医学のあゆみ
Volume 209, Issue 5, 2004
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5月第1土曜特集【輸液・栄養療法—EVIDENCE&CONTROVERSY】
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- ■エビデンス
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TPN管理下でのビタミンB1欠乏症──そのエビデンス,頻度,診断と治療
209巻5号(2004);View Description Hide DescriptionTPN管理下におけるビタミン欠乏症は,医療訴訟に直結した合併症となっている.なぜならば,栄養代謝にB1が必須であるという知見は1900年代に確立されており,医学部でも基礎医学で学ぶ知識であるからである.それが,なぜ医学が進歩した現代の臨床で登場するのか? これは,実際の臨床の場に存在する多くのpitfallのひとつであり,医療を実践していく医師は,周囲の雑音に惑わされず,信念を持って果敢に患者に必要な医療を行うことで,はじめて避けられるpitfallであるという教訓的な合併症である.本稿ではB1の作用と欠 -
3カ月以上のTPN管理下でのSe濃度の検査頻度と補給方法──そのエビデンス
209巻5号(2004);View Description Hide Descriptionセレンは欠乏症で死亡する唯一の微量元素であるので,中心静脈栄養法および経腸栄養法などの人工栄養法を長期間施行する場合,セレン欠乏症の可能性を念頭に管理を行うべきである.モニタリング用の検体としては採取のしやすさから血漿がよく用いられる.セレン関連酵素のグルタチオンペルオキシダーゼの血漿中活性は血漿中セレン濃度と同様の変動を示すので,セレン動態の指標としては血漿中セレン濃度が最適と考える.その測定頻度はセレン投与—非投与に対して3週間で有意の変動を示すことから1カ月に一度程度でよい.セレン補給方法は,欠乏状 -
エネルギー必要量の算定の根拠──エビデンスは本当にあるか?
209巻5号(2004);View Description Hide Descriptionエネルギー必要量の算定は栄養サポートの基本である.エネルギー必要量算定のない栄養処方はエネルギー代謝のない体と同じである.適切に個別の栄養サポートを実現するため,エネルギー必要量(energy requirement:ER)を算定する必要がある.ではいかにしてこのERを算定するのか.そしてその算定方法にははたして科学的根拠,エビデンスはあるのか.本稿で検証を試みたい. -
完全絶食下のヒトでbacterial translocationの起こっているエビデンスはあるか
209巻5号(2004);View Description Hide Description動物実験では,数日の絶食で粘膜表層の絨毛上皮を中心とする萎縮が起こることが報告されている.しかしヒトにおいては,完全静脈栄養(TPN)による粘膜萎縮を証明した報告は1カ月以上の長期TPN例や新生児での報告が主で,それ以外では差を認めていない.またTPNにより腸管粘膜透過性の亢進が生じるものの,腸間膜リンパ節へのbacterial translocation(BT)は高率とならないことが報告されている.例外的に,短小腸症候群ではTPNによりBTが高率となることが報告されている.また侵襲が加わった場合のTPN -
冠動脈疾患予防のための抗酸化物質の量とエビデンス
209巻5号(2004);View Description Hide Description抗酸化物質として,ポリフェノール,ビタミンE,ビタミンC,カロテノイドなど,体内で合成されない物質や,コエンザイムQ10,タウリン,グルタチオンなど体内で合成されるが,さらに食事から摂取することで,より抗酸化作用が認められるものもある. 冠動脈予防のために行われている観察研究や介入試験では,これらの抗酸化物質の一部についてだけである.観察研究では抗酸化物質の摂取量が多いほど,冠動脈疾患発症率が低下したとする報告が多い.しかし,介入試験では結論は得られていない.ビタミンE,ビタミンC,β—カロテンについて介 -
肝性脳症に対するBCAA(分岐鎖アミノ酸)・グルコースの治療効果──肝硬変脳症におけるBCAA療法の有用性と限界
209巻5号(2004);View Description Hide Description肝性脳症に対する分岐鎖アミノ酸(BCAA)療法のエビデンスは肝硬変を基礎疾患とする慢性再発型脳症がもっともよい適応であることを示している.実際,最新の成績(2003年)でも本病型に対して86%の有効率が報告されている.この際,副作用(低血糖)防止の観点からグルコースの併用投与が望ましい.さらに,細胞内代謝の面で,分岐鎖アミノ酸とグルコースとの間にクロストークが存在する可能性も近年示唆されている.なお同じ肝硬変脳症でも末期昏睡型の場合には分岐鎖アミノ酸療法の有効率は23%と低く,単独での治療効果は弱い.また -
食道がんに対する食道切除術の周術期に免疫栄養は必要か?
209巻5号(2004);View Description Hide Description食道癌に対する食道切除術は消化器手術のなかでももっとも大きな侵襲の手術であり,手術法・医療機器・薬剤が進歩した今日でも術後の合併症発生率はいまだに高い.近年,周術期の患者管理における栄養管理の重要性が再認識されるようになり,とくに各種の免疫栄養成分を強化した経腸栄養剤(immune enhancing diet:IED)が臨床応用されるようになった.本稿では免疫栄養について概説し,さらにIEDによる周術期栄養管理の有用性に関するエビデンスを紹介する. - ■コントラバーシ
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シスプラチン使用の化学療法時に乳酸加リンゲル液による輸液とMg補充の同時投与は必要か──必要とする立場から
209巻5号(2004);View Description Hide Description -
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完全静脈栄養(TPN)管理下の透析患者(透析者)のアルギニン投与の必要性の有無──過大侵襲下の透析患者にTPN管理時の積極的アルギニン投与は不要である
209巻5号(2004);View Description Hide Description -
TPNによるカテーテル関連血流感染のリスク回避にインラインフィルターは必要か──是の立場から(調製する立場から)
209巻5号(2004);View Description Hide Description -
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