内科
Volume 120, Issue 2, 2017
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特集【認知症1,000 万人時代を目前に控えて―最新の診断,マネジメント,そして分子標的治療へ】
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- 特集のねらい
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- 認知症医療のブレイクスルー:Overview
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認知症疾患診療ガイドライン改訂のポイント
120巻2号(2017);View Description Hide Description▪ 本邦の認知症に関する診療ガイドラインは2002 年に初めて作成され,2010 年に改訂された.▪ donepezil のみがAlzheimer 型認知症の治療薬として使用可能であったが,2011 年になり新たに3 つの薬剤が上市され,Alzheimer 型認知症の治療薬選択アルゴリズムを加えて2010 年版のコンパクト版が2012 年に発刊された.▪ 2014 年に診療ガイドラインの改訂が決定され,前回同様に認知症関連6 学会による改訂が行われた.認知症の治療のほかに診断,ケア,諸制度や社会資源の活用など認知症に関する情報が記載された認知症疾患診療ガイドラインとして改訂された.▪ 改訂ガイドラインは一般の医師を想定して作成されたものであり,日常診療に役立つことを大いに期待したい. -
新しい診断法 タウPET
120巻2号(2017);View Description Hide Description▪ 近年実用的な技術が開発されたタウPET は,多くの変性性認知症の脳内に認められるタウ病変を生体内で可視化する画像検査である.すでに複数のタウPET 用薬剤が研究利用されており,検査の感度・特異度・汎用性を高めるための新たな薬剤開発も進んでいる.▪ 脳内タウ病変は神経障害に密接に関与していることが示されつつあり,タウPET は客観的な重症度評価の指標として,さらに認知症の進行抑制を目的とした新規認知症治療薬開発における薬効評価の指標として,重要な役割を担うものと期待されている.▪ 近未来の認知症診療において,タウPET は認知症の早期鑑別診断に寄与するのみならず,認知症進行抑制薬使用におけるコンパニオン診断薬としての役割が期待される. -
Alzheimer 病の疾患修飾薬の開発状況 米国での研究の枠組みを学んで
120巻2号(2017);View Description Hide Description▪ 現在臨床開発が進んでいる主な疾患修飾薬は抗Aβ抗体とBACE1 阻害薬である.▪ バイオマーカーを用いて被験者を選択することによって,治験の対象はAD からMCI,さらにはプレクリニカルAD へと早期化している.▪ 総力をあげた治験により,まずはアミロイド仮説の証明を目指す.それにより,将来はテーラーメイド医療が可能になるか期待されている. - 認知症診療の最前線
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高齢者の薬物治療の注意点
120巻2号(2017);View Description Hide Description▪ 高齢者では薬物有害事象の頻度が高く,薬物動態の加齢変化とポリファーマシーが二大要因である.▪ 認知機能低下などのコミュニケーション能力の低下は服薬アドヒアランスの低下につながるため,評価と対策を十分に行う.▪「 特に慎重な投与を要する薬物のリスト」には高齢者で使用を控えるべき薬物が列記されており,認知機能低下をきたしやすい薬物も含まれる.▪ベンゾジアゼピン系睡眠薬・抗不安薬と抗コリン系薬物にはとくに注意を要する. -
若年性認知症の現状
120巻2号(2017);View Description Hide Description▪ 若年性認知症とは,医学的には65 歳未満で発症した認知症を表すが,制度利用上は利用時点で65 歳未満の認知症を指している.▪ 発症年齢が若いとまさかという思いが生じること,高齢者と比較してAlzheimer 型認知症が少なく背景となる疾患が異なるなど,本人,家族も病気を受け入れがたい.▪ 就労や育児を担う配偶者や高齢の両親,ときには未成年の子供が介護者となりうるため負担が大きい.▪ 介護保険は,40 歳未満ならびに,40~64 歳では特定疾患に該当しないと利用できない.利用できても高齢者のためのサービスにはなじめないことが多い.▪ 居場所,生きがい,経済的課題など高齢期とは異なる幅広い種々の生活課題が生じうる. -
BPSD の薬物治療
