Volume 216,
Issue 7,
2006
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あゆみ オートファジーと疾患
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医学のあゆみ 216巻7号, 497-497 (2006);
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基礎編:オートファジーはどこまでわかったか?
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医学のあゆみ 216巻7号, 499-503 (2006);
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オートファジーはオルガネラや細胞質を分解する主要な経路であり,細胞が栄養飢餓に直面した際に誘導される.オートファジーは単細胞の出芽酵母から多細胞生物である高等動植物にまで真核生物に普遍的にみられる現象であり,オートファジーの生理的意義に注目した解析が数多く行われている.オートファジーに中心的役割を果たすのは,オートファゴソーム(AP)とよばれる二重の脂質二重膜で取り囲まれたオルガネラである.APは最終的に,分解コンパートメントである液胞/リソソームに送り込まれて分解される短命なオルガネラである.最近になって,AP形成に必須な遺伝子群の解析と螢光蛋白質による可視化技術の発展に伴い,螢光顕微鏡下にAPを追跡することが可能となってきた.また,オートファジーの過程を可視化することにより,AP形成の中心となる細胞内構造の存在が明らかとなってきた.
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医学のあゆみ 216巻7号, 505-508 (2006);
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オートファジーはオルガネラを含むバルクの蛋白質分解で細胞機能維持に重要な役割を果たしている.ヒトおよび哺乳動物において,オートファジーは飢餓時に働くのみならず,恒常的な機能として神経変性疾患,空胞を伴う心筋症,typeⅡ細胞死,腫瘍化,細菌感染,MHC classⅡの抗原提示,新生児期における生存,肝炎などと関連が明らかになりつつある.オートファジーに伴うダイナミックなオートファゴソーム膜形成には,2つのユビキチン様修飾反応であるATGコンジュゲーションシステム,ATG12コンジュゲーション反応とLC3リン資質化反応,が重要である.ATG12コンジュゲーション反応により生成されたAtg12−Atg5結合体はAtg16Lとともに,カップ状の隔離膜(前オートファゴソーム膜)形成に重要であり,LC3リン資質化反応により生成されたLC3−Ⅱ(LC3−リン脂質結合体)はオートファゴソーム膜に局在する.したがって,LC3−Ⅱ生成がオートファゴソーム形成のひとつの指標となる.
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医学のあゆみ 216巻7号, 509-513 (2006);
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オートファジーはすべての真核生物が有している細胞内の大規模な分解系である.もうひとつの主要細胞内分解システムであるユビキチン・プロテアソーム系とのもっとも大きな違いは,ユビキチン・プロテアソーム系が厳密に基質を識別しているのに対し,オートファジーはリソソームを分解の場とする原則として非選択的な分解系であるという点にある.出芽酵母の遺伝学的解析を発端に,この10年あまりでオートファジーの分子機構と多彩な生理機能が急速に明らかにされつつある.とくに蛋白質代謝の観点からは,栄養飢餓時の細胞内アミノ酸産生と恒常的な細胞内代謝回転(リサイクル)の2点が重要である.本稿ではこれらのオートファジーの代謝生理学的役割に関する最近の大きな進展について,マウス遺伝学的解析を中心に概説する.
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応用編:病態とオートファジーの関係
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医学のあゆみ 216巻7号, 515-519 (2006);
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オートファジーとは,隔離膜が伸長しオルガネラを含む細胞質成分を取り囲んだ脂質二重膜構造体(オートファゴソーム)がリソソーム(酵母の液胞)と融合し,その内容物をリソソーム内の消化酵素が分解する大規模分解経路である.この現象は自食作用ともいわれ,おもに飢餓時に発動される生存戦略と考えられてきた.実際,酵母オートファジー不能株は,アミノ酸飢餓に対して致死となることや,オートファジー不能マウスは出生に伴う新生仔飢餓時に低アミノ酸状態を引き起こすことなどが知られている.しかし,栄養が十分に供給されている状態においても,オートファゴソームの形成や長寿命蛋白質の分解は恒常的に観察される.最近,著者らは,肝特異的にオートファジーが不能となるマウスを作製することに成功し,飢餓時および摂食時におけるオートファジーの動態を解析してオートファジーが非分裂の肝細胞に果たす病態生理について検討したので紹介する1).
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医学のあゆみ 216巻7号, 521-524 (2006);
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種々の分子を細胞内に取込み運搬するエンドサイトーシス経路はまた,病原性細菌の貪食や侵入の経路でもある.多くの菌はその終着点リソソームで分解されるものの,それを免れる仕組みをもった菌も存在する.それらの菌に対しオートファジーが防御機構として働いていた.A群レンサ球菌はエンドサイトーシス経路から細胞質に脱出することができるが,そこでオートファジーに捕獲され,効率よく分解されてしまう.一方で,赤痢菌のようにエンドサイトーシス経路から抜け出し,かつオートファジーをも回避するものもいる.
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医学のあゆみ 216巻7号, 525-529 (2006);
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オートファジーは細胞内蛋白質と小器官の分解機構で,細胞の各種ストレスや飢餓状態に対する反応として重要な役割を果たしている.近年,癌においてもオートファジーが重要であると注目を浴びつつあるが,オートファジーは癌化を抑制する細胞死の機構である,またはオートファジーは癌治療により引き起こされるストレスの際の細胞防御の機構である,といったいろいろな説がある.癌化とオートファジーの関係,あるいは抗癌治療にオートファジーが果たす役割は現在どこまで明らかにされているのであろうか.さらに,オートファジーを利用して,より効果的な癌治療が可能なのであろうか.
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医学のあゆみ 216巻7号, 531-535 (2006);
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Alzheimer病,Parkinson病,筋萎縮性側索硬化症,Huntington病などの神経変性疾患の発症原因として異常凝集蛋白の脳内蓄積による神経細胞の障害メカニズムが注目されている.これらの疾患の治療をめざした場合,異常凝集蛋白をいかに効率よく除去できるかが問題となる.しかし,凝集蛋白はしばしばサイズが大きく,従来の細胞内蛋白質分解系での処理が困難と考えられる.このため,著者らはオートファジーによる凝集蛋白の除去メカニズム着目し,細胞内の凝集蛋白の除去にこのシステムが深くかかわっていることを見出した.オートファジーを利用した方法は神経変性疾患の新しい治療法へと発展する可能性がある.
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医学のあゆみ 216巻7号, 536-540 (2006);
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正常な筋細胞においては,形態学的観察でリソソームやオートファジーに起因する自己貪食空胞(autophagicvacuole)が認められることは少ない.しかし,自己貪食空胞が多数出現する筋疾患群が存在することも知られており,病理診断においては有力な指標となっている.著者らはこの疾患を“自己貪食空胞性ミオパチー”として分類し,その発症機序の解明に力を注いでいる.現在までの知見によると,遺伝性筋疾患においては,1オートファジーの過剰な活性化,2リソソーム分解系酵素の異常,3オートファジーのプロセス自体の異常,という大別して3種のオートファジーにかかわる筋疾患が存在しているように見受けられる.
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フォーラム
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医学のあゆみ 216巻7号, 542-543 (2006);
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TOPICS
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解剖学・細胞生物学
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医学のあゆみ 216巻7号, 545-545 (2006);
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消化器内科学
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医学のあゆみ 216巻7号, 546-547 (2006);
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産科学・婦人科学
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医学のあゆみ 216巻7号, 547-548 (2006);
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眼科学
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医学のあゆみ 216巻7号, 548-550 (2006);
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連載 現代医療におけるコメディカルの役割3
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医学のあゆみ 216巻7号, 551-554 (2006);
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