Volume 216,
Issue 8,
2006
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あゆみ 肝星細胞のバイオロジー
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医学のあゆみ 216巻8号, 555-555 (2006);
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医学のあゆみ 216巻8号, 557-560 (2006);
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肝星細胞は,コラーゲンをはじめとする細胞外マトリックスの産生を通じて,肝線維化の進展において中心的役割を担っている.これまで肝線維化に対する分子制御として,星細胞の活性化に重要なplatelet−derivedgrowth factorやマトリックス産生において中心的役割を果たすtransforming growth factor−βのシグナル伝達阻害が試みられてきたが,実際の臨床応用に際して副作用を軽減するには,活性化星細胞を選択的ターゲットとする工夫が求められている.また,肝星細胞がかならずしも単一な細胞集団でないこと,同細胞がマトリックス産生と分解の双方に関与しているなど,星細胞のバイオロジーの解明とそれを利用した肝線維化治療法の開発に課せられた課題は大きい.
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医学のあゆみ 216巻8号, 561-565 (2006);
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星細胞は肝の類洞に存在する肝特異的な線維芽細胞のひとつである.この細胞は肝炎が持続するとコラーゲンを産生するように活性化を受ける.Transforming growth factor−βを主とするさまざまな生理活性因子がこの過程に関与する.星細胞の活性化の詳細なメカニズムを検討する方法として,遺伝子レベルで調べる場合は遺伝子チップが用いられている.蛋白質レベルで調べる方法がプロテオミクスである.この方法は,細胞に存在する多数の蛋白質をその分子量と荷電の受け方で分離した後,ペプチド断片化し,それら一つひとつをマススペクトロメトリーを用いて同定していく作業のことをいう.非活性化と活性化のそれぞれの星細胞に存在する蛋白質を比較検討すれば,活性化星細胞にのみ発現する蛋白質を知ることができ,線維化マーカーとして利用したり,ヒトの治療の標的分子として応用することも可能である.
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医学のあゆみ 216巻8号, 567-570 (2006);
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エピモルフィンは間葉系細胞に発現する形態形成因子で全身の臓器に分布する.肝では類洞壁に存在する星細胞および血管周囲に存在するmyofibroblastに発現する.実験動物レベルでは急性肝障害および慢性肝障害のどちらにおいても障害極期にはエピモルフィン発現は減弱し,反対に回復過程では障害部位を中心として発現が増強される.また,in vitroにおいてエピモルフィンは肝幹様細胞や初代培養肝細胞のスフェロイド形成を誘導し,毛細胆管様構造形成など形態面での分化,さらにはアルブミン産生などの機能面においても分化誘導維持に関与する.このことからエピモルフィンの主要な作用は,形態形成因子としてとくに障害回復に関与し,結果として肝細胞の機能面でも分化維持していると考えられる.
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医学のあゆみ 216巻8号, 571-576 (2006);
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星細胞は肝の構造と機能の単位である肝小葉のなかで,実質細胞と類洞内皮細胞とがつくる腔所に存在する.星細胞は,脂溶性ビタミンの一種であるビタミンAの生体における総量の約80%を脂質滴の形で細胞質に貯蔵し,ビタミンAの恒常性(ホメオスタシス)の維持に重要な役割を果たしている.一方,星細胞を肝から単離・培養する際に,水溶性ビタミンの一種であるビタミンCを培養液に添加すると,細胞の増殖およびコラーゲンの合成活性が促進される.肝以外の器官にも星細胞の仲間の細胞(星細胞系)があることがしだいに明らかになってきた.これら肝外星細胞が種々の疾患とどのように関連しているかは今後,臨床的にも興味深いテーマといえる.
