Volume 223,
Issue 2,
2007
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あゆみ ウイルス性肝炎──最新治療コンセンサス
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医学のあゆみ 223巻2号, 139-139 (2007);
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医学のあゆみ 223巻2号, 141-143 (2007);
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急性B型肝炎の問題点は劇症化と慢性化である.B型急性肝炎の現況をまとめると,慢性肝炎と比べ外国株(とくにHBV genotype Ae)の割合が高く,性交渉による感染が主体である.HBV/Ae感染による肝炎の程度は軽度であるが,約10%に慢性化がみられるため,治療介入を要する症例が存在する.劇症化に寄与する因子として,HBe抗原陰性,プレコア変異,HBV genotype Bjがあげられる.HBs抗原陽性の重症肝障害では急性感染例,キャリア例の確定診断を待たずに,ただちに抗ウイルス療法を実施すべきである.
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医学のあゆみ 223巻2号, 145-148 (2007);
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核酸製剤の開発によりB型慢性肝炎の治療は飛躍的に進歩した.2000年に認可されて以来,ラミブジンがB型慢性肝炎治療の中心を担っていたが,2006年9月に強力な抗ウイルス作用を有し,耐性ウイルス出現率が非常に低いエンテカビルがわが国において保険認可され,現在,核酸製剤治療の第一選択薬となっている.しかし,日本において低率ながらもすでにエンテカビル耐性ウイルスが認められており,今後さらなる長期的な検討が必要である.現在すでにラミブジン治療中である症例においては,HBV−DNA量,breakthrough hepatitis(BTH)の有無,ラミブジン投与期間によりエンテカビルへの切り替えを検討することが可能である.ただし,ラミブジン耐性ウイルス出現症例に関しては,ラミブジン,アデフォビル併用療法がもっとも有効で安全性が高いため推奨される.
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医学のあゆみ 223巻2号, 149-152 (2007);
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経口の逆転写酵素阻害剤であるラミブジンによる治療は,B型慢性肝炎の治療を大きく変えた.従来の治療は,インターフェロンやステロイドリバウンドにより宿主の免疫を賦活させ,セロコンバージョンを誘導する方法であり,効果は40%以下と限られていた.ラミブジンは,B型肝炎ウイルスのもつポリメラーゼを阻害することによりB型肝炎ウイルス遺伝子の複製を直接抑制することが可能である.ラミブジンを投与すると,血中HBV DNA量は速やかに低下し,肝炎の沈静化や,長期的には肝線維化の改善がみられる.また,腹水や黄疸がみられる症例では,これらの肝不全症状が改善されることも期待される.さらには長期投与により肝細胞癌の発症率を低下させることが報告されている1).しかし現在,ラミブジンなどの核酸アナログ治療でB型肝炎ウイルスを排除することはできず,単に増殖を抑制するにとどまっている.このため,治療を中止すると血中HBV DNAが再上昇し,肝炎の再燃が起こり,さらには重症化する例もみられる.このほか,ラミブジン治療の大きな問題点として長期投与により高率に耐性株が生じることがあげられる.耐性株が出現すると肝炎が再燃し,ときに,重症化する例がみられる.近年,あらたにB型肝炎の治療に導入されたアデフォビルとエンテカビルは,ラミブジンに比較して耐性株の出現率が低いことが特徴である.2007年度版の厚生労働省によるB型慢性肝炎の治療ガイドラインによると,初回投与例では基本的に35歳未満ではインターフェロン長期投与が,35歳以上ではエンテカビルの投与が推奨されている(表1).しかし現在,すでに多くの症例でラミブジンの投与が行われており,これらの患者を今後どのように治療していくかが問題となっている.本稿では,これらラミブジン投与例の今後の治療方針について述べる.
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医学のあゆみ 223巻2号, 153-156 (2007);
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わが国でのB型慢性肝炎に対するIFN治療はHBe抗原陽性例のみが保険適用で,しかも投与期間が24週に限られている.その治療効果は若年,女性,ALT高値,HBV−DNA低値例などの好条件群では良好であるが,おしなべての成績は満足できるものではない.欧米からはPeg−IFN治療の良好な成績が多数報告されているが,わが国ではようやくPeg−IFN−α2aの治験が開始されたところである.若年例には核酸アナログ剤が使用困難で,Peg−IFN治療が大きな福音になると思われる.1日も早い保険適用が望まれる.
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医学のあゆみ 223巻2号, 157-161 (2007);
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1型高ウイルス量症例に対するPeg−IFNα2b/ribavirin 48週併用療法の著効率は45%であり,血小板高値例で著効を得られやすいが,高齢者では治療効果が低い.HCV−RNA陰性化時期別の著効率はEVR(12週までのHCV−RNA陰性化)例では高い(75%)が,非EVR例では治療後高率にHCV再燃が起こるために低い(19%).しかし,長期投与により非EVR例でもHCV再燃が抑えられ,著効率が向上する可能性がある.また,治療早期HCV−RNA減少率により治療効果の予測が可能であり,4週で1 log未満,8週で2 log未満のHCVRNA減少例では著効は期待できない.副作用では60歳以上の高齢者で貧血による中止が多く,注意を要する.一方,1型高ウイルス量以外の症例に対するPeg−IFNα2b/ribavirin 24週併用療法の著効率は81%と高率であり,性別や年齢などによる差を認めず,同併用療法のよい適応である.
