Volume 122,
Issue 2,
2018
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特集【ここまできた循環器領域の低侵襲治療】
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特集のねらい
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内科 122巻2号, 198-200 (2018);
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Overview
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内科 122巻2号, 201-206 (2018);
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▪ 経皮的冠動脈形成術(PTCA)が登場してから40 年が経過した.▪ 橈骨動脈アプローチ(TRI)の普及と,薬剤溶出冠動脈ステント(DES)の登場は,その間の最も大きなイノベーションであった.▪ 冠動脈石灰化病変の克服はいまだに大きな課題であり,今後も新しい治療機器に期待がかかっている.▪ 下肢末梢動脈ならびに頸動脈狭窄症に対する治療も,各種新規デバイスの普及により治療安全性と低侵襲性が向上している.
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内科 122巻2号, 207-212 (2018);
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▪ 経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)は2002 年にfirst‒in‒man(FIM)が行われ,本邦でも2013 年から保険償還されており,全世界中で急速に普及している.▪ TAVI の適応は当初外科手術困難,高リスク例に限定されていたが,近年のRCT の成績より中等度リスクまで拡大し,現在低リスク患者に対する治験が進行中である.▪ MitraClip は僧帽弁閉鎖不全症に対するカテーテル治療であり,本邦でも2018 年より保険償還された.▪ そのほか左心耳閉鎖デバイスや先天性心疾患に対するカテーテル治療も発展している.
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内科 122巻2号, 213-218 (2018);
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▪ 心房細動はカテーテルアブレーションにおいて根治が可能となり,現在さまざまな治療方法が開発されている.患者のみならず,術者やメディカルスタッフの放射線被曝を軽減させるため,さまざまな取り組みがなされている.▪ ペースメーカー治療は近年MRI 撮像可能なモデルや,リードを介さないリードレスペスメーカーが開発され,臨床応用されている.▪ 植込み型除細動器(ICD)はインターネットを介した遠隔モニタリングでいつでも医療者が患者の状態を把握できるようになった.また,完全皮下植込み型の除細動器も開発され,リード関連合併症の軽減に大きく期待されている.
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手首からの治療でここまで可能に
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内科 122巻2号, 219-223 (2018);
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▪ 1992 年に橈骨動脈アプローチによるステント留置が報告され,患者が術後安静を強いられない点,医療従事者の負担が軽減される点などから徐々に適応が拡大することとなった.▪ それらの需要に応じて各種デバイスの開発も進み,とくにこの20 年は日本人医師と日本の医療機器メーカーが中心となり,高品質な細径デバイス開発が行われてきた.▪ デバイスの進歩に合わせて本法のevidence も確立し,とくに出血性合併症を回避しその後の死亡率を低下させることから,ガイドライン上でも高いevidence レベルで推奨される位置付けとなった.
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内科 122巻2号, 225-228 (2018);
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▪ 急性冠症候群の第一選択は橈骨動脈アプローチ(TRI)となり,安定狭心症への待機例においてTRI を熟練する必要がある.▪ 複雑病変は比較的太いガイディングカテーテルがやりやすいのであるが,スレンダーシースの出現により,6 Fr シースから7 Fr ガイディングカテーテルが使用できるようになった.▪ロータブレーターは6 Fr で1.75 mm が使用可能である.▪ CTO 病変は7 Fr で行われることが多いが,スレンダーシースによりTRI へ移行しつつある.また病変によって6 Fr のTRI で,さらに5 Fr のTRI で可能な病変もある.▪低侵襲な治療は出血合併症を減らし死亡率も減らすため,より低侵襲が推奨される.
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内科 122巻2号, 229-232 (2018);
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▪ 近年心臓カテーテル治療の領域において,経橈骨動脈アプローチを用いた低侵襲治療が標準的手法として確立されている.▪ 経橈骨動脈アプローチは従来安定冠動脈疾患に対して積極的に用いられてきたが,近年では急性冠症候群に対する緊急心臓カテーテル治療においても同様に施行されるようになりつつある.▪ 経橈骨動脈アプローチは従来の経大腿動脈アプローチと比較して全死亡,主要心血管イベント,出血性合併症のすべてのアウトカムを改善する方向に寄与することが報告されている.▪ 経橈骨動脈アプローチを行う際の問題点として,橈骨動脈の解剖学的異常および血管攣縮について熟知しておく必要がある.
