Volume 225,
Issue 6,
2008
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あゆみ 細胞死をみる
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医学のあゆみ 225巻6号, 467-467 (2008);
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医学のあゆみ 225巻6号, 469-473 (2008);
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細胞の死が遺伝子に制御されているのではないかと,ひとりの病理学者,Kerrの優れた洞察力からはじまった細胞死の研究は1),今まさに成熟期を迎え,応用研究へと展開している.とくに,細胞死の異常が癌やAlzheimer病といった現代社会において大きな問題となっている重篤な疾患の発症に密接にかかわっていることから,その制御メカニズムの研究が精力的に行われている2).そして,そこからこれまでにないまったく新しい治療薬や治療法を開発するあらたな道が拓かれることが期待されている.
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医学のあゆみ 225巻6号, 474-477 (2008);
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生細胞と死細胞の識別・定量は,アポトーシス研究をはじめとした多くの研究で重要な手法のひとつである.さまざまな手法が用いられているが,いずれも細胞死に伴う変化の一面を見ているにすぎず,それぞれの方法により得られた結果はかならずしも一致するものではない.死細胞膜のみを透過し染色する色素による染色法や,死細胞から漏れ出す細胞内物質を検出すれば,死細胞のみを識別・定量することが可能である.また,エステラーゼやデヒドロゲナーゼなどの生細胞の酵素活性を指標として,間接的に死細胞の量を測定することもできる.アポトーシスとネクローシスの識別には,細胞死による形態変化やDNAの変化をみる方法などがある.原理を十分に理解したうえで,場合によっては複数の方法から総合的に判断するなど,適切な方法を選択することが重要である.
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医学のあゆみ 225巻6号, 478-484 (2008);
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化学的に安定なDNAではあるが,細胞死,とくに能動的な細胞死であるアポトーシスの際には,ほとんどの細胞種で特徴的な二本鎖切断が生じる.したがって,組織切片においてDNAの二本鎖切断部位を検出することは,組織内に散在するアポトーシス細胞を同定し,その誘導機構を解析するうえできわめて重要である.DNAの切断部位を検出する方法としては,一本鎖切断部位を特異的に検出するISNT法と,二本鎖切断部位により特異的であるTUNEL法が知られる.ISNT法はDNA polymerase㈵を用いた,いわゆるニックトランスレーションを基本とし,TUNELではterminal deoxynucleotidyl transferaseを用いたDNAの単鎖伸長反応を利用する.ともに最終的に免疫組織化学的にシグナル部位を視覚化する.本稿では両方法によるDNA切断部位の検出法を解説し,どのようにアポトーシスとネクローシスの識別に利用できるかを議論したい.
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医学のあゆみ 225巻6号, 485-490 (2008);
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アポトーシスを組織化学的に検出する試みは従来,ヌクレオソーム単位の断片化されたDNAを検出するterminaldeoxynucleotidyl transferase-mediated deoxyuridine triphosphate-biotin nick end labeling(TUNEL)法や,in situnick translation(ISNT)法が主流であった.しかし,ホルマリン固定パラフィン切片を対象とする場合,固定時間や核酸露出処理などの条件により検出感度の低下や再現性の欠如が認めら
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医学のあゆみ 225巻6号, 491-494 (2008);
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発生時期に起こるプログラム細胞死の一型として,オートファゴソームを伴う細胞死である“type 2 celldeath”が提唱されてきたが,現在のところ細胞死とオートファジーの関連については細胞死を抑制する方向に働くという報告と,促進するという報告のどちらも存在する.しかし,著者らがオートファジーに必須なAtg7を神経組織特異的に欠損させたマウスの新生仔を用いて低酸素-脳虚血負荷(hypoxic-ischemic injury:H-I)を行い,おもに海馬組織の障害の程度を検討したところ,Atg7欠損マウスにおいて,海馬錐体細胞のカスパーゼ依存性・非依存性神経細胞死の双方とも著明に抑制されることが判明した.本研究の結果は,オートファジーがカスパーゼ依存性・非依存性の細胞死の両方のトリガーになりうることを強く示唆しているが,その正確なメカニズムについては今後の検証が必要である.
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医学のあゆみ 225巻6号, 495-500 (2008);
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Magentosisは1996年にUmemuraらによって報告された細胞死の一形態で,ヒト授乳期乳腺の退縮早期に特異的に観察される.細胞死に至った核(均一な染色性と好酸性増加が特徴)が過ヨウ素酸シッフ(PAS)反応によって赤紫(magenta)に染色されることから命名された.Magentosisの核には,諸種の組織化学的手法によって一本鎖DNA陽性となる点が特徴的である.TUNEL法やcleaved caspase 3免疫反応性は陰性である.この特異な細胞死には核内のポリADPリボシル化が関与している可能性がある.なお,乳腺外では甲状腺癌の一部に見出されることがある.
