Volume 223,
Issue 10,
2007
-
あゆみ 睡眠とメタボリックシンドローム
-
-
Source:
医学のあゆみ 223巻10号, 799-799 (2007);
View Description
Hide Description
-
Source:
医学のあゆみ 223巻10号, 801-805 (2007);
View Description
Hide Description
先進国でとくに問題となっている肥満や糖尿病増加傾向の原因として,現代人の睡眠時間不足が指摘されはじめた.この相関は実験動物でも確かめられている.さらに,転写因子である時計遺伝子の支配下に多くの脂質代謝遺伝子が見出された.これら基礎研究の過程で,著者らは偶然にも,高脂血症治療薬ベザフィブレートが睡眠障害,とくに睡眠相後退症候群(DSPS)実験動物治療に有効なことを見出した.これらの肥満や高脂血症剤による睡眠障害治療の背景にある分子生物学的事実について解説する.
-
Source:
医学のあゆみ 223巻10号, 807-811 (2007);
View Description
Hide Description
生活習慣としての睡眠(睡眠負債)が,食事(摂取過剰)や運動(不足)と同様に生活習慣病の発症や生命予後と関連していることが,最近の研究によってしだいに明らかにされつつある.保健福祉動向調査(2000年)によれば,睡眠時間が7時間未満の日本人は40%にも上っている.生活習慣病対策のあらたな戦略として,睡眠負債に対する取組みが重要である.
-
Source:
医学のあゆみ 223巻10号, 813-817 (2007);
View Description
Hide Description
不眠および抑うつと生活習慣病に関する実態について,勤労者5,747名(平均43.8歳)を対象に調査を行った.生活習慣病をもつ人は,もたない人に比べて不眠および抑うつの割合が高かった.また,生活習慣病を治療している人よりも放置している人でその傾向は強くなり,とくに3疾患を合併しながら放置している人で顕著であった.逆に,不眠および抑うつの人は,ない人に比較して有意に生活習慣病率が高かった.さらに,不眠経験者の多くは自発的に医師に相談をすることも,医師から睡眠に関する問診を受けることもなく,無治療で放置するか,自己判断で寝酒や市販薬に頼る場合が多く,睡眠薬による適切な治療を受けていない実態が今回の調査結果から明らかとなった.以上の結果から,生活習慣病は不眠や抑うつと相互に密接にかかわっていることが示唆された.
-
Source:
医学のあゆみ 223巻10号, 819-822 (2007);
View Description
Hide Description
ストレスやうつ病は睡眠障害(不眠)を引き起こす.睡眠障害は,肥満,糖尿病,高血圧,脂質異常症(高脂血症)などの生活習慣病のリスクを上昇させ,同時に,睡眠時無呼吸症候群のリスクを上昇させる.生活習慣病は逆に睡眠障害を増悪させ,睡眠障害の悪化は生活習慣病をさらに悪化させるという一連の悪性のサイクルを形成する.悪化した睡眠障害はうつ病の危険因子となり,うつ病は睡眠障害を悪化させる.このように,ストレス・うつ病,睡眠障害,生活習慣病は密接に関連し相互に作用している.したがって,規則正しい睡眠や食生活などの生活習慣の改善は,結果として生活習慣病の予防につながるとともに,うつ病のリスクを低下させる.
-
Source:
医学のあゆみ 223巻10号, 823-828 (2007);
View Description
Hide Description
地域住民217名を5年間追跡調査し,就眠するまでの時間が長いほど,朝の家庭血圧が高く,non−dipperを呈し,VASで計測した“健康度”のQOLが悪いこと,睡眠時間が長すぎる場合は起床後の疲労感が大で,朝の家庭血圧が高いことを観察した.いびきの自覚は58%に,むずむず脚は10%に,中途覚醒は53%に,早朝覚醒は19%に観察された.これらの睡眠の質の低下は,7日間24時間血圧(7−day/24−h ABP)の収縮期血圧ならびに抑うつ傾向と正相関した.「昨日はよく眠られましたか?」の質問に,21%が「十分
-
Source:
医学のあゆみ 223巻10号, 829-832 (2007);
View Description
Hide Description
睡眠時呼吸障害,とくに閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)においては,心血管障害が重篤な合併症になりうるし,メタボリックシンドロームでもこれが臨床的に最大の課題となるため,両者の関係を明らかにし,効率的に治療していくことが重要となる.とくに脂肪組織が動脈硬化発現に関与する諸物質の生成に関与することには注意すべきである.メタボリックシンドロームに関連した諸指標は,OSAS治療によって改善するものが少なくないが,逆に一部が呼吸調節系に影響して,OSAS促進性に働いている可能性も考慮すべきである.無呼吸がもたらす低酸素ストレスのみならず,睡眠分断もメタボリックシンドローム発現に関与している可能性に注目したい.
-
Source:
医学のあゆみ 223巻10号, 833-836 (2007);
View Description
Hide Description
-
Source:
医学のあゆみ 223巻10号, 837-841 (2007);
View Description
Hide Description
高血圧に関しては,疫学的に睡眠時間の不足が高血圧のリスクになっているだけでなく,実験的な睡眠不足が未治療高血圧患者および健常人の血圧を上昇させることが明らかになっている.最近は睡眠時間の不足が冠動脈疾患や脳血管障害のリスク要因になりうることが報告されており,これらの背景には睡眠不足が免疫系の活動を介し動脈硬化を促進することが関連すると考えられている.睡眠時間の不足が糖尿病のリスクになることも明らかになっており,この背景には睡眠不足が視床下部・下垂体系を介してコルチゾール分泌の亢進をもたらすことでインスリン抵抗性が生じることが実験的に示唆されている.近年は睡眠時間の不足がレプチンやグレリンの分泌を介して食欲を亢進させることが明らかになり,糖尿病のリスク要因のひとつになると考えられるようになってきた.睡眠時間の不足だけでなく,自覚的な不眠が高血圧や糖尿病のリスクになることも報告されているが,このメカニズムについては研究すべき点が多く残されている.
-
フォーラム
-
-
Source:
医学のあゆみ 223巻10号, 844-846 (2007);
View Description
Hide Description
-
Source:
医学のあゆみ 223巻10号, 847-847 (2007);
View Description
Hide Description
-
Source:
医学のあゆみ 223巻10号, 848-849 (2007);
View Description
Hide Description
-
連載
-
-
ファーマコビジランスをもっと身近に
-
Source:
医学のあゆみ 223巻10号, 855-860 (2007);
View Description
Hide Description
医薬品の安全性監視に大規模データベースが不可欠であることは世界的な認識である.しかし,日本に公開されている大規模データベースが欠如しており,医薬品安全性監視を科学的根拠に基づいて推進するうえでの隘路になっている.現在,副作用の自発報告データベース,レセプト・データベース,使用成績調査データベース,臨床試験データベースなどの構築が計画または進行しており,近い将来,日本においても医薬品安全性監視に利用できる状況になると思われる.大規模データベースの存在は,停滞している医薬品の有効性・安全性のシグナル検出および定量的評価の統計的手法の研究・開発をも促進し,医薬品の安全確保の推進につながる.