Volume 218,
Issue 4,
2006
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あゆみ 造血幹細胞移植の現況
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医学のあゆみ 218巻4号, 251-251 (2006);
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医学のあゆみ 218巻4号, 253-257 (2006);
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急性白血病における造血細胞移植の適応は,白血病に対する治療の進歩,移植の方法論の進歩や移植細胞ソースの多様化などにより,つねに流動的とならざるをえない.5年前に行われた比較試験があったとしても,現在の医療現場ではその結果があてはまらない可能性がある.しかも,いま行われている比較試験の結果は将来にならなければわからない.永遠のいたちごっこの感があるがこれが現状である.さらに,ドナーが得られるかどうかが患者間で平等ではないこと,化学療法の場合に比べ移植が行われるまでの時間に個人差があることなどから,厳密な意味での移植と化学療法との前向き比較試験は施行が不可能である.すなわち,いろいろな意味で不十分なデータをもとにわれわれは個々の患者の移植の適応について検討しなければならない.ここではいまわかっていることを簡単に述べるが,ただいま現在の医療にはあてはまらない可能性があることを念頭において読み進んでいただきたい.
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医学のあゆみ 218巻4号, 258-262 (2006);
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イマチニブの導入によって慢性骨髄性白血病(CML)に対する同種移植件数は着実に減少した.現在,CMLにおける同種造血幹移植の適応は急性期あるいは移行期発症CML,およびイマチニブ耐性の慢性期CMLに限られる.急性期・移行期においてはイマチニブの導入によって病勢コントロールがなされた状態での移植が可能となり,その成績は着実に向上した.慢性期においては,染色体あるいはPCRによって病勢悪化を早期に確認し移植を施行することが検討されている.この点に関しては,腫瘍量が少ない状態での移植前処置としての骨髄非破壊的前処置,迅速な移植を可能とする造血幹細胞ソースとしての臍帯血移植が今後の検討課題である.
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医学のあゆみ 218巻4号, 263-266 (2006);
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悪性リンパ腫に対する自家造血幹細胞移植併用大量化学療法(HDT/ASCT)は,おもに再発後の救援療法に感受性を示すaggressive lymphomaを対象に行われてきた.近年,ハイリスクaggressive lymphomaへの初回寛解でのHDT/ASCTや,in vivo purging効果を期待したrituximabの併用などにより,適応の拡大やさらなる治療成績の向上が模索されている.一方,悪性リンパ腫に対する同種移植では移植片にリンパ腫細胞の混入がなく,同種免疫による抗腫瘍(graft−versus−lymphoma:GVL)効果も期待できるため,自家移植と比べて再発率は低い.しかし,移植前処置に伴う臓器毒性やGVHD,感染症による高い治療関連死亡率が最大の問題である.最近では移植前処置を減量してGVL効果に期待したミニ移植を行うことで,治療関連死亡を低下させうる可能性も示唆されている.
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医学のあゆみ 218巻4号, 267-270 (2006);
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血縁者間で実施される造血幹細胞移植では,HLA−A,−B,−DRB1遺伝子の対応血清型の不一致が1抗原以内であることが一般的なドナー選択基準とされており,これらの複数座の不一致は移植成績を低下させることが知られている.とくにレシピエント側がドナーと比較してHLA−A,−B,−DRB1対応血清型に2抗原以上の不一致を有する場合には,重篤な移植片対宿主病(graft−versus−host disease:GVHD)の発症を回避するため,従来はT細胞を体外で除去するなど移植片の細胞プロセシングを行わなければ移植の実施が困難とされてきた.しかし最近では,より汎用性の高い方法として,抗体医薬品を移植前処置に組み込んだin vivoでのT細胞除去法などあらたな移植プロトコールの実用可能性が検討されており,これらの改良を通じて,HLA不一致ドナーの選択基準が拡大されることが期待されている.
