Volume 219,
Issue 7,
2006
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あゆみ 血管新生と創傷治癒
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医学のあゆみ 219巻7号, 495-495 (2006);
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医学のあゆみ 219巻7号, 497-501 (2006);
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よりよい創傷治癒を得るための研究の歴史は有史以前よりはじまったとされ,外科学の歴史そのものと重なる.しかし,理想的な創傷治癒は傷跡のない術後創であり,創傷治癒のメカニズムについて分子レベルでの解析が行われている現在でも,その目標はいまだに達成されていない.また,難治性潰瘍やケロイド・肥厚性瘢痕に対して臨床の場では,現在の解明された創傷治癒の知識に基づいて各種の治療方法が試されているが,治療方法が確立されているとはいいがたい.本稿では創傷治癒のメカニズムについて解説し,さらに血管新生過程の基礎的な分子メカニズムを解説することで,本特集を理解するうえでの一助となることを願っている.
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医学のあゆみ 219巻7号, 503-506 (2006);
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植皮では植皮片は生体から完全に遊離された状態となるため,いったん虚血状態を経てから血行再開によって生着する.現在,植皮片の生着過程に関しては,血清浸透期,血行再開期に大別されている.移植された植皮片は,フィブリン網で移植床に接着後,1〜2日は血清浸透により生きている.2〜3目ごろには移植床の血管断端と植皮片内の既存血管の断端との間の直接吻合が生じると同時に,移植床からの新生血管の侵入が起こる.移植床と移植片との血管吻合が起こりやすい場合には血管吻合が中心となり,血管の吻合が生じない場合には新生血管が移植片に侵入すると考えられる.そして,5〜8日目には動静脈が再開通する.植皮片における虚血による低酸素状態や,植皮片での慢性的な炎症状態が植皮片での血管新生に必要であろうという報告もあり,また植皮生着にbFGFを併用することで有用な結果が得られることもわかってきている.しかし,まだ不明な部分も多く,今後さらなる検討が必要である.
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医学のあゆみ 219巻7号, 507-511 (2006);
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皮弁作成後の血管新生状況退化,安定化には一定の流れがある.すなわち,切断された血管に連絡して血管芽が出現し血管の新生が開始するとともに毛細血管の側面からも多くの血管芽が出現し,一定の割合で伸びていく.このようにして形成された未熟血管網は血流の流れに沿って,より都合のよい形状をとり,流れに沿わない血管は退化消失し,成熟した血管網の形をとるようになる.皮弁内の血流は作成後数日間は減少するが,創縁,母床との血管連絡が安定化する10〜14日目には皮弁作成前より増加する.従来,皮弁の生着率,生着面積を向上させるため
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医学のあゆみ 219巻7号, 513-516 (2006);
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皮膚の真皮に至る創傷は,正常創傷治癒過程においては一連の生物学的過程を経て線維増殖性反応によって修復され,最終的に正常瘢痕となる.肥厚性瘢痕およびケロイドではこの瘢痕化に異常があり,過剰な瘢痕化が生じる.現在までに肥厚性瘢痕とケロイドとの間に種々の相違(臨床的・病理組織学的・細胞生物学的所見における)が報告されてきており,肥厚性瘢痕とケロイドについての理解は同じ過程の異なる段階であるという観点から,本質的に異なるものであるという観点へと展開してきている1).本稿では,肥厚性瘢痕,ケロイドでの血管新生に関する現在までの報告をまとめ,さらに今後の基礎的ならびに臨床的研究における課題について述べた.