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広がる選択肢:以前は手術しか選択肢がなかったが,現在は…
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内科 122巻2号, 233-240 (2018);
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▪ 左冠動脈主幹部病変に対するカテーテル治療が広まっている.▪ ガイドラインは,旧世代の薬剤溶出性ステントを用いた研究(SYNTAX trial)に基づく.▪ 大幅に改良された,新世代の薬剤溶出性ステントを用いた2 つのランダム化試験(EXCEL trial,NOBLE trial)について知っておく必要がある.
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内科 122巻2号, 241-245 (2018);
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▪ 本邦では,3 枝病変の治療として半数以上で冠動脈インターベンション(PCI)が選択されている.▪ 近年の臨床試験の結果では,3 枝病変については,PCI に比べて冠動脈バイパス手術(CABG)の成績が良好であるという報告が多い.▪ 今後,冠血流予備量比(FFR)を用いた治療病変の適応評価やより至適な薬物治療によってさらに3 枝病変を含む多枝病変に対するPCI の治療成績の向上が期待される.
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内科 122巻2号, 247-249 (2018);
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▪ 冠動脈カテーテル治療(PCI)において慢性完全閉塞(CTO)病変は最も難易度の高い病変である.▪ 新たな治療法であるレトログレードアプローチやさまざまな治療デバイスの開発により初期成功率は飛躍的に向上した.▪薬剤溶出性ステント(DES)の登場により慢性期再狭窄率・閉塞率は大幅に改善された.▪ 初期成功率および慢性期開存率の改善により,CTO 病変へのカテーテル治療の適応は拡大している.
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内科 122巻2号, 251-254 (2018);
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▪ TAVI の適応には,① 非解剖学的な適応,② 解剖学的な適応,③ 患者背景の適応がある.▪非解剖学的な適応は,主に大動脈弁狭窄症の重症度や症状の有無で判断される.▪ 解剖学的な適応は,大動脈弁やその周囲組織のサイズ,アプローチ部位の性状などから総合的に判断される.▪患者背景の適応は,年齢や虚弱(frailty)などから判断される.▪ TAVI は上記適応を満たしたうえで,最終的に患者の希望,家族の希望,ハートチームの方針が一致することで決定する.
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内科 122巻2号, 255-260 (2018);
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▪ 大動脈弁狭窄症(AS)に対する経カテーテル的大動脈弁植込み術(TAVI)は本邦でも爆発的な広がりをみせている.▪ 現行のTAVI デバイスはバルーン拡張型と自己拡張型がある.▪ 術前造影CT 検査が方針決定に重要である.▪ TAVI は低侵襲治療であり早期退院可能である.
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内科 122巻2号, 261-265 (2018);
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▪慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の第一選択の治療は外科的治療である.▪ 唯一適応のある肺血管拡張薬はriociguat であり,運動耐容能の改善効果が報告されている.▪ 2009 年ころより本邦を中心に非手術適応CTEPH に対してバルーン肺動脈形成術(BPA)が積極的になされるようになった.▪ BPA の適応は ① 腫動脈血栓内膜摘除術(PEA)施行困難例,② 内科的治療で効果が不十分例,③ 本人(および家族)がBPA を希望している,④ 重度の多臓器不全がない症例,である.▪BPA の長期成績として5 年生存率90%以上と報告されている.▪BPA の合併症として,肺障害,血管穿孔,肺動脈破裂,動脈解離などが知られている.▪手技合併症は約30%に起こり,死亡例の報告もあるため注意が必要である.
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内科 122巻2号, 267-270 (2018);
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▪ 心房中隔欠損(ASD)の治療は従来外科的閉鎖術であったが,2005 年に本邦に導入された経皮的ASD 閉鎖術症例は現在年間1,000 例を超え,外科的ASD 閉鎖術とほぼ同数の治療が行われるようになった.心腔内エコーの登場で局所麻酔での治療も十分に可能となり症例数は毎年増加している.▪ 海外では経皮的閉鎖術のほうが外科手術より多いが,その理由として人工心肺不要,入院期間が短い,心臓を切開しない,傷跡が残らないことがあげられる.▪ 国内では2 種類目の閉鎖栓が導入され,合併症であった心侵食も減少し,小児から高齢者までも治療効果が明らかであるため今後も経皮的閉鎖術数が増加するものと考えられる.
