Volume 226,
Issue 4,
2008
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あゆみ Th17細胞
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医学のあゆみ 226巻4号, 253-253 (2008);
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医学のあゆみ 226巻4号, 255-259 (2008);
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Th17細胞の分化では,胸腺から末梢に浸潤したTh0細胞がT細胞受容体の刺激およびTGF-βの刺激存在下にIL-6信号を受け取ることが重要である.IL-6信号は,IL-6受容体コンプレックスに存在するgp130を介して細胞内に伝達される.gp130分子からは,その細胞質領域に存在するチロシン残基依存性にSTAT3とMAPキナーゼの活性化が生じる.T細胞特異的ノックアウトマウスを用いた研究から,Th17分化にはIL-6-gp130-STAT3信号が重要であることが判明した.また,抗原刺激依存性のTh17分化とTreg分化はIL-6の刺激依存性のミラーイメージであるが,生体内における恒常的なTreg分化はIL-6-gp130-STAT3信号の欠損によってTh17分化が抑制されても増加せずに,IL-6-gp130-STAT3信号による制御は最小限であることがわかった.
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医学のあゆみ 226巻4号, 261-264 (2008);
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T細胞は免疫システムにおいて重要な役割を果たしており,ヘルパーT細胞や制御性T細胞などの複数のサブセットが存在している.近年,あらたなヘルパーT細胞のサブセットのひとつとしてIL-17産生性ヘルパーT細胞が同定された.このIL-17産生性ヘルパーT細胞の分化はIL-6とTGF-βにより誘導され,一方でIL-6はTGF-βによる制御性T細胞の分化を抑制することも報告されている.各T細胞サブセットの分化に関与している転写因子についても明らかになってきており,IL-17産生性ヘルパーT細胞ではRORαやRORγが,制御性T細胞ではFoxp 3がそれぞれの分化を誘導していることが知られている.このようにT細胞の分化メカニズムや免疫システムにおけるそれぞれのT細胞サブセットの役割などが明らかにされつつある.今回ダイオキシンレセプターであるAhrがTh17細胞の分化に関与していることが示され,Th17細胞分化におけるあらたな制御機構が確認された.
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医学のあゆみ 226巻4号, 265-271 (2008);
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Th17の分化誘導にはIL-6やIL-23によって活性化されるSTAT3が必須の役割を果たすが,インターフェロンγによって活性化されるSTAT1は抑制的に働く.SOCS1はインターフェロンの,SOCS3はIL-6などのサイトカインの抑制因子である.T細胞特異的なSOCS1やSOCS3のコンディショナルノックアウトマウスの解析から,SOCS1はTh17分化に必須であり,逆にSOCS3はTh17の分化誘導を抑制することが明らかとなった.SOCS1欠損T細胞ではSTAT1が強力に活性化されており,SOCS3を誘導することでSTAT3が抑制されてTh17分化が抑制される.しかし,SOCS1欠損ではさらにTGF-βシグナルも抑制を受けており,IFN-γ/STAT1によるTGF-β/Smadシグナルの抑制の新たな制御機構が提唱されている.
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医学のあゆみ 226巻4号, 273-276 (2008);
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CD4+T細胞(ヘルパーT細胞:Th)は免疫バランス制御の中枢を担う細胞群である.これまで,産生されるサイトカインパターンによってTh1,Th2に分類され,そのバランスをもとに,さまざまな免疫応答や疾患の発症メカニズムが説明されてきたが,これだけでは説明しえない現象も多々存在している.近年,負の応答を担う抑制性T細胞として制御性T細胞(Treg)が,また,あらたなTh細胞としてTh17細胞(IL-17産生ヘルパーT細胞)が同定された.このため,あらたにTh17/Tregバランスという概念が注目を浴びている.正・負の免疫応答バランスの人為的な制御が可能になることで,さまざまな免疫疾患を制御できる可能性がある.
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医学のあゆみ 226巻4号, 277-280 (2008);
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IL-12関連サイトカインであるIL-27,23は活性化した樹状細胞から産生され,ヘルパーT細胞の分化に深くかかわる.IL-12,27,23は主としてIFN-γを産生し,細胞性免疫をつかさどるTh1型ヘルパーT細胞の分化を誘導する.さらにIL-23は,IL-17を産生し炎症性疾患の病態に関与するTh17とよばれるヘルパーT細胞の分化を促進し,炎症誘導にかかわる.一方,IL-27はTh1細胞の分化誘導作用に加えて免疫・炎症抑制作用をもつ.IL-27はIL-23と逆にTh17の分化を抑制する作用をもち,この働きが失われたマウスではTh17細胞が増加し,自己免疫性脳炎が増悪する.さらに,IL-27は活性化T細胞によるさまざまな炎症性サイトカイン産生を抑制する.IL-27のもつ免疫抑制作用の一部は,活性化T細胞に対して免疫抑制性サイトカインであるIL-10の産生を誘導することによると考えられている.
