Volume 218,
Issue 12,
2006
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あゆみ COPD(慢性閉塞性肺疾患)
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医学のあゆみ 218巻12号, 991-991 (2006);
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医学のあゆみ 218巻12号, 993-996 (2006);
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慢性閉塞性肺疾患(COPD)は,人口構成の高齢化などに伴い,有病率や死亡率は世界的にも増加を続けており,経済的・社会的に大きな問題となっている.1990年には全世界の死亡原因の第6位であったが,2020年には第3位になると推測されている.わが国においても急速な人口の高齢化と高い喫煙率によりCOPDの患者数は増加を続けており,2004年に報告された大規模調査(NICE Study)の結果では,40歳以上の人口の約530万人がCOPDに罹患していると推定される.しかし,実際には全COPD患者のわずかに約9.4%が診断されているにすぎず,本疾患の罹患率や死亡率の減少のためには,疾患を正しく理解するための啓発活動や,健診などを利用した早期診断,禁煙対策の徹底,適切な治療の普及などの積極的な介入が必要である.
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医学のあゆみ 218巻12号, 997-999 (2006);
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COPDの基本病態は気流制限であり,それを引き起こす病態は末梢気道病変と肺実質の破壊であり,それらの混じる程度は個人によりさまざまである.その原因はおもに喫煙による慢性の炎症反応である.また,従来非可逆的とされていた気流制限に,ある程度の可逆性があることが認められ,気管支拡張療法の意義についても再認識されつつある.さらに近年,末梢気道病変の重要性が再認識されてきている.
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医学のあゆみ 218巻12号, 1000-1004 (2006);
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呼吸生理学はCOPDの早期検知と密接に関係しあい,また進行期の病態解明や治療効果判定に一定の役割を果たしてきた.COPDの初期は末梢気道病変からはじまり,閉塞性換気障害へと発展する.この間,一秒量が経年的に直線降下し,肺活量は比較的に保たれた後,最後は減少する.最大吸気量(IC)も低下し,運動能の低下および予後と関連する.気道抵抗はとくに呼気時に高くなり,呼吸相に伴う気道径のダイナミックな変化が観察される.閉塞性換気障害の進行に伴って肺弾性収縮力の低下,air trapの増大が起こり,肺気量は大きくなる.日本における肺気腫のタイプは小葉中心型が多いと考えられている.破壊される細葉は斑状に分布し,機械的特性は斑状の不均等となり,それに伴って換気にも不均等が形成される.肺循環の不均等も合わせて換気血流比不均等分布と一般によばれ,閉塞性換気障害とともにCOPDの生理を表現するキーワードとなっている.
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医学のあゆみ 218巻12号, 1005-1009 (2006);
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定義上,COPDの診断に画像は必要ない.しかし,COPDの画像解析,とくにCTデータを用いたコンピュータ解析は近年発展してきた分野である.CT値が基本的には比重をみているものであることを利用し,気腫性病変の評価が行われてきた.また,気道病変の評価も行われるようになってきた.気腫性病変と気道病変を定量評価することで,さまざまなことがわかってきた.今後はCT機器の発展とともに,評価の方法が二次元から三次元,四次元へと移っていくであろう.
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医学のあゆみ 218巻12号, 1011-1014 (2006);
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COPDに対して国際的統一ガイドラインであるGOLDが提唱されている.最新版のGOLD updated 2003は,2001年のGOLDのガイドラインに2003年3月までに発表された論文によるあらたな知見が加えられて改訂されたものであり,おもにFEV1.0%predicted(一秒量の予測値に対するパーセント値)によってCOPDの重症度を5段階に分類しており,その重症度に応じた標準的治療法を提唱している.長期的な呼吸機能の低下を抑えると証明されている薬物はないものの,適切な薬物を用いて症状を緩和することはQOLの向上のためにも重要である.また,喘息と異なりCOPDは通常慢性進行性の病気なので,副作用などがないかぎり症状の改善がみられた薬を中止することはなく,症状の進行に伴いあらたに薬を加えるstepwise方式がとられている.COPDガイドラインはエビデンスの集積であり,今後も時期に応じて改訂されていく見込みである.今後のガイドライン変革を注意深くフォローしていくことが重要である.