120巻2号(2017);View Description Hide Description▪ BPSD に対する薬物治療は,適切な対応法や非薬物療法では治療困難な場合,ただちに症状を軽減させる必要がある場合などに行う.▪ ただしAlzheimer 病とLewy 小体型認知症のBPSD の一部は,抗認知症薬によって改善可能であるため,早期診断に基づいてこれらの薬剤を早期から投与することがBPSDの治療にもなりうる.▪ 焦燥性興奮,不安,幻覚,妄想に対しては非定型抗精神病薬の使用が可能であるが,これらの薬の使用の際には,適応外使用であること,有害事象が起こりうることなどを本人と家族に説明し,治療も協同する必要がある.▪ 現在,本邦では「かかりつけ医のためのBPSD に対する向精神薬使用ガイドライン(第2 版)」が公開されており,参考になる. -
BPSD の非薬物療法
120巻2号(2017);View Description Hide Description▪ BPSD には,認知機能障害(認知症状ないしは中核症状)の二次的症状(環境要因などの影響が大きい症状)と,認知機能障害そのものがある.▪ 非薬物療法としてのBPSD 治療介入の手法は,心理学的なもの,認知訓練的なもの,運動や音楽療法等芸術的なものに大別される1).そのほかに,診察室での対応や家庭・施設でのケア,社会資源の活用も含まれる.▪ 非薬物療法の対象は患者本人のみならず介護者も含む.とくに主たる介護者が家族である場合には,診療の際に介護の技術・情報を介護者に教授することや,本人の気持ちを汲み取ってやさしく寄り添う支援策を教授することが,BPSD の予防や改善に有用である. -
終末期医療 認知症患者のよりよい最期を迎えるために
120巻2号(2017);View Description Hide Description▪ 終末期医療の目的は,生命維持によって本人のよい人生が当面続くことと,本人が残された時間をできるだけ快適に過ごせることである.▪ 終末期の医療やケアについての意思決定に際しては,厚生労働省や日本老年医学会のガイドラインに準拠して,その行為が何を目指すのか,何が本人にとっての最善かを本人や家族と医療ケアチームが話し合い,決定をすることが重要である.▪ 本人にとっての最善を探るために,本人や家族と医療ケアチームが話し合うプロセスこそが,本人や家族にとっての重要な支えとなり,質の高い支援とよりよい成果につながるだろう. -
認知症高齢者の包括的な診療体制の構築
120巻2号(2017);View Description Hide Description▪ 認知症医療では,認知症の診断だけではなく,認知症に合併するさまざまな療養上の問題に対して包括的な取り組みを行う.▪ 認知機能の維持,生活機能障害への支援,行動・心理症状(BPSD)への対応,老年症候群(身体疾患)の予防,介護負担の軽減,本人の医療参加,地域での生活を支える情報の提供が課題である.▪包括的診療を行うための評価として,高齢者総合機能評価は有用である.▪ 高齢者認知症では,転倒・骨折,誤嚥,咀嚼障害,低栄養,フレイル,サルコペニア,尿失禁などの身体疾患を合併することが多い.▪介護者や家族のケアのために家族教室は有効である. -
兵庫県ならびに神戸市における認知症診療体制の現状
120巻2号(2017);View Description Hide Description▪ 兵庫県と神戸市の認知症患者の早期発見を目指した体制を紹介した.▪ 認知症対応医療機関として,14 の認知症疾患医療センターを中心とした専門医療機関に加えて,身近型の認知症対応医療機関を定めリストを関係部署に配布している.▪ 神戸大学医学部附属病院の認知症疾患医療センターが神戸市中央区の認知症初期集中支援事業を受託し,本事業を行った.▪ チーム員会議に専門医が参加し,必要な場合には当センターの専門外来を速やかに受診可能とするなど,連携を強化した.一方でチーム員会議の構成員の育成が課題であることを指摘した. -
認知症診療における認知症カフェの役割
120巻2号(2017);View Description Hide Description▪ 新オレンジプランで2018 年を目途に全国に認知症カフェを整備していくという指針が示されている.▪認知症カフェは日本独自の認知症ケアの形として発展している.▪ カフェという名のもと,自由度があるという長所が存分に生かされている面もあるが,形が定まっていないため,その運営や意義をどう考えるかが難しい面もある. -
認知症予防 生活習慣病の治療で認知症を防ぐ
120巻2号(2017);View Description Hide Description▪ 日本を含めた先進諸国は超高齢化社会を迎え,Alzheimer 病をはじめとする認知症患者の急激な増加が社会問題となってきている.▪ また,高血圧,糖尿病,脂質異常症,肥満などの生活習慣病とそれによって引き起こされる血管病変が,Alzheimer 病などの認知症の発症,増悪に大きく関与することが近年明らかになってきている.▪ さらには,中年期の生活習慣病を治療することが,認知症予防や増悪抑制につながることを示す知見も最近報告されてきている.▪ 当科で行った検討でもスタチンやtelmisartan が脳血管保護効果を示しており,今後認知症発症予防への臨床応用が期待できる. -
運動と認知症 運動による認知機能への効果とは?
