Volume 230,
Issue 8,
2009
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あゆみ ナノ粒子メディスン
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医学のあゆみ 230巻8号, 493-493 (2009);
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医学のあゆみ 230巻8号, 495-499 (2009);
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人工多能性幹細胞(iPS細胞)は,体細胞に4遺伝子(Oct3/4,Sox2,cMyc,Klf4)を導入することにより,胚性幹細胞と同等の多分化能(pluripotency)をもつ細胞である.このiPS細胞の研究は特定疾患のメカニズムの解明や新薬開発,再生医療に用いられる細胞ソースなど,多岐にわたる活躍が期待されている.一般的に,iPS細胞作製における遺伝子導入にはレトロウイルスやレンチウイルスが用いられている.しかし,ホスト細胞のゲノムDNA内にウイルス由来DNA配列が残存する,細胞が癌化するといった問題点があるため,現状のままでは医療への応用には適していない.そこで,ウイルスを用いないあらたなiPS細胞作製方法が求められている.本稿では,非ウイルス性であり高効率な遺伝子導入を可能とする磁性ナノ粒子を用いた手法の利点と進行状況について報告する.
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医学のあゆみ 230巻8号, 501-506 (2009);
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組織や臓器が病気や疾患により不可逆的な機能不全を生じた際の治療法として,再生医療の中心的な技術である細胞移植治療の臨床応用が期待されている.そこで,ナノプローブ・デバイスの活用によって,移植源となる細胞の選定からホストへの生着率の確認に至る行程の高効率化が図られている.まず,目的細胞を単離・濃縮する磁気細胞分離(MACS)法に用いる種々の細胞表面抗原に対する抗体そのものもナノデバイスであり,それら抗体の標識に用いる磁性ビーズは通常直径50 nmほどである.また,生きた細胞内における蛋白質の局在や動態,セカンドメッセンジャーの濃度変化,蛋白質間相互作用などの生命現象を可視化計測するナノプローブが開発されたことによって,現在までに細胞内の数多くの分子過程を可視化計測できるようになっており,これらは目的細胞への分化マーカーの探索におおいに寄与している.従来の局所注入法による移植では実現できなかった生体内での移植細胞の長期間生存が,岡野などが開発した温度応答性培養皿を用いた細胞のシート化によって果たされる可能性が示唆されている.生体内に移植された細胞を確認する方法はいくつか考えられるが,MRIでは骨髄MSCに磁性ナノ粒子を付加する方法が開発されており,これまでにブタの心筋梗塞モデルにおいて,磁性ナノ粒子で標識された骨髄MSCが障害心筋に分布することが確認されている.
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医学のあゆみ 230巻8号, 507-511 (2009);
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乳癌の外科治療において,乳房温存手術が径3 cm以下の腫瘍に対してはもっとも一般的な術式として定着し,センチネルリンパ節生検による腋窩郭清省略も導入されつつある.これらの手術は外科的テーラーメイド治療ということができる.近年,きわめて多彩な機能をもつナノ粒子が作製され,医療応用が進められているが,外科領域においては病変を高感度に検出するためのトレーサーがとくに期待される.量子ドットをはじめとした螢光ナノ粒子やシリカコーティングヨウ化銀ビーズなどのX線造影ナノ粒子は,高感度検出可能な物性をもつばかりでなく適度な粒径をもつことから,enhanced permeability and retention(EPR)効果による癌組織への選択的な取込みによる造影効果が期待され,現在開発されつつある高感度検出法と相まって将来,正確な拡がり診断による精細な外科手術の確立に大きく役立つと考えられる.
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医学のあゆみ 230巻8号, 512-516 (2009);
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ナノテクノロジーの基盤材料であるナノマテリアルは,産業発展のため飛躍的な応用が期待される一方で,健康への影響が懸念されている.小さいゆえの物理化学的な特性から,もし体に入ったらどのような作用をもたらすかという点で,未知な部分が多い.著者らは脆弱性集団であるマウスの胎仔期に焦点をあて,意図的に生産される酸化チタンやカーボンブラックナノ粒子,非意図的にナノ粒子が生産されるディーゼル排ガスなどを曝露し,発達の段階で脳神経系や生殖系などにどのような影響が現れるか検討した.ここ10年近くにわたる著者らの研究および国内外で蓄積されつつある研究報告を通し,ナノ粒子が潜在的にさまざまな疾患の原因や増悪化の要因になりうると考えられるようになった.