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医学のあゆみ 218巻4号, 271-275 (2006);
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臍帯血移植は,当初は身体の小さく必要細胞数が少なくてすむ子どもがおもな対象とされて報告されてきたが,近年,成人に対する移植例の報告が増えている.一方で,造血器疾患に対する臍帯血移植療法の位置づけは,成人を対象とした場合はかならずしも明確ではなかった.最近になって成人患者に対する臍帯血移植について,非血縁ドナーからの骨髄移植との成績比較の報告がいくつか発表されてその特徴が明らかにされてきたとともに,血縁ドナーがいない場合には非血縁骨髄ドナーとほぼ同等の成績が期待しうる治療選択肢であるという認識が広がりつつある.一方で,複数臍帯血移植や骨髄非破壊的前処置を用いた臍帯血移植についての臨床研究も盛んに進められている.他の同種移植に比べて移植までの迅速性やGVHD重症度の軽減など臍帯血移植のもつ利点と,生着の不確実性と造血回復の遅延などの欠点をよく理解したうえで,個々のケースにおける移植ソースを選択することが望まれる.
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医学のあゆみ 218巻4号, 277-281 (2006);
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急性GVHDは,移植片に含まれる同種のドナーT細胞がレシピエントのアロ抗原(ドナーが保有しない抗原)を認識して活性化し,主として皮膚,消化管,肝の3臓器を傷害して発症する.急性GVHDの病態は3段階モデルにより説明される.ステップ1は移植前治療による組織障害の結果,炎症性サイトカインなどが放出され,樹状細胞やマクロファージが準備状態に入り,ステップ2ではIL−2を中心としたT細胞の活性化と増殖がみられ,ステップ3では細胞障害性T細胞や活性化マクロファージ由来のサイトカインにより組織障害が生じる.アロ抗原特異的な免疫反応ばかりではなく,各種サイトカインを介する非特異的な炎症反応が急性GVHD像を修飾する.また,制御性T細胞や間葉系幹細胞などのGVHDに対して抑制的に働く機構も存在する.カルシニューリンインヒビターを用いた抗T細胞作用主体の予防治療法の現況と問題点を総括し,病態生理に基づいた治療の将来展望を概説する.
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医学のあゆみ 218巻4号, 283-288 (2006);
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慢性移植片対宿主病(chronic graft−versus−host disease:cGVHD)は同種造血幹細胞移植後の重要な合併症であり,患者のQOL,生命予後に与える影響は非常に大きい.しかし,その実体が解明されているとはいえないのが現状である.その理由のひとつとして,多様化する移植治療に従来の診断基準,重症度分類がかならずしも対応できていない点があると考えられる.ここでは2005年に行われたNIH consensus developmentprojectからのいくつかの提言を紹介するが,その検証,日本人に適したより優れた基準への改良が必要とされている.
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医学のあゆみ 218巻4号, 289-293 (2006);
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造血幹細胞移植(hematopoietic stem cell transplantation:HSCT)の適応が拡大されつつある疾患の代表は自己免疫疾患と固形腫瘍である.難治性の自己免疫疾患に対する自己HSCTは,自己反応性のリンパ球を根絶し新しく免疫を再構築することをめざして行われる.全身性硬化症,筋症状に乏しく間質性肺炎を合併した皮膚筋炎などが適応になる.固形癌では転移性腎細胞癌において骨髄非破壊的前治療後の同種HSCT(いわゆるミニ移植)による移植片対腫瘍効果が報告されている.乳癌では自己HSCT,ミニ移植,および自己HSCTに引き続いてミニ移植を行うauto/mini移植などが今後の検討課題である.HSCTの適応はつねに最新の非移植療法との比較で考慮されなければならない.新しいHSCTの適応は注意深くデザインされた臨床試験を遂行することによってのみ確立される.
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フォーラム
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医学のあゆみ 218巻4号, 295-295 (2006);
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医学のあゆみ 218巻4号, 296-297 (2006);
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医学のあゆみ 218巻4号, 299-300 (2006);
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医学のあゆみ 218巻4号, 301-303 (2006);
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TOPICS
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免疫学
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医学のあゆみ 218巻4号, 307-308 (2006);
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神経内科学
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医学のあゆみ 218巻4号, 308-309 (2006);
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内分泌・代謝学
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医学のあゆみ 218巻4号, 309-310 (2006);
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連載 現代医療におけるコメディカルの役割18
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医学のあゆみ 218巻4号, 311-315 (2006);
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注目の領域
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医学のあゆみ 218巻4号, 317-332 (2006);
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