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医学のあゆみ 218巻12号, 1015-1018 (2006);
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慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪(acute exacerbations)は,COPDの基礎疾患をもった患者にみられ,治療介入が必要となる呼吸器症状の悪化を意味する.急性増悪の誘因としては呼吸器感染症がもっとも多い.通常は自然治癒する感冒などの感染症でも,COPDの患者では痰の増加や膿性痰,呼吸困難などの症状の悪化を生じ,呼吸不全になるおそれがあるため,早期に適切な治療を行い,重症化を予防する必要がある.COPDの急性増悪は,気管支拡張薬,ステロイド,抗菌薬のような薬物療法,および酸素療法,非侵襲的間欠的陽圧換気(noninvasive intermittent positive pressure ventilation:NIPPV),または気管内挿管を伴う人工呼吸などの非薬物療法によって治療される.
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医学のあゆみ 218巻12号, 1019-1022 (2006);
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COPDの研究の動向について解説する.COPDの病因論の中心は,気道炎症に基づいたプロテアーゼ・抗プロテアーゼ不均衡およびオキシダント・抗オキシダント不均衡である.気道炎症については,CD8+T細胞の役割,ステロイド抵抗性,禁煙後の炎症の持続に焦点をあてた研究が行われている.とくにここ数年間ではCOPDは全身性疾患であるとの認識が広まり,COPDに伴う全身性炎症や心血管合併症のリスクについても多くの研究が行われている.一方では,禁煙指導の生命予後に対する改善効果が確認され,新規長期間作用型気管支拡張薬のチオトロピウムの臨床的有用性についての成績も公表された.吸入ステロイドについては急性増悪の防止効果が確認されたが,長時間作用型β2刺激薬と併用した場合には生命予後を改善する可能性も指摘された.ここ数年内に上梓が予想される新規治療薬としては,phosphodiesterase−4阻害薬が期待されている.
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医学のあゆみ 218巻12号, 1023-1026 (2006);
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慢性閉塞性肺疾患(COPD)の90%以上は喫煙が原因で生じ,労作性呼吸困難を主症状とする疾患である.多くは60〜70歳代以降に症状が出現するが,なかには50歳以前に症状が発現するきわめて喫煙感受性の高い一群が存在し,若年発症COPDとよばれる.若年発症COPDは10歳代からの重喫煙,受動喫煙の影響だけでなく,喫煙感受性に関連した遺伝的要因が重要と考えられる.臨床的特徴として体重減少を示す患者の頻度や症状増悪の頻度が高く,社会活動性を維持するために,早期の在宅酸素療法の導入,NPPVやLVRSを必要とするケースが多い.生命予後はCOPD全体のなかでは比較的良好であるが,50歳代半ばでHOTが必要となり,社会的・経済的負担は大きい.喫煙感受性の高い若年発症COPD群を早期に発見し,禁煙指導を行うとともに,今後,喫煙感受性候補遺伝子や病態の解明が進めばCOPDの進行を抑制するような薬剤も期待される.
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フォーラム
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医学のあゆみ 218巻12号, 1028-1029 (2006);
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医学のあゆみ 218巻12号, 1030-1031 (2006);
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TOPICS
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薬理学・毒性学
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医学のあゆみ 218巻12号, 1035-1036 (2006);
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膠原病・リウマチ学
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医学のあゆみ 218巻12号, 1036-1037 (2006);
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脳神経外科学
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医学のあゆみ 218巻12号, 1037-1038 (2006);
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医学のあゆみ 218巻12号, 1038-1039 (2006);
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神経精神医学
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医学のあゆみ 218巻12号, 1039-1040 (2006);
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眼科学
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医学のあゆみ 218巻12号, 1040-1042 (2006);
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連載 現代医療におけるコメディカルの役割22
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医学のあゆみ 218巻12号, 1043-1045 (2006);
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