Volume 216,
Issue 10,
2006
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あゆみ 次世代の遺伝子治療
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医学のあゆみ 216巻10号, 735-735 (2006);
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医学のあゆみ 216巻10号, 737-742 (2006);
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先天性代謝異常症では食事療法,薬物療法,欠損代謝産物の補充療法などが対症的に行われてきた.一方,欠損酵素を直接補充するという,より直接的な方法も行われており,これらには酵素補充療法と骨髄移植療法がある.実際に両療法とも,いくつかのリソソーム病には効果を認めているが,問題点も多い.たとえば,酵素補充療法では非常に高額であること,生涯にわたり治療を継続なければならないことがあげられ,骨髄移植ではドナーが得られないことが多いこと,GVHDなど手技そのものによる危険性が高いことなどがあげられる.そこで遺伝子治療が両療法の欠点を補うため開発されており,実際にGaucher病,尿素サイクル異常症,Canavan病など,ヒトを対象とした臨床試験も行われた.しかし現在,先天性代謝異常症の遺伝子治療は小動物を用いた系では効果が認められるものの,ヒトに対しては効果面,安全面で克服しなければならないことが多いことが明らかとなった.今後は,遺伝子挿入機構,遺伝子修復機構,免疫寛容誘導機構などをより深く明らかにしていくことが,先天性代謝異常症の遺伝子治療の成功にむすびつくと思われる.
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医学のあゆみ 216巻10号, 743-747 (2006);
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著者らは,Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)の原因遺伝子であるジストロフィンの全長cDNA(14 kb)のうち,おもにRodドメインおよびC末端ドメイン中の選択的スプライシング部位を短縮させることにより,マイクロジストロフィンΔCS1(3.8 kb)を開発し,同疾患モデルマウスであるmdxの表現型を大幅に改善させることに成功した.一方,近年同疾患に対するあらたな遺伝子治療のストラテジーとしてアンチセンスオリゴヌクレオチド投与により,遺伝子mRNA中の変異のあるエクソンをスプライシングによりスキップさせる試みが大きな成果をあげつつあり,注目されている.著者らはRNAをメチル化およびホスホロチオエート化することにより安定化させた2OMeAOをコポリマーF127とともに全身投与することにより,はじめて横隔膜を含むほぼ全身のmdx骨格筋においてジストロフィンの発現を回復させることに成功した.現在,次のステップとしてこれらの手法を筋ジストロフィー犬に応用する治療研究を進めている.
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医学のあゆみ 216巻10号, 749-754 (2006);
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悪性脳腫瘍は手術,化学療法,放射線療法を併用した集学的治療を行っても一般的に予後が悪く,とくに悪性グリオーマはここ数十年治療成績の向上がみられない.遺伝子治療の悪性脳腫瘍への応用は開発早期から期待され,積極的に開発が進められてきた.初期の自殺遺伝子治療の臨床結果から既存のベクターの遺伝子導入効率の低さという問題点が明らかになり,最近は少ない発現から大きな抗腫瘍効果を期待できる免疫遺伝子治療と腫瘍特異的に複製する増殖型ウイルスを用いるウイルス療法が注目されている.とくに後者は,ウイルスゲノムに治療遺伝子を組み込むことによりウイルス複製に伴う直接的な殺細胞作用に加え,腫瘍内で増幅された治療遺伝子発現による抗腫瘍効果の増強が期待できる.欧米では増殖型ウイルスの脳腫瘍内投与の安全性が臨床試験で確認され,わが国でも膠芽腫に対する臨床試験の準備が進められている.
