医学のあゆみ
Volume 215, Issue 9, 2005
Volumes & issues:
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あゆみ PDDとPDT──消化器領域における光線力学的診断と治療
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消化器領域におけるPDDとPDTの臨床応用
215巻9号(2005);View Description Hide Description光線力学的療法(photodynamic therapy:PDT)とは,腫瘍親和性光感受性物質(photosensitizer:PS)とレーザー光を用いて行う治療で,腫瘍を選択的に破壊する.PSは腫瘍細胞や新生血管細胞内に多く取り込まれ,腫瘍とその周囲にPSを励起させる波長をもつレーザーを照射すると腫瘍が選択的に破壊される.その機序は,レーザー光とPSとが光化学反応を起こして活性酸素が生じることにより,腫瘍や腫瘍血管が壊死に陥るものと考えられている.一方,病変部に取り込まれたPSは,ある波長の光を照射する -
食道癌に対するPDT
215巻9号(2005);View Description Hide Description食道癌に対する光線力学療法(PDT)の適応はわが国では内視鏡的粘膜切除術(EMR)が不可能な表在型食道癌に限られるが,EMRの普及に伴い現実的には適応となる症例はそう多くはない.一方,欧米では表在癌の治療のみならず,進行癌による嚥下障害の症状緩和目的やBarrett食道の腺癌発生に対する予防的治療にも取り入れられている.当院では根治目的化学放射線療法(CRT)後の原発巣における遺残再発病変に対しサルベージ治療としてのPDTを応用し,良好な成績を得ている.今後,長期的な経過観察は必要であるが,サルベージPD -
胃癌に対するPDT
215巻9号(2005);View Description Hide Description内視鏡的粘膜切除術(EMR)は早期胃癌の完全治癒が可能で,癌患者のQOLの向上に大きく貢献している.しかし,EMRでは粘膜内に限局したM癌のみが適応とされ,粘膜下層(SM)およびそれ以深の癌に対しては穿孔の危険性が増大するため適応外とされている.現在,切開・ /離法(ESD)が脚光を浴びているが,手技がきわめて難しく,合併症の頻度は高い.そこで著者らは,光線力学的療法(PDT)が癌細胞を選択的に破壊し,穿孔の危険性がきわめて少ないことに着目し,SMおよびそれ以深の癌に対する新しい治療法としてEMRにPDT -
胆道癌に対するPDT
215巻9号(2005);View Description Hide Description胆道癌に対するPDTはおもに根治よりは局所での癌制御を目的に,切除不能や切除適応外の限られた進行癌症例に行われている.胆管に発生した癌の増殖により生じる胆管閉塞に対して,PDTにより腫瘍組織を変性脱落させることで閉塞を解除させ,ステント留置を行うことができる.減黄ルートを内瘻化することにより患者のQOLは改善され,生存期間延長効果も期待できる.FAP患者の十二指腸乳頭部癌術後の胆管再発に対して著者らの施設で2例PDTが行われ,良好な結果を得ている.今後,代謝時間が短縮された光増感剤の導入によりPDTの適応 -
PDTと外科治療との接点──PDTの特性を生かした集学的治療
215巻9号(2005);View Description Hide Descriptionこれまで日本では欧米と異なり,根治が期待できる早期胃癌,表在性食道癌にフォトフリン−PDTを用いてきた.適応を厳密にし,EMR(ESD)の対象からはずれたものを対象にしてきたが,その成績は根治率80〜90%で良好である.術前にあらかじめPDTで治療を行い切除範囲を小さくし手術リスクを下げ術後のQOLを上げるneoadjuvant PDTが肝門部胆管癌に有用と考えている.術後のPDTとしては手術の根治性を高めるadjuvantPDTがあるが,食道癌術後の胃管癌や残胃癌などの第2の癌も早期であれば対象になる. -
消化器腫瘍に対する光線力学的診断法
215巻9号(2005);View Description Hide Description消化器病変の診断は内視鏡によって長足の進歩を遂げたが,微細な病変や粘膜下に進展する病変はいまだ正確な診断が困難である.また,内視鏡診断は実施者の主観や観察能力によって診断が左右される憾みを排除できない.これらの問題を解決する方法として光線力学的診断が注目されている.これは癌特異的集積能を有する螢光物質であるポルフィリンを投与し,螢光内視鏡装置によって観察することで,微細な病変であっても客観的で正確な診断をサポートするものである.癌特異的なポルフィリン螢光は1924年にすでに報告されているが,その現象を利用
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フォーラム
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TOPICS
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- 耳鼻咽喉科学
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- 産科学・婦人科学
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- 腎臓内科学
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連載 五感の生理,病理と臨床
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17.突発性難聴
215巻9号(2005);View Description Hide Description突発性難聴は原因不明の急性感音難聴で,その確定診断のためには急性感音難聴の原因となる外リンパ瘻やムンプス難聴,自己免疫感音難聴,Meniere病,聴神経腫瘍などを鑑別する必要がある.突発性難聴の治療薬としてはステロイド薬,プロスタグランディン製剤などが有効とされてきたが,突発性難聴全体としての治癒は約30%程度と,いまだ特効的治療法はないといっても過言ではない.本稿では突発性難聴の診断と治療における問題点について概説した.
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