Volume 220,
Issue 8,
2007
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あゆみ 内視鏡外科の現況と評価
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医学のあゆみ 220巻8号, 603-603 (2007);
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医学のあゆみ 220巻8号, 605-611 (2007);
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悪性腫瘍に対する内視鏡下手術のなかで,もっとも多数施行されエビデンスが蓄積されているのは大腸癌に対する腹腔鏡下手術である.結腸癌については複数の大規模臨床試験から進行癌を含め開腹手術と変わりない根治術が可能であることが明らかとなった.ただし,直腸癌に対する適応の評価は未解決である.大腸癌に次いで施行数が多い胃癌では,早期癌に対する幽門側胃切除術については小規模研究ではあるもののおもに日本から多数報告があり,良好な安全性や低侵襲性が示されている.しかし,進行癌に対する根治術の可否についてはほとんどエビデンスがなく,上部胃癌についても報告は多くない.他に肺癌,乳癌,食道癌,肝癌,転移性肝癌,膵癌などにも内視鏡手術が行われているが,いずれも少数施設からの成績報告のレベルである.悪性腫瘍に対する根治術においても低侵襲性が重視されるなか,科学的なエビデンスに裏づけられた内視鏡手術の普及が望まれる.
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医学のあゆみ 220巻8号, 612-616 (2007);
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内視鏡外科手術は,炭酸ガス気腹に伴う腹腔内圧上昇やアシドーシスへの変化,さらに低侵襲性がもたらす生体反応など,呼吸・循環器系,免疫系,さらには悪性腫瘍の増殖・進展への影響が考えられる.著者らはこの内視鏡外科に関する基礎研究分野を,内視鏡外科生理学・免疫学・腫瘍学とそれぞれ位置づけ,臨床研究の裏づけとなる研究成果を蓄積してきた.内視鏡外科における基礎研究は臨床研究とともに,安全で根治性の高い内視鏡外科手術のさらなる発展に必要である.
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医学のあゆみ 220巻8号, 617-620 (2007);
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日本内視鏡外科学会は世界に先がけて内視鏡外科技術認定制度を立ち上げた.2001年に技術認定制度委員会が発足し,2003年から産科婦人科,2004年から消化器一般外科,泌尿器科,整形外科で技術認定審査を開始した.指導者の推薦と症例経験を条件として,未編集手術ビデオを各領域の審査員が実見することで評価した.消化器一般外科ではビデオ採点のため,共通基準60点満点と臓器別基準40点満点をつくり合計70点以上を合格とした.2004年度は応募者422人で212人合格合格率50.2%,2005年度は応募者269人で129人の合格合格率48.0%であった.審査委員間の評価の一致率は2004年度Kappa値0.31,2005年度Kappa値0.40であった.本制度の成功のためには審査員間で高い評価一致率を得る必要がある.技術認定制度は,教育の活性化,手術の安全性の向上,手術手技の改善に寄与すると期待される.
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医学のあゆみ 220巻8号, 621-624 (2007);
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内視鏡下手術の導入は,上部消化器癌治療にさまざまな段階的選択肢をもたらした.技術,器材の進歩により,内視鏡下に従来の手術と同程度のリンパ節郭清,切除再建を行おうとする臨床研究が進行している.とくに腹腔鏡補助下幽門側胃切除術の普及はめざましい.一方,sentinel node理論を応用し,重点郭清部位を設定したリンパ節郭清の縮小・省略を内視鏡下に施行する試みも研究されている.上部消化器癌領域においては,内視鏡下手術の利点,安全性を長期予後も含めて評価する大規模ランダム化比較試験の実施が望まれる.食道アカラシア,胃食道逆流症,胃粘膜下腫瘍の治療においては,内視鏡下手術が安全かつ効果的な標準的低侵襲手術として認知されつつある.この分野は,比較的早期の食道癌,胃癌の発見頻度の高いわが国が世界をリードしている分野であり,一層の発展と安全な普及が期待される.