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医学のあゆみ 226巻4号, 281-289 (2008);
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IL-17は好中球遊走能をもつ炎症性サイトカインであり,近年,IL-17を産生する新しいT細胞亜集団Th17細胞の性状が急速に明らかにされるにつれ,その多様な作用による感染防御機構や自己免疫疾患の発症機構とのかかわりが明らかになってきた.一方で,アレルギー疾患におけるIL-17の役割については,依然として解明すべき点が多い.本稿では,代表的なアレルギー疾患である喘息と接触型過敏性皮膚炎の発症機構とIL-17およびTh17細胞のかかわりに焦点をあて,最新の知見を概説する.
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医学のあゆみ 226巻4号, 291-294 (2008);
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関節リウマチでは自己免疫異常により,関節・骨の破壊が引き起こされる.その骨破壊に中心的な役割を果たしているのが生体内で唯一骨吸収を行う破骨細胞である.骨破壊部では炎症反応による破骨細胞の異常な活性化が認められるが,滑膜浸潤T細胞がどのようにして破骨細胞分化の亢進に結びつくのかが不明であった.著者らはTh17細胞が局所的な炎症を誘導し,ならびに滑膜線維芽細胞上の破骨細胞分化因子・RANKLの発現を増強することで,破骨細胞分化を促進させることを明らかにした.この知見をもとに,今後Th17細胞が関節リウマチなどの炎症性骨破壊に対する有望な治療標的となることが期待される.
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医学のあゆみ 226巻4号, 295-299 (2008);
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最近,炎症誘導性サイトカインとして知られるインターロイキン-17(IL-17 A)を産生するヘルパー型T(Th17)細胞の存在が注目されている.このTh17細胞は,細胞性免疫を担うTh1型細胞やアレルギーなどの免疫応答に関与するTh2型細胞,あるいは免疫応答を抑制するTh3型細胞のどれにも当てはまらないユニークなT細胞サブセットであることが解明された.それに加えて,T細胞受容体(TCR)γδ型T細胞や均一な(invariant:i)ナチュラル・キラー(NK)T細胞などの非典型的T細胞からの産生も認められている.従来からのTh1/Th2細胞のバランスでは説明できなかった自己免疫疾患やアレルギー性疾患の発症制御にIL-17が関与することが最近明らかとなった.一方,感染症に対する防御免疫にもこのIL-17が深く関与していることがわかってきている.したがって,IL-17は単に炎症誘導能のみでなく,多彩な機能を発揮するサイトカインとして位置づける必要があると考えられる.本稿では,現在までに明らかになってきた細菌感染症におけるIL-17の役割について概説する.
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医学のあゆみ 226巻4号, 300-303 (2008);
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医学のあゆみ 226巻4号, 304-308 (2008);
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関節リウマチ(RA)は,多発性の滑膜関節炎を主体とする原因不明の全身性炎症疾患である.日本における患者数が約70万人と非常に多く,進行すると身体機能障害をもたらすため日常生活,社会活動に支障をきたす場合があり,早急な病因解明および治療開発が必要とされる疾患である.IL-17 Aに関してこれまで感染症,自己免疫,腫瘍免疫などの分野で多くの研究がなされ,とくにRAの病態形成に重要な役割をもつことが知られている.近年,IL-17ファミリーとして6つのサブタイプが同定され,共通の生物学的作用として,おもに好中球の遊走や炎症性サイトカインの産生を亢進させることにより炎症のプロセスに関与することが明らかとなった.現在,RAに対して抗TNF-α抗体による治療がなされているが,今後IL-17 AをはじめとするIL-17ファミリーを標的とした治療の開発が行われることが期待される.
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フォーラム
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医学のあゆみ 226巻4号, 310-314 (2008);
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医学のあゆみ 226巻4号, 315-317 (2008);
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医学のあゆみ 226巻4号, 318-319 (2008);
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医学のあゆみ 226巻4号, 320-323 (2008);
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TOPICS
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循環器内科学
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医学のあゆみ 226巻4号, 325-325 (2008);
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耳鼻咽喉科学
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医学のあゆみ 226巻4号, 326-326 (2008);
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連載
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定位放射線治療──最新動向15
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医学のあゆみ 226巻4号, 327-331 (2008);
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振戦に対して視床Vim手術が有効であり,現在までVimをターゲットとした治療が盛んに行われている.現在の主流である脳深部刺激療法も定位的凝固術もVimをターゲットにして行われ,振戦に対して一定の効果を上げているが,これら治療は観血的治療であり,多かれ少なかれ患者に負担を強いることとなる.ガンマナイフを用いた視床Vim手術であれば,非侵襲・非観血的治療で日帰り治療も可能である.しかし,視床Vimのターゲティングとなると,観血的治療であれば術中に効果を確かめたうえで治療できるのに対し,ガンマナイフはMRI上のターゲティングとなり治療効果を確かめることができないブラインドの治療となる.それでも的確な治療が遂行されると,治療後6カ月でMRI変化が誘起され,12カ月で最大変化となり,さらに1年かけて変化が収束に向かう.症状もMRI変化に随伴し,治療後6カ月で症状改善傾向を認めることが多く,治療後12カ月の状態が永続する.したがって,振戦に対するガンマナイフ治療は,有効なひとつの治療オプションであると考えられる.