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医学のあゆみ 216巻8号, 577-580 (2006);
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肝炎ウイルスや大量飲酒によって生じる肝線維化は,肝硬変,さらには肝不全を引き起こし,生命にかかわる難治性疾患である.長年にわたり数多くの研究がなされてきたにもかかわらず,そのメカニズムには不明な点が多く,いぜん有効な治療法が確立されていない.肝星細胞が細胞外基質の産生における主役であり,肝線維化の中心的役割を果たすことは広く知られており,また,TGF−βはコラーゲンを主とする細胞外マトリックスの産生を促進することから,線維化の過程でもっとも重要なサイトカインであると考えられる.近年,星細胞でのTGF−βの
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医学のあゆみ 216巻8号, 581-585 (2006);
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近年,アンジオテンシンⅡ(AT−Ⅱ)はさまざまな生物学的作用を有する多機能蛋白質であることが明らかになっており,古くから知られている循環器系に対する作用に加え,肝に対してもさまざまな生物学的作用を有することが示されている.AT−Ⅱは肝線維化において中心的役割を果たしている肝星細胞(HSC)の増殖やコラーゲン,酸化ストレス,TGF−βの産生を用量依存性に増加させることや,HSCの活性化に伴い肝局所においてレニン−アンジオテンシン系(RAS)が著明に増加することが報告されている.実験的に臨床濃度に匹敵する低用量のACE阻害剤(ACE−Ⅰ)やAT−Ⅱ 1型受容体拮抗薬(ARB)投与で肝線維化進展がHSC活性化阻害を伴って著明に抑制されることが示され,臨床的にもRAS阻害薬による肝線維化進展抑制効果を示す報告がなされてきており,RAS抑制による肝線維化進展制御の可能性が注目されている.
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医学のあゆみ 216巻8号, 587-591 (2006);
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レプチンやアディポネクチンなどのアディポサイトカインはおもに脂肪細胞から産生され,代謝系や免疫系の調節因子として作用していることが知られている.これらのアディポサイトカインは,NASHをはじめとする種々の肝疾患において肝病態の形成および進行に深く関与していることが示唆されている.肝線維化において中心的役割を演じている肝星細胞に対してもこれらのアディポサイトカインは直接・間接的に影響を及ぼし,肝線維化刺激に対してレプチンは促進的に,アディポネクチンは抑制的に作用することが明らかになった.
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医学のあゆみ 216巻8号, 592-597 (2006);
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活性化星細胞が肝線維化の責任細胞であることに異論は少ないが,どのような機構で活性化されるのか,活性化因子は何であるのか,その詳細は不明である.著者らは,傷害後早期に浸潤してくるマクロファージを中心とする炎症細胞がその後の星細胞の活性化と線維化の発症に必須であることを確かめた.同時にTGF−βが星細胞の活性化因子であるとする通説が間違いであることを明確に示した.本稿では傷害後星細胞が活性化するまでの初期反応に焦点をあて,現時点での概念を論じたい.肝に傷害が加わると,おそらくは肝実質細胞から分泌されるサイトカインに応じてリンパ球や白血球が浸潤してくる.これらの細胞からTNF−αなどの炎症性サイトカインが産生され,星細胞が反応しMCP−1を分泌する(仮説).MCP−1がマクロファージなどの炎症細胞を誘導し炎症反応が増幅されるとともに,マクロファージから星細胞の活性化因子が分泌されるものと考えられる.
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医学のあゆみ 216巻8号, 598-602 (2006);
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近年,多くの臓器において骨髄細胞由来の細胞の存在が報告されている.肝領域においても肝細胞をはじめ種々の細胞で骨髄細胞からの分化が知られるようになったが,肝星細胞においてはその由来が知られていない.今回,骨髄細胞のマーキングとしてgreen fluorescent protein(GFP)トランスジェニックマウスを用いて,肝より星細胞分画を分離し,骨髄細胞由来肝星細胞の存在を示した.さらに,肝組織内にも骨髄細胞由来の肝星細胞を認め,これらの細胞は肝線維化に伴って,元来肝内に存在する星細胞と同様に活性化されることを強く示唆する結果を得た.骨髄細胞由来肝星細胞の存在は将来的に,骨髄を細胞源とした肝再生医療の発展に大きく寄与するものと考える.
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フォーラム
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医学のあゆみ 216巻8号, 603-603 (2006);
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医学のあゆみ 216巻8号, 604-605 (2006);
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医学のあゆみ 216巻8号, 607-608 (2006);
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医学のあゆみ 216巻8号, 609-611 (2006);
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TOPICS
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癌・腫瘍学
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医学のあゆみ 216巻8号, 615-616 (2006);
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内分泌・代謝学
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医学のあゆみ 216巻8号, 616-617 (2006);
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脳神経外科学
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医学のあゆみ 216巻8号, 618-619 (2006);
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神経精神医学
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医学のあゆみ 216巻8号, 619-620 (2006);
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連載 現代医療におけるコメディカルの役割4
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医学のあゆみ 216巻8号, 624-627 (2006);
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