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医学のあゆみ 219巻7号, 517-519 (2006);
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血管新生は創傷治癒過程における必須条件のひとつであり,褥瘡の治療にもその応用が考えられている.薬剤としては,血管新生作用をもつ軟膏,細胞成長因子製剤,フェニトインなどがあり,陰圧閉鎖療法などの物理療法も用いられる.これらの治療法は動物実験やin vitroでは血管新生作用が認められ,臨床的にも有用性があると考えられている.また,閉塞性ドレッシング材を用いて創部を閉鎖環境においたり,細菌感染に対する治療を行って二次的に血管新生を促進する方法もある.褥瘡の治療においては患者背景が大きく異なることが多く,また標準的治療を行うだけでも,ある程度の治癒が得られるために,これらの方法は標準的治療との有意な差を出すことは難しい.今後さまざまな薬剤や治療法が検討されるであろうが,費用対効果の検討や従来法との大規模な比較試験が求められる.
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医学のあゆみ 219巻7号, 520-524 (2006);
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近年の高齢化,糖尿病患者の増加などに伴い,治療対象となる閉塞性動脈硬化症(ASO)下肢虚血症例は増加の一途にあり,全身動脈硬化症をもつhigh risk症例が多く,とくに糖尿病性腎症による維持透析に合併した重症虚血肢の治療成績は不良である.これまでに行われてきたさまざまな薬物療法や保存的治療で有効性が広く認められたものはなく,バイパス手術非適応例では切断の可能性がきわめて高くなるため,近年,遺伝子治療や細胞移植治療を応用した血管新生療法に大きな期待が寄せられている.本稿では下肢虚血性疾患治療における外科治療法の実際と,これまでの“治療的血管新生療法(therapeutic angiogenesis)”の臨床応用成績について概説し,血管新生療法の今後の可能性について展望した.
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医学のあゆみ 219巻7号, 525-529 (2006);
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創傷被覆材は,創傷の治癒には湿潤環境が優れているという概念が確立して以来,その目的にかなうものとして開発されてきた.大別するとポリウレタンフィルム材,ハイドロコロイド材やアルギン酸塩およびそれらの類似製材である.創の性状に応じてこれらを使用すれば,いずれの被覆材も有用と考えられた.創傷治癒促進剤としては血流改善剤と治癒にかかわる細胞の増殖促進剤とがある.ともに有効ではあるが,後者での広い適応が注目されている.創傷内の新生血管走行をみると,創縁から中央に向かって伸長する新生血管と,創床から上行する新生血管とが吻合し,血管網を形成することが確認された.これらは創傷治癒促進剤によって賦活化された.本稿では,現在臨床使用されている被覆材や創傷治癒促進剤の特徴と効果について言及し,あわせて創内に伸長する新生血管の走行様式と,その伸長に影響を及ぼす薬剤について,著者らの行った実験的創傷の結果から紹介する.
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医学のあゆみ 219巻7号, 530-534 (2006);
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In vivo chamber内で,既存血管,人工真皮,線維芽細胞増殖因子(FGF−2)を併用して栄養血管を有する血管柄付き皮弁(prefabricated engineering skin flap)を再生し,ウサギの耳介の欠損部に移植することに成功した.導入血管束の組織像,血管鋳型走査電顕像を検討したところ,これまで毛細血管レベルでしか生じないといわれてきた発芽型血管新生が,chamber内に導入した伏在動脈の分岐や伏在静脈などの大きな血管にも生じていることがわかった.このことは血管新生のメカニズムが,導入した血管系全体に生じていると考えられる興味ある知見である.また,再生組織内の血管網は既存血管から派生した新生血管とchamber孔を通して周囲から侵入した毛細血管とが吻合・交通して形成されたと考えられ,この血管新生と組織再生にFGF−2の併用が有用であった.
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フォーラム
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医学のあゆみ 219巻7号, 536-537 (2006);
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医学のあゆみ 219巻7号, 538-539 (2006);
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TOPICS
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腎臓内科学
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医学のあゆみ 219巻7号, 543-544 (2006);
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脳神経外科学
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医学のあゆみ 219巻7号, 544-545 (2006);
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小児外科学
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医学のあゆみ 219巻7号, 545-547 (2006);
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注目の領域
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医学のあゆみ 219巻7号, 549-552 (2006);
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