Volume 227,
Issue 9,
2008
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【11月第5土曜特集】がん放射線治療UPDATE
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医学のあゆみ 227巻9号, 635-635 (2008);
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総論
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【生物学的総論】
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医学のあゆみ 227巻9号, 639-643 (2008);
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放射線の主たる標的は細胞核内のDNAである.放射線はDNAにさまざまな傷を与えるが,そのなかでもっとも重要な損傷はDNA二本鎖切断である.細胞が生存し続けるためには,この二本鎖切断は正確に修復される必要がある.本稿では放射線の作用,二本鎖切断の概要,およびDNA切断を反映する染色体損傷の解析について述べる.また,X線では治癒が期待できない腫瘍に対して粒子線治療の効果が期待されているが,X線および粒子線の生物学的効果の違いを染色体レベルから解説する.
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医学のあゆみ 227巻9号, 644-649 (2008);
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放射線が照射されると,細胞はこれを感知して細胞内でその情報を伝達するシグナル機構をもっており,感知シグナルは何段階かのシグナル伝達系を介して標的部位に到達する.放射線は核のDNAに作用してDNA損傷を引き起こすが,DNA損傷はやがてDNA修復経路によって修復されるか,修復が困難な場合には細胞死へと誘導される.放射線によって活性化されるのはDNA修復シグナルだけでなく,放射線損傷に対する恒常的細胞反応の消失に関与する分子であるキナーゼ/ホスファターゼ,転写分子,アポトーシス関連分子,蛋白質分解因子,細胞生存シグナル関連分子なども同時に活性化され,複雑な細胞反応が引き起こされる.そこでDNA損傷からの修復ならびに細胞の生死に関連するシグナルを中心に,放射線に対する細胞応答シグナルの分子機構について概説する.
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医学のあゆみ 227巻9号, 650-654 (2008);
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放射線治療症例数は増加しており,今後さらにその重要性が高くなる.そのため放射線治療成績を向上することは大きな課題である.そのアプローチのひとつとして,強度変調放射線治療(IMRT)や画像誘導放射線治療(IGRT)などで精度高く腫瘍に放射線を集中する物理学的な進歩に,癌の分子メカニズムに基づいた生物学的な放射線治療効果の増強法を組み合わせることは,放射線抵抗性腫瘍を克服し癌の個別的な治療を確立する方法として重要である.頭頸部癌に対するcetuximabと放射線治療の併用のように,臨床でその効果が確立している治療法もある.しかし,今後さらに発展させるためには,放射線による細胞死の分子機構をさらに解明して,放射線感受性を効率よく増感するための分子標的を明らかにするとともに,標的分子の阻害効果や薬剤集積性をより客観的に評価する分子イメージングなどの方法を確立することが重要である.
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【物理学的・法的総論:X線を用いた最新の治療法の問題点と将来】
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医学のあゆみ 227巻9号, 655-659 (2008);
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放射線治療における技術的な目標は,いかに病巣に一致して線量を集中し,周囲の危険臓器への線量を減らすかにある.強度変調放射線治療(IMRT)ではコンピュータ内で仮想した任意の線量分布を投影パターンに変換し,それを実際に多方向から照射することで,体内に対応する線量分布を実現する.汎用ライナックによるIMRTでは潜在的に照射効率がよく,短い時間で治療できる.とくに最近開発された回転IMRTでは2分の照射が可能である.治療計画装置や三次元線量分布測定器の発達で標準治療としてのIMRTが可能になってきている.さらにライナック搭載X線装置による照合,cone-beam CT,呼吸同期治療でより精度の高い治療が可能になる.
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医学のあゆみ 227巻9号, 660-662 (2008);
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TomoTherapyはIMRT(強度変調放射線治療)の専用機であり,ヘリカルCTのようにリニアックを回転させながら治療寝台を移動させて治療を行う.TomoTherapyでは治療の直前にCT撮像を行うことができ,得られたCT画像と治療計画時のCT画像の重ね合わせを行い,照射位置を補正することができる.この補正はレジストレーションとよばれ,現在のソフトウェアでは左右・頭尾・前後の3方向と頭尾軸まわりのrollについて補正が可能となっている.レジストレーションにより毎回のsetupエラーを補正でき,高いsetup精度を要求するIMRTの安全な実施を可能としている.江戸川病院(東京都江戸川区)においては前立腺癌のみを対象として,TomoTherapyを行っている.2007年6月から本年5月までに本治療法を受けた前立腺癌患者130名の背景情報を分析した.
