Volume 220,
Issue 12,
2007
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あゆみ アレルギー研究の最先端
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医学のあゆみ 220巻12号, 929-929 (2007);
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医学のあゆみ 220巻12号, 931-936 (2007);
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マウス喘息モデルを用いた研究により,アレルギー性気道炎症の惹起にはTh2細胞の産生するサイトカインが重要な役割を果たしていることが明らかとなった.さらに近年,Th1細胞のmaster regulatorであるTbetが,Th2細胞依存的なアレルギー性気道炎症の抑制のみでなく,IL−17依存的な好中球性気道炎症の抑制にも関与していることが明らかとなっている.これらT細胞レベルでの制御機構に加え,気道の組織構築細胞の産生するサイトカインの役割も明らかになりつつある.
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医学のあゆみ 220巻12号, 937-943 (2007);
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ナイーブCD4 T細胞は,IL−4存在化で抗原刺激を受けるとエフェクターTh2細胞へと分化する.分化したエフェクターTh2細胞の一部は,Th2細胞としての性質を維持しながらメモリーTh2細胞へと分化して生体内に長期間存在し,つぎの免疫反応に備えている.メモリーTh2細胞はアレルギー疾患の病態に深くかかわっていることが予想されてはいるが,その分化・機能維持に関する研究はほとんど行われていない.そこで本稿では,メモリーTh2細胞における機能維持機構をエピジェネティックな制御の側面から概説するとともに,著者らの解析によって明らかとなってきたメモリーTh2細胞の機能維持におけるヒストンメチル基転移酵素MLLの役割について述べる.
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医学のあゆみ 220巻12号, 944-948 (2007);
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アレルギー疾患の代表である気管支喘息とアトピー性皮膚炎ADはアレルゲン/IgE/Th2サイトカインの協調作用で誘導されるTh2病である.しかし,喘息やAD患者のなかにもTh1優位な患者が存在することから,病気の発症をTh1/Th2細胞のバランスだけで説明することに疑問が投げかけられた.最近,病原体成分の刺激によってマクロファージから分泌されるIL−18はTh1細胞を刺激してIFN−γ産生を増強するとともにTh2サイトカインやケモカインを産生することで気管支喘息やADを発症させる病因細胞となることが明らかになった.著者らはこのように病気を発症させるIL−18で刺激されたTh1細胞をsuper Th1細胞と呼称している.アレルギー性炎症は感染を契機として増悪することが知られている.おそらく病原体成分によって気道上皮細胞やケラチノサイトから産生されるIL−18がTh1型アレルギー性炎症の引き金になっていると考えられる.
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医学のあゆみ 220巻12号, 949-952 (2007);
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好塩基球は顆粒球のひとつで,末梢血白血球のわずか0.5%を占めるにすぎない最少血球細胞集団である.これまで生体内における存在意義がはっきりせず,マスト細胞との共通点がいくつもあることから“血中循環型マスト細胞”とよばれるなど,脇役扱いでめだたない存在であった.寄生虫感染症で好塩基球増多症が認められたり,アレルギー炎症巣での好塩基球浸潤が認められることから,寄生虫感染防御やアレルギー病態への関与が示唆されてきたが,その実体はほとんど解明されていない.ところが,最近になってIL−4などのTh2サイトカインを大量に産生・分泌することが判明し,免疫調節細胞として注目されるようになった.著者らはマウスのアレルギーモデルを用いて,好塩基球が主役を演じるIgE依存性慢性アレルギー炎症誘導機構があることを発見し,好塩基球が有望なアレルギー治療のターゲットとなることを明らかにした.