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医学のあゆみ 223巻2号, 163-168 (2007);
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C型慢性肝炎治療の目的は肝癌抑止であり,1ウイルス駆除と,2肝炎の沈静化をめざした治療がある.前者が第一選択であるが,難治例や高齢者などでは後者も選択される.インターフェロン(IFN)単独療法は双方の目的で施行され,Peg−IFN−α2a単独療法,従来型IFN−α単独療法およびIFN−β単独療法がある.Peg−IFN−α2a単独療法ではIFNのPEG化によって週1回投与で血中濃度が維持されるようになり,副作用が軽減され,忍容性と感染肝細胞排除効果が向上した.Genotype 1b型高ウイルス量以外の完遂例における著効率は89%と良好であり,初回例では第一選択である.一方,従来型IFN−α単独療法は自己注射が可能で,夜間投与で副作用が軽減される.また,唯一IFN−βは肝硬変に対しても適応があり,精神・神経症状の副作用が少なく,高齢者にも比較的投与しやすい.IFN単独療法は,リバビリン併用療法に比べ副作用が軽度であることなど,高齢者・難治例の多いわが国では今後も重要な治療法である.
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医学のあゆみ 223巻2号, 169-172 (2007);
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C型慢性肝炎患者のなかでALT持続正常例は,従来型のインターフェロン(以下,IFN)治療では治療効果は低く,治療後にALT値の上昇がみられることもあり,IFN治療の対象とはみなされなかった.しかし,リバビリンと併用すると治療効果は向上し,治療終了後にALT値が上昇することも少ない.現在,C型慢性肝炎に対する標準的な治療であるペグインターフェロン(以下,Peg−IFN)αとリバビリンとの併用療法では難治例であるgenotype 1型かつ高ウイルス量例でも約50%,それ以外の症例では約90%のウイルス排除効果(以下,SVR)が得られるが,Peg−IFNα−2aとリバビリン併用療法でALT持続正常例に対しても異常例と同等の成績であることが海外において示された.ALT持続正常例に対するPeg−IFNα−2bとリバビリンの併用療法での大規模な無作為割付の試験の報告は現在までのところまだないが,当院および関連施設の成績ではPeg−IFNα−2bとリバビリン併用療法でも,ALT異常例と同等以上の治療効果が期待でき,また,SVRを期待するのであれば,とくに女性はALT正常でも治療を考慮したほうがよいとの成績であった.
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医学のあゆみ 223巻2号, 173-176 (2007);
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肝細胞内に蓄積した鉄はC型慢性肝炎の炎症増悪因子であり,また過剰鉄により産生が促進されるラジカルは変異原性塩基を形成するため肝発癌の一因と考えられている.インターフェロンなどによるHCV駆除が困難でありかつ炎症が持続するC型慢性肝炎症例に対しては,肝線維化の進行や肝細胞癌(HCC)の発生を抑制することが重要である.瀉血および低鉄食事療法による除鉄を適切に長期間にわたり継続することで,血清ALT値の低下,肝線維化の改善および変異原性塩基の減少が認められることから,除鉄療法は肝硬変・HCCの発症を阻止しうる有力な方法と考えられる.
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フォーラム
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医学のあゆみ 223巻2号, 179-181 (2007);
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医学部卒業後,母校の衛生学教室に入室し14年目.2006年8月からWomen’s Healthと英語を学習するため家族4人でメルボルンへ.1年5カ月間の留学予定である.出会ったエピソードをもとにエッセイと,ちょっと役立つ(?)情報編に分けてご紹介.子連れで留学すると,子どもの学校や保育園を探さなくてはならないが,今回はそのときのエピソード.
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医学のあゆみ 223巻2号, 182-183 (2007);
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TOPICS
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薬理学・毒性学
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医学のあゆみ 223巻2号, 187-190 (2007);
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循環器内科学
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医学のあゆみ 223巻2号, 187-190 (2007);
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腎臓内科学
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医学のあゆみ 223巻2号, 187-190 (2007);
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連載
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ファーマコビジランスをもっと身近に
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医学のあゆみ 223巻2号, 191-197 (2007);
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上市時点での医薬品の有効性と安全性はさまざまな条件下の限定されたデータに基づくものであり,市販後の有効性・安全性をかならずしも保障するものではない.したがって,医薬品を十分に活用するためには市販後の有効性と安全性を継続的に収集し,市販前のデータを含めて評価し,フィードバックすることが重要である.ファーマコビジランスは“副作用を含む医薬品に関連する問題点を見出し,評価し,理解し,それを予防するための科学および実践”と定義され,とくに,医薬品の処方医,対象患者が大きく広がり,未知で重篤な副作用が出現する可能性の高い市販後に焦点を当てた研究を特徴とする.医薬品開発環境の推移とともに市販後全例調査・製造販売後臨床試験などの承認条件を伴う医薬品承認が増加しており,臨床医・薬剤師はファーマコビジランスを理解し,その活動に積極的に関与することが求められている.
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速報
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医学のあゆみ 223巻2号, 199-200 (2007);
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