医学のあゆみ
Volume 210, Issue 7, 2004
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あゆみ ニコチン受容体サブタイプと生体機能──新しい創薬ターゲット
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リンパ球に発現するニコチン受容体の機能──喫煙によるα7型ニコチン受容体機能の変化
210巻7・8号(2004);View Description Hide Descriptionアセチルコリン(ACh)は重要な神経伝達物質のひとつである.しかし,リンパ球における非神経性コリン作動系の存在が明らかとなり,AChの免疫機能に及ぼす作用が注目を集めつつある.他方,喫煙による免疫活性の低下が報告されている.本稿ではリンパ球に発現しているニコチン受容体(nAChR),その生理的役割,喫煙のnAChR機能に及ぼす変化について概説する. -
神経細胞型ニコチン受容体と連関する細胞内シグナル伝達機構
210巻7・8号(2004);View Description Hide Descriptionニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)は多種類のサブタイプからなり,脳および末梢神経系の神経細胞に広範囲に分布する.ニコチンは神経細胞型nAChRを活性化し,細胞レベルから行動に至るまでの多様な薬理作用を引き起こす.このニコチンの薬理作用はnAChR活性化に伴い,nAChRのイオンチャネルや電位依存性Caチャネルを介して細胞内にカルシウムが流入した結果であるが,いままではおもに,神経終末に存在するnAChRの活性化とそれに伴う神経伝達物質放出の促進機構が解析されてきた.しかし,神経細胞のnAChR活 -
ニコチン受容体の細胞膜局在性──ラフトを介したニコチン受容体とアデニル酸シクラーゼの共役
210巻7・8号(2004);View Description Hide Description古典的な概念においては,細胞膜上の信号蛋白は膜全体にわたって無秩序に分布するものと考えられた.ところが近年の研究では,細胞膜にはコレステロールに富むラフトとよばれる微小領域があり,膜蛋白の一部はこの領域に集中して存在することがわかってきた.ラフトでは蛋白どうしが接近して存在するため,シグナル伝達が効率的に行われると考えられる.神経組織ではこの分野についての研究はあまりなされていなかったが,著者らはニコチン性アセチルコリン受容体がサブユニット特異的にラフトに局在することを明らかにした.さらに,従来からラフト -
ニコチン受容体と膵インスリン分泌機構──ニコチンによる異なるシグナル伝達を介した分泌調節
210巻7・8号(2004);View Description Hide Description膵Langerhans島はさまざまな物質に調節されており,自律神経によっても調節されている.交感神経系ではおもにインスリン分泌は抑制される一方,副交感神経系では分泌を促進することが知られている.しかし,ニコチン受容体とインスリン分泌との関連性についてはあまり報告がなされていない.そこで,ニコチン受容体が膵Langerhans島に発現しているのかどうか,ニコチンのインスリン分泌に対する影響,関与するシグナル伝達系について検討を行った.本稿ではその結果について概説する. -
ニコチンの血管作用──とくに血管支配神経機能との関連
210巻7・8号(2004);View Description Hide Descriptionニコチンはニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストとして,自律神経節や副腎に存在するNn受容体や骨格筋に存在するNm受容体に作用し,それぞれ神経伝達物質やホルモンの遊離を促進し,骨格筋を収縮させることはよく知られている.近年,それら以外にも作用点や受容体の存在が明らかになり,その生物学的意義が注目されている.本稿ではニコチンの血管作用について概説する.神経節が存在しない摘出血管に投与したニコチンが,同血管に適用した経壁電気刺激と同様の作用を生じることから,血管壁に分布する支配神経の終末にニコチンの作用点が -
ペプチド作動性血管拡張性神経機能に及ぼすニコチンの影響
210巻7・8号(2004);View Description Hide Description腸間膜動脈抵抗血管には,血管支配神経として血管収縮性の交感神経ばかりでなく,強力な血管弛緩作用を有するCGRPを伝達物質とする血管拡張性のペプチド作動性神経(CGRP神経)が高密度に分布し,血管緊張度調節に関与している.血管周囲神経,とくにCGRP神経に対するニコチンの作用をラット摘出腸間膜動脈の灌流標本を用いて神経薬理学的に検討した.前収縮させた標本においてニコチン(1〜100μM)を1分間灌流すると,濃度依存的で内皮細胞に依存しない血管拡張反応が出現した.この反応は神経性で,ニコチン性コリン受容体(α -
神経変性疾患とニコチン受容体
210巻7・8号(2004);View Description Hide Descriptionグルタミン酸による興奮性神経毒性は虚血性ニューロン死において重要な役割を果たすとともに,Alzheimer病をはじめとする神経変性疾患におけるニューロン死の危険因子としても働く.このようなグルタミン酸神経毒性は神経型ニコチン受容体の持続的な刺激により著明に抑制される.さらに,ドネペジルなどのAlzheimer病治療薬として用いられるアセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害薬も直接あるいは間接的にニコチン受容体を刺激してグルタミン酸神経毒性を抑制することが明らかになってきた.AChE阻害薬の神経保護作用に
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書評『医療・ヘルスケアのための決断科学──エビデンスと価値判断の統合』(Myriam Hunink・Paul Glasziou他著/福井次矢・森本 剛監訳)
210巻7・8号(2004);View Description Hide Description
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