内科
Volume 125, Issue 1, 2020
Volumes & issues:
-
特集【感染症2020―冬のインフルエンザ・夏のオリンピックに備える】
-
-
- Overview
-
インフルエンザ流行期における一般外来診療の注意点
125巻1号(2020);View Description Hide Description▪ インフルエンザの外来診療では,限られた時間のなかで「医療におけるアートとサイエンス」を濃縮し,実践する必要がある.▪ 医療におけるアートの実践のためには,個々が抱える背景や感情へのきめ細やかな対応を忘れてはならない.▪ 背景や感情へのケアを行う時間を確保するためにも,一般外来診療は「基本の型」を用意し,迅速に,正確に遂行する.そして,大きな感情の揺らぎを感じた際は,論理的に諭すのではなく,感情には「感情」で応えられるようになるとよい(VitalTalk®). -
感染症症状を主訴に来院した外国人診療の注意点
125巻1号(2020);View Description Hide Description▪ 外国人は日本人と比較して,麻疹,風疹,水痘,結核など感染性の高い疾患に罹患している可能性が高い.▪ 受付や待合室で積極的に上記疾患の疑いがある患者を拾い上げ,場合によっては隔離が必要となる.▪ 外国人診療では文化的,金銭的な面で日本人と同じように診察できないことを覚えておく.▪輸入感染症の鑑別は渡航元,潜伏期間,曝露歴で考える.▪まずはマラリアの可能性を疑い,その後に他の鑑別を考える. - インフルエンザ
-
季節性インフルエンザの診断
125巻1号(2020);View Description Hide Description▪ ここ最近は本邦で毎年約2,000 万人のインフルエンザ患者が出ている.基本的には自然治癒する疾患であるが,高リスク患者に関しては慎重な対応が必要である.▪ 流行期は典型的な症状とシックコンタクト歴などがあれば臨床判断で確定できるため,必ずしも検査を必要としない.ただし,病歴,症状・所見などの情報はどれか一つをもって100%インフルエンザを確定するものや除外するものがあるわけではないので,あくまでも総合判断が重要である.▪ 高熱,体の痛み,寒気などの症状に加え,咽頭のリンパ濾胞所見があるとインフルエンザらしさを高める.▪インフルエンザ迅速抗原検査は,感度が低いことを十分に知っておく必要がある.▪治癒証明は,基本的には不要である. -
季節性インフルエンザの治療
125巻1号(2020);View Description Hide Description▪ ノイラミニダーゼ阻害薬(NAI)は有熱期間を1 日短縮する程度の効果しかないが,決して投与が無意味というわけではない.▪ 過剰使用により耐性ウイルスが流行するかどうかはっきりしない現状では,本邦における健常人を含めたインフルエンザ患者全例への投薬は,無下には否定できない状況である.▪ NAI は種類によって効果に大きな差がないため,場面によって使い分ければよい.▪新薬であり,データの少ないbaloxavir は慎重に使用する姿勢が求められる.▪ 予防投与については,抗インフルエンザウイルス薬による予防投与は優先度が低く,感染対策とワクチン接種の徹底がより大切ということを理解すべきである. -
季節性インフルエンザの予防接種
125巻1号(2020);View Description Hide Description▪ インフルエンザは毎年の予防接種を要し,発症予防効果が限定的であることなど,ワクチンで予防可能な他の感染症と比べて予防接種のメリットを理解しにくい要素がある.▪ 一方で,罹患者数が非常に多く,社会全体に与える疾病負荷を抑制する意義は非常に大きい.▪ 感染リスクや重症化リスクの高い,予防接種がとくに推奨される者のみならず,広く適切な予防接種を勧めることが望ましい.▪ とくに近年,医療従事者に求められる院内の感染予防対策への責務は大きく,個人の感染予防の観点に加え,二次感染予防や社会機能の維持の観点からも予防接種の意義を理解し,率先して予防接種を受けることが望まれる. -
季節性インフルエンザの感染対策,施設内でのアウトブレイク時の対応
