Volume 225,
Issue 4,
2008
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あゆみ 尿細管間質障害
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医学のあゆみ 225巻4号, 279-279 (2008);
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医学のあゆみ 225巻4号, 281-284 (2008);
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慢性腎臓病(CKD)とは,原因を問わず腎機能障害,または腎の障害を示唆する検査異常が3カ月以上持続するものである.CKDの進展には糸球体障害,尿細管間質障害,血管障害が関与するが,最終的には共通の経路(final common pathway)を介して末期腎不全に至ると考えられる.Final common pathwayの主座は尿細管間質障害にあることが知られているが,この原因として蛋白尿や補体成分,慢性虚血が寄与する.また,CKDに対する治療アプローチとして,蛋白尿の減少や尿細管間質の慢性低酸素状態の改
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医学のあゆみ 225巻4号, 285-288 (2008);
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慢性腎疾患の進行は糸球体病変そのものよりも尿細管間質障害の程度と相関することから,尿細管間質障害の程度を鋭敏に反映するマーカーが当該疾患の病勢把握のために重要である.現在,保険適応となっている尿細管間質障害のマーカーとして,尿中N-アセチル-β-D-グルコサミニダーゼ(NAG),尿中α1-ミクログロブリンがあげられるが,これらは腎臓の構造・機能の障害が生じた結果,尿中への排泄が増加する.尿細管間質障害の進展抑制,ひいては慢性腎疾患の進展抑制のためには,障害が生じる前の早期(尿細管にストレスがかかっている段階)から治療を開始する必要がある.尿中肝臓型脂肪酸結合蛋白(L-FABP)は尿細管にかかるストレスの程度を反映し,慢性腎疾患の進行を予測するマーカー,腎疾患のモニタリングに有効なマーカーであり,今後このような新規バイオマーカーを用いた腎疾患診療ガイドラインの作成が期待される.
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医学のあゆみ 225巻4号, 289-293 (2008);
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尿細管間質は多様な輸送機能をもつ尿細管とそれを取り巻く間質組織から成り立っている.近年の病理学的解析により,糸球体障害よりも尿細管間質障害の程度のほうが,腎機能や腎予後とよく相関することが明らかとなってきているが,この尿細管間質障害の原因として,蛋白尿による影響と尿細管間質の慢性低酸素状態が代表的な因子として考えられている1).近年,循環血中にL-arginine analogueであるasymmetric dimethylarginine(ADMA)が存在し,その上昇が一酸化窒素(NO)産生不全を介して
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医学のあゆみ 225巻4号, 294-298 (2008);
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一般的に細胞死は,アポトーシスまたはネクローシスそしてオートファジーの3つのタイプがあげられる.尿細管が細胞死から逃れることができれば,腎機能が速やかに回復することが期待できる.尿細管の細胞死,とりわけ研究が進んでいる尿細管のアポトーシスに関しての現在までの報告をまとめると,caspaseやASK1などのアポトーシス関連遺伝子を欠損した遺伝子改変マウスでは腎機能の予後がよいという報告が多く,アポトーシス抑制遺伝子であるPI3Kγなどを欠損した遺伝子改変マウスでは腎機能の予後が悪いと報告されている.さらに,
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医学のあゆみ 225巻4号, 299-302 (2008);
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Epithelial-mesenchymal transition(EMT)はいったん上皮細胞としての形質を発現した細胞が間葉系細胞に変化する現象で,近年は発生や癌化以外に臓器線維化機序として注目されている.尿細管上皮細胞を間質細胞に形質転換させるもっとも強力なEMT誘導因子はTGF-βであり,そのシグナル伝達経路や関連プロテオームが精力的に検討されている.EMTの分子機構が明らかになるにつれてその抑制薬開発の可能性が高まっており,将来的には抗腎線維化薬としての臨床応用が期待される.
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医学のあゆみ 225巻4号, 303-306 (2008);
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腎間質線維化は進行性腎障害の共通進展機序であり,その病態解明と治療の確立は重要である.Fibrocyteはコラーゲン産生能を有する骨髄由来白血球系細胞であり,各種臓器線維化との関連が示唆されている.マウス腎間質線維化モデルでは,線維化進展に一致してfibrocyteの腎浸潤を認めた.また,fibrocyteの腎浸潤機構にはsecondary lymphoid tissue chemokine/CCR7システムが関与しており,その阻害によりfibrocyteの腎浸潤と間質線維化病変が抑制された.さらに,レニン-アンジオテンシン系は,AT1受容体/AT2受容体を介して骨髄内fibrocyte数およびfibrocyteのコラーゲン産生能を調節することで,腎間質線維化に関与することが示唆された.以上の知見から,fibrocyteは腎間質線維化の新規治療標的細胞となる可能性がある.
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医学のあゆみ 225巻4号, 307-310 (2008);
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古典的に研究されてきたヘモグロビン(赤血球),ミオグロビン(筋肉)に対して,ニューログロビン(中枢神経),サイトグロビン(全身臓器)は近年報告された新規グロビン分子である.新規グロビンの機能については不明な点が多いが,酸素の運搬・貯蔵ではなく生体内酸化ストレスの除去にかかわると想定されている.腎ではサイトグロビンが間質の線維芽細胞に発現し,虚血・再灌流障害や低酸素環境で発現が亢進するほか,間質線維化との関与も示唆されている.
