医学のあゆみ
Volume 213, Issue 4, 2005
Volumes & issues:
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あゆみ 環境生体応答──Toxicogenomics
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薬物トランスポーターのファーマコゲノミクスと薬物相互作用
213巻4号(2005);View Description Hide Descriptionゲノム創薬と個の医療において,薬理効果を向上させて副作用を抑制することは緊急課題である.薬物トランスポーターの薬剤応答性における重要性が注目されている.ヒトゲノム解析によって,これまでにヒトABCトランスポーターおよびSLCトランスポーターの遺伝子が多数発見され,薬物の消化管吸収,組織への分布,肝や腎からの排泄など,薬物がその代謝物の輸送と密接に結びついていることが明らかになった.したがって,薬物トランスポーターの機能とSNPとの相関関係をin vitro実験で検証する必要がある.今後,その検証データに基 -
トキシコゲノミクスにおける技術の標準化──Percellome
213巻4号(2005);View Description Hide Description形質非依存型トキシコゲノミクスに適用するため,マイクロアレイなどから細胞1個当りのmRNAコピー数として発現量を得る方法(Percellome)を開発した.この結果,検体間はもとより実験間,マイクロアレイのバージョン間,異なったプラットフォーム間,あるいは異なった臓器や動物種間のデータ比較が容易となる.完全教師なしクラスタリングなどのデータ解析法の開発を加え,この手法を毒性メカニズム研究を進める手がかりとし,これに基づいた毒性評価,毒性予測のあらたな展開をめざしている. -
トキシコゲノミクスのニューパラダイム
213巻4号(2005);View Description Hide Description病理組織学的な変化や生理学的パラメータが中心となっていたトキシコロジーが大きく変わろうとしている.DNAマイクロアレイに端を発したゲノミクス的アプローチはトキシコロジーにおいても積極的に取り入れられ,トキシコゲノミクスというあらたな領域を生み出した.さらに,これはトランスクリプトミクスのみならず,プロテオミクス,メタボノミクス,バイオインフォマティクスを取り込んだシステムバイオロジーとして発展しつつある.これは生体システムの変調を通して生体における悪影響を理解し定義づけるために重要なだけでなく,毒性の予測 -
ヒト臍帯のトキシコゲノミクス──胎児の複合曝露影響におけるハイリスク・グループに着目した新しいリスクアセスメントの開発
213巻4号(2005);View Description Hide Description胎児や乳幼児は大人に比べ化学物質に対して感受性が高いという報告がなされている.著者らの研究から,ヒト胎児に化学物質の複合曝露が起こっていることも判明してきている.ここではハイリスク・ライフステージである胎児の化学物質複合曝露状況とハイリスク・グループの存在について述べ,そして胎児の複合曝露影響を曝露量と感受性の両面から考える新しいリスクアセスメントの開発をめざして著者らが行っているヒト臍帯のトキシコゲノミクス研究について概説する. -
エコトキシコゲノミクス:種間外挿の展望──センチュウを中心として
213巻4号(2005);View Description Hide Descriptionトキシコゲノミクス研究で強力なツールとなっているDNAマイクロアレイをもとにセンチュウとヒトに外挿が可能かどうかCYP遺伝子群について検討した.センチュウにおいては約80種類のCYPが知られている.そこでラットのCYP2A1と相同性の高い分子種(CYP14,22,23,33,34,35,36),ラットのCYP3A2と相同性の高い分子種(CYP13,25,43),ラットのCYP4A1(CYP29,31,32,37,42)と相同性の高い分子種が実際に化学物質曝露でも遺伝子発現するかどうか,センチュウカスタムマ -
クリニカルプロテオミクス
213巻4号(2005);View Description Hide Descriptionプロテオミクスは基礎研究から臨床研究へ活発に応用範囲を広げつつある.なかでもプロテオミクスによるバイオマーカー探索は,早期診断,テーラーメード医療,さらには予防医学など,臨床現場への実用化がもっとも期待される分野である.バイオマーカー探索研究では複雑な背景因子をもったサンプルを同時に数多く比較解析し,そのなかからバイオマーカー候補を再現よく迅速に抽出することが求められる.“Pattern TrackTM”とよばれる新しいバイオマーカー探索のコンセプトに基づいて開発されたプロテインチップシステムの特徴と臨床 -
蛋白質相互作用とトキシコゲノミクス
213巻4号(2005);View Description Hide Description忍耐と労力を惜しまず,経験積み,知恵と工夫を凝らし,ひとつ一つの蛋白質に取り組むのがこれまでの蛋白質科学であった.しかし,プロテミクス技術の飛躍的な進歩に伴い,網羅的・包括的解析が蛋白質レベルであっても夢物語ではなくなったように思われた.それでも,蛋白質が化学的に多様で不安定性であることに対する根本的な解決はなく,質量分析などのハイテク機器を駆使しようとも核酸のように大規模・システマティックに扱うことが本質的に困難であることに変わりはない.本稿では“そんな”蛋白質の大規模ネットワーク解析の苦悩・苦闘を展望 -
毒性学のためのシステムズバイオロジー展望
213巻4号(2005);View Description Hide Description高名なコンピュータ科学創始者であるアラン・チューリングはコンピュータ科学発展初期のころにすでに生物学にコンピュータを導入する試みを行っている.現在はそれが進み,生物学にコンピュータ科学は欠かせないものとなっている.それを可能にしたのがマイクロアレイをはじめとする生物システムの大量データ収集技術(ゲノムシグナルプロセシング)の開発である.これらにより生物システムを構成する要素を個々に調べ上げるのではなく,多数の要素とそれらの間の関係を多変量として扱い,その結果生じるシステムの特性を理解する“システムズバイオ
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フォーラム
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TOPICS
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- 神経内科学
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- 循環器内科学
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- 膠原病・リウマチ学
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連載 遺伝子診断の最前線
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5.ありふれた疾患(common disease)の遺伝子診断の臨床的有用性の評価
213巻4号(2005);View Description Hide Description単一の遺伝子変異によって発症がほぼ確実に左右される単一遺伝性疾患,すなわちMendel遺伝性疾患の多くについて,その原因遺伝子が明らかとなり,遺伝学的診断が可能となっている.本連載の第2部でそれらの状況について解説されている.これらは種類はきわめて多いが,ひとつひとつの疾患の患者数は比較的少ないものである.これに対して,ありふれた疾患,いわゆるcommon diseaseについてもその疾患感受性遺伝子多型が同定されつつあり,将来はその情報に基づいた診療が行われることが予想される.単一遺伝性疾患と異なり,多
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