125巻1号(2020);View Description Hide Description▪ 医療現場でインフルエンザの伝播を予防するためには,早期に症例を特定し,複合的な感染対策を実施することが重要である.▪ 外来で有症状者をトリアージできるようにする.インフルエンザ流行前に患者に予防接種を励行する.▪ 入院患者や面会者の感染症状の有無を確認する.流行期には迅速抗原検査による診断に依存せず,症状から総合的に判断する.▪ 流行前に職員の予防接種を行う.インフルエンザ曝露後,罹患時の勤務制限について施設内の方針を定め,遵守する.▪ 患者および職員に対する抗インフルエンザ薬の予防投与について,施設内の方針を定める.▪ 早期にアウトブレイクを察知できる体制をとる.多数の発症がみられる場合,保健所や地域のネットワークの専門家への相談や支援の依頼を行う. -
小児における季節性インフルエンザ診療
125巻1号(2020);View Description Hide Description▪小児はインフルエンザに罹患しやすい.▪低年齢は合併症や入院の危険因子である.▪他の呼吸器ウイルスとの鑑別は難しい.▪新生児や乳児では,胃腸症状や敗血症症状など非特異的な症状になることがある.▪臨床症状のみでインフルエンザを診断することは難しい.▪肺炎はインフルエンザの乳児で1%弱に認める合併症である.▪ 中耳炎はインフルエンザの小児で3 割弱に認める合併症であり,鼓膜診察をしないインフルエンザ診療はあり得ない.▪ インフルエンザウイルスは急性脳症の最も多い原因ウイルスである.脳症をみたら非流行期でもインフルエンザを考慮すべきである. -
新型インフルエンザ,鳥インフルエンザ
125巻1号(2020);View Description Hide Description▪ヒトに感染し得るトリやブタ由来のウイルスは世界中で報告されている.▪ ヒトが直接動物に接触するか,市場などの汚染された環境での曝露が感染の契機となる.▪通常,ヒトからヒトへの感染伝播はない.▪ 微熱や咳嗽など軽微な気道症状のみで回復する場合もあるが,ウイルス病原性により死にいたる場合もある.▪ 新型インフルエンザの場合,病原性や症状,致命率は発生したウイルスにより異なる.▪ 新型インフルエンザの発生早期は感染症指定医療機関にて診療を行うが,流行が拡大すると一般医療機関でも診療を行う.▪ インフルエンザウイルスの主要宿主である水禽は不顕性感染するため撲滅が困難であり,常に新型インフルエンザのリスクは存在する. - オリンピック時に問題となり得る感染症
-
麻疹
125巻1号(2020);View Description Hide Description▪ 2015 年に日本は麻疹排除国となったが,以後も麻疹の予防接種率の低さに起因する輸入症例による国内感染の拡大事例が後を絶たない.▪ 2020 年の東京オリンピックで多くの外国人が日本を訪れると予想されるが,現状では麻疹の国内流行を防ぐことができないだろう.▪ 麻疹の流行を防ぐためには,麻疹含有ワクチンを確実に2 回接種することが強く望まれる. -
風疹
125巻1号(2020);View Description Hide Description▪ 本邦では2018 年の風疹の流行が2019 年に入っても終息しておらず,2020 年の東京オリンピックの際には風疹を「輸出」する可能性がある.▪ 30~50 歳代の予防接種を受ける機会のなかった男性で主に発生しており,1962~1979 年生まれの男性に対して無料で抗体検査・予防接種が実施されている.▪後頸部リンパ節腫脹や発疹,成人では関節炎が診断のヒントとなる.▪発疹は麻疹と似るため,迷う場合には診断確定まで麻疹に準じた空気感染対策を行う.▪ 臨床的に疑わしければ即座に保健所に連絡し,ウイルス遺伝子検査の提出や感染対策の相談を行う.抗体検査結果を待つ必要はない. -
結核
125巻1号(2020);View Description Hide Description▪ 結核は世界の三大感染症の一つであり,推定年間患者数は世界で1,000 万人,死亡者数は145 万人に及ぶ.▪ 本邦の結核罹患率は減少傾向にあるが(2018 年:10 万人当たり12.3 人),外国出生者の結核患者数が増加傾向にあり,全体の10.7%に及んでいる.とくに若年層で顕著である.▪ 本邦では多剤耐性結核はまれであるが,国によっては高頻度にみられる.外国出生者の結核診療では,耐性結核を念頭に置いた病歴聴取,検査,治療が重要である.▪薬剤感受性検査に基づく最適治療のため,培養陽性検体を得る努力を行う.▪2 類感染症のため,診断時には最寄りの保健所にただちに発生届を提出する.▪来日外国人の増加に伴い,外国出生者の結核対策がより重要となっている. -