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医学のあゆみ 220巻8号, 625-628 (2007);
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医学のあゆみ 220巻8号, 629-632 (2007);
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胸腔鏡手術は患者の胸壁に穴を開けて肋間より内視鏡を胸腔内に挿入し,ビデオ画面の映像をみながら手術を進める方法である.この手術の適応として第一選択で胸腔鏡手術が採用されるものに,自然気胸や原因不明の胸水貯留に対する胸膜生検などがある.手掌多汗症に対しても本手術が実施される.また,肺癌や縦隔疾患に対しても胸腔鏡手技が応用され,とくに前者では肺葉切除,区域切除,部分切除,リンパ節郭清などに幅広く利用される.胸腔鏡手術ではすべての手術をビデオ画面を見つつ終了する完全胸腔鏡手術と,一部小さな開胸を併施して胸腔鏡を補助的に利用する,いわゆるvideo−assisted thoracic surgeryVATSがあり,最近では完全胸腔鏡手術による早期肺癌の治療方法が注目を浴びる状況である.そのほかに,胸腔鏡は重症筋無力症や胸腺腫のような縦隔腫瘍の手術にも利用されている.本手術の安全性確保のためには優れた機器の開発・改良が必須である.
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医学のあゆみ 220巻8号, 633-638 (2007);
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婦人科領域における腹腔鏡手術は長い歴史を有し,1970年代にはすでに現在用いられている機器の多くは確立されていた.当初は腹腔鏡の臨床応用は不妊症などにおける腹腔内の検査が主であったが,1990年初頭の外科における腹腔鏡下胆 *摘出術の普及を機に,各外科系領域に内視鏡手術が急速に広がっていった.婦人科領域でもこのころから検査から手術へと大きく展開していき,現在では婦人科良性腫瘍に対する腹腔鏡手術はほとんど保険収載され,急速に普及が進んでいる.しかし,この急速な発展によってしばしば未熟な手技による合併症が発生したため,日本産科婦人科内視鏡学会を中心に教育制度が整備され,技術認定制度が発足した.今後は良性腫瘍のみならず子宮癌に対する腹腔鏡手術が導入されるなど,ますますその社会的ニーズは高まっていくと思われる.
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医学のあゆみ 220巻8号, 639-642 (2007);
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泌尿器科領域の腹腔鏡下手術は,1992年わが国を中心とした腹腔鏡下副腎摘除術から発展していった.泌尿器腹腔鏡下手術は,副腎,腎尿管から現在では前立腺,膀胱と拡大され,急速に増加していっている.しかし,合併症に対する問題も発生し,評価としての泌尿器腹腔鏡技術認定制度が施行された.本稿では原案作成は終了し,コンセンサスをはかっている段階である泌尿器腹腔鏡下手術ガイドラインについても言及した.泌尿器腹腔鏡下手術はさらに広い普及と安全性のさらなる向上で今後も発展していくものと考える.
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フォーラム
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医学のあゆみ 220巻8号, 643-643 (2007);
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医学のあゆみ 220巻8号, 645-647 (2007);
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医学のあゆみ 220巻8号, 648-649 (2007);
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医学のあゆみ 220巻8号, 650-652 (2007);
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連載
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臨床研究のあたらしい潮流─わが国発の臨床研究推進に向けて
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医学のあゆみ 220巻8号, 664-669 (2007);
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病歴,診察所見など日常診療の場で,簡便に入手できる情報を用いて,治療を必要とする腰部脊柱管狭窄の患者を選びだす補助となるツールを診断サポートツールという.日本脊椎脊髄病学会は診断サポートツール作成のための実行委員会を組織し,プロジェクト研究を行い,腰部脊柱管狭窄の診断サポートツールが完成した.一般医と専門医とが共通の概念で連絡しあえることで,患者のQOLの向上と社会経済的損失を減少させることが期待される.腰部脊柱管狭窄の診断サポートツールの報告は国内外を含めていまだに存在しない.今後,プライマリケア医を中心とした大規模なvalidation studyを行うことにより,本サポートツールの信頼性をさらに検討していく必要がある.