医学のあゆみ
Volume 213, Issue 8, 2005
Volumes & issues:
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あゆみ 褥瘡をめぐる最近の動向──ガイドライン策定に向けて
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いま,なぜ褥瘡が注目されるのか
213巻8号(2005);View Description Hide Description褥瘡が社会的に注目されてきているが,この理由のひとつは日本褥瘡学会が設立されたことである.それにより褥瘡に関する研究,症例報告が急増している.また日本における褥瘡危険要因(OHスケール)が開発され,そのレベルごとに褥瘡発症確率や治癒期間が異なることがわかり臨床に用いやすくなったことも理由のひとつである.また,日本褥瘡学会が提案した創のアセスメント(DESIGN−P)も厚生労働省に採用され,広く用いられるようになっている.褥瘡が注目されるようになったもっとも大きな理由は,2002年10月に“褥瘡対策未実施減 -
リスクアセスメントツールをいかす
213巻8号(2005);View Description Hide Description褥瘡発生を予防するためにはリスクアセスメントを定期的に実施し,リスクの高い方を抽出すること,またリスクを除去・軽減するための具体的な予防ケアを実施することが必要である.これを効果的に行うためには褥瘡発生リスクアセスメントスケールの使用が有用であるといえる.現在わが国で使用されているアセスメントスケールはブレーデンスケール,K式スケール,そしてOHスケールがあり,加えて褥瘡対策未実施減算により広く使われることとなった様式5の危険因子の評価がある.危険因子の評価は調査した約半数以上の施設が使用しているが,スケ -
創面を評価してから治療を開始する
213巻8号(2005);View Description Hide Description褥瘡の治療を開始するにあたっては,褥瘡の病態を評価した後に治療を開始する必要がある.この作業は欧米では早くから行われていたが日本においてはそんなに古くからではない.いままでに創面評価法として,PSST,PUSH,PUHPなどが報告されているが,ここでは日本発の評価法“DESIGNツール”を中心に述べる.このツールは日本褥瘡学会学術教育委員会が開発したもので,評価項目は7つある.深さ,浸出液,大きさ,炎症/感染,肉芽組織,壊死組織とポケットからなる項目の総点が高いほど重症度が高く,改善に向かうに従って0点に -
創傷治癒をめぐるあらたなコンセプト──Wound Bed PreparationとMoist Wound Healing
213巻8号(2005);View Description Hide DescriptionWound Bed Preparation(WBP)とは慢性創傷における創傷治癒環境の調整であり,その定義は“生体のもつ治癒力を促進するか,その他の治癒因子の有効性を促進するための創傷管理”とされている.慢性創傷部の細胞環境を理解し,その上で患者の背景を把握し局所管理を行うことを勧めている.ここでの局所管理の要点は,1.デブリードメントの施行,2.滲出液の管理,3.感染のコントロールである.そして滲出液を正しく管理することがMoist Wound Healingの骨子である.そのためには各種創傷被覆材の効 -
外用薬にエビデンスはあるのか
213巻8号(2005);View Description Hide Description日本褥瘡学会では治療ガイドラインの策定を行っているが,外用薬においては残念ながらエビデンスレベルが高い薬剤ばかりではない.また,エビデンスレベルの決定に引き続き当委員会では外用薬の推奨度を考慮中であるが,外用薬の効果はその主剤の効用だけではなく,軟膏剤容量の大部分を占める基剤の影響も配慮している.なお,1980年以前に上市された薬剤の多くはそのエビデンスレベルが高いわけではないが,かならずしも有用性の低い薬剤と結論づけているものではない. -
創傷ドレッシング材にエビデンスはあるのか
213巻8号(2005);View Description Hide Description日本褥瘡学会では平成16年度より,褥瘡の局所管理・治療方法に関する褥瘡治療ガイドライン策定が,褥瘡学会学術委員会によって進められている.創面に湿潤環境を形成する機能をもつ合成材料からなる6種類と生物由来材料2種類の計8種類について,エビデンスレベルの検証をドレッシング材ごとに行った.ポリウレタンフィルム材以外は特定治療材料として臨床で使用されているこれらのドレッシング材は,従来の湿潤環境を維持するドレッシング方法と比較して褥瘡治癒率には有意差を認めなかったが,処置時間や費用対効果が有意に優れていた.本稿で -
急性期病院における褥瘡と褥瘡チームの役割──あらたな褥瘡診療のトレンド
213巻8号(2005);View Description Hide Description褥瘡対策未実施減算施策の施行により図らずも急性期病院の褥瘡をめぐるあらたな視野がひらけてきた.急性期病院でも周手術期を中心に多くの褥瘡が発生していること,急性期病院の褥瘡には慢性期の高齢者を標的とした従来の危険要因の抽出や予防対策がかならずしも当てはまらないこと,各専門分野の医師・コメディカルを結集したチーム医療がきわめて有効に結実し,目にみえた実効をあげていること,などの諸点である.このような情況の変化を背景に,急性期病院においても褥瘡に対する関心が高まり,また創傷治癒理論の進歩も相まって,あらたな褥瘡
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フォーラム
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第69回日本循環器学会学術集会総会シンポジウムレポート 2.State of the art of medical imaging(医用画像最前線:分子から機能へ)
213巻8号(2005);View Description Hide Description -
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TOPICS
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- 膠原病・リウマチ学
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- 移植・人工臓器
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連載 遺伝子診断の最前線
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7.遺伝子診断の定義,分類,倫理的取扱い──着床前診断
213巻8号(2005);View Description Hide Description遺伝病家系のクライエントに対する救済法の技術として着床前診断の概念がつくられた.実施にあたって日本産科婦人科学会はガイドラインを会告として提示し,重篤な遺伝病を対象として着床前診断を審査のうえで行うことを決定した.重篤な遺伝病の定義やそれ以外の対象についての議論はなお残存し,諸外国との相違の大きさについても強い指摘がある.体外受精卵に対する染色体スクリーニング検査をpreimplantation geneticscreening(PGS)とよび,PSDのひとつとして考えられているが,わが国ではその実施に対
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速報
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