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医学のあゆみ 227巻9号, 663-668 (2008);
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IGRTとは画像誘導下放射線治療のことである.IGRTでは,さまざまな画像取得装置を用い,得られた画像上のマーカーや解剖学的情報を利用し,患者の位置を修正した治療が可能である.IGRTでは骨構造や体内臓器などの情報を利用するため,セットアップのあやふやさのために必要となるマージンを減少させることができるので,正常組織への副作用を軽減することができる.また,正常組織への副作用を増やさずに標的臓器により高い線量を処方することが可能となる.しかし,IGRTは高精度な技術の集合であるため,それを利用する医療従事者は適切な知識および技術を習得したうえで実施しなければならない.IGRTの適用は前立腺や頭頸部のみではなく,肺や乳腺,そして外照射のみではなく,組織内照射へまで広がっており,今後の放射線治療にとって非常に重要な治療法である
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医学のあゆみ 227巻9号, 670-673 (2008);
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サイバーナイフは,1994年にスタンフォード大学のAdlerらにより開発された,ロボットとリニアックを組み合わせた新しいタイプの放射線治療装置である.ロボットアームの採用だけでなく,開発当時から画像誘導による自動追尾照射,インバースプランニングなど先進の技術を盛り込んだユニークな装置であった.海外では2000年ごろから肺,肝,膵,前立腺などの体幹部治療にも用いられている.日本国内では薬事法の問題から,長らく脳・頭頸部治療の専用装置として用いられたが,2008年6月に承認が得られたため,近々体幹部治療がはじまるものと期待される.本稿ではサイバーナイフの基本的な構成,今後日本にも導入されるであろう新しい機能,海外での臨床応用例を紹介する.
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【物理学的・法的総論:粒子線治療装置と小線源治療】
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医学のあゆみ 227巻9号, 674-679 (2008);
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わが国における粒子線治療の臨床研究は1980年ごろ開始されたが,その後順調に発展して大部分に対する評価が定まり,先進医療として実施されている.また,治療施設は6カ所が稼動しており,さらに5カ所が建設中または設置が決定している.計画中のものは20〜30カ所もあるといわれている.この点からみると,粒子線治療も医療として定着しつつあると考えることができる.しかし,粒子線の利用には電子に比べて非常に重い粒子を加速する必要があり,X線治療に用いられている電子リニアックとは比較にならない巨大加速器と特有の照射装置が必要となり,その設置には建屋込みで50〜150億円という巨額の費用と3年程度の期間が必要である.最近では,粒子線治療の普及をにらんで超伝導技術を利用した,より小型で低コストの粒子線装置の開発もはじめられていて,10〜20年後にはより気軽に粒子線治療装置が導入できるようになると見込まれている.
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医学のあゆみ 227巻9号, 680-683 (2008);
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密封小線源の取扱いは医療法と放射線障害防止法の二重の規制を受ける.小線源は医療法では“下限数量の千倍の数量”以下の“診療用放射線照射器具”と,それ以上の“診療用放射線照射装置”とに分けられ,それぞれ使用場所の制限を受ける.医療用の線源については規制免除となるクリアランスの対象となる核種はなく,すべて購入時の放射能量によって規制を受ける.すなわち,法令上の規制は物理学的半減期による放射能の減衰を考慮していないことを認識しなければならない.前立腺癌に対するI-125の永久挿入治療がわが国で広く普及してきたのは,実情に即した法令上の改定が行われたことが大きな契機であった.すなわち,医療法上は退出基準,一般病室の一時的管理区域の設定,ならびに一定条件の下で診療用放射線照射装置室での照射器具(シード)の使用の解禁が大きい.また,体内に挿入されたシード線源は障害防止法の規制から外れ,医療法で一元的に規制管理されるようになったことが新しい放射線医療技術の国内導入の大きな拍車になった.
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癌腫別各論
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【中枢神経腫瘍】
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医学のあゆみ 227巻9号, 687-690 (2008);
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肺癌の治療に関して,予防的全脳照射(PCI)はおもに限局型(LD)小細胞肺癌に対して確立されている.2007年に進展型(ED)小細胞肺癌においても,初回治療奏効例においてPCIが生存率延長に寄与するなどの有用性が示されたが,まだ日本では十分に普及していないようである.PCIの適応病期がLDからEDまで広がることにより,PCI後のあらたな脳転移(再発脳転移)に対する治療については,個々の症例において検討する必要がある.PCIの神経学的な晩期有害事象については否定的な報告が多いが,75歳以上の高齢者の場合,とくに注意する必要がある.