120巻2号(2017);View Description Hide Description▪ 運動や活動的なライフスタイルが認知症の発症予防や進行抑制に効果的とする研究報告は多い.▪ 運動の有効性については神経系,循環器系,運動系などに対して種々の要因があげられ,おそらくこれらが複合的に作用しているものと考えられる.▪ 運動介入によるRCT は少なく,どのような運動がより有効かなど今後明らかにすべき課題は多い.▪ 高齢の認知症者はフレイルを合併しやすく,介護予防という観点においても運動からの対応が重要である. - 非Alzheimer 型認知症の病態研究の最前線
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前頭側頭葉変性症
120巻2号(2017);View Description Hide Description▪ 前頭側頭葉変性症(FTLD)は前頭葉や側頭葉前方に病変の主座を置く変性性認知症の総称である.▪ その分類や呼称には変遷があったが,現在では多様な背景病理をもつヘテロジニアスな疾患群とされている.▪ 臨床症候群としてbvFTD(behavioral variant FTD),nfvPPA(nonfluent‒variant PPA),svPPA(semantic‒variant PPA)の3 つの類型に大分される.▪ 中核となるbvFTD はとくに若年発症例ではまれではなく,脱抑制や常同行動,自発性の低下といった特徴的な行動症状を呈するため,高い介護負担が強いられる.▪ 現時点では有効な治療薬が確立されておらず,介護者支援を含めた非薬物的な介入が重要である. -
正常圧水頭症
120巻2号(2017);View Description Hide Description▪ 特発性正常圧水頭症は歩行障害,排尿障害を伴う,治療可能な認知症である.▪歩行障害は9 割に認められ,広基性,すり足,小刻みを特徴とする.▪DESH と呼ばれる特徴的な画像所見は診断に有用である.▪脳脊髄液シャント手術が有効で,VP シャント,LP シャントが選択される.▪ 水頭症術後患者での症状悪化ではシャント機能不全を疑い早期の専門科受診が望ましい. -
てんかんと認知症
120巻2号(2017);View Description Hide Description▪ 高齢者数が増加しているが,それに伴い高齢発症てんかん患者が増えている.▪ 高齢発症てんかん患者は物忘れ外来を受診することがあり,認知症との鑑別が必要となる.▪高齢者てんかんの特徴は,多くが部分発作でしかも痙攣発作が少ない.▪一方,抗てんかん薬で容易に抑制される傾向にある.▪ 側頭葉てんかんの割合が高く,短時間の脳波検査スクリーニングでは異常が検出されないことも多く,繰り返し脳波検査を行うこと,発作後早期に脳波検査を行うことで,検出率を高めることができる.長時間ビデオモニタリング脳波は,てんかん発作のビデオと脳波を同時記録できることから診断に有用である.▪ てんかん性高次脳機能障害は非痙攣性てんかん重積状態(NCSE)によるものが多いが,診療状況によってはNCSE の診断ができない場合もある. -
血管性認知症と脳アミロイド血管症
120巻2号(2017);View Description Hide Description▪ 血管性認知症(VaD)は脳の血管病変に伴い認知機能低下を示す症候群でありさまざまな病態が関与している.▪ Alzheimer 病との関連が示唆され,その機序の一つに脳アミロイド血管症が示唆されている.▪ 重要な危険因子は高血圧であり,そのほか糖尿病,脂質異常症などの管理が必要とされる.さらには認知機能トレーニングや運動が認知症の発症予防に重要であり,包括的な管理の必要性が示されている.▪ 薬物治療は,血管因子管理のほか,抗認知症薬の有効性が種々のガイドラインで示されているが,保険適用がないことに留意する. -
Creutzfeldt‒Jakob 病
120巻2号(2017);View Description Hide Description▪ プリオン病は異常プリオン蛋白が脳に蓄積して発症する急速進行性の致死性難病であり,異常プリオン蛋白を感染因子とする感染性疾患でもあるため,5 類感染症に指定されている.▪ プリオン病には孤発性,遺伝性,獲得性(感染性)の3 種類があり,最も多いのは古典型孤発性であり,急速進行性の認知症,四肢のミオクローヌス,小脳失調,錐体路徴候,錐体外路徴候,3~6 ヵ月で無動性無言にいたる経過,MRI 拡散強調画像上の大脳皮質と基底核の高信号,脳波上のPSD などを呈する.▪本邦では硬膜移植CJD 例や比較的進行が遅い遺伝性CJD がほかの国と比較して多い.▪ 臨床症状,画像・髄液検査,遺伝子検索により的確な診断を下すことが,病態の解明,二次感染予防,心理サポート等において重要である.▪診療の際には,正確な知識を基に適切な感染対策を行う必要がある. -
Lewy 小体病
