されたことである.重症度が予後因子のみで判定できるのが今回のもっとも大きな改訂であり,それに造影 CT grade を加えると死亡率が予測できるのも特徴である. -
≪胆膵疾患のマネジメント―胆膵癌を見据えて≫ 慢性膵炎
107巻3号(2011);View Description Hide Description慢性膵炎患者の平均寿命は一般人に比べて 10~16 歳短く,死亡原因としては悪性腫瘍,とくに膵癌の合併頻度が高い.慢性膵炎の長期予後を改善するためには,早期診断による病態の進展抑制が大切である.断酒,禁煙など生活習慣の改善と食事指導を治療の基本とする.膵炎の鎮静化と再燃防止を目指した薬物療法,ESWL および膵管ステント留置などの内科的膵管減圧,外科治療によって膵炎進展の抑制を図る.慢性膵炎患者を消化器癌や肺癌の高危険群と捉え,癌の早期発見に努める.慢性膵炎の診断,治療の詳細については,2009 年に公表された「慢性膵炎臨床診断基準 2009」,『慢性膵炎診療ガイドライン』,2010 年の「慢性膵炎の断酒・生活指導指針」が役立つ. -
≪胆膵疾患のマネジメント―胆膵癌を見据えて≫ 自己免疫性膵炎―診断と治療の要点
107巻3号(2011);View Description Hide Description臨床所見としては膵臓の腫大,膵管狭細像,血清 IgG4 の高値,組織所見としてはリンパ球や形質細胞の浸潤と線維化が重要である.さまざまな膵外病変をきたすが,硬化性胆管炎,後腹膜線維症,硬化性唾液腺炎はとくに頻度が高い.膵機能の保持,再燃予防,確実な診断,という観点からは無症状例もステロイド治療の適応となりうる.ステロイドの維持療法をどの程度行うか否かは統一見解がないが,再燃は 3 年以内に起きることが多く,3 年が一つの目安とされている. -
≪胆膵疾患のマネジメント―胆膵癌を見据えて≫ 膵嚢胞性疾患
107巻3号(2011);View Description Hide Description膵嚢胞性腫瘍でもっとも頻度が高いのは IPMN であり,SCN,MCN はまれである.腫瘍の悪性頻度の高いのは IPMN,MCN であり,IPMN・MCN 国際診療ガイドラインの切除適応が目安となる.IPMN,膵嚢胞ではその腫瘍・病変が良性であっても,別件にて通常の膵癌が発生することがあり,膵癌高危険群であることを念頭に経過を追う必要がある. -
≪胆膵検査・治療の進歩≫ 膵癌・胆道癌化学療法の最前線
107巻3号(2011);View Description Hide Description膵癌の標準治療は gemcitabine(GEM)単独治療であり,切除不能例だけでなく術後補助療法としても広く用いられている.これまで GEM と新しい治療法の第Ⅲ相試験が数多く行われてきた.最近,切除不能膵癌に対し,FOLFIRINOX 療法が GEM に比べ明らかな予後の改善が得られたと報告された.わが国では,S-1 や GEM+S-1 併用療法による大規模な第Ⅲ相試験が行われ,結果が待たれている.切除不能胆道癌においては,GEM と GEM+cisplatin 併用療法(GC 療法)との比較試験により,GC 療法が標準治療と位置づけられている.胆道癌術後補助療法としての標準治療は確立していないが,GEM やS-1 などを用いた臨床試験が行われている. -
≪胆膵検査・治療の進歩≫ 胆道ドレナージの最前線―成因・部位に応じたドレナージと新しい治療手技
107巻3号(2011);View Description Hide Description胆道ドレナージの目的は,胆道感染コントロールと胆管狭窄に対する減黄である.ドレナージ方法は外科的ドレナージと ERCP による内視鏡的ドレナージ,PTBD による経皮的ドレナージに大別され,QOL の面で優れた内視鏡的ドレナージが選択されることが多い.切除不能・中下部悪性胆道閉塞では,covered metallic stent が第一選択である.切除可能・膵癌による閉塞性黄疸では,術前ドレナージの是非が議論されている.肝門部悪性胆道閉塞では,治療方針によるドレナージ方法・領域が異なるため,専門施設において外科医と相談のうえ,ドレナージ方法を決定する必要がある.ERCP によるアプローチ困難例では,超音波内視鏡ガイド下胆管ドレナージが開発され,今後発展が期待されている. -
≪胆膵検査・治療の進歩≫ Interventional EUS とその応用
107巻3号(2011);View Description Hide Descriptioninterventional EUS とは,超音波内視鏡ガイド下に消化管内から消化管壁内や消化管近傍の対象物を穿刺する手技の総称であり,診断および治療に応用されている.診断としての EUS-FNA は膵病変や食道・胃十二指腸粘膜下腫瘍,縦隔腫瘍,腫大リンパ節などに対し,安全かつ確実な生検法である.治療として各種ドレナージ術,薬剤注入療法,特殊デバイスを用いた穿刺治療に応用されており,今後も限りない可能性を秘めている. -
≪胆膵検査・治療の進歩≫ 胆膵悪性腫瘍による gastric outlet obstruction(GOO)に対する消化管ステント留置術
107巻3号(2011);View Description Hide Description胆膵癌では胆道閉塞を高率にきたすが,非切除例の 10~20% では経過中に gastric outlet obstruction(GOO)も生じる.GOO に対する姑息的治療法として,胃空腸吻合術に代わり,ステント留置術が広く行われるようになった.GOO 症例は前終末期であることが多く,低侵襲性治療であるステント留置術の意義は高い.ステント留置術は through-the-scope(TTS)法により容易となったが,胆管ステントなどを配慮した留置法が望まれる. -
≪胆膵検査・治療の進歩≫ ダブルバルーン ERCP