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医学のあゆみ 227巻9号, 691-693 (2008);
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定位手術的照射(stereotactic radiosurgery:SRS)や定位的放射線治療(stereotactic radiotherapy:SRT)が適用されるようになり,今日,脳転移患者の予後は延長している.その結果,われわれが再発脳転移症例を治療する機会も増加している.本稿では再発脳転移に対する放射線治療について文献的考察を中心に記述する.
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【頭頸部腫瘍】
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医学のあゆみ 227巻9号, 694-698 (2008);
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同時化学放射線治療による咽頭癌のさらなる治療成績の向上が多く報告され,CDDPを中心とした多剤化学療法併用の放射線治療が局所進行咽頭癌においての標準的治療法として確立されてきており,その現状を総括する.さらに加速分割照射の導入やtaxan系を加えた導入化学療法も併用され,さらなる治療成績の改善も報告されている.また最近注目されている分子標的療法や低酸素細胞の克服療法なども,あらたな化学放射線治療として試行されはじめている.しかし,同時化学放射線治療は放射線単独治療に比べて毒性・障害も強く,その適応について
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医学のあゆみ 227巻9号, 699-703 (2008);
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進行頭頸部癌では通常線量分割(CF;1回2 Gy,週5回)と多分割照射法(HF;1回1.2 Gy程度で1日2回照射することで総線量を増加),加速照射法(AF;1回線量1.5〜2.0 Gyとし1日2〜3分割,総線量は通常分割より低い)との比較試験がいくつか行われた.15試験によるメタアナリシスでは,局所制御はCFと比べてHF,AFがよいことが示されている.現時点での非手術療法の標準である化学放射線療法にaltered fractionationが使用できるかはいまだ不明である.声門癌では治療期間短縮により局所制御率が向上するという複数の遡及的臨床研究がある.JCOG放射線治療グループでは“T1-2N0M0声門癌に対する放射線治療の加速照射法と標準分割照射法のランダム化比較試験”(JCOG0701)を計画し,現在症例登録中である.この試験で加速照射の科学的妥当性を示すことにより,1.治療期間が短くてすむ,2.医療費が節減できる,3.施設,医療スタッフへの負担が軽減でき医療資源を有効に利用できる,という標準治療を確立することが期待できる.
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医学のあゆみ 227巻9号, 704-709 (2008);
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強度変調放射線治療(IMRT)は最新の放射線治療法であり,逆方向治療計画(インバースプラン)に基づき,不均一な放射線強度をもつ照射ビームを多方向から照射することにより,病巣部に最適な線量分布を得る放射線治療法である.頭頸部腫瘍のようにリスク臓器と標的体積が複雑に存在する領域では,IMRTにより原発巣とリンパ節領域には十分な線量を照射しつつ,耳下腺への線量を減らすことが可能で,高い局所制御率を保ったまま,唾液腺障害などの晩期合併症を減らすことが可能になる.一方,IMRTでは治療計画どおりの線量分布で照射されるため,治療計画が局所再発あるいは晩期合併症という臨床的イベントに直結する.これから頭頸部IMRTを開始する方々の参考になるように,近畿大学での頭頸部IMRTの実際と注意事項を概説する.
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医学のあゆみ 227巻9号, 710-713 (2008);
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放射線による治療可能比向上の手段として,1.線量集中性を高める,2.分割方法を変える,3.薬物併用,があげられる.小線源治療における処方線量はターゲットの辺縁付近の線量を指しており,腫瘍の平均線量は処方線量の2倍前後となっている.外照射による腫瘍の平均線量は処方線量前後であり,小線源治療の線量集中性は,処方線量が等価なら平均線量でおよそ2倍である.小線源治療は最高度の加速照射である.高線量率小線源治療の処方線量60 Gy/10 fr/5 dayは,LQ modelを使うと80 Gy/40 frに相当する.ターゲット内部の線量を代表する平均線量を処方線量の2倍(120 Gy/10fr/5day)と仮定すれば,220 Gy/110frに相当する.小線源治療による腫瘍の制御には,高線量率舌癌治療を例に取ると,辺縁の60 Gy/10 fr/5 day(80 Gy/40 fr相当)および内部を代表する120 Gy/10 fr/5 day(220 Gy/110 fr相当)が関係していると考えられ,高い局所制御率が達成できる.口腔癌,中咽頭癌といった小線源治療可能な領域は動きが複雑であり,外照射での追跡は困難であるが,留置されたアプリケータはターゲットとともに動き,追跡が可能である.
