Volume 216,
Issue 2,
2006
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あゆみ 医療におけるスピリチュアリティ
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医学のあゆみ 216巻2号, 145-147 (2006);
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医学のあゆみ 216巻2号, 149-151 (2006);
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WHOの健康の定義は心理・身体・社会的良好状態をめざすものであるが,21世紀にはそれにスピリチュアルな良好状態を加えようとする動きがあった.そのためにスピリチュアリティとはなにか,またその言葉の意味はなんであるかを調べるために,大規模な国際調査が実施された.その結果,スピリチュアリティの概念構造は,“絶対的な存在とのつながりと力”,“人生の意味”,“自然への畏敬の念”,“統合性・一体感”,“スピリチュアルな強さ”,“心の平安・安寧・和”,“希望・楽観主義”,“信仰”という8つの下位構造から構成されていることがわかった.結局,健康定義の改定には結びつかなかったものの,現在,欧米を中心として医療場面におけるスピリチュアリティが重要視されるようになってきた.代替・補完医療が科学的に効果があることが示されるにつれ,その傾向はいっそう強くなってきたようである.WHOが考えるスピリチュアリティとは具体的な医療ケアではなく,人間を自然環境の一部ととらえ,よりよく生きるために必要な生き方であり,それが健康に大きく影響するという認識によるものであるが,今後さらに医療場面においてその重要性に対する認識は大きくなっていくと予想される.
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医学のあゆみ 216巻2号, 153-157 (2006);
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“癌”という死を自覚させられる疾患にかかった患者は身体的・精神的・社会的に大きなダメージを蒙ると同時に,“なぜこんなに苦しまなくてはならないのか”,“なんで自分がこんな病気にかかるのか”,“自分の一生は何だったのか”など,人生の意味や目的,価値の喪失,自己や他者あるいは人間を超えた存在との断絶に苦しむ方が多い.今日,緩和医療分野を中心として癌患者の全人的苦痛(トータルペイン)を理解するために,上記のような“スピリチュアリティ”の概念やその対応法の重要性が指摘されている.ここでは“スピリチュアリティ”概念について鳥瞰し,患者に対してどのような“スピリチュアルケア”が可能であるのか,先行研究を概括しながら私見も交え述べていきたい.
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医学のあゆみ 216巻2号, 159-162 (2006);
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世界的な高齢者人口の増大とともに高齢期におけるスピリチュアリティに対する学術的な関心は高まっており,近年は老年学の学術団体も研究テーマのひとつとしている.老年学は学際的な領域であり,そのなかで医学,看護学,心理学,社会福祉学,その他の専門家がこの問題を取り上げて議論している.現在は方法論的な問題などにおいて,まだスピリチュアリティの研究には課題が多いが,社会的な要請も受けて今後さらに発展していくものと期待される.ここでは高齢期のスピリチュアリティに対する研究をめぐって著者の観点からつぎの4つの論点を取り上げた.すなわち,1.1宗教とスピリチュアリティの分離,2.サクセスフル・エイジングの研究におけるスピリチュアリティの位置づけ,3.心理的発達モデルにみられる高齢期のスピリチュアリティ,4.ライフレヴューという心理的技法とスピリチュアリティのかかわり,である.
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医学のあゆみ 216巻2号, 163-167 (2006);
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Spiritualityを測定するSpirituality評定尺度(SRS A・SRS B)を開発した.SRS Aは15項目5件法,SRS Bは5項目文章完成法/半構造化面接法の簡便な評定尺度である.尺度開発にあたってはspirituality概念を“なにかを求めそれに関係しようとする心のもちようであり,自分自身やある事柄に対する感じまたは思い(意気・観念)”と規定した.したがって,“意気・観念”で構成される狭義のspiritualityを示す場合は“神気性(スピリチュアリティ)”と表記し,一般的な訳語である“霊性”,“精神性”,“たましい”とは取扱いを別にする.SRS Aは種々の統計的処理に耐えうる尺度であるが,SRS BはSRS Aを補完する尺度であり,対象者の客観的評価よりも評定者との相互作用によって生起する多彩なspirituality内容を把握するのに有用である.
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医学のあゆみ 216巻2号, 169-172 (2006);
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スピリチュアリティの向上をはかるのは容易ではない.スピリチュアリティの向上の手段として,いくつかの補完・代替医療があげられる.補完・代替医療は現代西洋医学以外の医学すべてを指す.補完・代替医療の特徴のひとつはリラクセーションの誘導やスピリチュアリティの向上をはかることができることである.このような補完・代替医療として気功,ヨーガ,自律訓練法,バイオフィードバック,瞑想療法,イメージ療法,宗教療法,音楽療法,アロマセラピー,マッサージ,ボディワークなどさまざまなものがある.
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フォーラム
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医学のあゆみ 216巻2号, 174-178 (2006);
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医学のあゆみ 216巻2号, 180-181 (2006);
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TOPICS
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脳神経外科学
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医学のあゆみ 216巻2号, 186-188 (2006);
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移植・人工臓器
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医学のあゆみ 216巻2号, 188-190 (2006);
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疫学
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医学のあゆみ 216巻2号, 190-191 (2006);
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連載 五感の生理,病理と臨床20
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医学のあゆみ 216巻2号, 193-197 (2006);
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重症脳損傷患者の脳蘇生治療は,二次性脳損傷が進行し,脳が不可逆状態になる前に,脳蘇生治療を開始しなければならない.とくに脳温の上昇は損傷脳に対して悪影響をきたすことは多数報告されており,脳損傷患者の体温を管理することの重要性が報告されてきた.脳低温療法は重症脳損傷患者で発生している全身反応と低温化に伴う生体反応を加味したうえで,治療を計画する必要がある.近年,脳低温療法で強調されているのは,発症から短時間での脳低温療法の導入,目標温度への到達と緩徐な復温である.心原性心肺停止蘇生後患者の脳低温療法の有効性だけでなく,重症頭部外傷患者や虚血性脳血管障害患者でも,目標温度への到達時間の短縮や復温速度により転帰改善を示す報告もある.本稿では,脳低温療法の適応と管理上の注意点について報告する.