Volume 225,
Issue 3,
2008
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あゆみ 深在性真菌症─新ガイドラインと最新知見
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医学のあゆみ 225巻3号, 205-206 (2008);
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あゆみ深在性真菌症─新ガイドラインと最新知見
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医学のあゆみ 225巻3号, 207-211 (2008);
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発熱性好中球減少症において抗菌薬開始後に持続,あるいはいったん解熱後にふたたび発現する発熱は,その一部が深在性真菌症によるものである.わが国でも各種新規抗真菌剤が利用可能となり,好中球減少例に合併する真菌症の治療選択肢が増えた.しかし,いずれも高価であり,適正診療が求められている.発熱性好中球減少症患者は均一な集団ではなく,好中球減少期間が1週間以内の低リスク例では侵襲性真菌症の合併はまれである.好中球減少遷延例など高リスク例における真菌症ではカンジダ症とアスペルギルス症が主体であるが,画像検査や血清検査の利用により早期診断が可能なエビデンスが増えている.患者のリスクならびに臨床的・微生物学的評価を行い,各薬剤の特性を考慮した患者個々に最適な治療が今後模索されるものと思われる.
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医学のあゆみ 225巻3号, 213-218 (2008);
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血液疾患患者に合併する深在性真菌症ではカンジダ症とアスペルギルス症が多い.確定診断には感染部位からの培養検査や病理組織検査が必要であるが,診療の現場ではCTなどの画像診断やガラクトマンナン抗原やβ-D-グルカンなどの血清診断を組み合わせた臨床診断が有用である.カンジダ症の治療には,従来のアムホテリシンBやフルコナゾールに加えミカファンギンが汎用される.アスペルギルス症の標準治療薬はボリコナゾールで,ほかにリポソームアムホテリシンB,ミカファンギン,イトラコナゾールなどの新規抗真菌薬が使用される.これらにより従来きわめて予後不良であった侵襲性アスペルギルス症の治療成績は向上しつつある.本稿では,2007年に改訂されたわが国の診断・治療ガイドラインについて述べる.
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医学のあゆみ 225巻3号, 219-221 (2008);
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深在性真菌症は,あきらかな好中球減少などの全身的な免疫不全がなくとも発症する.わが国で頻度の高い,健常者に発症する真菌症はクリプトコックス症である.肺クリプトコックス症にはフルコナゾールが用いられるが,クリプトコックス脳髄膜炎ではアムホテリシンBを中心とした治療が一般的である.また,肺に基礎疾患を有する患者にみられる真菌症として肺アスペルギルス症がある.アスペルギローマや慢性壊死性肺アスペルギルス症として知られており,ボリコナゾール,イトラコナゾールやミカファンギンなどが使用されている.
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医学のあゆみ 225巻3号, 222-226 (2008);
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免疫不全の明らかでない宿主にも肺真菌症は発症する.国内の日常診療ではアスペルギローマ,慢性壊死性肺アスペルギルス症,原発性肺クリプトコックス症などが比較的多く経験される.症状に乏しく,健診で胸部異常陰影を指摘され,受診する場合もあるので,各病態の特徴的画像所見を知り,肺真菌症を疑って適切な検査・治療に結びつけることが重要である.肺真菌症は日和見感染としてだけではなく,健常人にも発症しうることを十分認識して日常診療にあたる必要がある.
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医学のあゆみ 225巻3号, 227-231 (2008);
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HIV領域において日本国内で遭遇する頻度の高い深在性真菌症は,カンジダ症,ニューモシスチス肺炎,クリプトコッカス症である.最近になって肺アスペルギルス症の頻度も増加してきた.外国国籍の患者の場合は,ペニシリウム症,ヒストプラズマ症,コクシジオイド症など,鑑別すべき疾患は多彩である.各疾患の治療は非HIV症例の場合と基本的には同じであるが,いくつかの点ではHIV症例に特有の注意事項が存在する.とくに重度免疫不全を反映して他疾患との重複感染がしばしばであるため,診断や治療に際しては注意が必要なことと,また併用薬剤間の薬物代謝における相互作用にも十分留意する必要がある点が重要である.
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医学のあゆみ 225巻3号, 232-236 (2008);
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わが国と海外との交流が増大するに伴い,海外で風土病として流行している真菌症(いわゆる輸入真菌症)の国内発生例が増加している.ヒストプラズマ症,コクシジオイデス症,パラコクシジオイデス症,マルネッフェイ型ペニシリウム症などが代表である.いずれも感染力が高く,健常人でも感染すること,重症化しやすいこと,微生物学的検査に特別な注意が必要であることなどの注意点があり,日本の真菌症とは大きく異なった疾患として理解する必要がある.とくに十分な知識をもたずに安易に検査を行うと,大規模な感染事故の原因となるため,どの検査をいつどのように行うか,主治医の判断は重要である.診断には,病像のほか,流行地への訪問歴/滞在歴の厳密な聴取がきわめて大切である.