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【食道癌】
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医学のあゆみ 227巻9号, 714-718 (2008);
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食道癌に対する化学放射線療法の進歩は著しく,切除不能食道癌のみならず,切除可能食道癌においても手術に匹敵する良好な治療成績が報告されるようになってきた.主要な併用薬剤はシスプラチンと5-FUであり,放射線は60 Gy/30分割程度が国内では一般的である.化学放射線療法では食道を温存可能なためQOL(quality of life)は良好であるが,いったん癌が消失しても約1/3程度の症例で局所・領域に再発をきたすため,救済手術を積極的に組み合わせることも重要である.長期生存例が増えるに従い,心臓・肺機能の低下が起こる症例も増えており,晩期有害事象をいかに減らすかも重要な研究テーマとなっている.さらなる治療成績の向上をめざして,新規薬剤の導入や治療の個別化の研究も進んでいる.
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医学のあゆみ 227巻9号, 719-722 (2008);
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わが国では1980年代前半まで,食道癌の術前放射線治療が標準的であった.JCOG食道癌グループの術前・術後照射群と術後照射群のランダム化比較試験において後者で生存期間中央値が良好であったため,以後,術後照射が主流となった.海外で行われた手術単独と術後照射との比較試験では,術後照射群で局所再発は低減するが,生存期間に有意差は認めず,これら比較試験のメタアナリシスでも同様の結果となった.現在,食道癌術後照射は,リンパ節郭清が不十分な症例や断端陽性例に対し主に行われている.再発癌に対する放射線治療には決まった治療戦略はない.初回治療の種類や再発形式,再発時の患者の全身状態により治療方針が決まる.EMR後の局所再発,リンパ節再発や術後再発に対し,(化学)放射線治療が行われることもある.なかには長期生存を見込めることもあるため,治療選択肢のひとつとして考えてもよいように思う.
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【乳癌】
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医学のあゆみ 227巻9号, 723-727 (2008);
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乳房温存療法とは早期乳癌の標準的治療法のひとつで,乳房の整容性を保って腫瘍を摘出する乳房温存術と,乳房内再発を予防するための術後放射線治療を組み合わせた治療法である.わが国では,温存術後の全乳房に対して1回線量1.8〜2 Gyで週5回ずつ5週間以上の照射を行うことが標準照射法として推奨されている.しかし,この標準照射法での治療期間の長さを負担に感じる患者も少なくない.諸外国では患者の利便性を考慮して1回照射線量を増量し,治療回数を15〜20回に減少させて治療期間を3週間前後に短縮する照射方法(短期照射法)が試みられ,短期照射法と標準照射法の間で有効性と安全性について統計学的有意差は認められなかったと報告された.1回照射線量を増加すると正常組織の遅発性有害事象のリスクが高くなる可能性があるので,短期照射法の安全性について結論を出すには,今後の慎重な長期観察が必要である.
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医学のあゆみ 227巻9号, 728-733 (2008);
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早期乳癌に対しては乳房温存手術により断端が陰性であることを確認後,全乳房照射50 Gyに加えて10Gy程度を追加照射することが標準とされている.全乳房切除術に比べて整容性は保持できても,5〜6週間の術後照射が働き盛りの女性患者には負担となっている.そこで,長くても数日間の照射で放射線治療を終える加速乳房部分照射(APBI)は魅力的である.しかし部分切除後の全乳房照射には30年以上の歴史があり,それに代わるAPBIの実地応用には,臨床試験により同等性が証明されるまで慎重でなければならない.本稿ではAPBIに
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医学のあゆみ 227巻9号, 734-738 (2008);
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【肺癌】
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医学のあゆみ 227巻9号, 739-745 (2008);
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定位放射線治療(SRT)は「小腫瘍に対して高精度に短期で三次元的に集中的大線量を投与する照射法」と定義され,“切らずに治す”ことが可能となった.体幹部における定位照射は,1.1990年代半ばから急速に発展した照射装置の進歩,2.固定精度の向上,3.画像誘導技術,4.呼吸性移動対策などによって,周囲臓器への危険を回避しながら腫瘍への投与線量を上げることが可能になり実現した.SRTは頭蓋内では約40年の歴史があるが,体幹部病変は固定法・呼吸性移動・線量計算の問題点によりまだ10年程度の経験しかない.それにもかかわらず,小型の肺癌,肺転移,肝腫瘍を中心に,安全性と有効性についてSRTは多くの臨床経験が積まれつつあり,とくにもっとも治療経験が蓄積されている㈵期肺癌手術と遜色ない成績も報告されている.本稿ではもっとも治療経験が蓄積されている肺癌のSRTを概説し,“手術に匹敵するのか”について考察する.