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医学のあゆみ 230巻8号, 517-521 (2009);
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磁性粒子は磁束密度の高い方へ引き寄せられる性質をもつため,DNA分子から細胞まで幅広い生体物質の磁気分離の分野において盛んに研究が行われ実用化されてきた.また,マグネタイト(Fe3O4)は,化学的に安定であることから生体における毒性が低く,核磁気共鳴イメージングなどの医療分野においても利用されている.一方,標的細胞の表面に磁性粒子を結合させることで,外部磁場により細胞に直接触れることなく“リモートコントロール”によって細胞機能を操作・制御することができるため,これらの技術の組織工学分野への応用が行われはじめている.著者らは,組織工学の3つのプロセスである,1.目的細胞の分離,2.目的細胞の培養,および3.三次元組織の構築,においてマグネタイト表面をバイオマテリアルで修飾した機能性磁性ナノ粒子を開発し,磁気操作を行う手法を開発している.本稿では著者らの最近の研究を紹介する.
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医学のあゆみ 230巻8号, 522-526 (2009);
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ナノテクノロジーの産業応用が進むなか,ナノ粒子の健康影響が懸念されている.ナノ粒子の安全性・毒性の解明に向けて多くの研究が進められているが,適切なリスク評価に役立つ知見はまだ十分とはいえない.そのなかで,ナノ粒子の毒性発現機構のひとつとして,ナノ粒子による活性酸素種の生成とそれに伴う酸化ストレスによる生体成分の障害が注目されている.代表的な酸化ストレスマーカー8-OH-dGを中心に,ナノ粒子による酸化的DNA損傷について述べたい.
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医学のあゆみ 230巻8号, 527-530 (2009);
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関節軟骨周辺には血管や神経,リンパ管がないため,関節軟骨は自己修復能に乏しいとされている.関節軟骨の損傷に対してさまざまな治療法が試みられてきたが,各治療法には一長一短があり,決め手となる治療法はないのが現状である.本稿では関節軟骨の損傷に対する新しい低侵襲な治療法として,磁性ナノ粒子を添加した骨髄間葉系幹細胞を磁場によって関節軟骨欠損部へ誘導する細胞デリバリシステムを想定して,細胞への磁性ナノ粒子の取込み,粒子含有細胞の磁場による誘導に関する基礎的実験結果を示す.
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医学のあゆみ 230巻8号, 531-534 (2009);
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ナノ粒子には表面効果や反応効率が大きいという性質がある.磁性ナノ粒子ではさらに,磁場に反応するという医療にとってきわめて有用な性質をもたせることができる.体内の磁性ナノ粒子を外部から磁力によって動かしたり,特異的に局在する磁性ナノ粒子の位置を体外から診断することなどができる.また,特定位置に局在させた磁性ナノ粒子に外部から交流磁場をかけると自己発熱を生じることから,温熱療法が可能となる.近年注目されている磁性ナノ粒子を用いた温熱療法について概説する.
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医学のあゆみ 230巻8号, 535-539 (2009);
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独自の製法により,アモルファスSiO2に内包された粒径が2~30 nmの磁気微粒子を生成した.薬剤輸送へ応用するために,表面にSiが存在している形状を生かして,磁性体にアミノ基を修飾して機能化することに成功した.アミノ基が出ていることで他の化学物質との結合が容易になる.機能化した微粒子にさらに螢光物質を付けて細胞内へ導入し,マウスの生体組織で外部磁場による局在化も行った.葉酸を修飾したところ,葉酸受容体が過剰に出現する癌細胞に選択的に取り込まれることもわかった.薬剤輸送(DDS)やハイパーサーミア,イメージングなどへの応用が期待できる.
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フォーラム
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切手・医学史をちこち92
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医学のあゆみ 230巻8号, 541-541 (2009);
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医学のあゆみ 230巻8号, 542-543 (2009);
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医学のあゆみ 230巻8号, 544-545 (2009);
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医学のあゆみ 230巻8号, 546-549 (2009);
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連載
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医師のための臨床統計学19
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医学のあゆみ 230巻8号, 557-564 (2009);
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不偏推定の論理は理論的に美しいものの,現実の応用においては多くの限界がある.一様最小分散不偏推定量が存在する場面は限られており,不偏性にこだわるあまり不合理な解を与えることさえある.確率密度関数あるいは確率関数が与えられれば理論的にはつねに計算可能な最尤推定量は,緩い条件の下で漸近的に最適な推定量を与え,コンピュータパッケージの利用可能性拡大とともに,医学統計を含む多くの応用分野で利用されている.
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注目の領域
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医学のあゆみ 230巻8号, 565-570 (2009);
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TOPICS
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遺伝・ゲノム学
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医学のあゆみ 230巻8号, 553-554 (2009);
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再生医学
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医学のあゆみ 230巻8号, 554-555 (2009);
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神経内科学
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医学のあゆみ 230巻8号, 555-556 (2009);
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