Volume 218,
Issue 11,
2006
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あゆみ 自己免疫性水疱症──最新の話題
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医学のあゆみ 218巻11号, 931-931 (2006);
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医学のあゆみ 218巻11号, 933-936 (2006);
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自己免疫疾患の発症機序はいまだ解明されていない点が多い.皮膚・粘膜に水疱・びらんを生じる天疱瘡は,デスモゾームに存在するカドヘリン型の細胞間接着分子デスモグレインに対するIgG自己抗体により生じる自己免疫性疾患である.天疱瘡における病型の違い(水疱形成部位)は,デスモグレイン代償説により論理的に説明される.また,自己抗原ノックアウトマウスのリンパ球移植による天疱瘡モデルマウスが作成され,病原性を有するモノクローナル抗体が単離され,B細胞免疫寛容獲得機構を解析するためB細胞トランスジェニックマウスも作成された.まだまだ道のりは遠いが,天疱瘡を自己免疫疾患のパラダイムのひとつとして,自己免疫発症機序が解明されることが期待される.
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医学のあゆみ 218巻11号, 937-940 (2006);
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自己免疫性水疱症は患者由来の自己抗体が表皮細胞間あるいは表皮基底膜部に結合した結果,水疱が生じる疾患である.天疱瘡患者血清中には表皮細胞間接着構造であるデスモゾームの構成蛋白質であるデスモグレイン(Dsg)に対する抗体が,類天疱瘡患者血清中には表皮基底膜接着構造であるヘミデスモゾーム構成蛋白質である類天疱瘡抗原に対する自己抗体がある.最近のめざましい分子生物学の進歩によりそれぞれの自己抗体の標的抗原が同定され,遺伝子を単離することによって立体構造が維持された組換え抗原蛋白質を作製できるようになった.日常診療において臨床診断,病理組織学的診断ならびに螢光抗体法による免疫組織学的診断に加え,組換え抗原蛋白質を基質とした免疫ブロット法やELISA(enzyme−linked immunosorbent assay)法を併用することは診断を確実にするうえで有用である1 3).さらに,ELISA法は抗体価を定量的に測定できるので,抗体産生能の客観的な指標となり病勢の評価に有用である.本稿では自己免疫水疱症なかでも尋常性天疱瘡,落葉状天疱瘡,類天疱瘡におけるELISA法について述べる.
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医学のあゆみ 218巻11号, 941-944 (2006);
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デスモグレイン(desmoglein:Dsg)が天疱瘡抗原として同定されて以後,天疱瘡の表現型は皮膚・粘膜におけるDsg1,3発現パターンの差から導かれた棘融解発症機序の仮説(デスモグレイン代償説)により分子レベルで論理的に説明され,抗体プロファイルに基づいた3型分類が受け入れられている.あらたに単離されたDsg4に対する自己抗体は抗Dsg1 IgGをもつ天疱瘡患者に検出されるが,抗Dsg1 IgGのDsg4に対する交差反応によるものと考えられる.抗Dsg抗体が認識するエピトープは抗体の病原性と密接な関係があり,天疱瘡の重症度や発症に関与する可能性が示唆されている.最近,天疱瘡のまれな過渡的表現型として“皮膚型尋常性天疱瘡”が記載された.
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医学のあゆみ 218巻11号, 945-949 (2006);
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自己免疫性水疱症の抗原の研究は1980年代の後半から精力的に進められ,水疱性類天疱瘡の2つの抗原の構造が明らかとなった.さらに,腫瘍随伴性天疱瘡の概念が提出され,1990年代の後半に,その主要抗原の性状が明らかにされた.また,非常にまれではあるが,水疱性類天疱瘡類似の疾患で,これまで未報告の分子も抗原となることが明らかになった.これらの抗原のほとんどはプラキンファミリーとよばれる細胞内蛋白質に属し,研究の進展とともにしだいにこれらの機能も明らかになってきた.本稿では,このプラキンファミリー蛋白質と,それが抗原となる自己免疫水疱症について概説したい.
