Volume 228,
Issue 11,
2009
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あゆみ CTC(末梢循環腫瘍細胞)
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医学のあゆみ 228巻11号, 1077-1077 (2009);
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医学のあゆみ 228巻11号, 1079-1083 (2009);
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癌患者,とくに転移性癌患者の一部に末梢循環腫瘍細胞(CTC)が検出されることは以前から知られていたが,その検出技術の再現性の問題などもあり,CTCの臨床的な意義の評価までには至っていなかった.ベリデックス社(米国)によりセルサーチ(CellSearch)システムが開発され,末消血7.5 ml中の1個のCTCまでも再現性よく検出することが可能となった.米国では本システムを用いて転移性乳癌,転移性大腸癌および転移性前立腺癌を対象に臨床試験が行われ,CTCの予後予測因子としての有用性が示唆され,また,転移性乳癌に関しては治療効果のモニタリングとしての有用性も示唆された.本稿では本システムの測定原理,測定方法,海外での使用状況などについて概説する.
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医学のあゆみ 228巻11号, 1084-1088 (2009);
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乳癌の領域ではアメリカにおいて,まず健常人,良性乳房疾患患者および転移性乳癌患者を対象として血中CTCの測定が行われ,その検出頻度と精度が確認された.つぎに,転移性乳癌患者の生存期間に関する前向き多施設共同臨床試験が行われ,予後因子としての意義,さらには早期治療効果の予測因子としての有用性が確認され,2004年にFDAの承認が得られている.現在,さらに感度を上げ,術前化学療法の早期効果予測や,HER2を標識としてハーセプチンなどの分子標的薬の効果判定を行うことなどへの応用が期待されている.
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医学のあゆみ 228巻11号, 1089-1093 (2009);
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近年,胃癌に関する臨床・研究の発展はめまぐるしいものがある.その一つが微小転移の概念であり,末梢循環腫瘍細胞(CTC)の病態の解析とそれらの知見は,胃癌の診断・治療において大きなインパクトを与えた最近のBreakthroughのひとつである.CTCを検出する手法として,分子生物学的手法と形態学的検出法があり,近年自動的にCTCを検出するシステムが開発され,臨床応用の観点から脚光を浴びるようになってきた.胃癌におけるCTC検出率は30 40%であり,CTCの存在診断は血行性転移再発の予測法として有用性が期待
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医学のあゆみ 228巻11号, 1095-1098 (2009);
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大腸癌患者における末梢血を用いた検査として現時点では腫瘍マーカーの測定がもっとも一般的であるが,感度・特異度が低いという問題があり,病勢の指標としてけっして十分満足のいくものではない.近年,大腸癌患者における末梢血中癌細胞(CTC)測定の有用性が報告されている.予後予測因子・治療効果判定などに有用であるのみならず,血行性転移の形成にはCTCが関与していると推測され,その解析は大腸癌の転移の解明・治療につながることが期待される.
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医学のあゆみ 228巻11号, 1099-1103 (2009);
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内分泌治療不応性前立腺癌(hormone refractory prostate cancer:HRPC)は従来から化学療法に抵抗性で治療に難渋している.最近になりTaxan系薬剤ドセタキセルの有効性が示されたものの,奏効期間は短く新規治療薬の臨床試験が活発に行われている.しかし,骨転移を多く認める前立腺癌では画像診断による治療効果の評価が困難で,血清前立腺特異抗原(prostate specific antigen:PSA)の推移によって評価されているが,臨床経過と解離する症例も少なくなく,治療効果を評価する新しいバイオマーカーが必要である.本稿では,HRPCに対する新規治療薬の臨床試験と治療効果を評価する血清PSA値の限界,そして新規バイオマーカーとして注目されている末梢血中の循環腫瘍細胞(circulating tumor cell:CTC)研究について現在の知見や情報を概説する.
