Volume 219,
Issue 6,
2006
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あゆみ アディポカイン
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医学のあゆみ 219巻6号, 423-424 (2006);
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医学のあゆみ 219巻6号, 425-431 (2006);
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従来,脂肪組織は余剰エネルギーを貯蔵するだけの,生物学的には非活性な組織と考えられてきた.しかし,分子生物学の進歩によりつぎつぎに脂肪組織由来のホルモンやサイトカインが同定され,現在,脂肪組織は生体の恒常性維持に不可欠な内分泌臓器として認知されている.これら脂肪組織由来ホルモンのなかでもレプチンは,中枢神経系に作用して強力な摂食抑制やエネルギー消費亢進をもたらし,体重調節に重要な役割を有している.さらに,レプチンは交感神経系の活性化を介した血圧上昇作用や糖脂質代謝改善作用,神経内分泌調節作用など,生理機能の調節に広く関与することが報告されている.レプチン抵抗性など未解決の問題も存在するが,肥満治療をはじめ糖尿病や高脂血症などの代謝疾患や内分泌疾患の領域において,幅広いレプチンの臨床応用の可能性が期待されている.
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医学のあゆみ 219巻6号, 433-439 (2006);
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肥満症ではアディポネクチン・アディポネクチン受容体の両方が低下してインスリン抵抗性・メタボリックシンドロームの原因となっており,その作用低下を補充して,AMPキナーゼやPPARαを活性化することがこれらの治療法となりうる可能性が示唆された.高活性型である高分子量Ad(HMW)のヒトにおける測定はインスリン抵抗性・メタボリックシンドロームのよりよい指標となる可能性が示唆された.PPARγ作動薬はHMW−Adを,PPARα作動薬はAdipoRを脂肪組織において増加させ,両者の活性化は相加的に脂肪組織におけるマ
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医学のあゆみ 219巻6号, 441-445 (2006);
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脂肪組織を構成する脂肪細胞からいろいろなサイトカインが分泌されるが,そのひとつに炎症性機転で重要な働きをするといわれるTNF−αがある.脂肪組織から分泌され,どのような機能を発揮しているかということについて,その全容が明らかにされているわけではない.そのなかでインスリン抵抗性の発現についての関与は多くの研究者で認められている.したがって,肥満や食事性に誘導されるインスリン抵抗性の発現機序を解明するうえでは重要な要素といえる.また,どのようにしてTNF−αが脂肪細胞から分泌されるかということも興味がもたれる.本稿では,脂肪組織を構成する脂肪細胞は均一ではなく,その大きさにおいても,TNF−αなどのサイトカインを分泌する活性においてもさらにその機序が異なることについて述べた.
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医学のあゆみ 219巻6号, 446-449 (2006);
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従来,脂肪酸は飢餓時にエネルギーを全身臓器に供給するキャリアとみなされていたが,最近では多彩なシグナルを伝達するアディポカインと位置づけられている.エネルギー摂取過剰や脂肪の蓄積によって血中の遊離脂肪酸が増加すると,循環血液を介して,膵β細胞,肝,筋肉において脂肪毒性をもたらすのみならず,肥満の脂肪組織や動脈硬化巣局所において炎症性変化を増大する可能性がある.遊離脂肪酸(FFA)は,peroxisomeproliferator−activated receptorやToll様受容体,G蛋白質共役型受容体な
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医学のあゆみ 219巻6号, 450-452 (2006);
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5年前,脂肪細胞から分泌されインスリン抵抗性を惹起するアディポサイトカインとして,レジスチンは同定された.レジスチンファミリーはレジスチンならびにその相同性の高い3種類の蛋白(RELMα/β/γ)からなり,組織分布が異なる.マウスレジスチンは脂肪組織におもに発現するが,ヒトでは骨髄や肺に優位に発現し,脂肪細胞では比較的少ないものの,内臓脂肪優位である点から,ヒトにおいてもインスリン抵抗性とのかかわりが示唆される.レジスチンはインスリン抵抗性を示す肥満モデル動物で増加し,TZD(thiazolidinedione)の投与によってその発現が抑制される.また,高血糖やデキサメタゾンによって正の制御を受け,とくに肥満を伴う糖尿病やステロイドによるインスリン抵抗性にも深くかかわると考えられる.レジスチンがインスリン抵抗性を惹起する作用として,GLUT4の膜輸送を障害してグルコース取込みを阻害したり,肝における糖産生を抑制するという報告があるが,詳細なメカニズムについてはわかっていない.
