医学のあゆみ
Volume 209, Issue 3, 2004
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あゆみ Oral allergy syndrome
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OASに関与する交差反応性抗原の特徴
209巻3号(2004);View Description Hide Description即時型アレルギー反応は,IgE抗体とアレルゲン蛋白とが相互作用することにより引き起こされる.一般に食物アレルギーの原因となる蛋白質は熱や消化酵素に抵抗性を示すが,そのような特質をもたない抗原もある.熱処理や消化酵素により速やかに抗原性を失う蛋白質がIgE抗体と相互作用した場合に,OASという病態が誘発されると考えられる.また,このような抗原には経口感作能がないことから,患者はあらかじめ交差反応性があるような蛋白質により感作されていたと判断される.最近になってOASなど,感作・誘発抗原の交差反応性に基づき発 -
OASの診断と治療
209巻3号(2004);View Description Hide Description食物摂取時に口腔内刺激感および咽喉頭閉塞感などの口腔咽頭粘膜症状を主とした,従来の消化管を介しての食物アレルギーとは機序の異なるタイプの食物アレルギーをoral allergy syndrome(OAS)という.花粉と関連したOASは花粉食物アレルギー症候群といい,ゴム製品が原因で起こるラテックスアレルギーに関連したOASはラテックス・フルーツ症候群とよばれる.症状としては,原因食物摂取後,15分以内にそれが直接触れた口腔,口唇,咽頭部粘膜に出現する刺激感,痒み,ひりひり感,突っ張り感などが通常必発である -
シラカバ花粉症とOAS
209巻3号(2004);View Description Hide Descriptionシラカバ花粉症患者では40〜50%と高率にOASを発症する.シラカバ花粉症関連OAS患者のほとんどが口腔咽頭症状を呈し,そのうち12.3%に皮膚症状,6.5%に喘息症状,1%に腹部症状の併発を認めた.シラカバ花粉症関連OAS患者では口腔咽頭症状が高率に出現するため大量摂取が回避され,重症OAS例が少ないと推察される.シラカバ花粉症関連OAS患者の原因食物としてはリンゴ,サクランボ,モモ,ナシ,プラム,イチゴなどのバラ科の果物の頻度が高いのが特徴である.シラカバ花粉の主要抗原Bet v 1のなかにバラ科果物 -
オオバヤシャブシ花粉症とOAS
209巻3号(2004);View Description Hide Description阪神間では昭和30年代以降,六甲山麓の開発に伴いオオバヤシャブシが集中的に植えられ花粉数に相関して花粉症患者が発生している.オオバヤシャブシ花粉の主要抗原Aln s 1はシラカバ花粉のBet v 1と高い相同性がみられ,シラカバ花粉症と同様にリンゴ果実を中心としたOASを高率に合併しており,OASの発生機序には主要抗原の交差性だけでなくプロフィリンの関与が示唆された.OASの原因食物はリンゴが中心で,その症状は口唇や口腔,咽頭の痒みを訴える軽症例が多い.しかし,多種の果実に対してOASを発症し食事の制約を -
スギ花粉症とOAS
209巻3号(2004);View Description Hide Descriptionスギ花粉症患者におけるOASの合併はまれではない.診察の際の問診でかなりの診断は可能である.原因となる果実は,メロン,キウイ,パイナップル,リンゴなどが多い.リンゴの場合はシラカバ抗体との関係が強いが,なぜシラカバ抗体陽性となったかについてはいまだ不明である.しかし,メロンの場合イネ科花粉症との関連が指摘されているが,イネ科抗体の陽性率はシラカバよりも低い.いずれにしろ,スギ単独感作例にOASが合併する頻度は低く,他の花粉抗体価測定が診断の助けとなる.今後の展望としては,スギとシラカバとの交差反応性の研究 -
セロリ-ニンジン-ヨモギ-スパイス症候群
209巻3号(2004);View Description Hide Descriptionヨモギ花粉症は中央ヨーロッパで多くみられ,セロリアレルギーを合併することが多く,セロリと同じセリ科のニンジンなどの植物やスパイスと交差することがある(セロリ—ニンジン—ヨモギ—スパイス症候群).一方,北欧ではシラカバ花粉症が多く,バラ科のリンゴ,モモ,ナシ,サクランボなどやヘーゼルナッツ(シラカバと近縁の植物),セリ科のセロリ,ニンジン,スパイスと交差反応を起こし,セロリ—シラカバ—ヨモギ—スパイス症候群として報告されるものもある.これらの植物,スパイスのアレルギーの診断において,生の植物,スパイスの生理 -
アトピー性皮膚炎,気管支喘息とOAS
209巻3号(2004);View Description Hide Descriptionヨーロッパでは1980年代前半からシラカバ花粉症患者におけるリンゴなどの果物による過敏症が報告されてきた.この比較的新しい疾患概念である口腔アレルギー症候群(OAS)とは口腔粘膜に発症する接触蕁麻疹であり,蕁麻疹,アナフィラキシー反応を伴う場合がある.著者らの検討ではアトピー性皮膚炎(AD),気管支喘息に多く合併し,そのなかでは女性が男性より有意に多く,花粉症を合併しやすいが,ラテックスアレルギーとは関連が少ない.原因食物は,ADでメロン,モモ,喘息ではサバ,メロンなどであった.食物と花粉の共通抗原として -
ラテックス-フルーツ症候群──その診断と検査方法
209巻3号(2004);View Description Hide Descriptionラテックスアレルギーとは天然ゴム製品により誘発される即時型アレルギー反応のことである.ラテックスアレルギー患者の一部は植物性食品を摂取した際にも口腔から全身に及ぶ即時型アレルギー反応を経験する.この現象はとくに,ラテックス—フルーツ症候群とよばれている.原因となる植物性食品は食物アレルギーを引き起こすことが一般的によく知られているような食品ではなく,果物や野菜であることが多い.この特徴は,花粉症に伴う口腔アレルギー症候群(OAS)の特徴に似ている.ラテックス—フルーツ症候群や花粉症に伴うOASは,天然ゴム
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フォーラム
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TOPICS
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- 生化学・分子生物学
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- 薬理学・毒性学
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- 循環器内科学
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- 腎臓内科学
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- 整形外科学
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連載
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- 現代寄生虫病事情
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