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医学のあゆみ 227巻9号, 746-751 (2008);
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現在,放射線療法に用いられている粒子には電子と,電子より重い重粒子がある.治療に用いられている重粒子には陽子(水素原子核)と炭素イオンがある.重粒子は粒子をイオン化(電子をはぎ取る)し,直線加速器(リニアック)とシンクロトロンを組み合わせて光速の80%程度に加速して照射するのであるが,一般的に重粒子という場合は炭素線(炭素イオン線)を指すことも多い.(独)放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院(以下,放医研)では重粒子線治療として,1994年から非小細胞肺癌の炭素線治療を開始した.炭素線の特徴として
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【肝胆膵癌】
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医学のあゆみ 227巻9号, 752-758 (2008);
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広義の粒子線には電子線なども含まれるが,最近では最先端治療用放射線である陽子線と炭素イオン線(狭義の重粒子線)を総称して粒子線とよぶことが多い.肝癌も広義では原発性と転移性に分けられるが,本稿で扱うのは,わが国の原発性肝癌の95%を占める肝細胞癌である.肝細胞癌に対する粒子線治療は,筑波大学陽子線医学利用研究センターが世界的先駆者であるが,より高い線量集中性と殺細胞効果を合わせもつことから,炭素イオン線治療に大きな期待が寄せられ,放射線医学総合研究所において大規模臨床試験が行われた.両者とも低い侵襲性と高い治療効果をもち,高コストであることを除けば,肝癌治療の最良の選択肢のひとつであることが明らかになった.同時性・異時性の多発をきたす肝細胞癌の特性を考えると,今後は他治療との連携をいっそう深め,粒子線治療施設数の増加を含めた環境整備を行い,集学的治療の一角を担える治療法として認知されることが目標と考えられる.
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医学のあゆみ 227巻9号, 759-762 (2008);
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膵癌は早期のうちに発見できることは少ない.また周囲の臓器への浸潤や他の臓器への転移をしやすく,治りにくい癌である.手術が不可能な局所的に進行した膵癌に対しては放射線治療と抗癌剤を併用した治療が行われるが,膵癌は放射線への感受性が低い癌である.一方,膵の周囲には放射線に比較的弱い十二指腸,肝,腎,脊髄などのリスク臓器が多数存在している.そのため,膵癌に対して放射線治療を行う場合には,これらの臓器に放射線による重篤な晩期副作用を起こさないように,照射方法を工夫する必要がある.CT位置決め装置による三次元的な放射線治療計画を行うことで,肝,腎,脊髄などの線量を適正に抑えることが可能である.しかし,近接する十二指腸は1カ所がダメージを受けることで臓器全体の機能喪失をきたす直列臓器であり,放射線治療のもっとも大きな制約となっている.
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【大腸癌】
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医学のあゆみ 227巻9号, 763-766 (2008);
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局所進行下部直腸癌は,原発巣から周囲への浸潤に加えて,腸間膜リンパ節転移や内腸骨(側方)リンパ節転移を伴うことがあり,術後の骨盤内局所再発の頻度が高い.また永久的人工肛門になる頻度が高く,排便障害や骨盤内自律神経の切除や損傷による排尿障害や勃起障害,射精障害などの後遺症を生じやすい.術前化学放射線同時併用療法は,局所制御割合を向上させ,生存率を高める目的で行われる.術前治療によって腫瘍が縮小すれば,肛門括約筋温存術の適応を拡大させる可能性が指摘されている.
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医学のあゆみ 227巻9号, 767-770 (2008);
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直腸癌の罹患率はいぜんとして高く,検診の普及で早期癌の割合は増えているものの,切除不能もしくは,治療後の局所再発例も増えている.また直腸癌を含む大腸癌全体として比較的長期の予後が期待される癌であるため,遠隔転移の出現をみる場合も多く,さらに遠隔転移に対しても手術をはじめとした局所治療が奏効し,さらに予後を長いものにしている.放射線治療は,局所再発癌に対しては手術の補助として,そして転移癌に対しては症状緩和目的と,最近発展してきた新しい技術を駆使して局所制御を高率に得ることができるようになり,長期予後を期待できる治療手段として,役立ちつつある.
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【泌尿器科腫瘍(前立腺のみ)】
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医学のあゆみ 227巻9号, 771-776 (2008);
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精緻なCT画像を元に三次元治療計画装置を駆使して行う体幹部定位放射線治療が広く行われるようになり,とりわけ最近では前立腺癌に対して強度変調放射線治療(IMRT)が開始されつつある.これらの治療においては,治療対象臓器(前立腺)および周囲に隣接または内含して存在し,治療による傷害をできるかぎり受けずに守られるべき臓器(直腸,膀胱,尿道)の空間位置の把握が重要である.臓器の存在位置をどのように認識し治療計画,線量分布に反映させるのかが局所の制御および副作用,後遺障害の頻度を左右する.前立腺は周囲をその容積や位置が容易に変動する臓器に囲まれ,その臓器自体が治療による副作用のリスクを負っている.このような臓器に対して位置精度を求める放射線治療を行う際に参考となる知見を紹介したい.