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医学のあゆみ 218巻11号, 951-955 (2006);
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BP180は水疱性類天疱瘡患者(BP)の自己抗体が認識する自己抗原として同定された.その後,瘢痕性類天疱瘡(CP)や線状IgA皮膚症(LAD)でも自己抗原となることが報告された.さらに,詳細な患者抗体のエピトープ解析から,一般に,BP抗体はBP180のNC16aドメイン,CP抗体はC末端部,LAD抗体はBP180の細胞外ドメイン分解産物をそれぞれ認識することが明らかにされた.著者らのグループはBP180のノックアウトマウスを作製した.その結果,本マウスに水疱形成が認められ,接合部型表皮水疱症のモデルとなることが示された.また,ヒトBP180遺伝子による救済実験により,ノックアウトマウスの症状は消失した.さらに,その救済マウスにBP患者の抗体を投与することによりBP病変が誘発され,BP抗体の病原性を生体ではじめて証明した.
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医学のあゆみ 218巻11号, 957-961 (2006);
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水疱性類天疱瘡は高齢者に好発するもっとも頻度の高い自己免疫性水疱症である.臨床的には全身に多発するそう痒を伴う浮腫性紅斑と緊満性水疱の形成を特徴とする.治療には長く副腎皮質ホルモンの内服が第一選択肢とされてきたが,1980年台後半からテトラサイクリンとニコチン酸アミドの併用療法が有効であることが報告され,現在わが国においては標準的治療法として認識されている.これらの治療に抵抗性の重症例においては,血漿交換療法,ステロイドパルス療法などで良好な治療結果が得られる場合が多いものの,一部の重症例では治療に抵抗性があり難渋する.こうした重症例に対し当施設で行っているIFN−γ療法の有用性を紹介する.また,軽症例に対するマクロライド系抗菌薬を用いた治療法も合わせて紹介する.
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医学のあゆみ 218巻11号, 962-965 (2006);
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瘢痕性類天疱瘡は臨床症状も病理組織も発症機序も,水疱性類天疱瘡(瘢痕を残さない)と後天性表皮水疱症(瘢痕を残す)の中間に位置すると考えると理解しやすい.しかし,ほとんどの水疱症が単一の自己抗原(標的蛋白)に対する自己免疫性疾患であるのに比べて,瘢痕性類天疱瘡は複数の自己抗原によって発症するに至る.本疾患の自己抗原には代表的な例として,BP180とラミニン5がある.ともに,臨床観察,実験水疱作製を通じて抗原としての意義は確立しており,さらに,これらの自己抗原が先天的に欠損する遺伝疾患が瘢痕性類天疱瘡類似の臨床症状を示すことから,これらの自己抗原蛋白の機能異常によって発症に至ると推察されている.本稿では,BP180とラミニン5に的を絞って解説を加える.
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医学のあゆみ 218巻11号, 966-970 (2006);
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自己免疫性水疱症は皮膚抗原に対する自己抗体を示す疾患群であり,現在,多くの異なった種類があることが判明している.これらの自己抗体の反応する抗原も多彩であり,その検出が診断に重要なものとなっている.しかし,長年の研究にもかかわらず,その抗原が同定されていない疾患もある.そのうち,intraepidermal neutrophilcIgA dermatosis型のIgA天疱瘡の抗原はELISAおよびcDNA transfection法によりデスモグレインやデスモコリンでないことが証明され,post−embedding免疫電顕によりデスモソーム構成蛋白以外の表皮細胞膜蛋白であることが示唆されている.また,抗p200類天疱瘡の抗原であるp200は,種々の検討からコラーゲン蛋白ではないこと,ラミニン1やラミニン5と異なることが示され,まったく新しい蛋白であることが想定されている.今後,新しい抗原の検索法の応用,プロテオミクス解析,患者血清の免疫スクリーニングによるcDNAの検出などにより,この2疾患の抗原が同定されることが期待される.
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フォーラム
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医学のあゆみ 218巻11号, 972-973 (2006);
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医学のあゆみ 218巻11号, 974-974 (2006);
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TOPICS
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薬理学・毒性学
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医学のあゆみ 218巻11号, 979-980 (2006);
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癌・腫瘍学
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医学のあゆみ 218巻11号, 980-981 (2006);
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神経内科学
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医学のあゆみ 218巻11号, 981-982 (2006);
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腎臓内科学
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医学のあゆみ 218巻11号, 982-984 (2006);
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形成外科学
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医学のあゆみ 218巻11号, 984-985 (2006);
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連載 現代医療におけるコメディカルの役割21
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医学のあゆみ 218巻11号, 986-989 (2006);
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