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医学のあゆみ 225巻4号, 311-315 (2008);
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加齢に伴い腎は機能的にも形態的にも変化(加齢変化)を示す.すなわち,小動脈の内腔狭小化,糸球体硬化,尿細管間質障害が加齢に従って認められる.一方,腎では老化との関連が示唆されるklotho蛋白が産生されることが発見された.進行した慢性腎臓病では尿細管障害も進行しており,klotho蛋白産生が低下することも示されている.寿命・加齢変化と関係の深いklotho蛋白の不足によって,個体レベルで老化に類似した諸症状が出現するという,いわば“腎性老化”とよぶべき病態が出現する可能性を探求した.
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医学のあゆみ 225巻4号, 317-320 (2008);
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腎はいったん間質の線維化が起こるとそれをくい止めるのは非常に難しく,慢性腎不全への進行を阻止する有効な治療法はいまのところない.年々増加傾向にある透析導入患者を減らすうえでも,腎不全の進行を遅らせることは21世紀の腎臓病学の最重要課題といえる.この問題を克服すべく著者らは“尿細管の再生メカニズム”に注目し,検討を行ってきた.その結果,label-retaining cells(LRCs)とよばれる細胞集団が尿細管再生過程で中心的な役割を果たし,再生細胞の供給源として機能することが判明した.このLRCsの増殖・分化のメカニズムを解明し,さらにその活性化因子の存在が明らかになれば,尿細管再生医療も夢ではないと思われる.
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医学のあゆみ 225巻4号, 321-325 (2008);
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尿細管間質障害の程度は腎機能の予後に密接にかかわっており,尿細管間質障害をターゲットとした薬物治療の重要性が指摘されている.動物実験を中心とした基礎的検討に加え,最近では尿細管間質障害を鋭敏に示す尿中マーカーが臨床応用可能となり,臨床でもレニン-アンジオテンシン(RA)系阻害薬やカルシウム拮抗薬などの尿細管間質障害に対する治療成績が報告されている.現在,これら薬剤に加えて尿細管間質障害をターゲットとした新しい創薬が行われている.
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フォーラム
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切手・医学史をちこち 76
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医学のあゆみ 225巻4号, 327-327 (2008);
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第72回日本循環器学会総会・学術集会緊急レポート1
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医学のあゆみ 225巻4号, 328-329 (2008);
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特発性心室細動(VF)は,明らかな器質的心疾患を有さない患者を襲い,心臓突然死につながるため,以前より多方面から精力的な研究がなされてきた.なかでも,1992年にBrugada兄弟によりはじめて記載されたBrugada症候群はわが国にも比較的多くみられ臨床報告例も多い.若年〜中年の,とくに男性の突然死の原因として注目されている.しかし,その診断を含む病態の把握や植込み型除細動器(ICD)の適応などの治療法において,いまだ解決されない問題点が多い.本年の第72回日本循環器学会シンポジウム“特発性心室細動の病態と治療の新展開”ではBrugada症候群の報告者であるJosepBrugada先生と若年者の心臓突然死を病理学的な方法論で長年研究されているイタリアのDomenicoCorrado先生にkeynote lectureをお願いし,わが国からは5名のエキスパートの先生方に参加いただいた.たいへんな豪華メンバーによるセッションを行うことができた.
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医師不足と地域医療の崩壊—現状と展望 7
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医学のあゆみ 225巻4号, 331-335 (2008);
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書評
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医学のあゆみ 225巻4号, 336-337 (2008);
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医学のあゆみ 225巻4号, 338-339 (2008);
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医学のあゆみ 225巻4号, 340-344 (2008);
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TOPICS
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循環器内科学
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医学のあゆみ 225巻4号, 347-348 (2008);
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消化器内科学
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医学のあゆみ 225巻4号, 348-349 (2008);
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移植・人工臓器
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医学のあゆみ 225巻4号, 349-350 (2008);
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連載
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定位放射線治療—最新動向6
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医学のあゆみ 225巻4号, 351-356 (2008);
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寡数個(4個以下)脳転移に対する定位放射線治療(stereotactic radiosurgery:SRS)後,予防的全脳照射(whole brain radiation therapy:WBRT)の必要性について議論があった.これに対して,2006年AoyamaによるJROSGの報告により,適切な経過観察を行えば初回SRS後,WBRTを施行しなくても(SRS単独治療),エビデンスに基づく治療であることが示された.本稿ではSRSの代表的な治療機器であるガンマナイフ(gamma knife:GK)による寡数個脳転移に対するSRS単独治療成績と,治療後の注意点について述べる.初回治療として3 cm以上の腫瘍には開頭摘出術を,3 cm以下の腫瘍はGKで照射後,予防的WBRTを施行せず,2〜3カ月ごとに造影MRIで経過観察を行い,新規病変出現時には適宜GKで追加照射を施行する.この方針で治療した連続752例を対象とした.ガンマナイフ治療後の中央生存期間0.77年,1年神経死予防率90.6%,神経機能温存率83.5%であった.寡数個脳転移に対するGK単独治療は,初回治療後予防的全脳照射を併用しなくても新規病変の出現時に追加治療を行えば,神経死予防あるいは神経機能温存が高率に期待できる.