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医学のあゆみ 227巻9号, 777-781 (2008);
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強度変調放射線治療(IMRT)は,近年急速に発展したコンピュータ技術を放射線治療分野へ応用して開発された最先端の外照射法である.最大の特徴は,治療計画の立案過程においてコンピュータ最適化プログラムの助けを借りる点であり,従来の人による試行錯誤の限界を超えた良好な線量分布を実現することが可能となった.前立腺はこのIMRTによる線量分布改善の恩恵をもっとも受ける部位のひとつであり,直腸や膀胱などのリスク臓器への線量をうまく抑えながらターゲットである前立腺への線量増加が可能となった.実臨床上も,局所制御率の改善と晩期有害事象の低減の両立が可能であることが長期の成績より証明されつつある.さらに最近では画像誘導放射線治療技術との併用により,前述のIMRTの特徴をさらに生かした,より正確かつ安全な治療を行う試みが進められている.
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医学のあゆみ 227巻9号, 782-786 (2008);
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陽子線や炭素イオン線といった粒子線は体表近くでは比較的低線量であるが,深部で停止する直前に最大のエネルギーを放出する(ブラッグピークとよばれる)という物理特性をもつため,周囲の正常組織への線量は低く保ったまま,腫瘍に高線量を照射することができる.前立腺癌に対する粒子線治療は,その良好な線量分布により従来のX線治療と比較して直腸や膀胱への線量を増やすことなく,前立腺に高線量が照射可能である.これまでの報告で良好なPSA非再発率が得られており,また安全性の面からも重篤な障害と考えられるgrade 3以上の有害事象がほとんどないというきわめて優れた治療法といえる.今後,粒子線治療施設が増加していくことを考えると,さらなる普及が見込まれる.
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医学のあゆみ 227巻9号, 787-790 (2008);
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ヨウ素125密封小線源永久挿入療法(I-125シード療法)は膀胱や直腸を避け,前立腺組織に十分な放射線を照射できる.処置は1時間と短く,安全性とQOLに優れている.日本では2003年9月より急速に普及し,すでに9,000件が実施された.近年は術中計画などの技術が進歩し,より高い線量を安全に投与することが可能となってきた.低リスクの前立腺癌はシード療法(処方線量145 Gy)のよい適応であるが,最近は中リスクに対してもシード療法による良好な成績が報告されている.日本では短期観察であるが,アメリカと同等の成果が得られている.当院では実施件数が増えるとともに,治療による合併症の程度とその原因が明らかとなってきた.術中計画により160〜200 Gy以上の高線量を投与しても重篤な合併症を生じないこともわかってきた.技術の進歩とともに段階的に線量増加を安全に実施することが可能となった.技術の向上と線量増加に伴い,より良好な長期成績が期待される.
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医学のあゆみ 227巻9号, 791-794 (2008);
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前立腺癌の多くは治る.言い換えると,前立腺癌で亡くなる方は少数である.それゆえ,前立腺癌の治療により,QOLに多大な影響を与える有害事象を起こしてはならない.高線量率組織内照射(HDR-BT)は,高精度治療装置を用いてIr-192線源を一時的に前立腺内へ挿入する治療法である.その特徴は,標的に合わせた線量分布と臓器固有の動きに対応できることである.当院でHDR-BTを受け2年以上の経過観察がなされた376症例の治療成績は,観察期間2.0〜10.0年(中央値:4.6年)で8年の全生存率:91%,原病生存率:99%.リスク別の8年PSA非再発生存率は低/中/高リスク症例で,それぞれ98%/91%/82%であった.放射線で治療される前立腺癌症例が増加してきている今日,放射線治療後の再発症例も増加してくると予想される.一般的にはsalvage治療としてホルモン治療が選択されると思われるが,一方でsalvage治療としてHDR-BTの可能性を模索する試みがなされている.
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医学のあゆみ 227巻9号, 795-799 (2008);
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前立腺癌に対する根治的放射線治療には外部照射(3DCRTやIMRTを含む)のほかに,前立腺小線源治療(低線量率および高線量率)が行われてきている.低リスク前立腺癌に対しては放射線治療単独による治療成績が良好であり,ホルモン療法の併用によるメリットは認められていない.中リスク群におけるホルモン療法併用に関しては十分なエビデンスは存在しないが,短期の併用では全生存率に寄与しないと考えられている.一方,高リスク群においては短期のホルモン療法併用では無再発生存率などの改善がみられるものの,全生存率の改善には不十分である.長期(1年以上)のホルモン療法の併用によって,高リスク群では全生存率も含めた予後の改善が認められた報告があり,今後の高リスク群における標準治療になると考えられる.