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医学のあゆみ 228巻11号, 1105-1108 (2009);
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抗体医薬に対するバイオマーカーとして,末梢循環癌細胞(CTC),末梢循環血管内皮細胞(CEC),および末梢循環血管内皮前駆細胞(CEP)が注目されている.原発巣でのHER2遺伝子が陰性の乳癌症例に,腫瘍進行中のCTCにおけるHER2遺伝子の増幅を認め,Trastuzumab投与により奏効した臨床報告がある.癌細胞のある特異的な分子を標的とする抗体医薬に対するバイオマーカーとしてCTC,とくにCTC上の分子発現解析が有用と考えられる.臨床上で血管新生阻害効果を定量的に評価するバイオマーカーは確立されていないが,そのなかでCEC,CEPの治療前後の数的変動が治療効果と相関があり,血管内皮細胞を標的とする抗体医薬のバイオマーカーとして,臨床上有用性が大きいと考えられる.
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医学のあゆみ 228巻11号, 1109-1112 (2009);
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生体内で免疫,酸素運搬など重要な役割を担っている血液細胞は,形態,機能ともに多様であるが,驚くべきことにそれらはすべて造血幹細胞(HSC)という1種類の細胞から供給される.最近の多くの研究から,HSCが自己複製能・多分化能を維持するため,ニッチとよばれる骨髄内微小環境からさまざまなシグナルを受け取り,制御されていることがわかってきた.一方,HSCまたは造血前駆細胞(HPC)の分化段階で遺伝子に異常をきたすことで発症する白血病においても白血病幹細胞(LSC)が存在し,正常HSCと同じくニッチへの局在と相互作用がその維持に重要であると考えられている.本稿では,正常造血におけるニッチの役割とともに,LSCとニッチの相互作用についても概説する.
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フォーラム
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医療関連死問題をかんがえる18
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医学のあゆみ 228巻11号, 1113-1119 (2009);
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この“医療関連死問題をかんがえる”連載企画にあたり,できるだけ偏らないような執筆者の人選を編集部と行った.連載開始が大野病院裁判の判決日(2008年8月20日)の3日後だったこともあり,頂いた原稿はみな熱い心からほとばしる文章ばかりだった.医師,司法,患者側など様々な立場から“新しい医師と患者関係を作る上での覚悟”を存分に語って下さった.敢えて一致点を探せば,医療安全調査委員会(仮称)第三次試案1)(以下「第三次試案」と略す)に対する賛否はともかく,医療従事者に刑事罰を加えても医療過誤は無くならない,という点ぐらいではないだろうか.したがって,敢えて議論をまとめることはしないし,するべきではない.もしもある時点である制度化が余儀なくされたとしても,この議論は続くだろうし,またそうでなければ真に国民からの信頼は得られない.したがって論議の輪を拡大するために,この企画の前に本誌に連載された「医師不足と地域医療の崩壊」と併せて一冊にまとめることを編集部と検討している.
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家族みんなのドタバタ留学記 in Melbourne 15
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医学のあゆみ 228巻11号, 1120-1122 (2009);
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医学部卒業後,母校の衛生学教室に入室し15年目.2006年8月からWomen’s Healthと英語を学習するため家族4人でメルボルンへ.2007年12月に無事帰国した.この留学で出会ったエピソードをもとにエッセイと,ちょっと役立つ(?)情報編に分けてご紹介.
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TOPICS
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神経内科学
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医学のあゆみ 228巻11号, 1125-1125 (2009);
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連載
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定位放射線治療−最新動向18(最終回)
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医学のあゆみ 228巻11号, 1129-1134 (2009);
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定位放射線手術のひとつであるガンマナイフ.現在の脳治療を語る上でなくてはならない存在となっている.脳腫瘍治療としての認知度が高いが,実は機能性疾患のひとつである“三叉神経痛”患者をどのように非侵襲的に治癒させるかという目的の下で約60年前に開発された機器である.現在,機器システムや画像技術がかなり進歩発展し,いまや0.1 mm単位での顕微鏡下手術と同じ概念で照射加療が可能となっている.まさに“micro radiosurgery”の幕開けといえる.本稿では現状として歴史も含め,“器質的疾患”と“機能的疾患”それぞれをどこまで攻め,治癒につなげられるのかを解説し,これからのガンマナイフ治療の具体性と将来性について言及した.あくまでも患者QOLをどれだけ高く保ち完遂するかが問われつづける治療には間違いない.