Volume 216,
Issue 4,
2006
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あゆみ 腸内細菌と疾患
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医学のあゆみ 216巻4号, 261-261 (2006);
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医学のあゆみ 216巻4号, 263-267 (2006);
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炎症性腸疾患(IBD),すなわち潰瘍性大腸炎(UC)とCrohn病(CD)の病因として細菌が考えられ,原因菌探しが以前より行われてきたが,決定的な発見がなく,細菌原因説はあまり重要視されなくなっていた.しかし,最近の自然免疫系の解明により,Toll like receptor(TLR)の働きや,細菌構成成分の細胞内レセプターであるnucleotide binding oligomerisation domain 2(NOD2)の機能異常がCD発症に関与していることが明らかになってきたことなどを受けて,腸内
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医学のあゆみ 216巻4号, 268-270 (2006);
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新生児期は,無菌状態で生まれた後,外界のさまざまなものとの接触により腸内細菌叢を確立していく大切な時期である.しかし,早産・低出生体重児であるほど,防御能や免疫能の未熟性に伴い易感染状態である.正常な腸内細菌叢の生着の誘導が不十分なことにより,細菌増殖(bacterial overgrowthからbacterialtranslocation),そして敗血症を引き起こす.新生児壊死性腸炎(NEC)は,未熟腸管に伴う感染,低酸素症,腸管虚血などが原因として考えられており,とくに,敗血症からNECへと進展するこ
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医学のあゆみ 216巻4号, 271-275 (2006);
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腸内菌叢の単分離・培養を介さないアプローチ,とくに16SリボゾームDNAクローンライブラリー法により,ヒト腸内菌叢の全容が明らかになった.多様な細菌群集を数値として把握するターミナル RFLP法による“腸内細菌プロファイル”を用いた,腸内菌叢と大腸疾患の関係に関するダイナミックな研究がはじまろうとしている.とくに腸内菌叢と死亡数が年々増加しいる大腸癌発症に関する研究がなされて久しいが,ようやくその成因に迫れる手段が整備されつつあるといってよい.大腸癌の要因として食事の欧米化が指摘され,胆汁酸代謝(二次胆汁酸産生)に関与する腸内Clostridiumがクローズアップされ,腸内細菌プロファイル,腸内Clostridiumおよび二次胆汁酸産生量との関連性が論議されるようになってきている.
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医学のあゆみ 216巻4号, 277-280 (2006);
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過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)の発症は脳腸の機能的悪循環の形成,消化管粘膜の一過性炎症もしくは微小炎症による筋層間神経叢機能の改変,遺伝的にある神経機能をもつ個体に消化管粘膜の一過性炎症が加わることによる可能性が大きくなってきた.一方,どのような免疫担当細胞が筋層間神経叢の記憶の変化に関与しているのかという問題がある.IBS患者の大腸粘膜では免疫賦活状態にある成績が報告されている.現時点でIBSの粘膜炎症,サイトカインと神経伝達物質の関係は不明な点も多いが,粘膜炎症持続の要因として,腸内細菌の異常が想定されている.慎重に計画された介入研究においては,プロバイオティクスの投与によって,IBSの愁訴はbacterial overgrowthの克服を介して改善すると考えられる.それはおそらく菌種により異なるであろう.
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医学のあゆみ 216巻4号, 281-285 (2006);
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アルコール性肝障害の病態には腸内細菌がきわめて重要な役割を果たしている.とくに,アルコール性肝炎では,腸内細菌由来のエンドトキシン(LPS)によるKupffer細胞や肝星細胞の活性化が炎症・線維化の進展に関与しており,自然免疫系の分子機構解明とともに詳細な病態メカニズムが明らかにされつつある.また,非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)においてもアルコール性肝障害と同様に腸内細菌の果たす役割は大きく,エンドトキシンに加えて腸内細菌が産生する内因性アルコールの病態への関与なども注目される.一方,肝硬変において
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医学のあゆみ 216巻4号, 287-291 (2006);
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グラム陰性桿菌Campylobacter jejuniは急性下痢症,食中毒の主要な起因菌である.C.jejuni腸炎後,3,000人に1人がGuillain Barre´症候群を発症する.著者らの一連の研究により,C.jejuni菌体外膜リポオリゴ糖とヒト末梢神経構成成分のガングリオシドとが分子相同性を有し,ガングリオシド様リポオリゴ糖を発現しているC.jejuniに感染後,抗ガングリオシド抗体産生が誘導され,神経が傷害されて運動麻痺に至ることが実証された.分子相同性仮説は自己免疫病発症の代表的な仮説のひとつであるが,C.jejuni腸炎後Guillain Barre´症候群が分子相同性仮説を立証する最初の疾患となった.さらに,C.jejuniのガングリオシド様リポオリゴ糖の生合成に関与する遺伝子がGuillain Barre´症候群発症だけでなく,患者の神経徴候まで運命づけることを明らかにした.
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医学のあゆみ 216巻4号, 293-297 (2006);
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アレルギーを発症する児においては,乳児期でのTh2型からTh1型への変化が速やかに進まないとされる.微生物はTh1型免疫応答のもっとも重要な促進因子であり,われわれの免疫系が日々接している微生物は腸内細菌である.新生児期の腸内細菌叢を抗生物質などで破壊してしまうと,Th2型の免疫応答が強く誘導されることが動物モデルで明らかにされている.ヒトでもアレルギーを有する乳幼児では健常児と比較して腸内細菌叢が異なっていることが知られている.腸内細菌叢を正常に保つために用いられるプロバイオティクスの投与は,いくつかのアレルギー疾患に効果があることが明らかとされてきているが,その機序はまだ十分に解明されていない.今後,アレルギー疾患の予防・治療を考えるうえで,プロバイオティクス投与に反応する個体を同定すること,さらに有用性の高いプロバイオティクスの選定が重要な課題である.
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医学のあゆみ 216巻4号, 298-300 (2006);
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腸内細菌叢は500 1,000種の細菌から構成され,その数は10^13-14個に及ぶ主として嫌気性菌からなる.腸内細菌群は宿主のエネルギー獲得・貯蔵に対して大きな役割を果たすとともに,免疫反応,炎症反応,感染防御などにおいても影響を及ぼしている.特定の腸内細菌を無菌動物に定着させたときの宿主に対する作用をマイクロアレイで解析すると,腸管上皮細胞のバリアー機能,栄養素吸収などに関連する遺伝子の発現が修飾される.また,脂質・糖質代謝関連遺伝子の発現増強がみられ,宿主の栄養状態によっては肥満を基礎とした動脈硬化を誘導する方向に向かっていると考えられる.したがって,腸内細菌がもつ特性の多様性を考えると,生活習慣の改善を通して腸内細菌叢の改善をはかることにより動脈硬化性疾患の予防・改善が可能であることを期待させる.
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フォーラム
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医学のあゆみ 216巻4号, 301-301 (2006);
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医学のあゆみ 216巻4号, 303-303 (2006);
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医学のあゆみ 216巻4号, 305-306 (2006);
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医学のあゆみ 216巻4号, 307-310 (2006);
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TOPICS
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生理学
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医学のあゆみ 216巻4号, 313-314 (2006);
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神経内科学
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医学のあゆみ 216巻4号, 314-315 (2006);
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耳鼻咽喉科学
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医学のあゆみ 216巻4号, 315-316 (2006);
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循環器内科学
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医学のあゆみ 216巻4号, 316-317 (2006);
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連載 NEW 現代医療におけるコメディカルの役割
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医学のあゆみ 216巻4号, 320-323 (2006);
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