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
125巻1号(2020);View Description Hide Description▪ オリンピックとは無関係に,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者は本邦にも存在するため,どの医療機関にも受診する可能性がある.▪ HIV 感染症を専門としない内科医の役割は,「診断」と「治療で安定したHIV 感染者の合併症管理」である.日和見疾患や性感染症で受診した際には,積極的にHIV 検査を考慮する必要がある.▪ 治療で安定したHIV 感染者が日和見疾患を発症することは少なく,非HIV 感染者の場合と同様に鑑別診断を進める.診療にあたっては抗HIV 薬との相互作用に配慮が必要である.▪ 本邦では曝露後予防(PEP)や曝露前予防(PrEP)の体制は整っていないが,世界的には普及しているため,相談が寄せられる可能性がある. -
梅毒
125巻1号(2020);View Description Hide Description▪ 梅毒の流行阻止のためにわれわれ臨床医ができることは,梅毒を適切に診断し,適切に治療することである.▪ 梅毒に対しては簡便な検査方法・治療方法があるので,まずは臨床医が梅毒を疑うことが重要である.▪RPR,TPHA ともに陽性であれば治療適応のある梅毒と考える.▪ 中枢神経病変を合併しない梅毒の標準治療は筋注用ペニシリンの投与だが,現時点では本邦で使用できないためペニシリン系薬の内服を行う. -
ウイルス性出血熱
125巻1号(2020);View Description Hide Description▪ ウイルス性出血熱とは重症化や出血傾向のみられるウイルス感染症の総称で,その重篤性や感染性の高さからエボラ出血熱など5 つが1 類感染症に指定されている.いずれも発熱が主体の非特異的な症状を示し,病歴などから疑わなければ診断できない.▪ これまでは風土病としてあまり注目されていなかったが,西アフリカでのエボラ出血熱の流行では欧米にも飛び火して国際的な驚異となった.ウイルス性出血熱の患者が本邦で発生する可能性は低いものの,海外帰国後の発熱などでこれらの疾患が鑑別にあがる場面は少なくない.▪ 流行国からの渡航者も今後増え続けることが予想されており,危機管理としてウイルス性出血熱に備える必要性は高い. -
デング熱,ジカウイルス感染症
125巻1号(2020);View Description Hide Description▪デング熱,ジカウイルス感染症はともに熱帯域に常在する蚊媒介感染症である.▪いずれも特異的治療薬や有用なワクチンはなく,対症療法を行う.▪いずれも感染症法で4 類感染症に指定されており,診断した医師は保健所へ届け出る.▪デング熱は時に重症化し得ること(重症デング)に注意する.▪ジカウイルス感染症は先天性ジカウイルス感染症に注意する. -
マラリア
125巻1号(2020);View Description Hide Description▪ マラリアは,熱帯・亜熱帯地域からの渡航者で発熱を認めた患者において,最も考慮すべき輸入感染症である.▪ マラリア罹患のリスクを見積もるために,渡航地域,渡航期間,現地での活動,蚊への曝露歴,予防対策や化学予防の有無を把握する必要がある.▪ 発熱以外の臓器特異的な症状を認めないことが多いため,臨床症状のみから診断あるいは除外することは困難である.▪ 適切な診断と治療によって治癒するが,治療が遅れた場合には死にいたる可能性のある危険な疾患である. -
中東呼吸器症候群(MERS)
125巻1号(2020);View Description Hide Description▪ 中東呼吸器症候群(MERS)は中東,とくにサウジアラビアを中心に流行するウイルス性呼吸器感染症である.▪MERS は基礎疾患のある患者で重篤になる感染症である.▪ MERS に対する感染対策は① 渡航歴や接触歴など,疑うための情報を積極的に得ること,② 疑いがある場合に適切な隔離環境を提供し,自身の防御を行うこと(接触感染対策,飛沫感染対策),③ 適切な隔離と感染対策が行える医療機関で保健所と連携して診断を進めること,が重要である. -