120巻2号(2017);View Description Hide Description▪ Lewy 小体とは,α‒synuclein を主構成成分とした病理構造物である.▪ Lewy 小体型認知症(DLB)は,変動する認知障害,幻視,パーキンソニズム,レム睡眠行動障害(RBD)などを主症状とする.▪ DLB の診断には2005 年に改訂された診断基準が用いられてきたが,2017 年6 月に新基準が提唱された.▪ うつ症状,幻覚・妄想症状,心気症状などの精神症状や,RBD,自律神経症状,嗅覚障害などが前駆期や早期からしばしばみられる.▪ 認知障害治療薬としてコリンエステラーゼ阻害薬が承認されている.▪行動・心理症状(BPSD)に対して抑肝散や抑肝散加陳皮半夏が有効な場合がある.▪非定型抗精神病薬の過敏性には要注意である. -
嗜銀顆粒性認知症
120巻2号(2017);View Description Hide Description▪ 嗜銀顆粒性認知症(DG)はとくに高齢者では非常に多い疾患である.▪ 認知症というより,頑固・易怒性が強い性格と認識されることが多いが,基質的疾患であるという「気づき」により,本人・介護者の精神的な負担の改善が見込まれる.▪ 左右差を伴う側頭葉内側面の前方の血流・代謝の低下や,萎縮が画像上の診断のポイントになる. - 認知症の根本治療へ向けたコホート研究,治験,仕組みづくりに今必要なこと
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常染色体優性遺伝性Alzheimer 病の発症前観察および介入研究 DIAN 研究
120巻2号(2017);View Description Hide Description▪ DIAN 観察研究は,家族性Alzheimer 病患者の発症前の脳内バイオマーカーの変化を明らかにした.▪ 日本においてもワシントン大学の承認を得て,国際共同研究としてのDIAN‒J 研究が開始された.▪ 米国では2013 年からDIAN‒TU という治療介入研究が始まっている.2017 年からは次期のDIAN‒TU 研究が始まる予定で,日本も参加すべく準備中である. -
preclinical AD とA4 研究
120巻2号(2017);View Description Hide Description▪ Alzheimer 病(AD)の病態仮説であるアミロイド仮説に基づき,AD の進行過程におけるMCI due to AD(ADによる軽度認知障害)に先行する病期としてpreclinical AD が提唱されている.▪ preclinical AD は,各種バイオマーカーにより脳内アミロイド蓄積が示唆されるが,認知機能はほぼ正常範囲に留まる時期を指す研究的診断区分である.▪ A4 研究は官民連携体制により研究が運営される世界的な多施設共同研究であり,preclinicalAD を対象に治療介入を行う先進的な研究である.▪ A4 研究では認知機能検査やアミロイドPET 等でpreclinical AD に当たる症例を見出し,抗アミロイド抗体であるsolanezumab を継続投与して認知機能低下の抑制効果やバイオマーカーへの影響などを検証する. -
軽度認知障害に対するcilostazol の投与 COMCID 研究
120巻2号(2017);View Description Hide Description▪ cilostazol は,血小板のホスホジエステラーゼⅢを抑制し,血小板凝集を抑制する脳梗塞予防薬である.▪ 加えて,cilostazol は,血管平滑筋のホスホジエステラーゼⅢを抑制し,血管拡張により脳血流を上昇させる「血管作動性」を有する.▪ cilostazol はこの血管作動性により,アミロイドβの脳外排泄を促進し,認知機能を改善することが前臨床試験で示されている.▪ 過去の臨床研究で,cilostazol はミニメンタルステート検査スコア(MMSE)の低下を抑制したことが報告されている.▪ ドラッグ・リポジショニングを目指し,軽度認知障害(MCI)に対しcilostazol を投与する医師主導治験COMCID 研究が行われている. - トピックス
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認知症の画像診断
120巻2号(2017);View Description Hide Description▪ 画像診断は,認知症における補助診断の一つに過ぎない.▪形態画像診断の意義は,脳血管性認知症以外の疾患が隠れていないか探すことにある.▪ 形態画像のみならず,機能画像を用いると認知症の本質的な病態により迫ることができる.▪MRI でも脳血流やglymphatic system などの機能的評価を行える.▪頭部の画像診断で異常所見を認めなくても,認知症を否定したことにはならない. -
認知症の検体検査バイオマーカー
120巻2号(2017);View Description Hide Description▪ 脳内病理を反映する脳脊髄液バイオマーカーの変化がAlzheimer 型認知症および軽度認知障害のNIA‒AA 診断基準(2011 年)に取り入れられている.▪ 脳脊髄液中アミロイドβ42,総タウ,リン酸化タウの測定がAlzheimer 型認知症の補助診断および軽度認知障害からAlzheimer 型認知症へのコンバート予測指標として有用である.▪ 脳脊髄液バイオマーカーの変化に基づき無症候期であるpreclinical 期・Alzheimer 病の概念が提唱されている.▪ 微量分子の先端計測機器の進歩により血液中の脂質や代謝物を標的とした血液マーカーの開発が進んでいる. -
イヌ,ネコの認知症はヒトのモデルとなるか?