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医学のあゆみ 216巻10号, 755-760 (2006);
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化学療法抵抗性の白血病に対する治療法として移植免疫療法,分子標的療法,抗体療法,遺伝子治療などの新規治療法の開発がここ数年精力的に行われてきている.遺伝子治療においては免疫応答を惹起するためにはさまざまな機能分子(サイトカイン,補助刺激分子,HLA分子)が候補としてあげられているが,現在白血病に対して臨床治験が開始されている治療遺伝子としてCD40リガンドが注目されている.本稿では自己免疫応答から回避していた白血病にCD40リガンド遺伝子を導入することにより抗白血病免疫応答が誘導できること,また臨床フェーズ1試験の成績を中心に説明してみたい.この免疫遺伝子治療の安全性と有効性が確認できた場合,リンパ腫さらには非造血系固形腫瘍への応用も期待されている.
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医学のあゆみ 216巻10号, 761-765 (2006);
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1990年より始まった遺伝子治療は,当初は致死性疾患を対象とした限定的なものであったが,その後のめざましい発展により,慢性疾患に対しても適応を広げる試みがなされている.そのなかでも血管再生を利用した遺伝子治療は,虚血性疾患に対する画期的な治療になりうるものとして期待されている.欧米を中心に始められた血管新生を利用した遺伝子治療は,虚血性心疾患の治療としても有効である可能性が報告されており,外科的治療の対象となりえない高齢者に対する低侵襲の治療法として期待され,すでに臨床治験の段階に入っている.安全性と有効性について詳細な検討が行われており,一般診療における遺伝子製剤開発が期待されている.
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医学のあゆみ 216巻10号, 767-770 (2006);
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血管新生(angiogenesis)は癌の増殖に必須な機能である.肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor:HGF)のアンタゴニストであるNK4は,HGFの作用を阻害するだけでなく,血管新生因子であるVEGFやbFGFの作用をも抑制する.NK4を発現するアデノウイルスベクターを用いて難治性疾患である肝細胞癌に対しての遺伝子治療研究を行ったところ,腫瘍血管新生は阻害され,腫瘍増殖は著明に抑制された.このような腫瘍血管新生を標的とした治療は,肝細胞癌に対する新しい治療法となりうる.
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医学のあゆみ 216巻10号, 771-774 (2006);
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日本においても本格的に遺伝子治療臨床研究が開始され,現在ではその対象疾患も広がっている.本来,遺伝子治療の対象となる疾患はAlport症候群のような単一因子の遺伝性疾患に対して,正常な遺伝子を導入し,染色体上にある欠陥のある遺伝子と遺伝子組換え(相同組換え)を行うことが理想であるが,現段階では技術的には困難である.現在の研究主眼は治療用遺伝子を特定の細胞に導入して欠陥のある遺伝子の機能を補う,あるいは新しい機能を付加する,さらには変異が起こったために有害な蛋白質をつくるようになった遺伝子の機能を補正する,といった方向に向けられている.実験室レベルでは最先端のさまざまな遺伝子治療研究が進められており,臨床研究への応用が期待されるところである.
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医学のあゆみ 216巻10号, 775-778 (2006);
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Parkinson病などの神経変性疾患はいまだ進行を制御する治療法は確立されていない.近年,アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターなど,神経細胞に遺伝子が導入でき,また炎症反応を引き起こしにくい新規ベクターが開発・改良された.現在ではアメリカを中心にParkinson病の遺伝子治療が開始されている.神経変性により枯渇する神経伝達物質の合成能を高めようとする方法,神経保護因子を十分に供給し細胞死を抑制する方法,また加齢とともに神経細胞内に蓄積する蛋白質を除去しようとする方法などが考えられている.本稿では,すでに臨床応用されているもの,さらに今後の応用へと大きな期待が寄せられているものなどについて解説する.
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フォーラム
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医学のあゆみ 216巻10号, 780-781 (2006);
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医学のあゆみ 216巻10号, 782-783 (2006);
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TOPICS
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発生学・再生医学
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医学のあゆみ 216巻10号, 787-788 (2006);
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免疫学
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医学のあゆみ 216巻10号, 788-789 (2006);
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消化器内科学
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医学のあゆみ 216巻10号, 789-790 (2006);
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連載 現代医療におけるコメディカルの役割5
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医学のあゆみ 216巻10号, 792-795 (2006);
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