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医学のあゆみ 225巻3号, 237-242 (2008);
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外科領域の深在性真菌症は疑診例として治療が開始されることが多いため,コロニゼーションの程度を知る目的の監視培養やβ-D-グルカン値などの血清診断などを駆使して可能なかぎりpre-emptive therapyをtargettherapyに近づけるよう努めなければならない.また,外科領域ではnon-albicansカンジダ属の増加が問題になっている.カンジダ属による深在性真菌症に対する初回選択薬は,ホスフルコナゾール,ミカファンギンである.外科領域で頻用されているフルコナゾールに対する感受性はCandida albicans>Candida tropicalis>Candida parapsilosis>Candida glabrata>Candida kruseiであるため,C.albicansに対しては,ホスフルコナゾール,アゾール系薬使用の既往がある場合やC.glabrataやC.kruseiが分離された場合はミカファンギンが第一選択薬となる.また,フルコナゾールの薬剤感受性試験の結果がsusceptible-dose dependen(t S-DD)であることを理解しておくことは重要である.最近ではいくつかの新しい抗真菌薬の臨床使用が可能となり,臨床医にとっては薬剤選択の幅が広がったが,抗真菌薬投与中のブレークスルー感染を防ぐためにも,薬剤の特性を理解して薬剤投与を行う必要がある.
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医学のあゆみ 225巻3号, 243-247 (2008);
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深在性真菌症は免疫不全患者に対して致死的な疾患であったが,有効性に優れ安全な新規抗真菌薬の登場により治療は大きく変化してきている.わが国または海外において近年上市されたポリエン系(LiposomalAmphotericin B),アゾール系(Itraconazole,Voriconazole,Posaconazole),キャンディン系(Micafungin,Caspofungin,Anidulafungin)などの有効性が報告されている.これらの薬剤に元来無効である真菌や,薬剤耐性をもつ真菌は近年,深在性真菌症の原因菌として注目されるようになり,emerging fungiiとよばれ,このような真菌が治療中に感染症を引き起こすことをbreakthrough感染症という.これらのエビデンスはおもに海外のものであり,参考とする場合には注意を要する.
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医学のあゆみ 225巻3号, 248-252 (2008);
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起因菌の同定は,診断確定上,また適切な治療薬の選択上きわめて重要な感染管理上の情報をもたらす.したがって,培養系および非培養系それぞれの特性を理解したうえで有効に活用し,起因菌の(推定)同定に勤めることが必要である.
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医学のあゆみ 225巻3号, 253-256 (2008);
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侵襲性真菌感染症の血清診断法には抗原検出法,抗体検出法,あるいは真菌細胞壁の構成成分を検出する方法などがある.検査方法の改良により,それぞれの感度や特異度は向上しつつあるが,臨床的に十分満足できるレベルには到達していないのが現状である.各検査の特徴やさまざまな検査妨害因子を知ったうえで得られた数値を評価する姿勢が重要である.また,血清診断法はあくまでも補助診断法であるので,主治医はその限界を知って運用すべきであり,総合的臨床判断のひとつの指標として血清診断法を用いることが重要である.
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フォーラム
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逆システム学の窓 14
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医学のあゆみ 225巻3号, 257-259 (2008);
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医師不足と地域医療の崩壊—現状と展望 6
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医学のあゆみ 225巻3号, 260-263 (2008);
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TOPICS
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生化学・分子生物学
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医学のあゆみ 225巻3号, 265-266 (2008);
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神経内科学
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医学のあゆみ 225巻3号, 266-268 (2008);
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耳鼻咽喉科学
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医学のあゆみ 225巻3号, 268-269 (2008);
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連載
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定位放射線治療—最新動向5
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医学のあゆみ 225巻3号, 270-276 (2008);
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画像誘導下放射線治療(IGRT:image guide radiation therapy)の代表である定位放射線治療は,MRI,CT,DSA,PETなどのさまざまな画像診断の発展に伴いめざましい進化を遂げている.なかでもガンマナイフ治療では脳腫瘍,脳動静脈奇形のみならず,三叉神経痛,てんかん,難治性疼痛などの治療も行われるようになった.そのためには0.1 mmまでの誤差で正確に治療計画を立てることが可能となった.放射線障害を避けるためにもきわめて重要な点である.治療機器自体も完全自動化が進み,治療時間の短縮,精密性,安全性が各段に向上している.今後も画像診断,治療機器のさらなる発展が望まれる.
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速報
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医学のあゆみ 225巻3号, 277-278 (2008);
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