107巻3号(2011);View Description Hide DescriptionERCP が胆膵疾患の診断・治療において果たす役割は大きいが,胃切除 Roux-en-Y 再建後,膵頭十二指腸切除術後,胆管空腸吻合術後などの術後再建腸管を有する症例では,通常の十二指腸スコープを用いたERCP は困難であった.ダブルバルーン内視鏡の登場により,術後再建腸管を有する胆膵疾患症例においても,種々の治療を目的とした ERCP が積極的に行えるようになった.今後もダブルバルーン ERCP の需要は増えていくものと思われ,治療効率や成功率を上げるために,さらなる処置具の開発や内視鏡の改良が望まれる. -
≪トピックス≫ 遺伝子改変マウスによる膵発癌モデル
107巻3号(2011);View Description Hide Descriptionヒト膵癌にみられる遺伝子異常やシグナル伝達系の異常をマウスの膵臓に導入(膵臓特異的遺伝子改変)することにより,通常型膵癌をよく近似する膵発癌モデルが得られるようになった.恒常活性型 Kras が生理的なレベルで膵臓に発現すると,前癌病変である PanIN(pancreatic intraepithelial neoplasia)が生じる.恒常活性型 Kras の発現に p16 ,p53 ,TGF-βシグナルなどの腫瘍抑制シグナルの不活性化が加わると著明な間質の増生・線維化を伴う管状腺癌を呈する.これら遺伝子改変マウス膵発癌モデルは,とくに生体内における腫瘍の微小環境が保たれている点で,従来の xenograft モデルに比べ,臨床の膵癌像に非常に近いモデルといえる.臨床像に近い遺伝子改変マウス膵発癌モデルを用いることで,膵癌の病態理解,新たな診断・治療法の確立,膵癌の起源細胞の解明等において実臨床に有用な知見が得られることを期待する. -
≪トピックス≫ 糖尿病と膵癌
107巻3号(2011);View Description Hide Description糖尿病は膵癌の高リスク群である.糖尿病発症や増悪が膵癌の診断契機となることはよく知られているが,日常的に遭遇する現象であるため,安価で安全かつ有用な膵癌スクリーニング法が必要とされる.スクリーニングには腫瘍マーカーと腹部超音波検査が用いられ,腹部超音波検査は膵体部に限っては小膵癌でさえも高率に検出でき,腫瘍マーカーも 5~8 割の感度をもつ.膵頭部・尾部の癌や早期膵癌の発見には課題を残すが,初発・増悪期に限らない定期的な腫瘍マーカー計測と腹部超音波検査が患者の予後を改善する可能性は十分にある.ただし,早期膵癌を高率に発見するスクリーニング法としては,PAM4を含めた新規腫瘍マーカーの開発に期待するほかない. -
≪トピックス≫ 胆膵疾患における NOTES の可能性
107巻3号(2011);View Description Hide DescriptionNOTES はその登場から 5 年が経過し,さまざまな外科手技への応用の可能性が議論され,臨床応用もすでに始まっているものの,いまだ一定の評価は得られていない.基礎実験では Swain らのグループが経胃ルートによる胆* 摘出の feasibilitystudy をはじめて報告し,2007 年以降,フランス,米国と相次いで NOTES 胆* 摘出術の臨床応用が報告され,わが国でもすでに臨床例が報告されている.マルチタスキングプラットフォームの登場により,従来の軟性内視鏡ではできなかった複雑な操作が可能になるものと期待もされているが,保険や新規医療機器の認可の問題,単孔式腹腔鏡の登場などにより,pureNOTES の臨床応用は混沌とした状況にある. -
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診断力をみがくイメージトレーニング
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目でみる症例
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診療 controversy―medical decision making のために
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臨床ノート:症例から学ぶピットフォール
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View Spot
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Photo Report
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臨床経験
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Insulin detemir による BOT(basal supported oral therapy)の施行経験
107巻3号(2011);View Description Hide Description -
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症例
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Book Review
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正しい方法がわかる臨床基本手技II(DVD-ROM付) from The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE
107巻3号(2011);View Description Hide Description
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