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医学のあゆみ 227巻9号, 800-804 (2008);
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根治的前立腺摘除術後に腫瘍細胞の微小残存の可能性がある高リスク例に対し,術後補助放射線治療はPSA無再発生存率などを低下させることがいくつかの臨床試験で証明された.線量はすくなくとも60 Gyが推奨される.しかし,PSA値が低い時点での救済放射線治療(64 Gy以上が推奨される)との優劣は明らかではなく,また,放射線治療にホルモン療法を併用すべきかどうか,照射野は腫瘍床のみでよいかなど,明らかにすべき問題点も多い.今後の臨床試験の結果が待たれる.
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【婦人科腫瘍】
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医学のあゆみ 227巻9号, 805-809 (2008);
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子宮頸癌は放射線治療で完治が期待できる代表的疾患のひとつである.近年,放射線治療に化学療法を同時併用する同時化学放射線療法(CCRT)が注目を浴び,臨床での適用が急速に広まりつつある.子宮頸癌のCCRTは多くの無作為割付臨床試験(RCT)結果に裏づけられたきわめてエビデンスレベルの高い治療法であるが,わが国での適用にあたっては留意すべき問題点が少なくない.本稿では子宮頸癌のCCRTについて現況と今後の課題を述べる.
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医学のあゆみ 227巻9号, 810-813 (2008);
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子宮頸癌は放射線治療(外照射+腔内照射)のよい適応疾患であり,これまでも放射線治療で良好な治療成績が報告されている.これまでの標準治療法として,仮想の点であるA点に処方線量を投与する方法が行われてきた.この方法はどの国においても平均的な安定した治療が可能であった.最近になりMRIによる腫瘍進展範囲の同定が可能となり,さらなる局所制御率向上と有害事象の減少をめざした治療計画(画像誘導小線源治療)へと変化しつつある.欧米ではMRIで描出される腫瘍容積への線量投与法のガイドラインが作成され,研究が進行中である.
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【血液腫瘍(リンパ腫)(ゼヴァリンは除く)】
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医学のあゆみ 227巻9号, 814-819 (2008);
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これまで非Hodgkinリンパ腫に対する標準的な化学療法はCHOP療法であったが,リツキシマブの登場によってRCHOP療法へと移行し,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫をはじめとするB細胞性リンパ腫の治療成績は改善している.一方,欧米で頻度の低いT細胞リンパ腫に対する治療成績は抗体療法を含めて芳しくない.また,Hodgkinリンパ腫に対する標準化学療法はABVD療法であるが,BEACOPPやStanford Vといった,より強力な化学療法も開発されている.これまで限局期では短期間の化学療法と病巣部への放射線治療という手段が,Hodgkinリンパ腫および非Hodgkinリンパ腫全般にとられていたが,FDG-PETによる効果判定が広く行われるようになり,放射線治療の適応が変わりつつある.本稿では放射線治療の対象となる頻度が高い悪性リンパ腫の化学療法と放射線治療の適応について考察する.
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医学のあゆみ 227巻9号, 820-825 (2008);
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RituximabはCD20に対するマウスとヒトのキメラ単クローン免疫グロブリンであり,CD20陽性のB細胞リンパ腫の治療に大きな変革をもたらした.現在,CD20陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の標準治療はrituximabとCHOP療法を組み合わせたRCHOP療法である.RCHOP療法の施行により5年全生存率で10〜15%の向上がみられる.㈵・㈼期のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療にもRCHOP療法が導入されつつあり,RCHOP療法を3〜8サイクル施行後に局所放射線治療を施行するのが一般的である.RCHOP療法を何サイクル施行するのかは巨大腫瘍の有無やmodified IPIなどにより柔軟に対応すべきである.RCHOP療法後の局所放射線治療の重要性には変わりがないが,一部の症例では放射線線量を低減できる可能性がある.