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医学のあゆみ 225巻6号, 501-506 (2008);
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細胞死はこれまで形態的に2種類の細胞死ーネクローシス(necrosis)とアポトーシス(apoptosis)に区別されてきた.ネクローシスは細胞の膨化(浮腫)であり,アポトーシスは細胞質の縮小化と核クロマチンの凝縮を伴う細胞質・核の変化である.アポトーシスはプログラム細胞死ともよばれ,不要になった細胞が内蔵する死のプログラムが活性化することによって自殺する機序である.その過程でミトコンドリアは重要な働きをする.シトクロムcがミトコンドリアから細胞質内へ排出され,Bcl-2ファミリー蛋白によるアポトーシス調節などでミトコンドリアが関与する.さらに,ネクローシスの過程でもアポトーシスに似た過程が観察されている.ネクローシスは,生理的な範囲で起こるアポトーシスが癌や感染など病的環境下で生理的範囲から逸脱し病的な変化を示したものとの見方も出てきている.
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医学のあゆみ 225巻6号, 507-510 (2008);
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小腸の上皮細胞は陰窩で増殖し,短い寿命を終えて絨毛の先端で死を迎える.腸の上皮細胞は激しい細胞動態を示し,つねに更新しているのにもかかわらず,絨毛の形は一定に保たれ,上皮のもつバリアー機構は維持されている.腸管上皮は巧妙にアポトーシスを誘導し大量の死細胞を処理する機構を備えている.小腸上皮にはFasリガンドやTNF-α(またはTRAIL)をもつキラーリンパ球やマクロファージが豊富で,腸上皮はそれらの受容体を発現している.このアポトーシス誘導システムの異常は微生物感染,潰瘍性大腸炎,癌化などに深くかかわっている.腸上皮はアポトーシス研究の格好のモデルといえる.
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医学のあゆみ 225巻6号, 511-514 (2008);
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細胞死を引き起こす原因を与える前の生きている細胞,または細胞死を引き起こす原因を与えて細胞死に至るまでの経過を観察しようとするとき,観察手段が細胞死を引き起こし,あるいは細胞死を早めるような効果をもっていては困る.多光子顕微鏡は,紫外線のように核酸,蛋白質,脂質などの細胞構成要素を変成させたり,溶存酸素を活性酸素に変えることで細胞死を誘引するような励起光を用いず,近赤外光を用いている.そのため,細胞死を早める効果が低く,細胞にやさしい螢光顕微鏡である.本稿では多光子顕微鏡の原理といくつかの応用について述べ,細胞死の研究に役立つ道具であることを説明する.また,多光子顕微鏡が単離細胞のみならず,培養組織,さらには動物体の観察にも有用であることを述べ,実験例を紹介する.
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フォーラム
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医学のあゆみ 225巻6号, 515-516 (2008);
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第72回日本循環器学会総会・学術集会レポート2
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医学のあゆみ 225巻6号, 517-518 (2008);
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急性心筋梗塞に対する治療法は,再灌流療法の進歩,抗血小板療法,スタチンに代表される高脂血症治療,左室リモデリングの予防に向けたRAS系抑制薬,β遮断薬と,この20年間に劇的な進歩を遂げた.それに伴い,心筋梗塞による急性期死亡率は急激に低下し,5%を切るようになった.今後は梗塞後心不全の発症抑制が重要な治療戦略となり,本セッションにおいては,急性心筋梗塞治療における新しい治療法,治療手技に関しての演題発表が行われた.
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逆システム学の窓 15
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医学のあゆみ 225巻6号, 519-522 (2008);
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医師不足と地域医療の崩壊──現状と展望 8
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医学のあゆみ 225巻6号, 523-528 (2008);
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TOPICS
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内分泌・代謝学
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医学のあゆみ 225巻6号, 531-532 (2008);
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注目の領域
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医学のあゆみ 225巻6号, 533-541 (2008);
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連載
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定位放射線治療—最新動向7
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医学のあゆみ 225巻6号, 542-546 (2008);
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脳動静脈奇形は若年者の脳卒中の原因としてもっとも多く,頭蓋内出血をきたすことで死亡に至らずとも患者のADLを著しく損なう可能性のある脳血管病変である.治療の目標は破裂例では再破裂の予防であり,また未破裂例においては破裂による脳内出血の予防である.外科的切除はひとつの有効な治療法であるが,血流の非常に豊富な病変であるため,とくに脳深部や脳の重要な機能を担う部位の近傍においては手術が非常に困難あるいは不可能である場合もある.脳動静脈奇形に対するradiosurgeryの効果が示され,普及したことで,これら外科切除の困難あるいは不可能な症例に対し安全に効果的な治療を行うことが可能となった.Radiosurgeryに伴う長期的な合併症などの問題点も明らかとなってきている一方で,画像技術の進歩も相まって,より精度の高いradiosurgeryがより適した病変に対して可能となると期待される.
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速報
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医学のあゆみ 225巻6号, 547-548 (2008);
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