薬剤耐性菌
125巻1号(2020);View Description Hide Description▪日本ではまれな多剤耐性菌が,高頻度に検出されている国がある.▪ バンコマイシン耐性腸球菌(VRE),カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE),多剤耐性アシネトバクター(MDRA)などの多剤耐性菌が海外からの渡航者を介して医療機関内に流入する可能性がある.▪ 医療機関は海外からの渡航者に由来する多剤耐性菌の院内拡散を防止するためのプロトコールを作成し,実践する必要がある. - その他の注意すべき感染症
-
流行性耳下腺炎
125巻1号(2020);View Description Hide Description▪ 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ・ムンプス)は感染力が比較的強く,ウイルスの感染に伴う症状や合併症に対して特異的な治療はなく,重い合併症を発症する可能性がある.▪ 小児の疾患に対してワクチンによる予防は非常に有効かつ効果的であるが,現在任意接種であるために接種率が低く,集団免疫効果が期待できない状況にある.▪ 懸念となっているワクチンの安全性については,接種時期を調整することで副反応を減らせるという研究報告もあり,今後定期接種化されてワクチンによる疾病のコントロールが達成されることが期待される. -
百日咳
125巻1号(2020);View Description Hide Description▪百日咳は新生児や乳幼児では重症化し,時に死にいたることもある.▪2018 年より全数把握疾患となったため,診断した場合は報告する必要がある.▪咳嗽が遷延する症例では,百日咳を鑑別にあげる必要がある.▪ マクロライド系抗菌薬が治療の第一選択であるが,痙咳期では症状を改善する効果は乏しく,治療の主な目的は排菌期間を減少させることである. -
非結核性抗酸菌症
125巻1号(2020);View Description Hide Description▪非結核性抗酸菌(NTM)症は土壌や水に存在する環境菌であり,ヒトを宿主としない.▪ NTM 症は増えてきており,塗沫陽性肺結核を上回っている.▪診断基準は臨床的基準と細菌学的基準のいずれも満たすことが条件である.▪年齢,原因微生物,画像所見,症状を踏まえて総合的に治療適応を検討する.▪薬剤耐性菌をつくらないように多剤併用治療が必要である.▪Mycobacteroides abscessus 症は外科手術を含めた集学的治療を積極的に考慮する. -
重症熱性血小板減少症候群
125巻1号(2020);View Description Hide Description▪ 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)はマダニによって媒介されるウイルス性出血熱であり,死亡率は約30%と高い.▪ 血液,体液を介して接触感染を起こすことも知られており,迅速に診断および感染対策を行う必要がある.▪ 近年,ヒト以外の哺乳類での感染事例や,感染動物からヒトへの感染事例が報告されており,公衆衛生学上の懸念である.▪西日本を中心に流行しているが,非流行地域でも今後発生する可能性がある.▪ 確立した治療法はまだないが,2019 年現在favipiravir による治療の可能性が検討されている.早期に診断し,診療経験のある医療機関や相談機関にアドバイスを求めることをお勧めする. -
リケッチア感染症(日本紅斑熱,ツツガムシ病)
125巻1号(2020);View Description Hide Description▪リケッチア感染症のうち,日本では日本紅斑熱とツツガムシ病がとくに重要である.▪リケッチア感染症は国内の事例のみならず,輸入感染症としても重要である.▪日本紅斑熱とツツガムシ病は「発熱・皮疹・刺し口(痂皮)」が三徴である.▪ 患者は皮疹や刺し口を無自覚なことが多いため,身体診察で積極的に所見を探す必要がある.▪ リケッチア感染症を疑ったら診断を待たず,ただちにminocycline またはdoxycyclineで治療開始する. - トピックス
-
一般医療機関における伝染性疾患に対する備え