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【小児腫瘍】
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医学のあゆみ 227巻9号, 826-829 (2008);
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【骨軟部腫瘍】
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医学のあゆみ 227巻9号, 830-834 (2008);
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疼痛緩和を目的とした放射線治療において,近年海外から報告された大規模なランダム化比較試験やメタアナリシスの結果,病的骨折や骨折のリスクがなく,脊髄麻痺徴候がない症例に対する明らかな線量-効果関係は示されず,線量と鎮痛効果は比例しないことがわかった.また,日本においても臨床試験の結果,8 Gy一回照射の有効性と安全性が示された.日常臨床において治療目的,病気の状況,PS,治療方針などを考慮して8 Gy一回照射を含めたさまざまな線量分割スケジュールが治療選択肢になりうる.骨転移に対する放射線治療の今後の課題として,再照射の時期,適応,線量,分割法のスケジュールなどに関する問題や新しい照射方法の適応などがあり,臨床試験での前向きな評価が必要である.
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医学のあゆみ 227巻9号, 835-838 (2008);
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仙骨脊索腫とは仙骨に発生する悪性腫瘍であるが,ゆっくり増殖し,遠隔転移も早期には起こさない.したがって,適切な局所治療が腫瘍をコントロールするうえで重要である.切除が第一選択であるが,診断された時点で腫瘍が巨大化していることが多く困難なことも多い.また,腫瘍切除により仙骨神経を切断してしまうため,排尿排便機能や歩行に障害をきたすこともある.重粒子線治療は,このような切除のできない症例に対して試みられてきた.治療は約4週間を要するが痛みもなく,横になっていれば1回30分程度で終了し,体に負担の少ない治療法である.局所制御率は5年で88%と手術と同等か,手術ができない症例であることを加味すればそれ以上の成績である.ほとんどの症例において治療後の生活の質も治療前と同等か改善している.重粒子線治療施設は現在日本で2台しか稼動していないが,今後施設が普及すれば,仙骨脊索腫の治療法として第一選択となりうる可能性がある.
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内用療法・緩和医療・良性疾患
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【内用療法(ストロンチウム-89)】
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医学のあゆみ 227巻9号, 841-846 (2008);
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有痛性の多発性骨転移に対して,放射性医薬品であるストロンチウム-89(89Sr)は高い除痛効果が報告されている.本剤はすでに海外42カ国で使用されていたが,わが国でも2007年10月に承認され,保険診療として使用可能となった.89Srは体内でCa代謝と類似した動態を示し,Ca代謝が亢進した骨転移部位に選択的に集積し,正常骨髄での吸収線量は転移部位の約1/10である.物理学的半減期は50.5日,純β線放出核種で,β線の最大エネルギーは1.49 MeV(100%),組織中の飛程は平均2.4 mm(最大8 mm)であるため,放射線はほとんど自己吸収され周囲の人への影響は少ない.骨転移例が増加していることから,本剤への期待は大きい.今後のわが国で本治療を開始する医師および施設に対して,89Sr治療の概略と使用上の留意点について報告する.
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【緩和医療】
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医学のあゆみ 227巻9号, 847-849 (2008);
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がんの緩和治療において放射線治療は大きな役割を担っている.その目的は,患者のもつ症状に対して,1.迅速な効果を期待する場合,2.長期的な効果を期待する場合,3.症状出現の予防,に分けられる.多くの場合,迅速な効果を期待して短期に照射を完了することが必要であるが,一方で長期的な効果を期待する場合や症状出現の予防を必要とする場合があり,緩和治療の多様性を理解する必要がある.治療を円滑に進め適切な結果を得るには,診療科間の密接な連携と多職種によるチーム医療の体制を整えることが重要である.近年の高精度放射線治療の進歩により,脊椎転移の再照射にみられるように従来は困難であった治療も可能となっている.
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【良性疾患】
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医学のあゆみ 227巻9号, 850-855 (2008);
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放射線治療は今日では悪性腫瘍の三大治療のひとつとして重要であるが,良性疾患の治療手段としての歴史も長い.現在でも放射線治療が行われているおもな疾患はケロイド,甲状腺眼症,デスモイド,翼状片,動静脈奇形,Langerhans細胞組織球症,上咽頭血管線維腫,そして有痛性増殖性骨関節疾患である.放射線誘発癌のリスクについては,正常組織の防護を配慮した標準的治療では多くの場合,問題にはならない.世界中でもっとも認知されている良性疾患の放射線治療は,良性脳腫瘍を除くとケロイドである.ケロイドは肉体的かつ精神的な患者の苦悩が強く,おもに難治例・再発例に対し術後放射線照射が行われる.標準的術後照射線量は15 Gyで,連日3分割で術後ただちに投与する.再発率は10〜20%である.しかし胸骨部,肩甲部,恥骨上部は再発率が30%前後と高いため,投与線量を20 Gy/4分割とする.耳垂のピアスケロイドは再発率が低く,10 Gy/2分割でもよい.治療後しばらくは自己管理が必要である.