Volume 227,
Issue 4,
2008
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あゆみ ROCK阻害薬の臨床応用
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医学のあゆみ 227巻4号, 223-223 (2008);
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医学のあゆみ 227巻4号, 225-230 (2008);
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ROCKは,低分子量G蛋白のひとつであるRhoにより活性化を受けるプロテインキナーゼのひとつである.平滑筋弛緩作用を有するY-27632の作用機序解析研究を通して,Y-27632がROCKの特異的阻害薬であることを見出した.Y-27632を用いた検討から,Rho/ROCKがさまざまな細胞機能や病態に深く関与していることが明らかになった.さらに,Y-27632の誘導体を用いた臨床応用の可能性についても検討が進められている.
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医学のあゆみ 227巻4号, 231-235 (2008);
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Rho-associated kinase(ROCK)が同定され約十数年経過し,数百の関連論文が発表された.このようにROCKに関する多くの報告がなされた要因のひとつとして,特異的阻害薬Y-27632が見出されたことがあげられる.とくに,細胞内情報伝達経路の解析にROCK阻害薬が非常に有用な方法として用いられた結果,多くの知見が得られた.また近年,ROCK阻害薬を用いた解析に加え,ROCKの遺伝子欠損マウスの作出により,生体でのROCKの機能が明らかになりつつある.本稿では,ROCKを介する細胞内情報伝達経路・個体での機能についての知見を紹介する.
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医学のあゆみ 227巻4号, 237-242 (2008);
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眼内を循環し眼圧を調節している房水中には種々の生理活性物質が含有されており,房水流出路はつねにその影響を受けている.それら生理活性物質の一部はRhoを活性化することが知られており,その下流に続くRho-ROCKシグナル伝達は眼圧調節に深く関与していると考えられる.選択的ROCK阻害薬は動物実験では家兎眼,サル眼などで有意な眼圧下降効果を示すことが報告されている.房水流出路に存在する線維柱帯細胞は細胞外マトリックスとの相互関係や細胞収縮などを介して房水流出に影響を及ぼすことが知られているが,ROCK阻害薬は培養ヒト線維柱帯細胞において細胞骨格を修飾し,細胞形態,細胞遊走,細胞外マトリックスへの接着などに影響を及ぼすことが明らかとなった.これら一連の研究成果を受けて新しい眼圧下降治療薬としてROCK阻害薬の緑内障治療における臨床応用が期待されている.
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医学のあゆみ 227巻4号, 243-247 (2008);
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緑内障の治療概念として中心的な治療概念は眼圧下降である.現在,臨床的に使用されている緑内障治療薬のなかに,直接的に線維柱帯をターゲットにしたものはなかった.著者らは房水と房水流出路の相互関係に着目し,Rho関連プロテインキナーゼ(Rho-associated protein kinase:ROCK)シグナル伝達系の線維柱帯に対する役割について解明し,選択的ROCK阻害薬がシャープな眼圧下降効果を有することを認めた.選択的ROCK阻害薬の第㈵相臨床試験の結果は,ヒトにおいても有意でシャープな眼圧下降効果を示すものであった.選択的ROCK阻害薬が眼科領域において着実に臨床応用が展開されつつあることは,“点眼”という低用量で直接的にドラッグデリバリーすることが可能な眼科治療の特徴が反映されているものと考えている.
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医学のあゆみ 227巻4号, 249-252 (2008);
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Rho-kinase(ROCK)は低分子量G蛋白Rhoの下流に存在するセリン・スレオニンリン酸化酵素であり,細胞の収縮,増殖,遊走,遺伝子発現などの生理機能に深く関与していることが明らかとなっている.著者らは,心臓血管系疾患におけるROCKの関与とROCK阻害薬の効果について研究を進めた結果,冠動脈攣縮や動脈硬化,肺高血圧症などさまざまな疾患の動物モデルにおいて,その成因にROCKが関与しており,ROCK阻害薬が高い効果を示すことを見出してきた.また,現在唯一臨床応用されているROCK阻害薬であるファスジルを用いた臨床研究により,一部の心臓血管系疾患患者においてもROCK阻害薬の有効性が確認された.これらの結果からROCK阻害薬は,心臓血管系疾患の治療において新しい作用メカニズムで幅広い薬理学的特性により有用性を発揮することが示唆されることから,できるだけ早期の臨床応用が期待される.
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医学のあゆみ 227巻4号, 254-258 (2008);
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再生医療の分野においてヒトES細胞は細胞移植治療の細胞ソースとしてきわめて有用であるが,トリプシンなどで単一細胞レベルにまで分散すると99%以上の細胞にアポトーシスを生じるという弱点があり,サブクローニングや分化誘導技術の開発などの障害となっていた.著者らは選択的ROCK阻害薬であるY-27632で前処理することにより,分散によるヒトES細胞のアポトーシスを抑制し,ヒトES細胞培養の効率を劇的に改善することに成功した.さらに,Y-27632で前処理したヒトES細胞は,分散した後に無血清培地中で浮遊培養しても細胞塊を形成し,それらの細胞塊は高効率に大脳神経前駆細胞に分化した.このようにinvitroでの大量産生が可能になったヒト由来の大脳神経前駆細胞は,Alzheimer病などの大脳の神経変性疾患の再生医療研究や創薬研究に大きく貢献する可能性があると考えている.
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フォーラム
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切手・医学史をちこち82
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医学のあゆみ 227巻4号, 259-259 (2008);
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医学のあゆみ 227巻4号, 260-262 (2008);
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医療関連死問題をかんがえる8
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医学のあゆみ 227巻4号, 263-266 (2008);
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医学のあゆみ 227巻4号, 267-268 (2008);
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医学のあゆみ 227巻4号, 269-272 (2008);
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TOPICS
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循環器内科学
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医学のあゆみ 227巻4号, 275-276 (2008);
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臨床検査医学
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医学のあゆみ 227巻4号, 276-277 (2008);
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消化器内科学
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医学のあゆみ 227巻4号, 277-278 (2008);
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連載
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“大学病院”─課題と展望7
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医学のあゆみ 227巻4号, 279-284 (2008);
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日本の産業競争力の低下が懸念されており,産業化に継続する大学の研究・開発に対する支援,産官との連携が推進されている.昨年,教育基本法も改正され,大学には成果の社会還元が求められるようになった.大学病院の教職員はまず知的財産,利益相反に関する理解を深める必要がある.産官学連携が本格化してから10年が経過し,国内での成果や事例も蓄積されてきたが,とくに経済的影響という点で医学・医療分野の成果創出が期待されている.大学病院ではサイエンスを背景としながらも実用化に近く幅広い対象をもつこと,ステークホルダーに患者や一般人を含むという点で大学内の他学部とは異なり,ルールの遵守と倫理的配慮が要求される.大学病院における産官学連携と知的財産創出を促進するために,教職員研修の充実,多様な分野における知的財産創出の検討,活動を支援する組織と知識の集約化が必要である.