125巻1号(2020);View Description Hide Description▪突然来院する感染症患者に対して常日頃から「ちょうどよい備え」をし続けたい.▪感染対策は加減を誤ると曝露者が発生したり,日頃の診療に無用な苦労をかける.▪ ① エボラ出血熱やラッサ熱,② 鳥インフルエンザや中東呼吸器症候群(MERS),③ 麻疹(または風疹),の3 パターンに対して具体的な対策の流れを確認しておく.▪ 目の前に現れていない感染症を現場の医療従事者に意識させるため,日頃から国際的な流行状況を把握して情報提供したり,プチシミュレーションを用いて刺激を与え続けることが必要である. -
オリンピックに向けた感染症対策
125巻1号(2020);View Description Hide Description▪ オリンピック・パラリンピックの大会関連期間中は,マスギャザリング(MG)に共通する感染症リスクに加え,輸入感染症などの発生リスクが増す.▪ 感染症発生時の地域安全と大会運営を維持するために,地域ごとの感染症リスク評価と結果に基づく事前対策が重要である.▪ 原因不明の重症感染症や広域事例の早期探知のために,改正された「疑似症」の認知度向上と,円滑な自治体間の情報共有が望まれる.▪ 大会に関連する感染症の発生時には,地域内外の多様な組織間の連携が必須となり,事前の関係性の構築が要となる. -
オリンピックに向けたバイオテロ対策
125巻1号(2020);View Description Hide Description▪昨今のテロは,ソフトターゲットに対してより実行可能な方法で行われる傾向にある.▪ 使用される可能性がある生物剤は,古典的なものに加えて,合成生物学の発達や感染症のグローバルな影響を考察したものを想定しなければならない.▪ 東京2020 オリンピック競技大会に前後してバイオテロが行われるとすれば,炭疽菌やリシン毒素などのほかに,国内で入手が容易な腸管出血性大腸菌,サルモネラ菌,ノロウイルスなども考慮すべきであろう. -
ワンヘルス 動物由来感染症を中心に
125巻1号(2020);View Description Hide Description▪ ワンヘルスとは“ヒトの健康は動物の健康や環境の健全性と相互に結び付く”という考え方である.▪ 動物由来感染症はワンヘルスのメインテーマの一つであり,感染症を起こし得る微生物のなかでも多くを占める. - 座談会
-
-
-
連載
-
- こんなとき、漢方薬が味方になります!~漢方医が伝授する実践的な処方のノウハウ~
-
- プライマリーケア医のがんの診かた~かかりつけ患者さんのがんと共にたたかうために~
-
- 悩むケースに立ち向かう!臨床推論のススメ方~全国GIMカンファレンスより~
-
- Focus On
-
実地医家が診る慢性便秘症 薬剤選択の考え方と治療のコツ
125巻1号(2020);View Description Hide Description「慢性便秘症診療ガイドライン2017」が発刊され,長らくガラパゴス状態で塩類下剤と刺激性下剤による経験的治療に頼っていた慢性便秘症診療にエビデンスが求められる時代となった.遅まきながら,世界と同基準で新規便秘薬のほとんどが使用できるようになった. 慢性便秘症は結腸・直腸・肛門など複数の臓器,複数の病態からなる症候群である.その病態は一次性の便秘として「大腸通過遅延型」「大腸通過正常型」「機能性便排出障害型の直腸肛門機能障害」に分類され,他疾患による症候性・薬剤性の二次性便秘は大腸通過遅延型に分類される. 効率のよい診療には,便秘の原因となる障害臓器と病態の推測が必要である. 筆者は大腸鏡挿入法「浸水法」を開発し,その過程で便秘など機能性腸症の挿入困難の原因にストレスによる「腸管運動異常」とS 状結腸回転異常や総腸間膜症などの「腸管形態異常」があり,機能性腸症の病態に関与すること,それらは問診や腹部X 線検査で推測できることを報告した. 問診と腹部X 線検査を用いて便秘の病態を推測し,治療・薬剤選択をする手順を紹介する.
-
Book Review
-
-
脳神経内科医のための 末梢神経・筋疾患 診断トレーニング 「電気生理×病理×画像」を読み解く30 ケース
125巻1号(2020);View Description Hide Description※この記事は書評です。 -
-
-