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内科 122巻2号, 271-275 (2018);
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▪ 肥大型心筋症は,一般的には遺伝性心筋疾患の一つであると考えられており,本邦での正確な有病率は不明であるが,症例数は決して少なくない.▪ 病因やその臨床像は複雑かつ多様性に富んでいるが,多くの症例は,従来考えられていたよりも予後良好と考えられている.しかし,一定の割合で薬物療法抵抗性の心不全,不整脈を合併することが知られており,症例により集学的治療を要する.▪ 経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA)は,薬物療法抵抗性有症候性閉塞性肥大型心筋症に対するカテーテル治療であり,左室内閉塞が原因と考えられる症状の改善を目的とした治療である.カテーテル治療のほかに左室内閉塞に対する侵襲的治療法として,中隔心筋切除術があり,両治療をあわせて最近では中隔縮小療法と総称される.▪ PTSMA は,常に中隔心筋切除術の適応の可能性を念頭に置き,両治療の長所,短所を理解のうえで,症例ごとにハートチームで議論を行ったうえで施行されるべきである.
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内科 122巻2号, 277-280 (2018);
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▪ 心不全症例において僧帽弁閉鎖不全への介入が有効と考えられる場合でも,開心術のリスクが高い場合は介入が困難であった.▪ 近年,開胸を必要としないカテーテル治療による僧帽弁閉鎖不全への介入が注目を集めている.▪ 本邦では経カテーテル的にedge‒to‒edge repair を行うMitraClip が2018 年4 月から使用可能となり,手術リスクが高い心不全患者に対する治療選択肢は広がる.▪ ただし従来から施行されている開心術や至適心不全薬物療法と比較したMitraClip の優位性は明らかではない.▪ MitraClip を施行する場合は,対象患者の選択が非常に重要であり,そこにはハートチームの存在が不可欠である.
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末梢および大血管疾患への低侵襲治療の発展
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内科 122巻2号, 281-286 (2018);
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▪ 末梢動脈疾患は,主に四肢主幹動脈に起きる慢性の全身性動脈硬化性疾患で,高齢化社会の到来に伴って患者数は増加し,今後,本邦でも治療を必要とする患者が増加することが予想される.▪ 無症候性の患者は治療適応とならないが,心血管イベントのハイリスク患者であり,動脈硬化のリスク因子のコントロールが非常に重要である.▪ 患者の症状に応じて(間欠性跛行患者か,重症下肢虚血患者か),血行再建を必要とするタイミングは異なるが,治療技術,デバイスの進歩に伴い,より低侵襲な血管内治療が第一選択となる症例は増加しており,今後も発展が期待される領域である.
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内科 122巻2号, 287-292 (2018);
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▪大動脈疾患は年々増加の一途をたどっており,高齢化も進んでいる.▪ 開胸,開腹を必要とする外科的人工血管置換術にハイリスクな大動脈瘤症例に対しては,低侵襲で施行可能なステントグラフトを用いた治療が勧められる.▪ ステントグラフトは,人工血管にステントを取り付けた新型の人工血管で,これを圧縮してカテーテルのなかに収納して血管内から動脈瘤に運び,瘤を空置する方法である.▪ ステントグラフトのデバイス,技術の進歩により,より低侵襲に精度の高い治療が可能となってきており,治療の適応も拡大している.▪ ステントグラフト治療の課題としてエンドリーク,ステントマイグレーション等による遠隔期の再治療があげられる.
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内科 122巻2号, 293-296 (2018);
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▪ 頸動脈ステント留置術(CAS)は,外科的治療である内膜剝離術(CEA)の非侵襲的代替治療として発展してきた.▪ CAS の最大の問題は術中の塞栓性合併症であったが,さまざまな遠位塞栓防止法とデバイスが開発され,プラーク診断に基づくテーラーメイド手技により周術期リスクは低減している.▪ CAS の術後の遅発性塞栓性合併症を防止するため,ステント構造改変の試みが現在進行中である.▪ 今後CAS は,CEA との比較ではなく,進化する内科的薬物療法との関係で語られなければならないだろう.
