Volume 229,
Issue 2,
2009
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あゆみ 320列CT−新しい診断の可能性
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医学のあゆみ 229巻2号, 117-117 (2009);
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医学のあゆみ 229巻2号, 119-123 (2009);
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320列CTの本質は,最大のスライス数よりむしろ,1回の撮影で心臓全体を覆える広いZ軸方向へのcove- rageを得たことにある.そのため心房細動や頻発性心室性期外収縮症例でも体軸方向に連続性のある心臓の容積データを得ることができる.320列CTの能力を最大限活用するには,これら症例の冠動脈評価に加え,不整脈を起こす基礎疾患の精査を含めた包括的評価に有効に使用するべきと考える.心房細動の評価については心房の拡大,左心耳の血栓の有無などが,心室性期外収縮頻発例の基礎疾患精査としては左室心筋の脂肪線維変性,菲薄化や肥大の有無があげられる.不整脈症例での撮影では,良好な時間分解能を得るために複数の心拍より画像を作成すると,異なる心位相のために画像がぶれる.むしろ撮影後,類似したRR間隔の心拍を選択し,R波から一定の絶対時間を設定し,収縮末期の画像を作成したほうが明瞭な画像を得ることができる.放射線被曝量を減らすために,任意の心位相のデータのみ収集するprospective心電図同期撮影も可能である.
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医学のあゆみ 229巻2号, 124-127 (2009);
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320列CTによる冠動脈CT検査では1心拍スキャンが可能となり,撮影時間は1秒以下に短縮され,被曝線量は従来のヘリカルスキャンと比べて1/3~1/5に低減された.撮影時間の短縮に伴い造影剤量も低減され,大きく患者負担が軽減された.従来は適応外とされてきた高度の不整脈や呼吸停止の困難な患者に対しても冠動脈CTは有用な検査となった.また,高い被曝線量のために対象が限定されていた小児や若年者に対する検査,繰り返し行う必要のあるフォローアップ検査にも適応が拡大されると考えられる.320列CTによる冠動脈CT検査は時間的合成データではなく,スライス上端と下端で時間差がないため造影剤の流れを評価することが可能であるし,ダイナミックCTでは従来の検査よりも少ない被曝線量で,造影遅延のある血管や心筋壁の造影効果を同時に評価することができる.320列CTによる冠動脈CT検査では冠動脈の形態評価の適応が拡大されるとともに造影動態の評価を同時に行うことが可能である.
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医学のあゆみ 229巻2号, 128-132 (2009);
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医療の進歩により,成人期に達する先天性心疾患患者が増加を続けている.成人先天性心疾患(以下,ACHD)患者のなかには成人期特有の諸問題によりはじめて循環器科医を訪れることもあり,今後,循環器内科医としてもACHD症例の諸問題についての知識が必要とされることが多くなると予想される.マルチスライスCT(MSCT)は,形態把握をおもな目的としてACHD診療に利用されている.320列CTは,放射線被曝の低減,不整脈への対応,造影剤量の低減に優位性があり,また,正確な心室機能の評価などにも応用可能である.ACHD患者は病態把握の目的で,幼少期より複数回のカテーテル検査を必要とする場合があるが,MRI,心エコー,MSCTなどの非侵襲的な画像診断装置の進歩により侵襲的なカテーテル検査を回避できる可能性があり,320列MSCTは今後その一翼を担うものと期待されている.
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医学のあゆみ 229巻2号, 133-138 (2009);
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320列CTではヘリカルスキャンの必要がないため,従来の64列CTと比較して被曝量を低減できる利点がある.撮影時間もとくに不整脈がなく,心拍数も65 beats/min以下であればretrospective ECG gatingであっても1心拍分の時間で撮影が終了する.1回転でカバーできる範囲は縦軸方向に16 cm以下であり,それ以上の範囲が必要の場合はボリウムスキャンで上下に分けて2回撮影し両者を合成する,あるいは64列でのヘリカルスキャンを行うことになる.造影剤量については320列CTでは64列より撮影時間も短縮されるため,左心系のみであればさらなる減量が可能である.しかし,心筋線維化検出などの遅延造影,右心形の評価が必要な場合,80~100 ml前後の造影剤が必要になる.320列CTでは心拍数と放射線被曝量に直接的に関連があるので,禁忌がなければ,従来より積極的に交感神経β遮断薬あるいは心拍数抑制作用をもつカルシウム拮抗薬などの投与が望ましいと考える.