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医学のあゆみ 219巻6号, 453-457 (2006);
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肥満時に認める脂肪組織の炎症にはMCP−1が重要な役割を果たしている.MCP−1は単球・リンパ球の遊走を引き起こすケモカインであるが,肥満モデル動物の脂肪組織で発現が増加しており,脂肪組織へのマクロファージの浸潤を誘導し慢性炎症に働いている.脂肪組織特異的MCP−1トランスジェニックマウスの成績から,1脂肪組織局所のMCP−1増加に伴うマクロファージの浸潤によりTNF−αやIL−6といった炎症性サイトカイン,血中FFAが上昇するというparacrine作用と,2脂肪組織から循環血液中に分泌されたMCP−1
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医学のあゆみ 219巻6号, 458-462 (2006);
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脂肪細胞から分泌される生理活性をもった分子群はアディポカインと総称され,このアディポカインの発現や分泌の変化が肥満に伴うインスリン抵抗性の発症を誘導することが,最近約10年間で解明されてきた.つぎつぎと同定されているアディポカインのなかでも最近同定されたRBP4(retinol binding protein 4)は,インスリン抵抗性やメタボリックシンドロームの発症と密接にかかわっているのではないかと注目を集めている.肥満したマウスでは血中RBP4レベルが増加しているが,遺伝子改変マウスや外来性投与で血中RBP4レベルを増加させても,インスリン抵抗性が誘導される.反対にRBP4欠損マウスは高いインスリン感受性を有していた.さらに興味深いことに,薬剤により肥満マウスの血中RBP4レベルを低下させると,インスリン抵抗性の改善が認められた.また,ヒトの解析においても,血中RBP4レベルはインスリン抵抗性やメタボリックシンドロームの指標と密接にかかわっていることが報告された.つまりRBP4は肥満におけるインスリン抵抗性の発症要因となっているだけでなく,血中RBP4レベルを下げることが実際の糖尿病治療につながる可能性を秘めた,非常に興味深いアディポカインである.
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医学のあゆみ 219巻6号, 463-466 (2006);
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IL−6は炎症をはじめとした種々の免疫機能を制御するサイトカインである.肥満者や2型糖尿病患者では血中IL−6濃度が増加しており,マウスに高用量のIL−6を投与するとインスリンシグナルの抑制やインスリン感受性の低下がみられる.また,肥満糖尿病モデルマウスにIL−6の中和抗体を投与するとインスリンシグナルが改善する.一方,IL−6は中枢神経を介したエネルギー消費亢進作用と肝糖新生系酵素遺伝子の発現抑制作用をもち,IL−6を欠損するマウスは肝に限局したインスリン抵抗性とともに,エネルギー消費の低下に起因する体重増加を示す.すなわち,IL−6は糖代謝制御に関し二面性をもつと考えられ,生理的な比較的低い濃度のIL−6は肝糖新生の抑制やエネルギー消費の亢進といった生理作用のメディエーターとして機能するが,何らかの病的状態によりIL−6濃度が著しく増加するとインスリン抵抗性を惹起する可能性がある.
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医学のあゆみ 219巻6号, 467-470 (2006);
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内臓脂肪の過剰蓄積はインスリン抵抗性,糖尿病,高血圧,高脂血症と密接に関連する.ビスファチンは脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインであり,マウスの肥満誘導時に内臓脂肪組織で発現上昇し,ヒトの血中ビスファチン濃度は内臓脂肪蓄積量と高度に相関している.これらのことから,ビスファチンは内臓脂肪蓄積を基盤とした病態に関与する因子であると考えられる.ビスファチン蛋白を培養細胞へ添加するとインスリン受容体下流のシグナル経路が活性化され,ビスファチン蛋白をマウスに経静脈投与すると血糖降下作用を示す.さらに,ビスファチン−ノックアウトマウスは,軽度であるが血糖値上昇を示す.また,ビスファチンは脂肪細胞の分化誘導作用も有している.肥満および糖尿病の病態における血中ビスファチン濃度の変化についていくつかの報告があるが,ビスファチンの生理的・病態学的な意義はいまだ解明されておらず,今後の臨床エビデンスの蓄積が期待される.
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医学のあゆみ 219巻6号, 471-473 (2006);
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2型糖尿病・高血圧・高脂血症を発症するOtsuka Long−Evans Tokushima Fatty(OLETF)ラットを用いて,内臓脂肪組織からvisceral adipose tissue−derived serine protease inhibito(r vaspin)を同定した.OLETFラットではvaspinは6週齢の時期には発現していないが,30週齢に至り高インスリン血症と肥満が著明な時期においては腸間膜・副睾丸周囲・後腹膜脂肪に強く発現し,インスリン・ピオグリタゾンの投与によってそのmRNAレベルは著明に上昇した.Vaspinリコンビナント蛋白を用いて高脂肪高ショ糖食肥満糖尿病マウスに投与したところ,糖負荷テストにおいては2時間値が改善し,インスリン負荷テストではインスリン感受性の改善を認めた.今後,ヒトでの意義を明らかにすることにより,vaspinに関連したあらたな創薬へと研究を展開させたい.
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フォーラム
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医学のあゆみ 219巻6号, 476-477 (2006);
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医学のあゆみ 219巻6号, 478-478 (2006);
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TOPICS
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細菌学・ウイルス学
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医学のあゆみ 219巻6号, 483-484 (2006);
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皮膚科学
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医学のあゆみ 219巻6号, 484-486 (2006);
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循環器内科学
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医学のあゆみ 219巻6号, 486-487 (2006);
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注目の領域
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医学のあゆみ 219巻6号, 489-493 (2006);
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