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不整脈治療も低侵襲化へ
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内科 122巻2号, 297-301 (2018);
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▪ 3D マッピングシステムの発達により,電気的肺静脈隔離術(PVI)の透視時間,放射線被曝量を大幅に低下させることができる.最新の機器では,撮影した透視画像をループ再生し,術中に3D マップやカテーテルのリアルタイムな動きと合成することで,あたかも透視画像をみているようにカテーテルを動かすことができる.▪ カテーテルが心筋に接触している圧力(contact force),方向(contact force vector)がリアルタイムに測定できるカテーテルが使用できるようになり,これによってもPVI の手技時間,透視時間を減少させ,カテーテルによる心筋穿孔のリスクは有意に低下した.▪ 本邦の市場には2014 年からクライオバルーンが登場したが,これまでのpoint-bypointアブレーション法と比較すると1 本の肺静脈を一気に全周性に隔離することができるため手技時間は大幅に減少した.
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内科 122巻2号, 303-305 (2018);
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▪ 不整脈に対するカテーテルアブレーション治療は医療工学の発展により適応疾患がほぼすべての不整脈に広がった▪ 不整脈治療のカテーテルアブレーションによる治療成績は現在横ばいになっており,時間短縮・合併症対策・被曝低減などがポイントとなっている▪放射線などの新しいエネルギー源による不整脈治療が今後期待される
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内科 122巻2号, 307-310 (2018);
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▪ リードレスペースメーカーは,カプセル型で本体を皮下に植え込むのではなく,カテーテルを用いて心臓内に送り込み,小さなフックで直接心室壁に取り付けられ,先端の電極を通じて電気刺激を送りペーシングを行う.▪ 手技時間も短く低侵襲であるが,右心室のみのペーシング,センシングしか行えず,電池寿命が尽きた場合には,新たにリードレスペースメーカーを追加するか,従来型のペースメーカーを追加するかを選択しなければならず,適応はまだ限定的なものとなる.▪ 低侵襲で高齢者が適応となることが多く,MRI 検査にも対応しており,今後外来でリードレスペースメーカー植え込み後の患者を診療する可能性は高い.
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トピックス
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内科 122巻2号, 311-315 (2018);
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▪ 植込み型補助人工心臓(VAD)は2011 年から本邦でも使用可能となり,現在EVAHEART,HeartMateⅡ,Jarvik2000 の3 機種が使用可能である.▪ 植込み型VAD が使用可能となったことにより,心臓移植待機患者は自宅で移植を待機することが可能となった.▪ 植込み型VAD には遠心ポンプと軸流ポンプがあり,また,ポンプポケットの作成を必要とするものとしないものがあるが,個々の患者にどの機種が適するかは,ポンプの特性と患者背景を総合的に判断して決定する.▪ HVAD やHeartMate3 といった新しい機種の植込み型VAD も近い将来承認される見通しである.本邦における植込み型VAD の2 年生存率は90%近くときわめてよいが,新しい機種が承認されればその予後はさらに改善することが期待される.
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内科 122巻2号, 317-320 (2018);
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▪ 循環補助用心内留置型ポンプカテーテルImpella の登場は補助循環治療にパラダイムシフトを起こしている.▪ 本邦においても2016 年9 月にImpella 2.5 および5.0 が医療機器製造販売承認を取得し,徐々に使用可能施設が増加している.▪ Impella のもつ特性を血行動態補助効果と心負荷低減効果に分けて整理することで,同デバイスの有用性と循環器診療に及ぼす影響について解説する.
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内科 122巻2号, 321-325 (2018);
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▪ ハートチームとは循環器内科医・心臓血管外科医を中心とした多職種が合同で循環器疾患の診療にあたるシステムの名称である.▪ 本邦では経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)実施のためには,良好に機能するハートチームの確立が義務づけられている.▪ 多種多様化した循環器領域の良好な治療成績維持には今後ハートチームの存在が不可欠であると思われる.
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座談会
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内科 122巻2号, 327-335 (2018);
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連載
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内科 122巻2号, 337-340 (2018);
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内科 122巻2号, 341-346 (2018);
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内科 122巻2号, 349-354 (2018);
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近年,子宮頸がんワクチンの問題,遺伝性乳がん,若年者の乳がんなど女性のがんに対しての認知度が高まってきています.今回のテーマはあまり内科医にはあまり馴染みはないかもしれませんが,乳がん・子宮頸がん検診と最近のトピックスについて概説します.
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投稿
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症例
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内科 122巻2号, 355-358 (2018);
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内科 122巻2号, 359-362 (2018);
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Photo Report
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内科 122巻2号, 348-348 (2018);
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Book Review
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内科 122巻2号, 316-316 (2018);
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内科 122巻2号, 364-364 (2018);
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