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医学のあゆみ 229巻2号, 139-143 (2009);
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多列化するマルチスライスCTの主眼は左心系の評価に向けられていたが,これからは右心系の評価も非常に重要であると考える.近年,心エコーでは右心系が注目を浴びているが,320列CTは従来の肺動脈の評価に加え,右心系の評価,さらには冠動脈も同時に評価可能な非常に有用な診断法であると考える.そのためには320列CTの特性を把握して適切な造影剤の注入法,心電図同期撮影による拡張末期・収縮末期の形態による右室量負荷,圧負荷の有無の評価,シングルボリウム,ダブルボリウムスキャン,心電図同期ヘリカルスキャンの使い分けも必要である.320列CTと三次元経胸壁心エコーとの定量比較より,右室はその三日月形の不規則な形態から一定の大きさを超えるとエコーで描出できないような不規則な拡大をすることから,右室負荷のかかる疾患の右室容積評価には320列CTがエコーより非常に有用ではないかと考える.
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医学のあゆみ 229巻2号, 144-148 (2009);
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320列CTでの造影早期相,晩期相を併用することで心筋性状評価が可能である.晩期撮影におけるCTの遅延造影はMRIと類似しており,一般的には線維化や浮腫の存在を示す.撮影法については,放射線被曝量の少ないprospective ECG gatingを選択し,同時に管電流,管電圧を単純撮影より上げて撮影することなどにより,明瞭に遅延造影の有無を評価することができる.読影については,造影早期相で造影欠損している領域が晩期相でその部位が逆に遅延造影になっていないかを読影するのが簡便で正確である.このCTを用いた心筋性状評価は,不整脈を合併しやすい肥大型心筋症での局所心筋の脂肪,線維変性評価,不整脈源性右室心筋症の診断にも非常に有用である.320列CTでの造影剤量は早期相のみでは64列よりさらなる減量が可能であるが,晩期相における間質の染影度についてはヨード造影剤量に依存するため,遅延造影を描出する際には,造影早期の撮影終了後,追加で造影剤を注入する必要がある.
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医学のあゆみ 229巻2号, 149-152 (2009);
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320列CTの購入,使用法について,大学病院の使命である臨床,教育,研究に加え,経営を加えた立場から述べる.臨床面では放射線被曝,使用造影剤量が市場のCT中,もっとも少なく,とくに小児,若年女性に有用である.また,不整脈症例でも明瞭な心臓画像を得ることができ,四次元画像の作成も可能で,形態学だけでなく機能学として質の高い診断学の提供が可能である.教育,研究面からは,320列CTは国際学会のガイドラインに基づく適切な適応症例や造影剤の注入方法,画像作成法などに影響を与えるだけでなく,撮影,読影のテクニックなどの細かい技術指導を論文,学会発表を通じて行う.また狭義の教育として,このCTを用いた画像を用いて,医学部生,研修医,パラメディカルへのわかりやすい解剖学,生理学の教育体制の確立も進めている.さらに経営面からも,冠動脈加算に加え患者数増を勘案すると,64列CTと比較しても購入費の差を埋めることが可能な優れた機械と考える.
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【ayumi TOPICS】
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医学のあゆみ 229巻2号, 153-155 (2009);
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医学のあゆみ 229巻2号, 156-158 (2009);
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フォーラム
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医学のあゆみ 229巻2号, 159-160 (2009);
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家族みんなのドタバタ留学記in Melbourn 17
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医学のあゆみ 229巻2号, 161-164 (2009);
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医学部卒業後,母校の衛生学教室に入室し15年目.2006年8月からWomen’s Healthと英語を学習するため家族4人でメルボルンへ.2007年12月に無事帰国した.この留学で出会ったエピソードをもとにエッセイと,ちょっと役立つ(?)情報編に分けてご紹介.
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連載
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医師のための臨床統計学13
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医学のあゆみ 229巻2号, 171-173 (2009);
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確率変数の和の分布について議論するために,確率変数の同時分布,周辺分布の概念を導入する.
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TOPICS
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神経内科学
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医学のあゆみ 229巻2号, 167-168 (2009);
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腎臓内科学
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医学のあゆみ 229巻2号, 168-169 (2009);
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耳鼻咽喉科学
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医学のあゆみ 229巻2号, 169-170 (2009);
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