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医学のあゆみ 220巻12号, 953-957 (2007);
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わが国の成人喘息ガイドラインである喘息予防・管理ガイドラインJGLは1993年に作成されて以来改訂が重ねられ,2006年,JGL2006が出た.章の構成は従来と変わりないが,新しいエビデンスの登場により,あるいは理解しやすくするため改訂された部分も少なくない.診断では,呼気一酸化窒素が気道炎症の指標に加えられた.患者教育の基本という項目が設けられ,教育に関する具体的な方法が示されている.治療に関しては,従来のJGLでは長期管理に使う薬剤を,長期管理薬と発作治療薬に分けて説明していたが,JGL2006では長期管理薬と患者が自宅で行える発作治療という見出しにし,長期管理中の患者が自宅で喘息症状を認めた際,薬剤をどのように使うかが示されている.また,ロイコトリエン受容体拮抗薬の位置づけが,他の抗アレルギー薬より高くなった.種々の側面に関する説明も従来版に比べ充実し,かつ実践的な内容となっている.
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医学のあゆみ 220巻12号, 958-961 (2007);
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気管支喘息の本態は“慢性的な気道の炎症”であり,好酸球,肥満細胞,Th2リンパ球などの浸潤細胞や,気道上皮・平滑筋,自律神経といった多彩な細胞群が関与する.この炎症の詳細なモニタリングは喘息患者の診断のみならず,治療の効果判定にきわめて有用である.モニタリングの方法として高張食塩水吸入による誘発痰の細胞および液性成分の検討に加え,最近では呼気ガスや凝縮液の検討もなされている.さらに,喘息の重要な病態である“気道過敏性”に関しては気道過敏性検査やピークフローPEFの週内変動を指標とする生理学的方法が用いられ,“構築変化”に関しては三次元CTが応用化されつつある.
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医学のあゆみ 220巻12号, 962-967 (2007);
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成人喘息においては,小児と異なりアトピー素因は難治化因子ではなく,難治病態の機序は複雑で,喘息そのものが難治であるケースよりも合併症による難治が多い.合併症では精神疾患,感染,GERD,COPD,肥満などが難治化因子となりやすい.一方,喘息そのものが難治である因子としてアスピリン喘息,好酸球性副鼻腔炎,血管炎があげられ,それぞれについて概説した.さらに,それらの共通項として,好酸浸潤の強い鼻茸とシスティニルロイコトリエン過剰産生病態があり,今後の重要な研究課題である.
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医学のあゆみ 220巻12号, 968-972 (2007);
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アレルギー性炎症はTh2細胞活性化により産生されるIL−4,IL−5,IL−13などのサイトカインにより惹起される.それらTh2サイトカインがB細胞のIgE産生,肥満細胞の活性化,好酸球の遊走,気道過敏性などを引き起こす.したがって,Th2サイトカインの不活化やTh2細胞を抑制する制御性T細胞の誘導はアレルギー性疾患の魅力的な免疫学的治療と考えられる.本稿では,気管支喘息をはじめとするアレルギー性疾患に対し現在臨床応用が検討されている最新の免疫学的治療法,とくに抗サイトカイン治療とBCGワクチンなどによる免疫療法について概説する.
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フォーラム
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医学のあゆみ 220巻12号, 973-973 (2007);
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医学のあゆみ 220巻12号, 974-974 (2007);
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医学のあゆみ 220巻12号, 975-976 (2007);
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医学のあゆみ 220巻12号, 977-981 (2007);
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連載
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臨床研究のあたらしい潮流─わが国発の臨床研究推進に向けて
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医学のあゆみ 220巻12号, 990-996 (2007);
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欧米では1980年中ごろから,国にとって解決すべき優先順位の高い標的疾患を対象としたアウトカム研究に対して多額の公的研究資金が投入され,研究の目的や計画の骨子をあらかじめ策定・提示したうえ公募する形式の競争的研究助成が行われている.その結果得られたエビデンスは,診療現場における医師の行動や意思決定にインパクトを与え,診療ガイドラインの作成と普及につながるなど,その研究成果は医療政策にも大きな影響を与えている.戦略研究はこのような研究をわが国でも導入しようとする試みで,行政のニーズにより計画され,その成果を“国民の健康に関する課題”や“国民生活の安心・安全に関する課題”を解決するために使用されることを前提として実施されるアウトカム研究である.これまで公的な研究費には想定されてこなかった“研究の実施を支援するインフラの整備”をも考慮に入れた,厚生労働省科学研究費補助金の新しい枠組みである.
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速報
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医学のあゆみ 220巻12号, 998-999 (2007);
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