医学のあゆみ
Volume 212, Issue 12, 2005
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あゆみ 前立腺癌治療の最近の進歩──とくに放射線療法
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小線源(1) ヨウ素125
212巻12号(2005);View Description Hide DescriptionPSA検診の普及により前立腺癌の患者数は増加している.小線源挿入療法は,おもに低リスクの前立腺癌に対してヨウ素125を前立腺内に永久的に刺入する治療法であり,治療成績は手術や外照射と同程度と考えられている.また,副作用も比較的軽微で治療直後から普通の生活が可能なため,アメリカでは年々増加傾向にある.この治療が日本で開始されてからまだ1年半程度で,治療の実施施設も限られている.現在,国内での普及活動が行われている. -
小線源(2) イリジウム192
212巻12号(2005);View Description Hide Description最近の放射線治療支援機器の進歩により,周辺正常組織への線量を減らし,前立腺病巣に比較的大線量を照射することが可能になってきた.そのひとつが小線源を用いた“組織内照射治療”である.組織内照射の最大の特徴は,標的に合わせた線量分布が得られ,臓器固有の動きに対応できることである.本稿ではイリジウム192を用いた高線量率組織内照射治療について述べる.この治療法は永久刺入組織内照射法に比較して投与線量,その均等性の点ではるかに高い精度での治療を可能とし,また副作用の点でも,高齢患者に対して過度の肉体的負担をかけるこ -
外部照射
212巻12号(2005);View Description Hide Description前立腺癌の外部照射における最近の話題として,技術の進歩により三次元原体照射が可能となり,放射線直腸炎といった副作用の発生を抑えると同時に,照射線量が増加でき,局所制御率を向上させる試みがある.また,ホルモン療法の併用に関して,限局期(T1b−T2b)の症例に対しても,三次元原体照射と6カ月間のホルモン療法の組合せで生存率の改善が得られることがわかった.さらに,予防的全骨盤照射の意義についても,その有効性を示すあらたな知見が報告されている. -
強度変調放射線治療(IMRT)
212巻12号(2005);View Description Hide Descriptionコンピュータ技術を放射線治療分野に応用することによって開発された強度変調放射線治療(intensitymodulatedradiotherapy:IMRT)は最先端の外部放射線照射法である.最大の特徴は治療計画の最適化と照射をコンピュータの制御・補助下で行う点であり,従来の人間による試行錯誤を超えた良好な線量分布を実現する放射線投与が可能となった.前立腺はこのIMRTによる線量分布の改善による恩恵をもっとも受けると考えられている部位のひとつであり,良好な治療成績と少ない合併症の両立が可能であることが証明さ -
前立腺癌に対する陽子線治療
212巻12号(2005);View Description Hide DescriptionProstate specific antigen(PSA)検査の普及に伴い早い段階の前立腺癌が多数発見されているが,これらの癌には患者が天寿を全うするまで症状が現れないものも含まれている.前立腺に限局した癌に対する対応には,経過観察,根治的前立腺摘除術,放射線治療があるが,三者の治療成績には大差がない.手術,放射線治療のいずれの方法で治療しても数年後には,性機能,排尿,排便などにかなりの頻度で障害が生じる.水素の原子核である陽子を用いる陽子線治療はX線と比べ線量分布が優れているので,X線に比べて局所制御 -
炭素イオン線
212巻12号(2005);View Description Hide Description重荷電粒子線治療のひとつである炭素イオン線は線量分布に優れ,かつ高い抗腫瘍効果を有する理想的な放射線である.放射線医学総合研究所では平成7年(1995)より,この炭素イオン線を用いた前立腺癌の治療を行ってきた.その成績は他の各種最新放射線治療の成績を凌駕するきわめて優れたものである.とくに,直腸の有害反応(副作用)が少ないことと,炭素イオン線を照射した領域内部からの再発がほとんど認められないという事実は,まさに炭素イオン線の利点を顕著に表すものである.さらに,系統的にホルモン療法との併用を行うことにより,
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フォーラム
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書評『意外に知られていない,こんな症状 うつ100のサイン 早期発見のためのチェック・シート』(佐藤 武著)
212巻12号(2005);View Description Hide Description
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TOPICS
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- 循環器内科学
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- 病理学
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- リハビリテーション医学
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連載 遺伝子診断の最前線
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1.総論──遺伝子診断の定義・分類および倫理指針・ガイドライン
212巻12号(2005);View Description Hide Descriptionヒト遺伝情報のうち生殖細胞系列の遺伝情報は生涯変化することがなく,血縁者も共有している可能性のある情報であるため,その取扱いには十分な注意が必要である.2005年,わが国においても厚生労働省などから「遺伝学的検査を行う場合には遺伝カウンセリングが必要である」旨の指針がだされたので,各医療機関は遺伝カウンセリングを可能とする診療体制の構築に努める必要性が生じ,またすべての医師は遺伝子情報の特殊性を理解し,必要な場合には臨床遺伝専門医と連携をとり,適切に対応することが求められるようになった.
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