120巻2号(2017);View Description Hide Description▪ サルやイヌなどの多くの哺乳動物では,アミロイドβ(Aβ)蛋白のアミノ酸配列がヒトと相同であり,加齢によって大脳皮質に老人斑が出現するが,マウスなどのげっ歯類およびネコ科動物ではAβ蛋白の配列がヒトと異なり,老人斑は形成されない.▪ 老齢イヌでは,大脳にAβ沈着を伴う血管病変や白質のミエリン脱落が出現し,ヒトの血管性認知症に類似した病態モデルであると考えられる.▪ 老齢のネコ脳では,ネコ型のAβは線維性の凝集物を形成しないが,神経細胞内においてオリゴマー化し,神経原線維変化を促進する.また,ヒトのAlzheimer 病(AD)と同様に神経原線維変化が形成され,それにより海馬の神経細胞が脱落する. - 鼎談
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連載
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~キホンをシンプルに考える~体液・電解質・酸塩基平衡異常のとらえ方:第14回 酸塩基平衡障害時の診療③―アルカレミア(アルカリ血症)がみられたら
120巻2号(2017);View Description Hide Description -
感染症Basicレクチャー〜明日からの診療に使えるエッセンス〜:第14回 腹部感染症の診断と治療:胆囊炎,胆管炎,肝膿瘍,虫垂炎,憩室炎,腹膜炎,感染性腸炎 消化管内の細菌が原因となる感染症
120巻2号(2017);View Description Hide Description腹腔感染症の原因微生物は共通しており,使用すべき抗菌薬も似ている. 外科的治療を要する状態かどうかを判断する. 感染性腸炎では抗菌薬を使用すべき症例は限定される. -
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呼吸器内科×○○科で語る!Comorbidity 患者さんの診かた:第3 回 肺炎で紹介されてきた乳房温存療法後の患者さん
120巻2号(2017);View Description Hide Description連載第3 回目の患者さんは,近医から肺炎で紹介されてきた67 歳の患者さんです.1 ヵ月ほど前より発熱と咳嗽の自覚が出現し増悪傾向にあるため,近医受診し抗菌薬を処方されましたが改善せず,再度受診し胸部X 線を施行したところ左肺野に浸潤影を指摘されたことから,乳がんで通院中の当院乳腺外科に紹介受診後に呼吸器内科受診となりました. -
Focus On:生体吸収性ステント(スキャフォールド)とは?~病理の視点を中心に~
120巻2号(2017);View Description Hide Description生体吸収性スキャフォールド(BRS)は,金属ステントとは異なり,血管に留置された後に完全に生体吸収されて消失するデバイスである.BRS の多くはポリ乳酸などのポリマーをベースとしたもので,加水分解を受けて生成された乳酸がクエン酸回路での代謝により最終的に二酸化炭素と水となることで,3~4 年の経過を経て生体吸収が完成する.ポリマーをベースとしたもののほか,マグネシウムをベースとしたBRS も登場している.現在のBRS は,血管保持力を発揮するために金属ステントに比しストラットが厚いデザインとなっている.BRS に対する懸念として,早期の血栓形成性がやや高いこと,過拡張に伴いデバイスの断裂が生じうること,さらに未被覆ストラットの残存や晩期の内腔側へのストラット倒れこみが超遅発性血栓症を惹起する可能性があること,などが指摘されている.しかし,デバイスの吸収に伴って中・長期的には血管内腔の拡大や血管拍動の回復といったユニークな反応を示すことも報告されており,10~20 年という超長期的なスパンでは新生動脈硬化(neoatherosclerosis)の抑制などの利益をもたらすことも期待されている.BRS の合併症は留置手技の影響を大きく受けることも知られ,手技の成熟化を含めたさまざまな取り組みにより課題を克服していくことが求められている.
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Multiple Kent 束を有するconcealedtype WPW 症候群に対しカテーテルアブレーションを施行した1 例
120巻2号(2017);View Description Hide Description - Photo Report
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